ボローニャより
- 2010/12/25 19:37
- Category: ご挨拶
ボローニャからBuon Natale。めまぐるしい毎日に終止符を打ち、昨日の午後からクリスマス休暇に入った。待望の休暇なのに、不思議なことにその現実を素直に受け入れられず、もしかしたらいい所でぱっと目が覚めて夢だったことに気がつくのではないだろうかなどと思ったりもした。職場を後にしてバスが旧市街に入った頃、私はようやくこれが本当のことなのだと思えるようになり、一足遅れで休暇に入った喜びを噛みしめた。バスから降りたその足で、気に入りのカフェ、ガンベリーニへ行った。クリスマス休暇に乾杯と行きたいところだが、昼からひとりでシャンパンというのも何なので、カップチーノと小さな菓子をふたつ注文した。カウンターには人も疎らで、しかし奥の方では幾人もの常連達が背の高い小さなテーブル席を陣取ってクリスマス前の午後を楽しんでいた。カウンターの中の青年が誰に言うでもなくぼそりと呟いた。やっと光が見えるようになった。どうやら少し前までは大変な混雑だったらしい。と理解した私はそんなに混んでいたのかと聞き返すと、ええ、今日の混雑は並大抵ではありませんでしたと言葉を返した。知っている。私はその並大抵ではない混雑を知っている。この店の内部は狭いのであっという間に人で混み合ってしまうのだが、客達は容赦なく次から次へと入ってくるのだ。あれは何時だっただろう。数ヶ月前にカッフェでもしようと思って扉に手を掛けて驚いたものだ。それはまるで満員バスのようだったのだから。小さな休憩を終えて店を後にした。街は意外と閑散としていて、そんな様子が昔住んだアメリカの街で初めて迎えたクリスマスを思い出させた。私はまだひとりだったし少ない友人たちはそれぞれの納まるべき所に行ってしまったから、なんだか寂しい思いをした。いや、寂しいというよりは砂漠にひとり取り残されたようなそんな感じであった。午後になってひとりの友人と連絡がやっと取れて、私達はバスを使わずに海辺まで一緒に歩いた。坂を上りつめると其処から急な坂が長く続いて最後の部分に海が見えた。誰ひとり車一台通らないゴーストタウンのようで、それは私の心の奥深い所にしっかり刻み込まれた。あれから20年近くが経ち、色んなクリスマスの日を通過した。あのクリスマスを毎年思い出すところから察するに、私はあの閑散とした寂しい一日を案外気に入ったのではないだろうか。
今年のクリスマスは家族たった3人でのお祝い。でも皆が豊かな笑みを湛え、穏やかな一日になった。温かい美味しい食事を囲みながら、今日という日を祝えることを感謝しながら。クリスマスの晩に想う。今日という日を皆と分かち合えることを感謝します。私の家族、友人、それから私を取り囲む全ての人々にも恵み溢れるクリスマスがありますように。
今年のクリスマスは家族たった3人でのお祝い。でも皆が豊かな笑みを湛え、穏やかな一日になった。温かい美味しい食事を囲みながら、今日という日を祝えることを感謝しながら。クリスマスの晩に想う。今日という日を皆と分かち合えることを感謝します。私の家族、友人、それから私を取り囲む全ての人々にも恵み溢れるクリスマスがありますように。
inei-reisan