月曜日のこと
- 2012/05/29 05:57
- Category: bologna生活・習慣
月曜日が嫌い。今日の月曜日は今迄で一番嫌いだった。朝の空の憂鬱なこと。まるで今にも雨が降りそうだった。仕事前にしばしば立ち寄るバール。ひとり可愛い女の子がいる。今年に入ってから働き始めた、若くて見るからに元気で感じの良い女の子。彼女は3月ごろから半袖姿で寒がりの私を驚かせたが、兎に角半袖姿がよく似合う。今日は襟ぐりが大きく開いた、鮮やかなエメラルドグルーンのシャツを着ていた。色白の彼女にぴったりだった。それで彼女にそういって褒めると、頬をかすかに染めて笑った。有難う。そう言った彼女は飛び切り可愛くて周囲にいた客達の気持ちをほっとさせた。とんでもない一日が終わり、バスに乗って旧市街へ行った。いつもの薬屋さんに立ち寄った。ボローニャ旧市街の真ん中に建つ2本の塔の手前に在る小さな薬屋さん。気に入っている訳ではないが便利なので此処に通っているうちに顔を覚えて貰うようになった。店に入ると先客がいた。小さな女の子を連れの若いお母さんと、大きな犬連れの老人。そして坊主頭の男性。女の子が犬に関心を示すと犬がするすると近寄った。女の子は驚いたような顔を私に向けたので、大丈夫、この犬はきっとお利巧さん、と言って聞かせると女の子は少し安心したらしく再び犬に好奇の目を向けた。案の定犬は大変賢くて、女の子の前まで行くとぺたんと座り込んで片手を持ち上げた。女の子はそれを犬がチャオと言っているものと思ったらしく、彼女もまた片手を上げてチャオと言った。それを見ていた大人たちは可笑しくて微笑ましくて幸せな気分になった。私の番が来た。薬屋さんも私も先ほどの余韻が冷めず、口元に笑みがあった。私は薬を幾つか頼んで会計を済ませた。すると薬屋さんがこんなクリームがありますが使ってみてください、と片手ほどの大きさの箱を手渡した。中を開けてみると顔用のクリームが入っていた。売り物だろうか。試供品の類ではなかった。イタリアの多くの薬屋さんは自分の研究所なるものでオリジナルのスキンケアクリームなどを作り出しているが、私が貰ったものもまた、その類であった。珍しいこともあるものだ。これも女の子と犬が作り出した幸せ気分の連鎖だろうか。礼を言って店を出るその前に女の子に声を掛けた。彼女と犬がそうしたように片手を挙げてチャオと言ってみた。女の子は笑っていた。食品市場界隈の花屋さん。最近この店には面白い大輪の花がある。見たこともない紫色の花。数日前思い切って訊いてみた、本物ですか、と。店の人は本物だと言い、そして名前を教えてくれたが残念ながら覚えられなかった。それ以来私はこの店の前に来てはこの花を観察する。鮮やかで魅力的な色の大輪の花。雑踏の中に咲く美しい花。今日はそんな月曜日だった。