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2022.12.01 20221130 水
 早くも月末となり、7時前にゆっくり起床。7時半頃になってもまだ外は薄暗く街灯が消えていないが、自宅の北側に面した駐車場からはすでに多くのクルマがいなくなっている。ご出勤ご苦労様である。冬の暗いうちからの出勤が、気が進まずいやだったことを思い出す。これで積雪など始まろうものなら、もっとうんざりするのだった。

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(山形のラ・フランスがおいしい季節だ)

 昼どきには、上山市二日町の「川芳そば屋」を9年2か月ぶりに再訪して、ラーメン大盛り650+200円を食べる。大盛り200円増しは一見豪気のように思えるが、麺量は2玉になるようなので、バカ高いという範疇には入らない。
 自家製手もみを謳う細麺は、色がくすんだ小麦色。つまりは漂白剤の使用を抑えているということであって、その素朴な風味は米沢ラーメンに相通じると思う。喉越しがよく、2玉といってもおいしく啜っているうちにどんどん減っていく。
 少し前に食べた同市十日町の「さかえやそばや(そば処さかえや)」中華麺とよく似ている。ということは、これが「かみのやまラーメンもへず会」の会員店として行き着くひとつのかたちなのかもしれない。
 スープは、あっさりかつシンプルで、これはさかえやと異なるところ。コクが足りないと感じ卓上のホワイトペッパーを多用したが、自分にはそれでもあっさりに思えた。
 チャーシューも柔らかかつ美味だし、全体としてナイスなラーメン。高齢夫婦二人での切り盛りで、これからも元気で続けてほしいと思ったところ。

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(「川芳そば屋」のラーメン)

 最近いつもそうであるように、午後の時間の使い方がよくなく、昼寝や無為なことに時間を充ててしまい、プラスになることとしては若干の読書程度にとどまる。
 この日の株取引についても、動意に乏しく、いくつかの売りを入れてみたが思うように値がのびず、取引はなし。

 月末恒例、11月の株式取引を総括しておくと、この1か月に日経平均が1.38%上昇したのに対し、自己資産額(取引に充てている全体額で、保有株式時価総額+買付余裕資金)は3.29%の上昇となった。また、この1か月に確定した利益(売った株式の、買った時との価格差)は、59万4千円余りとなり、堅調だった。この結果、自己資産額は過去最高水準となった。
 利益確定額が伸びているのは喜ばしいことだが、そのうしろには値下がりしたまま売れずに塩漬けになっている不採算部門も抱えているので、手放しで喜べない事情は常にある。
 わりと大きな売り越しとなり資金回収が進んだことから、この1年でみれば、持ち株の総額は8.8%減少して最低、逆に買付資金としての余裕額は36.1%増加して最高となった。こういう余裕は、大きな暴落がやってきたときのひとつの対処材料となるので、悪いことではないだろう。

 孫のはるき君のクリスマスプレゼントをどうしようかとつれあいから相談があった。受け取る側に喜んでもらえることが大事であり、孫君や両親の意向がポイントとなるので、いくつかの候補を立てて親に決めてもらったらどうかと提案していた。
 プラレールなどをいくつか示して意向確認していたところ、それらの中から幼児用のピアノがいいという返事が来たので、ではそれにしようということになる。河合楽器の子ども向けミニグランドピアノ(P-32(ナチュラル:1164))。へえ、木目調でいいんじゃない。楽器ではなくおもちゃであって厳しくこき使われることになるので、音程がある程度維持できる華奢ではないものであればそれがいいのではないか。音楽家にはならなくともいいが、音楽のよさが理解できる感性を持ち潤いのある人生を送れるようになってもらえればうれしい。

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(KAWAIミニピアノ P-32)

 夜は、お好み焼きと厚揚げ煮をつまみながら飲酒をし、録画鑑賞。「どすコイやまがた」というローカル番組で、昨日訪問した上山市の「鮮魚かねに」が取り上げられていた。今夜はW杯サッカーが一段落していて、ライブ中継はない模様。あれば観たいし、なければ観なくても済む。

