花が好き
- 2014/02/17 01:32
- Category: bologna生活・習慣
私は花が大好き。庭先に咲く花も好きだし、テラスをぐるりと取り囲むようにして置いた植木の花も好き。それから気が向けば花屋に立ち寄って花を購入する。居間の中心に置くとぱっと華やかになり、それだけで楽しい気分になるから。でも相棒から花を贈って貰ったことはあまりない。恋人時代は何かにつけて花を持ってきては私を喜ばせてくれたけど、互いに慣れ始めたらすっかりそんな習慣もなくなってしまった。それは互いが水や空気のような存在になった証拠。そう思えば聞こえは良いけれど、正直なところ少々淋しいと思っていた。相棒は特別な日が嫌い。特にヴァレンタインデーなるものを嫌っていて、だからこの日を祝ったこともロマンティックに過ごしたこともあまりない。幾度か楽しい日と過ごした記憶があるにしろ、世間が騒ぐほどのことをしたことは、無い。
今年などが良い例だ。金曜日にあたった2月14日。金曜日の晩は週末の始まり。ちょっと美味しい物でも頂こうかと思って相棒に都合を聞けば、夕食時は家を留守にすると言う。理由はその時間帯にミランとボローニャのサッカー中継があるからだそうで、それを見に近所のバールへ行くことになっているからだと言う。そのバールは行きつけのバールで、同じようにボローニャを応援する仲間が寄り集まり共に熱く応援するのが習慣なのだ。なんだと。と、私は一瞬憤慨しかけたが、そういえば彼はヴァレンタインデーには関心が無かったのだと思い出して、まあ、そんなものかと思いながら投げかけようとした彼への言葉を飲み込んだ。いいもん。ひとりで美味しいもの頂いちゃおう。特別な赤ワインの栓を抜いたりして。そう思いながら。ところでこの日に関心のない人は世間には案外沢山いるらしい。しかし祝う祝わないは別にしても相棒がサッカー観戦のために夕食に戻ってこないのは一般世間的にも宜しくないらしく、それを聞いた知人の女性が言い放った。あなた、彼に言いなさい。家に帰って来た時に入り口の扉の鍵が変わっているから気を付けてね、と。私はそれを聞いてあははと腹の底から大笑いしたが、成程イタリアではそういう言い回しがあるのかと感心したものである。夕方、空がすっかり暗くなってから家に戻ると、既にバールに出向いているらしく彼の姿はない。その代わりに薔薇の花束が置いてあった。花を贈ってくれるとは。うふふと笑っているところに電話が鳴った。薔薇の花束を見ていただけましたでしょうか。相棒の声だった。どうやら少しは申し訳ないと思っているらしい。それは多分彼の友人知人がさんざん彼を戒めたからに違いない。彼女のような上等な奥さんを大切にしないと、そのうち痛い目にあうぞ。と友人知人が言っているのをいつだか耳にしたことがある。私は決して上等な妻ではないけれど、でも多分本当だ、大切にしないといけないよ、と。花束の礼を言うと相棒は意外にも照れ、しかしその後には、それではゲームが始まるのでこれで失礼、と言って電話を切った。あはは。実に相棒らしい。私は笑いながら花を花瓶に生け、ひとり分の夕食の準備を始めた。
私は花が大好き。花がある生活は素敵。薔薇の蕾がふっくら膨らんで今まさに開花しようとしている。美しいと言いながら、この花のおかげで私の鼻のアレルギーは悪化する一方だ。しかしそのことを相棒に言ってはいけない、折角の贈り物なのだから。言ってはいけない、言ってはいけない。私は今、心の中で葛藤しているのだ。
Naomin
我がオットもそういう所があります。
オットは、世間で騒がれている行事を好きではないと言い張ります。(たとえばクリスマスとか)でも、そういうことにマメなオットだと、私はありがたみが無くなってしまいそうな気もします。