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 どこかの温泉にでも行き、大きな風呂に浸かってゆっくり寛ぎたい。行ったことのない草津温泉なんて、よさそうだ。でも、そこではちょっと遠くないか。草津に車で行くとなれば、1泊ではきついよなぁ。だったら2泊だよねぇ。いや、途中にいろいろ見るとすれば2泊だって短い。温泉旅館は高くつくしなぁ。じゃああれか、草津温泉1泊の、高崎または前橋のビジネスホテルでもう1泊か? どうしたらいいのかなぁ……。

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(「伊東園ホテルズ」のホームページから)

 そんな思いをつれあいに打ち明けると、むろん温泉旅行には賛意が得られ、あわせて、温泉旅館であれば「伊東園ホテルズ」か「大江戸温泉物語」を利用すれば2食付きでも一人1泊1万円以下で泊まれるので、ビジホに泊まるよりずっとお得だとのこと。おぉ、そうなのか。
 で、そのグループの宿で探ってもらうと、10月中旬、伊東園ホテルズならさらに2割引で泊まれる「秋旅支援割キャンペーン」をしているという。加えて、夕食時はアルコールが飲み放題だというではないか。ナヌ!1万円以下の2割引で飲み放題?! よしよし、空きがあるならすぐに予約してしまおう。(笑)

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(伊香保温泉)

 草津温泉は2泊では遠かろうという意識は拭い去れず、では伊香保温泉も行ったことがないのでそちらをメインにし、それよりも近間の温泉地で伊東園ホテルズの施設があればそこでもう1泊しようと、鬼怒川温泉の少し奥の川治温泉で泊まることにしました。草津温泉には別の機会を設けて行けばいいや。

 日程は、2023年10月12日(木)から14日(土)までの2泊3日。宿泊は、12日が伊香保温泉の「伊香保グランドホテル」(一人1泊6,732円)、13日が川治温泉の「一柳閣本館」(一人1泊7,612円)です。

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(伊香保グランドホテル)

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(同 本館大浴場)

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(一柳閣本館)

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(同 大浴場(展望風呂))

 ルートとしては、事前に調べた見どころポイントを考慮して、ざっくりと次のようなものを考えました。往路は、日頃は運転がつまらないので敬遠している高速をやむを得ず使うことにし、山形上山ICから東北中央自動車道に入り、東北道の岩舟JCTから北関東自動車道、高崎JCTから関越自動車道を経由して、伊香保温泉へと向かう考えです。

・初日 山形 ~ 太田桐生IC ~ 太田 ~ 桐生 ~ 伊勢崎 ~ 前橋 ~ 渋川 ~ 伊香保温泉(泊)
・2日目 伊香保温泉 ~ 榛名湖 ~ 高崎 ~ 高崎IC ~ 足利IC ~ 足利 ~ 邑楽 ~ 館林 ~ 佐野 ~ 栃木 ~ 日光 ~ 鬼怒川 ~ 川治温泉(泊)
・3日目 川治温泉 ~ R121 ~ 山形

 寄りたいところが多く、到底全部をまわり切れないことは行く前から明らかです。ある程度の見どころについても草津温泉再チャレンジのときなどにまわることになりそうです。

 2023年10月12日(木)。
 8時30分に家をスタート。山形上山ICから高速に乗り、途中東北道の安達太良SAで休憩し、岩舟JCTから北関東自動車道に入ります。予定どおり太田桐生ICで高速を降りたものの、想定していたよりもここまでの移動に時間を要したため、太田市は早々とスルーすることにしました。文明年間(1469~87)に岩松家純が築城したとされる「史跡金山城跡」は、またの機会にということで。

 12時40分、まずはランチのため「フライングガーデン新桐生店」へ。
 「フライングガーデン」は、秘密のケンミンSHOWでも紹介された、爆弾ハンバーグで有名な北関東のチェーン店。今回の旅でぜひ寄ってみたかった店です。茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉の各県に50数店舗を展開しているとのことです。
 平日ランチタイムの、こだわりの爆弾キングランチ1,331円。おかわり自由のライス・スープが付き、ソースは和風ソースとにんにく醤油ソースから選べる仕組みです。
 網で表面をカリッと焼き上げた後、客の前で接客係が俵状のハンバーグを2つに切り分け、ソースをかけて供されます。当方はにんにくソースにて。今後の食事のことを考慮して、おかわりせずに軽く抑えます。
 おいしかった。なお、新桐生店はチェーンの第1号店でもあるとのことです。

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(フライングガーデン新桐生店)