 読書は、ほぼ2週間ぶりに「幻影の嘉例吉―牧志朝忠とチル」を手にして40ページ。
 「納豆に砂糖を入れますか?」の、全国各地のせんべい、メンチvsミンチ、大根関連の部分を70ページ。
 今夜からは冷えてくると聞いたので、蓄熱暖房のツマミを少し強めのほうに動かして、23時半頃に就寝。

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   山川出版社  3,800円
   1985年1月30日 第1刷発行

 夏の暑さが退行して本を読むのにいい季節になったので、分厚い専門書に挑戦することにして、久しぶりに「民族の世界史」シリーズを取り出しました。今年6月末に第6巻まで読み終えて、3か月以上間が空いての、全15冊中の7冊目です。

 編者は「まえがき」で、当書が「インド亜大陸の歴史過程の節々で重要な役割を果たした様々な「民族」について、その成立条件と歴史的役割の意味を明らかにする」ことを課題としており、「インド亜大陸に見られる共通の文化的特徴、個々の集団の持つ民族的特性、彼らの「われわれ意識」の発露、各集団と政治的統一体としての近代国家との間に存する矛盾と緊張関係などを描き出すために、できる限り特定の事例を取り上げてその本質をえぐりだす」よう心がけたと記しています。

 「序章」では、インド亜大陸の言語グループとして大きくインド・アーリヤ、ドラヴィダ、オーストロ・アジア、シナ・チベットの4系統があるとし、各グループについて概説しています。そしてこれらの関係性として、インド亜大陸にはオーストロ・アジア系言語の基層があり、北インドではそこにシナ・チベット系の民族が移住し、混じり合って先住のオーストロ・アジア系諸語を吸収していくこと、さらにその後にアーリヤ系民族が進出してきたこと、その結果、イラン東部の高原からインド亜大陸に進出していたドラヴィダ系の民族はインド亜半島南部へと移動して残っていくこと、などについて説明されています。
 こういうことはこの年齢になって初めて知ることで、ほほう、ははあと、半ば驚きながら読みました。

 ヒンドゥー教とは何かということについて、「ヒンドゥー教は、特定の教義のうえに成り立つ固定した宗教ではなく、対立するものを包みこんでゆく一つの運動であるというほうが正しい」と記されており、なんだか雲をつかむような話になっていることに気持ちが引けました。
 高校時代の世界史授業で聞いた気がするリグ・ヴェーダ、ブラーフマナ、ウパニシャド、アートマン、マハーバーラタ、バガヴァッド・ギーター、クリシュナ、シヴァ、ビシュヌ……といった用語が登場し、しばし懐かしさに浸ります。そんな固有名詞だけでも目まぐるしいのに、インド哲学の話になるともっと難解になり、辟易してしまうのでした。

 カースト制度を概説するところで、インド国民の80%超が、ヴァイシャ(庶民)ではなく、不可触選民を除き最も下層に位置するシュードラ(隷属民)に属していることを知りました。
 シュードラには、アーリヤ人によって征服された先住民の子孫の大部分が含まれているといい、歴史が進むにしたがって農耕・牧畜民がシュードラに加わってきたことによって、シュードラの地位はかつてほど低いものではなくなっているようです。また、カーストと職業との関係については、近代化が進むにつれて関連性が弱まってきているそうです。

 インドの人々の暮らしのかたちを明らかにする第3章では、“もの”の文化の例として、インドの服装のサリー、カレー、村のかたち、住まいのかたち、土器などを取り上げて、それらの特徴や分布を外観しています。カレーについては、使う油が何種類かに分かれているため、その味は地域によって驚くほどに異なるのだそうです。

 10世紀になると、インド亜大陸各地で独自の民族文化が成立し、それらは次の5地域に括ることができる。つねに外部からの新しい民族の進入路となった北西部、インド文化の中原ともいうべきガンジス・ジャムナー平原、北インドと南インドの文化の接点をなすマハーラーシュトラを擁する西部、ドラヴィダ民族の地として独自の文化を育んできた南部、文化的には遠く東南アジア方面にも繁りをもち近代においては先進的役割をはたした東部――なのだといいます。

