小休憩

28062023small.jpg


今日は驚くほど涼しい一日だった。昨晩の雨が原因らしい。ボローニャの私が暮らす界隈では其れほど沢山降った訳ではないけれど、多分うちから南に行った丘や山の辺りでたっぷりと降ったに違いなく、吹く風が涼しくて時々肩をつぼめる程。こんな涼しさが必要だった。暫く避けていた気に入りの紺のパンツ。割と細身なので夏場は暑いが今日のような涼しさならばと履いて出掛けた。白いフレンチスリーブのシャツを合わせて。そして足元は紺のモカシンシューズ。こういうシンプルさが好きだけど、ここ数日は此のシンプルな装いが暑くてできなかった。それよりももっと緩いコットンパンツを。それよりも麻のシャツを。足元は同じモカシンシューズにしても見た目に涼しい白いのを。数日中に袖無しシャツとサンダルが登場するところだったが、今日の涼しさでブレーキがかかった。6月の終わりの小休憩、みたいなものか。

昨日、隣の家の奥さんに偶然会った。夕方のことで、家の敷地内のことだった。敷地内のことだから珍しくもないことだと思うかもしれないが、ところが面白いくらい住人に会うことが少ないのだ。生活時間が違うと言ったらよいと思う。それに上の住人にしても横の住人にしても、時間があるとすぐに山の家に行ってしまうから。それで隣の奥さん。それなりに年齢を重ねているが、しかし笑顔は弾けるような瑞々しさで、顔を合わすたびに感心してしまう。その奥さんが車の後部席から大切そうに取り出したのは花束。大きな花束で綺麗なリボンが巻き付けられていた。まあ、綺麗、綺麗な花束ね、と褒めると有難うと、とても嬉しそうだった。そして彼女が家の中に入った途端、思いついた。あれは彼女が貰った花束ではなく、彼女の夫への贈り物であること。彼女の夫の誕生日の為の花束であること。
もう随分前、夫が50歳の誕生日を迎えた時、彼女は50本の赤い薔薇を花屋に注文した。上等な薔薇で長さのある、そしてすべての棘を丁寧に取り除いた、実に手の掛かった薔薇だった。それを居間に飾って、外から帰ってきた夫を驚かせた。この話はこの辺りでは結構有名。裕福な夫と結婚した若い外国人の彼女は宝くじに当たったようなもので実に運が良いと、周囲にそんなことを言われているが、彼女のこうした愛情表現を見ると夫の方こそ宝くじに当たったようなもので運がいいと私は思うのだ。
おお、今年も綺麗な花を準備したのだな。彼女の夫は喜ぶに違いない。昨晩は細く長く続く雨を眺めながら、そんなことを考えた。運の良い夫。運の良い妻。こんな仲良し夫婦が存在するのは嬉しいことだと思う。

それにしても眠い。今夜はよく眠れるに違いない。




人気ブログランキングへ 

Pagination

Comment

Post Your Comment

コメント:登録フォーム
公開設定

Utility

プロフィール

yspringmind

Author:yspringmind
ボローニャで考えたこと。

雑記帖の連絡先は
こちら。
[email protected] 

月別アーカイブ

QRコード

QR