曲がり角
- 2010/06/23 23:36
- Category: bologna生活・習慣
一昨日よりも昨日、昨日よりも今日と少しづつ本来の6月に戻りつつあるボローニャ。とは言え、朝夕と長袖を着なければならないのだからもう少し時間が掛かるのかもしれない。でもそんなことを言っているうちに7月になってしまうよ。と6月に話しかけてみるが、どうなんだろう、ちゃんと人の話を聞いているのだろうか。
先日旧市街でバスを降りたところ、私の後から一組の親子が降りてきた。父親は40歳くらい、息子は2歳か3歳、そんなところだ。父親は息子をひょいと肩に乗せると私を追い越して歩き始めた。息子は無邪気な性格らしい。父親の肩の上に座って誰よりも背が高くなったのが嬉しいらしかった。すれ違う知らないアフリカ人男性の野球帽を掴みとってみたり、知らない女性の肩と叩いてみたり。いたずらをする子供を叱るどころか可愛いいたずらに周囲は楽しい笑い声を上げたが、父親はひたすら恐縮して謝っていた。そんな親子を目で追っているうちに私は予定外の所に来てしまった。此処は懐かしい場所だ。ボローニャに来たばかりの頃、私と相棒はこの近くに住む友人のアパートに居候していた。ボローニャに生まれて育った相棒だけど、この辺りはあまり通わなかったのか、私達は歩いているうちに道に迷ってしまった。今考えれば迷うような場所ではないのだ。とても単純な道なのだ。でも来て間もなかった私はボローニャの構造が全くと言っても過言で無いほど分からなかったし、相棒もまた長いことアメリカに暮していたから故郷でありながら外国に来たような感覚だったのかもしれなかった。それで私達は角の薬局に入って道を尋ねたのだ。小さな古い薬局で、アメリカの薬局とは似ても似つかなかった。どちらかと言えば私の故郷の小さな古い漢方薬局の雰囲気に近かった。私は子供の頃、弱い体質だったので漢方を煎じて飲む習慣があった。あれは苦くて美味しくなかったが、子供なりに弱い体質に困っていたので鼻を摘まんで苦い苦いと言いながら飲んだ。そんなことを思い出している横で相棒が薬局の人に道を尋ねた。真っ直ぐ真っ直ぐ歩いていけばいいですよ。そんなことを言われたそうで、私達は言われたとおり何処を曲がることなく歩いていったらサン・ペトロニオ教会の後ろの広場に辿り着いた。歩いているうちに相棒は少しづつ記憶が蘇ってきたらしく、訊かなくてもちゃんと分かっていたのだ、などと弁解した。私はこの曲がり角に来るといつも同じことを思い出す。相棒はどうだろうか。あの日のことを覚えているだろうか。この風景を見たら思い出すのだろうか。もう15年も前のことだけど。
先日旧市街でバスを降りたところ、私の後から一組の親子が降りてきた。父親は40歳くらい、息子は2歳か3歳、そんなところだ。父親は息子をひょいと肩に乗せると私を追い越して歩き始めた。息子は無邪気な性格らしい。父親の肩の上に座って誰よりも背が高くなったのが嬉しいらしかった。すれ違う知らないアフリカ人男性の野球帽を掴みとってみたり、知らない女性の肩と叩いてみたり。いたずらをする子供を叱るどころか可愛いいたずらに周囲は楽しい笑い声を上げたが、父親はひたすら恐縮して謝っていた。そんな親子を目で追っているうちに私は予定外の所に来てしまった。此処は懐かしい場所だ。ボローニャに来たばかりの頃、私と相棒はこの近くに住む友人のアパートに居候していた。ボローニャに生まれて育った相棒だけど、この辺りはあまり通わなかったのか、私達は歩いているうちに道に迷ってしまった。今考えれば迷うような場所ではないのだ。とても単純な道なのだ。でも来て間もなかった私はボローニャの構造が全くと言っても過言で無いほど分からなかったし、相棒もまた長いことアメリカに暮していたから故郷でありながら外国に来たような感覚だったのかもしれなかった。それで私達は角の薬局に入って道を尋ねたのだ。小さな古い薬局で、アメリカの薬局とは似ても似つかなかった。どちらかと言えば私の故郷の小さな古い漢方薬局の雰囲気に近かった。私は子供の頃、弱い体質だったので漢方を煎じて飲む習慣があった。あれは苦くて美味しくなかったが、子供なりに弱い体質に困っていたので鼻を摘まんで苦い苦いと言いながら飲んだ。そんなことを思い出している横で相棒が薬局の人に道を尋ねた。真っ直ぐ真っ直ぐ歩いていけばいいですよ。そんなことを言われたそうで、私達は言われたとおり何処を曲がることなく歩いていったらサン・ペトロニオ教会の後ろの広場に辿り着いた。歩いているうちに相棒は少しづつ記憶が蘇ってきたらしく、訊かなくてもちゃんと分かっていたのだ、などと弁解した。私はこの曲がり角に来るといつも同じことを思い出す。相棒はどうだろうか。あの日のことを覚えているだろうか。この風景を見たら思い出すのだろうか。もう15年も前のことだけど。