 インド亜大陸におけるイスラム社会についての項も。
 イスラム教の場合、超自然力は唯一神アッラーの専有するところとなっていて、絶対的な神の力の前では人間は全く無力な存在でしかないと考えられています。また、個々人は万能の神の恣意によって独自の資質・独立の運命をもってつくられると考えるため、親と子の関係や祖先と子孫との間の連続性などは否定され、したがって「個人の分を覚る」といったような概念は強くないのだそうです。そして、神の意志を推し量れない無力な人間は、過去と現在の出来事の因果関係を失って、現在中心主義・刹那主義的になっていくのだと。

 後半では、イギリス統治のもたらしたもの、ガンディーとネルーという一見対極にある政治家を生み出したインドの政治的・精神的風土の問題、近代ヒンディー語の散文体の確立や、インド近代絵画に関する記述など。
 そのようなことについてはこれまで一度も考えたこともなく何も知らないので、用語や地図を確認しながらたっぷりと時間をかけ、まさに未知の扉を開くような心境で読みました。
(2022.10.23 読)

2022.12.02 20221201 木
 2022年もとうとう12月に突入だ。暗くて寒い朝はまさに冬!といった感じだ。予報では、今日は全国的に冬本番の寒さとなり、北海道や東北は大雪のおそれがあると告げている。

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(山形のりんごも、今が最高においしい)

 10月後半に再発した尿管結石だが、11月18日に市立病院に行き、その2~3日後に石が膀胱に落ちたような気がしていて、そのあとは疼痛がやってくることはなくなっている。石が膀胱から体外に出た実感はないのだが、薬が効いているのか尿の出は悪くないし、小用のため夜中に起きることもない。どうなっているのだ、石は?
 あの痛みが前触れなくやってくると思うと座薬が離せないのだが、それは要冷蔵なのでポケットに入れて持ち歩くようなことはできない。となると、家に戻れる近間への外出程度なら問題はないにしても、たとえば車旅のような泊付きの長期旅行には進んで行きたいとは思わなくなるものだ。早く医者からOKをもらわねば。
 そんなわけで、少なくとも今年中の泊付き旅行は計画せず、始まったこの12月は静かに家に籠って過ごすことになりそうだ。

 この日のランチも上山攻めは続き、矢来の「五十番食堂」を1年10か月ぶりに3訪。
 カレーライス630円もしくはカツカレー780円を狙ったものの、店内にカレー類休止中の貼り紙があり、にわかに困惑する。ラーメンとミニ日替わり丼がセットになるAランチ850円の、今日の丼は何になるのか尋ねたところ、この店お得意のスタミナ丼だというので、それに変更決定。
 ラーメンは、プリッとした中太麺が美味で、しっかり一人前の量がある。スープは塩辛めだがコクが深く、大衆食堂の中華そばとしての王道を行く申し分のないタイプだ。ミニ・スタミナ丼は、甘辛いタレの味付けが施された豚肉と、その下に千切り大根などの野菜が少々。量的にもほどほどで、これもいい塩梅だ。
 つれあいが注文して食べきれなかった、680円にしてはかなりデキのいい唐揚げ定食の唐揚げ1個がこちらにまわってきたのも食べて、充実したランチになった。

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(「五十番食堂」のAランチ)

 帰宅前にブックオフに寄り、注文していた古書15冊を受け取る。15冊ともなると、特に今回は分厚いものが多かったこともあり、一抱えほどになるのだった。これらはすぐに表紙をスキャナーでスキャンし、今後ブログ等で使えるようにしておく。ついでに、買った本に関するブログ記事2本も書く。

 夜の飲酒時の肴の一つとして、砂糖をかけた納豆を食べてみた。今読んでいる「納豆に砂糖を入れますか? ニッポン食文化の境界線」に感化されて試してみたのだが、これって案外イケるんじゃないか。よーくかき混ぜると糸の引ひき具合が出汁醤油だけより強固になり、味に砂糖らしいまろやかさが加わる。醤油をかけたただ塩辛いだけのものよりも塩梅がよく、再びこうして食べることに抵抗はない。この齢にしてまた新しい食べ方を知った。

