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究極の選択

2019.10.07(00:45) 2704

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気温はいつまでも高くても、空は間違いなく秋だと感じます。

(日が変わって今日は雨のあと晴れても涼しくなりましたね)



今までの人生で、究極の選択をしたことがある方はいらっしゃるでしょうか。

私は二度あります。

一度目は自分の人生をかけた選択。

そして二度目は人の命や生き方を預けられた選択。

前日まで普通に電話で話をしていた独り暮らしのバアバ(母)。

私のお誕生日に話をしたのが最後の会話に。

翌日、夜まで連絡が取れずかけつけたとき

母は倒れていました。

脳出血でした。

出血がかなり多く、脳に損傷も始まっていて

高齢でもあるので手術はしないとお医者様に言われました。

もう、意識が戻ることはないと思いますと。

積極的な延命治療をしてもいわゆる植物人間として生きていくことになるでしょうと。

奇跡的に身体を少しだけ動かせるようになったとしても意思の疎通はできるようにはならないと思いますと。

心臓マッサージをすれば肋骨が折れたりする話や本人にとってはかえって辛い状態になるお話等され、

その場で私と姉は積極的な延命はしないことにしました。

普通ならその日のうちにも、2~3日中にも「その時」が訪れてもおかしくないという状況で見守り続けました。

バアバは自発呼吸が出来ているため酸素を送る管を口から入れ(意識がないため舌が落ち込んで喉を塞がないように気道確保)、鼻からは胃の内容物を外に出したり胃の薬を入れるための細い管が、そして維持液の点滴をして

血圧、脈拍、呼吸数、呼吸のリズム、血中酸素量を見るモニターがついている状態のまま変わることなく過ごしてきました。

本人は何もわかっていないと思うと言われても、話しかけると目に涙が出てくるのは単なる自然の現象ではないように思ってしまう。

モニターのグラフや数値に一喜一憂してしまう。

ICUから個室に移ると看護師さんが、きっと聞こえていると思うからといつもテレビをつけてくださいました。

先生も思っていなかったと思うのですが、落ち着いたまま、自発呼吸ができたまま3週間以上経過。

バアバが倒れた翌週に控えていた娘の海外研修はそのまま行ってもらうことにして、もしものことがあっても娘にはその途中では言わないことにしようとパパと決めました。

私のお誕生日の電話で「次(のお誕生日)は○○ちゃん、24日よね?」と言っていたのが最後の会話だったはずなので

「バアバ、○○ちゃんが無事に行って帰って来るように祈っていてね。帰ってきた翌日が○○ちゃんのお誕生日だからおめでとうって言ってくれるんでしょう?」

って話しかけていました。

そして電話でお墓参りのお話をしていたお彼岸も過ぎ、

お彼岸のお墓参りはパパとお兄ちゃんが別々でしたけれど行ってくれました。

いつどうなるかわからないと言われ続けていましたが安定した状態が続いて

そうなると今度は口から入っている酸素の管をそのまま口から入れていると痰がつまりやすくなり、また痰をとりにくくもなるので気管切開をするかどうかの選択をすることに。

その選択の他に口からの管を抜いてしまうという選択肢もあります、と。

それは何を意味するか。

先生からいろいろなお話を聞き、保留にしたまま姉と悩み続けました。

姉は人工呼吸機や心臓マッサージや胃瘻はしなくても、自発呼吸が出来ているうちはできるだけそれを助けていつか自然に亡くなるような形にできたらとはじめ言っていました。

先生は多分どちらでもいいけれど切開自体は割りと簡単に終わる手術とは言え多少出血もあるし、本人に痛い思いをさせることにもなるし、したとしてももしかしたらすぐに亡くなってしまうかもしれない、また、転院するにしても気管切開をしていると受け入れられにくくもなる、そして意識はまず戻らないまま、「自然に亡くなる」「自然」はどういうことかわからないけれど酸素を送る管を入れていること自体が既に自然ではない、等どちらかというと口には出しませんが、このまま管を抜いてしまってもいいのではないかという方に気持ちが向いているような感じではありました。

バアバの場合、気管切開をしてどのくらい生きられるのかまで聞きました。

本当にいつどうなるかわからないけれど、ものすごくいい状態で一番長くて1年でしょうと。

思いの外、バアバが私たちに時間をくれたのでインターネットでいろいろな記事を読み、点滴の弊害のことを知ったり

少しでもそのままの状態でも生きていて欲しいと考えるのは本人のためではなく残される方のためなのではないかと思ったり。

管を抜いてすぐに舌が下がって窒息で苦しむのは嫌だと思ったり。薬を使って本人は苦しまないようにできるし、すぐにそうなるとは限らない、いつどうなるかわからないのは何を選択してもどれも同じとのこと。