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(爆弾キングランチ)

 桐生では、桐生駅前周辺と、「桐生市桐生新町重要伝統的建造物群保存地区」を見ます。
 桐生市の顔であろう「桐生駅」には、JR両毛線とわたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線が乗り入れています。
 わたらせ渓谷線はかつて足尾線と称し、両毛線とともに国鉄の路線でしたが、国鉄分割民営化の2年後の1989年に三セク鉄道に転換されました。JR東日本によると、桐生駅の2022年度の1日平均乗車人員は3,329人とのことです。
 北口のほうが桐生駅開業当初からの出入口で、上毛電気鉄道上毛線の西桐生駅が桐生駅の北300mほどのところにあります。南口は1967年開設で、桐生市役所が1965年に南側へと移転して以来、こちら側に官庁街が形成されているようです。

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(桐生駅南口の噴水とカリヨン)

 桐生駅の南口側にあった「絹撚記念館」。
 「旧模範工場桐生撚糸合資会社事務所棟」の案内板が出ています。かつてこのあたりには日本最大の撚糸工場があり、この建物はその大工場の事務所だった建物であるとのこと。現存する県内最古の石造洋風建築で、現在は桐生市の郷土資料が展示されているようです。

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(絹撚記念館)

 「桐生新町重要伝統的建造物群保存地区」に移り、「有鄰館(ゆうりんかん)」の駐車場に停めて街歩きを始めます。
「有鄰館」は、桐生の商業に寄与してきた矢野本店の倉庫群で、市指定重要文化財。古いものは1843年に建てられ、合計11棟の蔵があるとのこと。現在は、蔵の独特な空間を利用し、コンサートや舞台、ギャラリーなど様々な形で活用されています。

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(「有鄰館」の倉庫群の一部)

 「桐生新町重要伝統的建造物群保存地区」は、「有鄰館」から南へ700mほど続く「本町通り」がメインでしょうか。桐生の歴史は古く、通りの北の突き当りにある「桐生天満宮」を起点として約400年前にできた町。本町一・二丁目には、現在でも織物関係の蔵や町屋、ノコギリ屋根工場など歴史的な建造物が多くみられます。
 ただ、その本町通りはただいま都市計画街路事業の真っ最中。「旧書上商店花のにしはら」「無鄰館」「旧曽我織物工場」などを見て歩きますが、あちこちで道路工事が行われているため、あまり風情が感じられないのが残念です。

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(旧書上商店花のにしはら)

 意外によかったのが、桐生天満宮からさらに北のほうに足を伸ばして見に行った、「群馬大学工学部同窓記念会館」でした。
 群馬大学理工学部の前身の桐生高等染織学校の校舎として、当時では珍しいゴシック様式で1916年に建築されたもの。最近では2017年に大規模耐震改修がなされて現在に至っているとのことです。

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(群馬大学理工学部正門)

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(群馬大学工学部同窓記念会館)

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(同 内部)


 桐生ではもう1か所、「桐生明治館(旧群馬県衛生所)」に立ち寄ります。
 当時の衛生行政と医学教育の中心として前橋市に建設された、国指定重要文化財。1928年に相生村が県から払下げを受けて村役場として移築。様々な生活器具が展示され、喫茶室では蓄音機からの音色を聞きながら飲み物等を楽しめるそうですが、外見のみにとどめます。

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(桐生明治館)

 もう15時を回ってしまっているので、先を急ぐことにします。
 伊勢崎市にも立寄って、1912年に建てられた洋館「いせさき明治館」や、同時代につくられ、鉄筋コンクリート構造の建造物として県内最古だという「時報鐘楼」を見るつもりでしたがそれは諦めて、前橋市へと向かいます。

 渋滞が始まりつつあるR50を走り、16時半近くに「群馬県庁」に着いて、観覧無料の「群馬県庁32F展望ホール」からの景色を眺めます。ここには一度来た記憶がうっすらとあります。
 いい眺め。県庁舎の西側を、北から南へと利根川が流れています。北北東の遠方には赤城山も見えます。だいぶ陽が傾きました。

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(利根川が北から南へと流れています)

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(北北東には赤城山)

 群馬県庁近くのスポットをもう一つ、「臨江閣」。
 利根川を臨むロケーションにあることから、その名がつけられています。1884年に迎賓館として建てられた木造建築物で、後方の別館は1910年に共進会の貴賓館として建てられたもの。庭園も立派ということだし入館無料なのですが、もう最終入館時刻を過ぎているので、ここも外観のみです。

