蝉の声
- 2010/06/26 23:35
- Category: bologna生活・習慣
昨日から異常な疲れを感じている。どうしたのだろう。単なる疲れならいいけれど。上手い具合に週末なので家でゆっくりすると良い。そう思っていたのに急に気が変わって朝も9時早々に家を出た。行き先はボローニャ市内。もう長いこと通っている美容師の所だ。もう何日も前から延びた髪を何とかしたいと思っていたのだ。私はいつの頃からか肩にもつかない長さが好きになった。それはもしかしたら髪が乾きやすいとか手入れしやすいとか、そんなことが理由なのかもしれないが、自分自身も軽快な短い髪が私らしいと思っているに違いない。乗り換えのバスを待っていた。涼しい朝だった。強い日差しだが時々風に流される白い入道雲が太陽を隠す、その繰り返しで一向に気温は上がらなかった。道の向こう側には個人所有の森のような庭があって、のびのびと成長した樹が生い茂っていた。こんな所にこんな庭があるのは不思議だ。此処だけ時間が止まってしまったようだと思った瞬間、大きな入道雲が太陽を覆い、蝉が一斉に鳴きだした。とても懐かしい感じがした。どうして懐かしいのだろう、と自分の心を探ってみると小学生のころの夏休みに行き着いた。私がまだ8歳くらいの頃だ。夏休みと言うのに子供達は早起きをすることが習慣だった。私は昆虫が好きだったので、朝6時に起きると虫篭をもって近所の子供たちと森に出掛けた。どうして朝6時かと言うと太陽の位置が高くなって気温が上がると、何故だか虫が見つからないからだった。実際そんな早い時間だと多い時は何匹もかぶと虫を捕まえることが出来た。ある日いつものように早起きして森へ行った。空に大きな雲があっていつもよりも涼しかったが蝉が鳴いていた。雨が降るように蝉の声が降っていた。それ以外の音は何も聞えなかった。こんな朝の時間に蝉が鳴いているのは初めてだったから、小さかった私達子供はちょっと怖い気分になって空っぽの虫篭を手に提げて今来た道を引き返した。何のことは無い。そんな朝から蝉が鳴いているということは、とても暑い一日になる印みたいなものであって、決して不気味でも怖いものでもないのであるが、それが分かったのはそれから10年も経ってからのことだった。そんなことを思い出しているうちに55番のバスが来た。髪をさっぱり切って気分もさっぱりした。その足で旧市街へ行った。昼休みに入った旧市街は静かだった。すれ違う人も数えるほどしか居ない。今朝の涼しさはもうどこにも無く、夏の空気が立ち込めていた。
春風
現実問題 頑張る事って単純な作業だとは思いますが 一番難しいのでは とも思います (あと数日で学校のテストが始まる娘、頑張る事から現実逃避しているんですよ~母、泣いております)