 この日は昼寝をしていないし、ぜひとも今夜中にやらなければならないこともなく、明朝には起きてすぐにW杯サッカーのグループリーグの最後となるスペイン戦を録画ディレイで観戦しなければならない。そのような事情なので、いつもよりもさらに早い21時代後半には減速を開始する。
 グループリーグの第3最終ステージで日本が勝ちあがるための条件は、下の表のとおり。勝てば突破できるとは言っても、相手は強豪でありそう簡単にはいかないだろう。せめて引き分けであれば、もう一方の結果如何で進出・敗退のどちらにも転がるし、そもそもスペインを含めて進出できる2チームがどこになるのかさえも判然としない状況(日本とコスタリカが勝てばスペインとドイツが敗退する)となっている。

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(日本の決勝トーナメント進出条件)

 寝入るまでにベッドで少し読書をして、22時半頃就寝。
 「幻影の嘉例吉―牧志朝忠とチル」を70ページと、「納豆に砂糖を入れますか?」を30ページ読んで、この日もなんとか3桁を確保することができた。

 11月下旬に、タマキングこと宮田珠己の文庫本古書を8冊まとめ買いしました。それらは次のとおりです。
 アマゾンとブックオフで調べ、価格の安いほうから調達し、〆て1,824円です。

1 ウはウミウシのウ シュノーケル偏愛旅行記 特別増補版  宮田珠己 幻冬舎文庫 201407 古284
2 わたしの旅に何をする。  宮田珠己 幻冬舎文庫 200706 古330
3 ジェットコースターにもほどがある  宮田珠己 集英社文庫 201103 古220
4 ときどき意味もなくずんずん歩く  宮田珠己 幻冬舎文庫 200712 古220
5 晴れた日は巨大仏を見に  宮田珠己 幻冬舎文庫 200910 古220
6 なみのひとなみのいとなみ  宮田珠己 幻冬舎文庫 201208 古110
7 だいたい四国八十八ヶ所  宮田珠己 集英社文庫 201401 古220
8 日本全国津々うりゃうりゃ  宮田珠己 幻冬舎文庫 201606 古220

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 「旅の理不尽 アジア悶絶篇」と「東南アジア四次元日記」を読んで、これはなかなか面白いではないか、他作品もすいすいとイケてしまうのではないかと思い、どうせならとまとめ買いしたところです。

 宮田珠己(みやたたまき、1964~)は、旅行エッセイスト、小説家。
 経歴をスキムすると、兵庫県生まれで大阪大学工学部土木工学科卒。卒業後、株式会社リクルートに就職し、不動産関係の部門に配属される。のち、編集部門に転属。
 1995年、新風舎より処女作「旅の理不尽」を自費出版、会社を退職。以後、アジア地域を中心に旅し、旅行記・エッセイを刊行する。2007年、「東南アジア四次元日記」で第3回酒飲み書店員大賞受賞。2010年代以降は国内紀行が主になってきている――とのことです。

 阪大の工学部を出たのに、どうしてリクルートで編集などを担当したのだろう。
 ジェットコースター好きで、「東南アジア四次元日記」ではヘンな仏像にどっぷりハマったところを見せるなど、「日本でもっとも妙なことにこだわる男」といわれているのだそうです。
 また、鼻毛のでた顔だけのキャラクターをマスコットにしていて、著書「旅の理不尽」の表紙やサイン本にそんなキャラクターをしばしば登場させているようです。

 今回手に入れた著書が面白ければ、最後まで深追いして文庫全作を制覇してみようという気にもなっています。さあ、どうなることやら。

2022.12.03 20221202 金
 5時頃に目覚めたので5時半に起きる。おっ、外は今季初めて雪が降っている。路面に積もるほどではないが、いよいよ来たなという感じだ。