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(臨江閣)

 17時だし、もう宿入りしないと。
 ということで、つるべ井戸、石造物、土蔵づくりの家並みなどが残るという渋川市の「白井宿」も割愛し、伊香保温泉に向かうことにします。
 途中、車中から見るだけでもと思って経由した「水沢うどん街道」と「水澤観音」は、もう真っ暗になっていて、ただ走っただけとなってしまいました。

 18時過ぎ、この日の泊地となる「伊香保グランドホテル」に到着。
 この日の走行距離は、369kmでした。

 遅く着いたため、夕食は最も遅い19時半からの時間帯を指定されます。でもまあ、部屋で落ち着いてしばらくしてから、フライングをして会場へと出かけます。制限時間90分のバイキングなわけだし、混雑していなければもういいでしょという感じ。

 最近のドライブ旅行ですっかり食べ馴れてきた夕食バイキング。宿側でもいろいろ工夫して料理を出しているのでしょうが、パターンとしてはどうしても似てくるもので、概ね見慣れたものが並びます。とはいえ、せっかく何でも好きなだけ食べていいと言ってくれているわけですから、ここは遠慮はせずということで、アルコールも含めて腹が膨れるまでいただきます。
 1度目のテイクでは、仕切りの付いたプレート皿で種類を愉しみ、2度目は気に入ったものだけを何枚かの取り皿を使って。ああ、よく食べた。
 今回も充実の夕食となり、あとは風呂に入って寝るだけです。たくさん運転して疲れたし、明日に備えて早々に寝ることにします。

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(夕食バイキング1)

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(夕食バイキング2)


 2023年10月13日(金)。
 6時30分起床。快晴で、中層部の4階とは言っても高台にあるホテルの部屋からの眺めはスバラシイ。
 朝食は8時30分からの指定ですが、もう朝風呂にも入ってしまったし、そんなに遅くまで待っていられず、指定を無視して早めに食べに行きます。
 今朝もバイキングで、過剰にならない程度を心がけつつも、たっぷり食べます。サラダとフルーツを多めにして、炭水化物は省略。

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(おお、快晴や、快晴や)

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(部屋から東北東方向を眺める)

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(朝食バイキング)

 さてこの日は、まだ見ていない石段街を中心とした伊香保温泉の温泉街を歩き、その後は榛名湖周辺を巡ります。それからは、高崎~足利~邑楽(おうら)~館林と利根川の左岸地帯を順次見て、さらに針路を北方面にとり、栃木県の佐野~栃木市~日光~鬼怒川と進んで、この日の泊地となる川治温泉に向かうという日程です。
 この段階ですでに、全部をまわるのはゼッタイ無理だろうという内容。北関東の地理をよく知らないため、距離感があまりにもテキトーなことを知ります。

 支度を済ませて、ホテルの売店でお土産をまとめ買いに走ります。買ったのは、水沢うどん、おっきりこみ、ひもかわと、群馬名物の麺類ばかりを4千円余り。旅の途中で食べたいものが多いため、これら麺類はあとでゆっくり自宅に戻って愉しもうという考えです。

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(売店でうどん類を大量買い)

 8時半過ぎにホテルを発ち、9時に伊香保石段街へ。フロントから、系列ホテルの「金太夫」の駐車場に停めて歩けば無料だし、石段街に近くて便利ですよとの情報を得ていたので、そのようにすることにします。

 ここで「伊香保温泉」についてまとめておくと、榛名山の東側、標高650~800mの山あいの斜面地にある上州の名湯として知られる温泉。温泉街のメインストリートには400年の歴史を持つ長さ300m、365段の石段があり、その両側にひな段式に新旧とりまぜた旅館やみやげ物店が並んでいる、湯のまち風情がたっぷりのところです。

 旅館「金太夫」は石段の最上段に近いところにあったので、高いところから石段の風情を眺め、次に石段のどんづまりまで上り詰め、それから下まで一気に下りていくことにします。

 「伊香保温泉の石段街」。
 この風景は伊香保以外にはないと言っていいでしょう。そう幅の広くない石段の両脇に建物が並んでいて、この距離感が温泉街らしい情緒を見せてくれます。旅館、土産屋、温泉まんじゅう屋、射的場などが目につきます。晴れていることもあり、高みから眺める景色もバツグンです。うんうん、伊香保温泉に来たならぜひともこの景色を見なきゃ。

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(伊香保温泉の石段街1)

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(同 2)

