食材店
- 2010/06/27 23:32
- Category: bologna散策・あれこれ
蒸し暑い週末となった。特に今日の蒸し暑さときたら、ちょっと不快なくらいだった。それは珍しいことなのだ。ボローニャ郊外の丘の町ピアノーロは標高にすればたかだか200mであるが何しろ風通しが良いので大抵は蒸し暑さを感じることなく6月を過ごすことが出来るからなのだ。勿論7月も半ばから終わり、そして8月に入る頃にもなれば、丘だろうと何だろうとボローニャ市内同様うだるような暑さになって、暑い暑いと文句のひとつも言いながら生活するのだけど。どうやらイタリアは高気圧に覆われているらしい。暫くこんな好天気が続くだろうとテレビで言っているのを聞いて、好天気だって?と聞き返した。テレビの中の人がそれに答えてくれる筈も無いのに。
最近ボローニャ旧市街を歩いていて気がついた店。前からあったのかもしれない。ただ、私がこの店に気がつかなかった、多分そんなとこだろう。ジェラート店Gianni でピスタッキオをたっぷり盛って貰ったそれを食しながらポルティコの下をそろそろと歩いていたらこの店があった。店先の色合いや雰囲気が私が勝手に想像するフランスとよく似ていたから、てっきりフランスの食材を置く店だと思った。ふーん、フランスの店なのね。そんなことを思いながらショーウィンドウの中のひとつひとつを眺めていたら、イタリアの食材を置く店と分かって驚いた。並べられた品物の向こう側にある店内には割りと沢山の客人がいて、店が繁盛していることが直ぐに分かった。この手の店が好きだ。私はどの町に暮らしても何かちょっとしたものを買うために足を運んだ。ローマに暮していた頃のことを思い出した。私はヴァティカンに近いOttaviano という地下鉄の駅からすぐ近くに部屋を借りて住んでいた。4人の若いイタリア人たちと一緒だった。ひとつのアパートの共同生活をしているくせに彼らは適度に裕福だった。それはまるで共同生活を楽しむ為に共同生活しているのよ、と言うかのようだった。その中のひとりとは良く一緒に出歩いた。彼女は質の高いものが好きで、良いものが何処で手に入るかを良く知っていた。おいしいパンはこの店。生ハムはあの店。アパートのある界隈の美味しい店を幾つも教えてくれて、それは大抵本当だった。ある日、一緒に歩いていると此処にちょっと用があると言ってすたすたと店の中に入っていった。店の名前は忘れてしまったが良い食材が手に入る老舗だった。コーラ・ディ・リエンツォ通りに面したその店はとても混んでいた。混んでいる所が嫌いな私は少々うんざりした気分だったが、しかしよく見ると面白い物、そこいらの店では手に入らない物が棚にぎっしりと並んでいて、彼女がこの店を好む訳だ、と納得した。ガラスケースの中に並んだチーズの種類の多いこと! 惣菜がずらりと並んでいて見ているだけで楽しくなった。店の奥はバールになっていて、其処では本当に美味しいカッフェを頂くことが出来た。その日から私はこの店が大好きになり、頻繁に店に立ち寄るようになった。ローマで東洋人は珍しくないはずだったが何しろ頻繁に顔を出すので、あっという間に存在を覚えて貰うようになった。大抵はカッフェをしたりチーズを買ったり夕食用の惣菜を買ったが、何も買わない日もあった。あんなに頻繁に通った割には、ローマを離れてから今まで一度も思い出さなかったとはどういうことだ。私のローマの生活と一緒に過ぎたこととして封じ込めてしまったのだろうか。秋になったら一度ローマを訪ねてみよう。私が暮らした界隈をもう一度歩いてみよう。フランスの雰囲気を持つ店を眺めながら、そんなことをひとり考えていた。
最近ボローニャ旧市街を歩いていて気がついた店。前からあったのかもしれない。ただ、私がこの店に気がつかなかった、多分そんなとこだろう。ジェラート店Gianni でピスタッキオをたっぷり盛って貰ったそれを食しながらポルティコの下をそろそろと歩いていたらこの店があった。店先の色合いや雰囲気が私が勝手に想像するフランスとよく似ていたから、てっきりフランスの食材を置く店だと思った。ふーん、フランスの店なのね。そんなことを思いながらショーウィンドウの中のひとつひとつを眺めていたら、イタリアの食材を置く店と分かって驚いた。並べられた品物の向こう側にある店内には割りと沢山の客人がいて、店が繁盛していることが直ぐに分かった。この手の店が好きだ。私はどの町に暮らしても何かちょっとしたものを買うために足を運んだ。ローマに暮していた頃のことを思い出した。私はヴァティカンに近いOttaviano という地下鉄の駅からすぐ近くに部屋を借りて住んでいた。4人の若いイタリア人たちと一緒だった。ひとつのアパートの共同生活をしているくせに彼らは適度に裕福だった。それはまるで共同生活を楽しむ為に共同生活しているのよ、と言うかのようだった。その中のひとりとは良く一緒に出歩いた。彼女は質の高いものが好きで、良いものが何処で手に入るかを良く知っていた。おいしいパンはこの店。生ハムはあの店。アパートのある界隈の美味しい店を幾つも教えてくれて、それは大抵本当だった。ある日、一緒に歩いていると此処にちょっと用があると言ってすたすたと店の中に入っていった。店の名前は忘れてしまったが良い食材が手に入る老舗だった。コーラ・ディ・リエンツォ通りに面したその店はとても混んでいた。混んでいる所が嫌いな私は少々うんざりした気分だったが、しかしよく見ると面白い物、そこいらの店では手に入らない物が棚にぎっしりと並んでいて、彼女がこの店を好む訳だ、と納得した。ガラスケースの中に並んだチーズの種類の多いこと! 惣菜がずらりと並んでいて見ているだけで楽しくなった。店の奥はバールになっていて、其処では本当に美味しいカッフェを頂くことが出来た。その日から私はこの店が大好きになり、頻繁に店に立ち寄るようになった。ローマで東洋人は珍しくないはずだったが何しろ頻繁に顔を出すので、あっという間に存在を覚えて貰うようになった。大抵はカッフェをしたりチーズを買ったり夕食用の惣菜を買ったが、何も買わない日もあった。あんなに頻繁に通った割には、ローマを離れてから今まで一度も思い出さなかったとはどういうことだ。私のローマの生活と一緒に過ぎたこととして封じ込めてしまったのだろうか。秋になったら一度ローマを訪ねてみよう。私が暮らした界隈をもう一度歩いてみよう。フランスの雰囲気を持つ店を眺めながら、そんなことをひとり考えていた。
Via Valdossola
いま仕事で京都に来ています。ボローニャと同じ盆地で、吸い込んだ空気が肺の中まで湿らせてしまうほど蒸しています。前日の苫小牧(北海道)の昼間も蒸しましたが。
イタリアと日本では、ショーウインドーのデコレーションが全く異なりますね。いつもそう思います。見せることについては、イタリア人はすごいですね。でも菅首相夫人の着物姿を見ると、日本人もよく考えればできるものと感心しました。
yspringmindさんも「蒸しバテ」しないように、素敵で懐かしい写真や文章を楽しみにしています。