ガラスコップ

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急に涼しくなった。涼しいと言うよりは冷えると言ったほうが良いだろうか。今までのように肘や足首を出していると、体が冷えて仕方がない。そう言う訳で、足首のでない丈のパンツをはくようになったのが昨日。長袖のコットンセーターに薄手のショートコートを着て家を出たのが今日。何しろ朝は15度だから。これで雨が降ったりすれば簡単に秋がやって来るに違いない。

旧市街のポルティコの下にある店。金物屋さんと言うのだろうか。兎に角いろんなものを売っている。例えば農家からワインを大樽で買って、自分の家で瓶に詰める時の道具。夏の果物を煮てジャムを作り、瓶詰めにする時の道具。ガラスコップやワイングラス、鍋やその他のキッチン道具。一見野暮ったくて冴えないが、この店を贔屓にしている人は案外多い。何しろ店の人が親切だから。何時だったか探し物をしていて店に飛び込んだら、うちには置いていないけど、そうだ、あの店ならきっとあるはずだよ、と言って他の店を紹介してくれた。うちには置いていないけれど、ねえ、お客さん、それよりもこんなのはどうかな、とは言わずに。その日からこの店が好きになった。そして店の外の飾り棚に置かれたガラスコップの群れ。クリスタルでもなければ上等なガラスでもない。毎日普通に使うのにぴったりの物ばかり。これらも私の大変な気に入りだ。店の前の行き交う人たちを眺めながら、ガラスコップたちがお喋りをしているように見える。あ、今の夫婦者見た? 仲が良くていいわねえ。などと話をしているのかもしれない。それから前を通る犬を見て、まあ、あの犬、飼い主に抱かれているけど、歩くのが嫌いなのかしら、などと言っているのかもしれない。 それとも、この小さな東洋人、もう薄手のコートなんて着て、随分寒がりなのねえ、と笑っているのかもしれない。

テラスの金木犀の花は夜のうちに半分ほど散り、残りの花も今までのように良い香りを放つこともない。もうすぐ9月も終わりだから。


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Comment

kimilon

あら ほんとだ。まるでおしゃべりしているような ガラスたち。こういう 金物屋さんに行くと何十年もお店にあったような商品がありませんか?私は そういうのを見るのも大好きなのです。
金木犀 もう花が咲きましたか。ここのところ 予定が合わなくて田舎に行けていません。この週末も 野生の鹿の声を聞きに山に行く予定。そんなこんなしているうちに ああ 金木犀の花の時期はおわってしまうかも。。。
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  • 2015/09/24 09:51
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  • 2015/09/24 11:01

Yutaka Hoshino

6月末に泊まったマジョーレ通りのAirbnbの宿の1階にも面白そうな金物屋さんがありました。日本ではほとんど見かけることがなくなったような、「なんでもありそうな」金物屋さんで、家人がドアノブやハンガー掛けなどに興味があったので2-3回立ち寄ってみました。言葉の問題もあり、気後れもあって(笑)購入には至りませんで、これもまた「次回に」ということになりましたが、お店のなかの雰囲気はyspringmindさんの記述のお店に似ているように感じました。とにかくお店の人が常にお客と丁々発止なんですね。前にも書かれていたように、イタリアのお店はお喋りが素敵に多い!そして日常に使う金属製品もデザイン的に、いかにもスタイリッシュですね。日本でもこれからは個人の住宅の内部でもこうしたデザイン的に優れた小物を使うことが多くなるのではないでしょうか。街歩きの楽しさにはこうしたお店に入って会話を楽しむという要素はぜひとも欲しいですね。というわけでイタリア語・・・
ポルトガル語は少しかじったのですが、さて

大庭綺有

こんにちは。
ごぶさたしています。

ウィンドウの向うとこちら、どちらも互いに眺めあっているのかもしれませんね。
面白いなぁ、確かにそうかもね、と思って拝見しました。

今月半ばにローマに行きましたが、
あちらのウィンドウは立ち止まってじっくりと眺めてしまいます。
それは買う予定がない者はむやみには言ったりしない者だ、と聞いているからかもしれません。
日本にいるときは「おや」と思えば、自動ドアの前に立ちますが、
彼の地に行くとガラス越しににらみ合いをしてから(笑)
やおら扉を開けることになるからかもしれません。

