愉しい発見と偶然
- 2022/12/31 16:56
- Category: 好きなこと・好きなもの
今日は目を見張るような快晴で、一年の締めくくりに相応しい明るい空。こういう空を見たかった。できれば冬の休暇の間は毎日見たいと思っていた。今日は小さな色々が詰まった一日。でも緩くいこうと思っている一日の終わりに愉しかったと思えるように。
11月の終わり頃、ボローニャを歩いていた時に見つけた写真展。ロジャー・ディーキンス氏のBywaysと名付けられた写真展。ボローニャ旧市街の地下道を利用した、入場無料。街に貼られていた白黒のポスターを一目で気に入り、そしてByways、脇道なんてタイトルが益々気に入った。いつか見に行こう。そう思っているうちにひと月以上が経ってしまった。私には、そのうちに、と思う悪い癖があり、見逃すことが多々あるのだ。悪い癖。本当に悪い癖だと思う。数日前の午後、じめじめした空気をたっぷり含む午後に旧市街へ行ったのは、その写真展の為だった。実を言えば、私は、地下なる場所が苦手。もう少しストレートに言うならば地下が嫌いだ。例えば東京の地下道などは、本当に辛い。かといって気が変になってしまうほど嫌いなわけではなく、できれば地下を歩きたくない、そんな程度のものである。しかしながら写真展を観に旧市街へ行ったのに、いざ階段を降りるとなると気が進まなくて溜息が出た。小さな写真展だった。私は此の写真家について知識がなかったが、実は映画撮影監督だそうで、とても有名な人だと中に入ってから知った。犬が跳ねる写真。これ。私はこれが観たかった。こんな写真が撮れたらいいのにと思った。誰の為でもなく、自分の為に。愉しい発見や偶然。絵を描かなくなった私が写真に求めるのはそんなことだ。そのうち展示会場が混み始めたので、残り半分はさっと見ただけで出てきてしまった。写真展は1月15日まで。もう一度、今度は人が少ない時間帯に訪れようと思っている。
昔、こうしたクリエイティブな人達の中で一時期過ごした。もう随分と昔のことで、しかもそれほど長い期間でもなかった。だけどこうした人たちから得た印象は忘れ難く、忘れてしまいたくもなく、だから写真展などに足を踏み込むと、胸がドキドキする。それから絵画展や現代アート展にしても。なり損ねたくせに、未だにそんな感覚を引きずっているなんてと呆れてしまうけれど、一度染みついた感覚は簡単には消えないのかもしれない。それが好きなことだったらば尚更に。
今日で一年が終わる。零時を過ぎると新年に足を踏み込むなんて信じられないことだ。時間は待ってくれないとは知ってはいたけれど。
この雑記帳を書くこと、そして読んでくれる人達の存在が、生活のエッセンスになっていることを感じ取った一年でした。つまらないことは吹き飛ばして、愉しい気持ちで新年を迎えたいと思います。有難うございました。これからもお付き合いお願いします。