本人の生きる力に任せて酸素の管を外し、自発呼吸だけにしてもらうことも覚悟しました。

でもモニターを見たり本人を見て一生懸命息をしているのを見ると生きようとしているように思えてできるだけ助けてあげたくなってしまう。

最後には姉と、もうわからなくなったからふざけていると思われるかもしれないけれどアミダくじで決めようか、というところまで答えのなさに追い詰められました。

先生も看護師さんも皆さんいい方ばかりで

どの道を選んでも後悔するかもしれないし、正解はないけれど、どれも間違いではないです、と。

多分最後の電話の時かその前の時、バアバとどんな死に方がいいかなんて話していたのです。

前の晩まで元気にしていて気持ちよく眠ったまま朝起きてこなかったなんていうのがいいかなと私が言ってみたらバアバは「そうなのよね。でも逝く人はいいけど残された方はビックリしちゃうのよね。」と。

その前にも「長生きすると言われてもどういう状態での長生きかも問題ね。元気に動けていて長生きならいいけれど病気でずっと寝たきりになっていたりしての長生きではねぇ」と二人で話したこともありました。

転院先としていいと思うところのひとつは口から管をいれた状態のまま転院し、そこでいずれ気管切開をするかどうかを決めるというのではやはり受け入れられず(急性期治療の段階を過ぎていて落ち着いていてその先の状態だから)、もうひとつが気管切開をしていれば部屋が空いていれば受け入れられるとのことで方向は決まりました。

姉ともし最初の病院で受け入れてもらえなかったら気管切開をしてもうひとつの病院へお願いすることにしようと前日にやっと決心をしていたので。

朝先生から電話で受け入れの結果を聞いたその日の午前中には気管切開手術となりビックリするほどの早い展開となりました。

これからそちらの病院と面談をしてから転院できるかどうかになります。

先生もこんなにバアバが頑張るとは思っていなかったと思います。

脳の出血の方は乗り越えたようです。

バアバはどう思っているのかなぁ。

こんな状態ならそのまま逝かせて欲しいと思っていたでしょうか。

切開をして痰も取りやすくなり口周りがスッキリとして楽になったように見えます。

実はこんなことがおこる予感がなんとなく無意識のうちあったのです。

8月に海外旅行に行くことになったときも家族が同じときにお休みがとれるなんてもうこれが最後のチャンスかもしれないって思うと同時にこのあとはそれどころではないことが起きそうな予感がありました。

そしてスマホの留守録はいつも聞いたら消すようにしていたのにたまたまお兄ちゃんのお誕生日とその二日後の私のお誕生日の時にすぐに電話に出られなくて留守録にバアバがおめでとうの言葉を残してくれていたのをなぜか「これはとっておいた方がいいのではないか、なんとなく最後のような気がする」としばらく迷って、なぜかそれを打ち消すように消去してしまったことを本当に後悔しています。最後に録音された肉声だったのに。

そして旅行から帰ってきてお土産を渡すのと写真を見せたりするのにバアバに我が家に来てもらってバアバのお誕生日のお祝いもしました。

その時もなぜか最後のお誕生日になるような変な気持ちがあったのです。

「まあ、最高のお誕生日になったわ」と言ってくれたことばが笑顔とともに耳に残っています。

その時の写真は本当に若々しく輝く笑顔でした。

そして偶然かもしれませんが気管切開をすることになった日の朝、今日はバアバのお父さん(私の祖父)の命日でいつもならお庭の金木犀がたくさん咲いているのに今年はまだだとバアバに伝えてと叔母からメールがあり、

早速バアバに話した途端にモニターのアラームが鳴り出し脈拍が急にすごく早くなったので看護師さんが二人飛んできました。

でも調べてもどこも以上はなく脈拍も戻っていました。

私はバアバが返事をしたのだと思いました。

そう、きっと聞こえている。

親孝行したいときに親は無しと言いますが、

これからやっとバアバの番かな、私もこれからは前よりもバアバに付き合うことができるかな、と思っていたのに。

元気な時にかけてあげたかった言葉、してあげればよかったこと、やっぱりあとになって悔やむことになるのですね。

倒れたときの状況がわからなくて、どんなに心細く私たちに助けを求めていたかと思うと本当にかわいそうです。

でも本当に頑張って息をしてくれていた。

みんなに会わせてくれた。

そして今も話しかける時間をくれている。

バアバありがとう。

最期の時までできるだけ安らかに過ごせるようにしてあげたいです。




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コメント
うーーーーーん、延命治療するか否か・・・
まさに究極の選択ですネ・・・!?
我が家は、私が遠く離れていたこともあって・・・
両親の近くにいる姉とは,延命治療,に関しての合意は早くからありました。
私ももう少し早くから傍にいてあげれば・・・
なんて思いも今にしてあります。
お母さま、しっかり見守ってあげてくださいネ!?
【2019/10/07 08:52】 | ヒカリゲンジ #- | [edit]
おはようございます。