空港に着いてすぐに分かる、空気の匂い。
イタリアに来た、という(欧州に来た?)と毎度嬉しくなります。

日本でも金木犀があちこちから香る季節です。
空気がひんやりしてくるのも、まもなくかもしれませんね。

お身体お大切にお過ごしください。
  • URL
  • 2015/09/26 06:06

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  • 2015/09/26 06:08

yspringmind

kimilonさん、こんにちは。確かに、何十年もお店にあったような商品がありますよ。そういうものを平気で陳列しているのも私ごのみだったりします。私風に言えば、いい味出している店、なのであります。
うちの金木犀はもうすっかり散ってしまいました。急に涼しくなって、木が驚いたのではないでしょうか。それともそろそろそんな季節だったのかしらと昨年のことを思い出そうとしているのですが…どうだったかな。
kimilonさん、野生の鹿の声を聞きに山に行くんですか。それは素敵ですねえ。ところで鹿の声ってどんななのでしょう。丘に暮らしていた頃、鹿をよく見ましたが声は遂に聴いたことがありませんでした。
  • URL
  • 2015/09/26 20:20

yspringmind

鍵コメさん、こんにちは。そうですね、会ってお喋りが出来たらどんなにいいでしょうか。私は思うのですが、涙を流すことは時には良いことです。沢山の思いを涙と共に流してしまえたら、少しは気持ちが軽くなるはずです。応援しています。ご自身を大切にしてください。
  • URL
  • 2015/09/26 20:24

yspringmind

Hoshinoさん、こんにちは。6月末に泊まったマジョーレ通りの宿の1階に金物屋さん・・・それ、私知ってます。それはまさに、私が最近包丁都議を購入した店ですよ。あの店は、ボローニャではとても有名なのです。店の外から見ても、おお、この店は何か面白そうだな、と誰もが思うのですが、中に入ると面白いを通り越して、なかなか外に出てこれませんね。イタリア語が話せたら、あの店は本当にも白いのです。次回のお楽しみとなったそうですから、是非片言でもイタリア語が話せるようになってきてくださいね。イタリアは、片言でもイタリア語を話す人をとても歓迎してくれます。やあ、君はイタリア語を話せるの?と。ほんの少しでもいいんです。この店の人達は大変面白くておしゃべり好きですから、片言を話す外国人のお客さん、しかも東洋のお客さんですからね、手厚くもてなしてくれるはずです。それにしてもこの店で売られている引き出しの取っ手。面白くて時間が経つのを忘れてしまいますね。
  • URL
  • 2015/09/26 20:31

yspringmind

大庭綺有さん、こんにちは。お元気そうで何よりです。
私達は確かにウィンドウを見ているのですが、向こうだって私達を見ているのではないかと時々思うのですよ。向こうにしてみたら、面白い人間模様なのかもしれませんよ。それが映画やドキュメンタリー番組のような。
ローマに行かれたんですね。9月のローマはいいですね。まだ光が一杯で。私がウィンドウを眺めることが多いのは、中になかなか入らないから、と言っても良いかもしれません。本当に手に取ってみたいとき、本当に購入したいと思っている時以外は、中に入ることが無いと言えばわかって頂けるでしょうか。
だから、私は店の人に喜ばれるんです。決めるのがものすごく早いって。商品を目の前にして悩む時間がものすごく短いんですって。
日本からローマに辿り着く瞬間。想像してみました。何だか映画見たいですね。今度はボローニャにもどうぞお立ち寄りくださいね。
  • URL
  • 2015/09/26 20:38

kimilon

鹿の声 聴きに行ってきました。この時期 繁殖期なので、立派な角を持った雄ジカが 雌ジカを呼ぶ声なのですよ。何と行ったらいいのか。 野生の豚の雄たけびのような 象のラッパのような。保護区の中に観察台が作られていて 日が沈むころか 朝の日が登るころ エスキモーのように着込んでそうっと行くのです。風格にあふれた素晴らしい姿もみれました。何と美しい生き物なのかと息が止まりそうになりましたよ。
朝日の中の山歩きもまた良いものです・
  • URL
  • 2015/09/28 09:41
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yspringmind

kimilonさん、鹿の声を聴きに行ってきましたか。今が繁殖期だとは知りませんでした。保護区の中に観察台が作られているなんて、とても良いですね。ボローニャ辺りにはないですよ、そう言ったものは。
保護区と言いながら猟に出る人も居ます。とても残念なんですよ。日が沈むころか 朝の日が登るころか。どちらも寒そうなので寒がりの私には無理そうですが、しかも早起きに大変弱い私が言うのもなんですが、朝日が昇る頃に観察してみたいなあ、なんて思いました。大きな角を持った牡鹿を見たことは数回しかありません。大抵は若い鹿か、雌の鹿です、人間の前に姿を現すのは。風格溢れた牡鹿は、のこのこ人前になどでてこない、大変用心深い性格なのかもしれませんね。一度でいいから鹿の声を聴いてみたいです。
  • URL
  • 2015/09/28 22:54

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