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   集英社文庫  495円+税
   1997年8月25日 第1刷発行

 オヤジとなったら、選ぶ道はひとつしかない。「オヤジくさい」オヤジではなく「陽のあたる」オヤジになるしかない。堅い決意を胸に抱いた著者が、自分の青春時代をふりかえりながら、酒、仕事、恋愛、釣り……について、どのように積極的に立ち向かうか、を語るエッセイ。(カバー裏表紙から)

 ハードボイルド作家の、小説作品ではなくエッセイです。
 彼がまだ30代の、1993年初出のものですから、六本木のディスコなどで大いに遊んでいます。彼が「新宿鮫」で日本推理作家協会賞と吉川英治文学新人賞を受賞したのが1991年、「新宿鮫 無間人形」で直木三十五賞を受賞したのは94年です。

 彼が大きな挫折を味わったのは、遊びすぎが祟って慶応大学を中退せざるを得なくなり、大学の肩書を失ったことで自分が何者かを問いただす必要に迫られたことだと述べています。世間一般の感覚だけで言えば、その頃までは彼はただのボンボンだったということでしょう。

 当時北方謙三が、雑誌「ホットドッグプレス」に「試みの地平線」というショートエッセイと人生相談のページを持っていて、「週刊プレイボーイ」に連載していたこちらの大沢の「陽のあたるオヤジ」はその後発という位置づけだったと記していて、両誌のエール交換のような形で二人の対談が行われたりしていたようです。

 というわけで、これが2024年の90冊目の読了本。大沢在昌の人となりを多少なりとも知ることができ、これからもしばらくは彼の作品群を渉猟することになりそうです。

(2024.11.9 読)

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