 石段を登りつめた場所に鎮座していた「伊香保神社」。伊香保温泉の源泉近くにある、温泉を守護する神様を祀る神社です。
 「伊香保」の地名は古く、「厳つ峰」(いかつほ)や「雷の峰」(いかつちのほ)に由来し、榛名山系の水沢山を指す古名と言われていて、万葉集の東歌にも詠まれているのだそうです。

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(伊香保神社)

 神社を見て石段を下りようとすると、せっかくここまで来たのだからさらに奥まったところにある温泉の源泉を見に行かないかとつれあいが言います。ホテルのフロントマンから、源泉に向かう途中に橋の架かるいい風景の場所があると聞いてきたとのこと。そうか、では行ってみよう。

 川に沿った人気のあまりない山道を数百m上っていくと、ありました「河鹿橋」。朱塗りの太鼓橋で、それに木洩れ陽が当たってたしかになかなか美しい。木々が赤く染まる紅葉の頃ならさぞかし美しく、それを見にどどっと多くの観光客がやってくるのでしょう。この時期なら静かで落ち着きます。

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(河鹿橋)

 山道は河鹿橋の奥に続いていて、どうやらその先に「伊香保露天風呂」があるようです。そこが源泉なのかもしれません。行ってみることにします。
 道すがらには「伊香保温泉飲泉所」があります。源泉「黄金(こがね)の湯」の飲泉を体験できる唯一の施設であるとのこと。源泉を口に含んだつれあいは「まずい」と一言。そうか。だったら試飲するのはやめよう。(笑)

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(伊香保温泉飲泉所)


 たどり着いた「伊香保露天風呂」。やはり伊香保の源泉地に位置していました。
 源泉「黄金の湯」を掛け流しで使っている野趣あふれる温泉で、こういうところで湯に浸かれば日頃の疲れが一気に消えていきそうな気がします。10月から3月までは10時からのオープンのためまだ開いていませんでしたが、中の風呂の様子は画像のとおり。「渋川伊香保温泉観光協会」のページから拝借しています。

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(伊香保露天風呂)

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(露店風呂の様子)

 露天風呂の入口付近には、「源泉噴出口」とともに、「ラドン発見の碑」や「ベルツ博士の胸像」があります。
 噴出口は、湧出量毎分4,627lという源泉(硫酸塩泉)が勢いよく噴出する様子をドーム型のガラス越しに眺めることができるようになっています。
 説明版等から察するに、伊香保温泉は日本で初めてラドンが発見されたところで、それは「日本の温泉医学の父」といわれるベルツ博士が医学的温泉療法の指導を行ったことによるものだ、ということのようです。ラドンって何なのかはよくわからないけれども。

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(「源泉噴出口」(手前)と「ラドン発見の碑」(奥))

 石段街に戻って、改めてこの風景をカメラに収めます。途中に、ここが日本の温泉都市計画第1号であることを示す碑があります。石段には、「榛名山の一角に、段また段を成して、羅馬時代の野外劇場の如く……」と続く、与謝野晶子の「伊香保の街」の一節が刻されています。
 石段を見下ろせば、ずいぶん先まで続いていることがわかります。巡らされているぼんぼりが灯る時間になれば、それもまたほっこりとした風情を醸し出すことでしょう。

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(「我国温泉都市計画第1号の地」碑と、「伊香保の街」の一節が刻まれた石段)

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(長く続く石段街)

 石段街の下のほうにはいくつかのポイントがあります。
 「伊香保石段の湯」。蔵造りの建物で、1階は男女浴場、2階は休憩室(広間)になっているとのこと。

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(伊香保石段の湯)

 「伊香保関所(伊香保口留番所)」。1631年に設けられた伊香保村口留番所(くちどめばんしょ)の跡地で、当時は周囲に木柵を巡らせた大きな茅葺屋根の建物があり、東西に門扉が設けられていたそうです。
 建物は復元されたものですが、門柱の礎石は当時のもののようです。それにしても、道を塞ぐように設置されている顔出し看板はやり過ぎでしょう。

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(伊香保口留番所)

 「ハワイ王国公使別邸」。ハワイが独立国だった時の駐日代理公使ロバート・ウォーカー・アルウィン氏が使用していた別荘が保存されています。本箱、ランプ、食器等の関係資料が併設のガイダンス室に展示されています。

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(ハワイ王国公使別邸)

 伊香保温泉の石段街の一番下まで下り切って、バスの乗降場になっている広場から石段街を見上げます。「IKAHO」のサインを入れて撮影。これにて温泉街を離れますが、石段、湯、食事と、印象に残るいい温泉でした。

