毎日が週末

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目を覚ましたら土曜日。何しろ最近毎日が週末だから、週末の感覚はあまりない。8時に目覚ましアラームを掛けておいたのに、無意識のうちに素早く止めたらしい。其の後も昏々と眠り、気づいたら相棒は出掛けているし、陽が高く昇り、大慌てで起きる始末だった。誰に迷惑が掛かるでもないが、失敗だった。休み中も決めた時間に目を覚まして規則正しい生活をしようと思っていたのに。更には今日は予定があったから、今日こそ8時に起床したかったのである。まあ宜しい。被害を受けたのは例のごとく猫。空の器の横に座って沈黙の抗議をしているかのようだった。はい、はい、今すぐに朝食を用意します。そんなことを言いながら、空の器を片付け、そして新鮮な水と彼女の朝食を用意した。しかし全く良く出来た猫だ。催促せずに私が起きるのを待っている猫。
私の朝食はいつもと同じ、なんて思っていたら、相棒が朝食用のパステリーを持って帰ってきた。近くのバールで朝のカッフェをしたらしく、其処に美味しそうなのがあったから、とのことだった。いつも同じ朝食でも何の不満もない私であるが、たまにはこんな事があると嬉しいものだ。相棒が持ち帰ったパステリーは見た目通り美味しくて、また近いうちに持ち帰ってくれれば良いと思った。色んなことをしているうちに、時間になってしまった。さあ、出掛けよう。今日は髪の手入れをして貰う日。

旧市街にあるガッレリア・カヴール。俗に言う高級店が立ち並ぶガッレリアだが、私にとっては通り抜けの近道みたいな存在だ。勿論通り抜ける際、たまにはウィンドウの前で立ち止まることもあるけれど、中に吸い込まれることはなく、純粋にガッレリアの中の通路はこちらからあちらへ通り抜けるためである。其の通路が大変なことになっていた。こんなに混雑しているのを見たことはないというほどの混みよう。若い人たちは此処で自分の写真を撮ったりビデオを撮ったりしていた。成程、混雑の原因は君たちなのかと思いながら、こんなところで写真やビデオをとって何が面白いのだろうと首を傾げながら横を通り過ぎた。
髪をとても良い感じにして貰った。そうでなくてもショートヘアだが、今回は耳がちらりと見えるような更に軽快な感じにしてくれた。腕の良い美容師さんだ。こんな人に髪の手入れをして貰えることは、宝くじに当たったような幸運だ。アメリカに居た頃、フランス人の男性に髪を切って貰っていた。アラン、そうだ、彼はアランという名前だった。彼にたどり着くまでに色んな店を試して、散々失敗した。そうして彼に辿り着き、やっと見つけた、腕の良い美容師さん、なんて思っていたらボローニャに引っ越すことになった。ボローニャに来たら、美容院難民になった。それでも、それなりにうまい具合にしてくれる店に通いながら、数年前に今の店に辿り着いた。長い長い道のり。だから其の感謝は深く大きい。此処に通う限り問題はない。だから美容師さんにはずっと此処に居て欲しい、と思っているが、さて、どうだろう。

ここ最近、防寒に帽子を被っている私だが、こんなに綺麗にして貰ったのを隠してしまうなんて出来ないわ、と帽子を被らずに店を出た。寒い、しかし帽子は被りたくなかった。そうして歩きながらある店のウィンドウの前で足を止めた。私には決して手が届かない値段のついたモーダの店だ。上質な素材を使った軽快なジャケットはカジュアルなのにエレガントだった。店の中に客が居た。成程、此処で買い物をする人はちゃんといるのね、などと思いながら眺めていたら、後ろから声を掛けられた。大人になった赤毛のアン、そんな印象の知的で魅力的な女性だった。色白でそばかすがあって、赤毛が生えるように計算したのか、落ち着いたグリーンのコートを着て美しかった。彼女は私が何処で髪を切ったのかを知りたかったのだ。直ぐ其処なのよ、と言ってそちらの方向を指さしたら、すぐに分かったようだった。この髪型が似合うと褒めてくれた。褒めて貰ったショートヘア。褒めて貰うって、なんて嬉しいのだろう。

私は変化の少ない人間。変化を好んでいないというよりは、変化がなくても問題がないのだ。でも、と思う。たまには少し変化を。一年の終わりに来て、そんな気持ちになって行動を起こそうとしている。上手くいくといいけれど。良い変化となればいいけれど。




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