寒い日
- 2008/09/26 23:15
- Category: bologna生活・習慣
肌寒い一日だった。いや、今日一日だけではない。ここ数日ずっとこんな寒さが続いて、私は何度寒いと言って身を縮めただろう。寒いといっても朝は7度あるし日中だって20度に満たないにしても気温は上昇するのだが、手足は冷えるし首の辺りも風通しが良すぎるので "私にしたら" 快適温度よりかなり下回っていると言うべきか。兎に角あまり寒いので薄手のシルクのスカーフを首にぐるぐる巻きつけて外出する毎日。今日は金曜日、嬉しい金曜日だ。今朝5時頃、大きな雷が鳴った。どーん、と鳴る雷ではない。ばりばりとまるでまだ夜明け前の空を引きちぎるような雷だった。そんな雷が何度も鳴り響いているのを目を瞑ったまま聴いていた。耳を澄まして聴いていたのだ。それでいて私は夢を見ていた。夢の中で私はボローニャ旧市街の塔の下から延びているvia castiglioni を歩いていた。それは数日前に見た風景だった。連れはなく、私は何か探し物をしていた。探し物。ひょっとしたらそれは探し人だったのかもしれない。私はあっちを見たりこっちを見たり、路の左右を何度も往復しながら歩いていた。そんな夢を見ながらつまらない夢を見ていると思った。そんな風にして朝を迎えた金曜日は夢同様つまらない一日だった。何をしてもうまくいかず、最後には深い溜息をついた。晩になって週末の始まりを祝うが如く、赤ワインを開けた。グラスに僅か半分だけど、凍り付いていた体中の血液が温まって循環するのを感じた。美味しいワインを頂く喜びを言葉にするのは難しい。文学者ならばどんな言葉で表現するのだろう、ワインに通じる人達はどんな風に表現するのだろう。と、いつもワインを頂きながらそんな事を考える。語彙の貧しい私には、幸せとか喜びとか、そんな簡単な言葉しか見つからない。よく熟成させたペコリーノチーズを齧りながらワインを頂き、そしてお喋りしてはまたワインを頂いた。寒いのは嫌いだが、寒い日には寒い日の楽しみ方があるものだ。そんな事を思いながら金曜日の晩が更けていった。