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(バス乗降場の広場から石段街を見上げる)


 伊香保温泉を10時過ぎにあとにして次に向かったのは、「榛名湖」です。くねくねとした山道を数十分走り、途中「静かな湖畔」が聴こえてくるメロディーラインを通って向かいます。

 榛名湖よりも先に「榛名山ロープウェイ」の麓駅となる「榛名高原駅」が見えてきたので、まずは高みからの風景を眺めてみようと、そこで停まって乗ってみることにします。
 日本で初めてだという2両連結式の15人乗りゴンドラに乗って、一気に「榛名富士山頂駅」へ。山頂駅そばの高みからは関東平野や上州の山々が一望でき、いい天候だったので富士山の山頂付近も小さく見えました。しかし、榛名湖の全貌が見えるわけではなく、少し先の山の三角点付近に「榛名富士山神社」の小さな社がある程度で、格別見るものはありません。これで一人850円かぁという感じです。直近の下り便ですぐに下って次へ。

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(榛名山ロープウェイ「榛名高原駅」)

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(日本初という2両連結式ゴンドラに乗って……)

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(榛名湖は一部しか見えない)

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(榛名富士山頂駅)

 下界に戻って、「県立榛名公園」。
 1924年、昭和天皇・皇后の成婚を記念し、御料地の払い下げを受けて設置された県立公園。公園区域は榛名山頂の榛名湖を含み、概ね榛名山外輪山の内側のエリアであるとのこと。
 湖畔らしい佇まいがあり、何か所かに遊覧ボートが係留されていて、平日ということもあってかまさに「静かな湖畔」となっているのでした。

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(「県立榛名公園」の湖畔1)

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(同 2)

 湖を南側へと回りこむと、道沿いに土産店や食事処が数軒立ち並んでいるところがあり、ここからは湖を挟んだ対岸に榛名山がどどんと見えます。ほほう、いい眺めだ。湖というところは周囲の数か所から眺めてみなければ、そのよさがわからないようです。

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(湖を南側へと回りこんだ道沿い)

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(ここからは榛名富士がスッキリと、きれいに見える)


 せっかく湖の南側までやって来たのだから、ついでにこちらにも寄ってみようかという軽いノリで、近くの「榛名神社」にも足を運んでみました。どこにでもある普通の神社かなぁと思って立ち寄ったのですが、それは大きな間違いで、由緒正しい修験の神社のようです。
 門前には宿坊が並び、「榛名山太々御神楽」と記された額が掲げられた集会所のような木造の古い建物があり、神社の入口となる隋神門も立派。この雰囲気は山形の羽黒山とよく似ていて、羽黒山をややコンパクトにした形のように思えます。
 1400余年前、用明天皇の時代に創建されたといわれる古社で、再建されたのですら200余年前だという本殿があり、後方の御姿岩(みすがたいわ)の洞窟の中に御祭神が祀られているとのこと。境内には、戦国時代、武田信玄が箕輪城攻略の際、矢を立て戦勝を祈願した矢立杉(やたてすぎ)をはじめとして、文化財・天然記念物が多数点在。パワースポットとして多くの参拝客で賑わっているそうです。

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(神社の門前に建っていた木造の古い建物)

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(随神門)

 随神門から三重塔まで行ったあたりで引き返そうと思っていましたが、なかなかヨイところなのでこれはここでは戻れまいと、石段を厭わずいちばん上まで進みます。
 参道の杉木立と苔の緑が美しく、途中にそびえる「三重塔」も見事です。

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(杉木立と苔の緑が美しい参道を歩く)

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(三重塔)

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(石段が続くが、あきらめずに歩く)

 榛名山太々御神楽が演じられるのであろう「神楽殿」へと上り詰める手前にある「双龍門(そうりゅうもん)」。背景の岩に圧倒されておどろおどろしい感じです。門に嵌め込まれた4枚の扉に精巧な龍の彫刻が彫られていることからそう呼ばれるようになったといわれ、1855年の建造。前年9月に保存修理工事が終了したばかりとのことです。
 その上に位置する1806年建立の本殿(本社・幣殿・拝殿)は、残念ながら改修中。本殿を印刷した幕があるだけで入れず、したがって御姿岩も拝見できないのが残念でした。改修工事が終了する2025年末までは拝観できないようです。

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(双龍門)

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(本殿は改修中につき、印刷幕で我慢)

 思いのほか楽しませてもらった「榛名神社」でした。しかし、ここで費やした時間は戻ってこず、その後のルートに大きな影響が出ることになります。