究極の選択 ありますよ。
①父の透析をするかどうか
 透析後のデメリットと透析した場合のひきのばされる余命は4年(ただし高熱が出ると腎臓病は急速に悪化するから保証できない)
 透析する為のシャント手術(部分麻酔)に86歳の父が耐えられるか

私は シャント手術のビデオ見てやめようと思いました。
骨に近い動脈と皮膚下の静脈を一本にする手術で、1回で成功するとは限らないと言われました。
主治医も 働き盛りならともかく、透析しなければよかったと後悔する高齢者が多いと言われました。

②母の脳出血による手術
 母のもろくなった血管が切れ、脳の広範囲に出血
 弟に電話して手術承諾

出血が広範囲で 激しい頭痛が起こってるはず。。。と医師が手術提案
延命というよりも痛みを除くために 耳の後ろから頭に穴をあけて血を吸いだしました。

母は言語能力を失いましたが アイコンタクトはとれます。
ムスメが大学卒業するまでは生きててね、と言うとうっすら目をあけます。
また音楽は聞こえてるようで ヨーヨーマをかけると表情が変わります。
逆に演歌をかけると眉間にしわよせたり ^^

現在、何もしてくれないど心のよりどころみたいな存在です。
私とムスメ、それから弟にとっては涅槃像。^^

【2019/10/07 09:46】 | 実り #z4SwtnxY | [edit]
ヒカリゲンジさん、
ありがとうございます。親のことでは誰にでも何らかの後悔があるものですね。
私たちも積極的な延命はしないと決めたもののモニターを見ては心配になりその状況を治して欲しいと思ってしまいます。人工呼吸機ではなくても点滴や酸素吸入も延命のひとつなのだとは考えていなかったように思います。
【2019/10/08 10:16】 | ochasukineko #aIcUnOeo | [edit]
実りさん、
人の命がかかっている究極の選択というものは本当に難しく辛いですね。
母は身体のどこも動かすことができませんが、きっと聞いていると思います。
「涅槃像」の言葉になるほどと思いました。
ありがとうございます。
【2019/10/08 10:21】 | ochasukineko #aIcUnOeo | [edit]
逝く人の気持ちがわからず、残された者の気持ちが、揺れる・・・
私はやはり生前にきちんと意思表示をしておきたいですね・・・
少しでも残された人の精神的負担が軽くなるように、精神的だけではなく経済的にも
負担はかけたくないです、逝くもののとして、残された者の気持ちを考えると・・・
逝く者の気持ちがわからないと残された者は自分の良心の呵責と葛藤を繰り返し、傷ついていく・・・
そんな姿は逝く者は望んでいないと思います、残された者の幸せを願っているはずです・・・
皆が通る道、人の数だけ答えがあるような気がします・・・
【2019/10/09 19:07】 | Ferrari #- | [edit]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
【2019/10/10 15:48】 | # | [edit]
Ferrariさん、
全く同感です。私もすぐにパパとお兄ちゃん、そして姉に、もしも私がバアバと同じような状態になったときは、という話をしました。
そうすればこれが私の意思だったのだからと悩まないでしょう?って。
子どもがいない姉の意思も聞きました。正解がないのが難しいですね。
【2019/10/10 17:55】 | ochasukineko #- | [edit]
内緒さん、
ありがとうございます。
私たちにこれ以上慌てさせないように心の準備をするように猶予をくれたのでしょう。
少しだけ親孝行をする時間をくれていると思います。

【2019/10/10 18:00】 | ochasukineko #- | [edit]
お茶好き猫さん。
FC2に移転したんですね。
私は、アメブロに移転しました。
https://ameblo.jp/kin322000/
です。

どうぞよろしくお願いしますね。
【2019/10/22 15:45】 | きんちゃん #- | [edit]
きんちゃん、
ありがとうございます。アメブロもライブドアも色々考えていたのですが、なにかと忙しくて結局FC2のままで行くことになると思います。慣れてきましたし。
ヤフーブログ終わりの日も近づいてきているのに何も進まず気持ちだけ焦っています。移行ツールで間近になったらどこか別のところにも保存等をと思っているのですが。
こちらこそよろしくお願いします(^^)
【2019/10/23 09:09】 | ochasukineko #- | [edit]
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