 早起きしたのは、深夜2時から始まっていたサッカー中継を録画ディレイで観るためだ。なんとか決勝トーナメントに進出してほしいが、現実は厳しいだろうと思いつつ観始める。
 前半はスペインが圧倒的にボールを支配し、10分過ぎに早くもスペインに先制されてしまう。ところが、後半が始まってすぐ、後半から投入された堂安のミドルシュートで追いつく。そしてその3分後には、これまた後半から入った三苫の折り返しを田中碧が腿で押し入れてたちまち逆転したかのように見えた。主審は三苫の折り返しがゴールラインを割っていると判定したが、VARの結果わずかに割っていず、得点が認められる。かなりきわどい判定だった。

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(クロスボールを上げようと切り返す三笘(左端)。この後、田中がゴール!)

 逆転後の後半なかばからは守備一辺倒となる。攻撃的MFの鎌田に代えてDFの富安を入れて5バックの形で守備を分厚くし、これがかなり奏功した。アディショナルタイム7分を含め、30分ほどの長い時間を耐え切って、なんと、クループを1位で通過した。
 試合後、キャプテン吉田も目をうっすらと赤くして「言葉になりません。これだから代表は辞められないです。最高でした」と語っていた。スポーツでしか得られない熱い感動をもらった。

 結果論だが、もし引き分けに終わっていれば、同グループのドイツ・コスタリカ戦が4-2(2点以上の差)でドイツ勝利という結果だったため、決勝トーナメントには進めなかった。
 それにしても日本は、ドイツ、スペインというヨーロッパの2つのモンスターチームを破る大健闘だ。こうなると、なぜコスタリカに敗れたのかが不思議にさえ思えてくる。さあ、決勝トーナメントは前回大会準優勝のクロアチアが相手だ。いずれもすげえ相手ばかりだな。

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(決勝トーナメント進出を決め、主将吉田に駆け寄り喜び合う日本選手たち)

 母の兄弟(末弟)のS叔父の一人息子から、父が86歳で亡くなったとの連絡あり。久しぶりに昨日東京から里帰りして施設にいる父に会いに行ったところ、急に血中酸素濃度が下がり、救急搬送した病院で今朝早くに亡くなったとのこと。ごく身内の家族葬で見送るので葬儀出席は不要とのことだった。
 母の実家を継いでいたS叔父は、数年前につれあいを亡くしたあとは自宅に一人で住んでいたものと思っていたが、高齢のため施設に入居していたそうだ。あの土地・建物も持ち主がいなくなり、一人息子ももう山形には戻らないため、ここで手放すことになるのだろう。
 わが実家とても同じことで、代替わりすれば建物も土地も不要となる。そしてあと20年もすれば、今住んでいるこの家だって同様の運命をたどることになるはずだ。不動産なんて、持つだけ空しいものなのかもしれない。
 夕刻、当方の二人の姉妹にメールを打って伝えるが、母には話したばかりに変に落ち込まれたりされても困るし、何度言い聞かせてもすぐに忘れるだろうから、黙っていようかと思っている。

 昼食は、今日こそは昨日食べ損ねたカレーライスが食べたいと思い、今季初めて小雪が降る中を運転して、日替わりカレーの設定がある北町の「MARU食堂」を再訪。
 この日の日替わりカレーは、エビカレー780円。これだこれだ。同料金でライス大盛りが選択でき、ドリンクバー付き。今日はジンジャーエールって気分だ。海老フリッター7~8個がタルタルソースや千切りキャベツとともにトッピング。福神漬は別添えだ。
 塩分が控えめと感じたカレーはスパイスが効いていて、大盛りメシに負けないぐらいの量があるところが白眉。ふっくらとしたライスの炊き具合にも不満はない。ときどき口に放り込む海老もアクセントになっておいしい。
 カレーの価値は、量があり、ルーが不足せず、おいしく腹が満たされることで判断されるべきだと思っていて、このボリュームとクオリティでドリンクバーまで付いてこの価格なら、御の字だと思う。

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(「MARU食堂」の日替りカレー)

 午後から夜にかけては、書く、読む、観る、飲む、食べる、調べる、愉しむなどのいくつかのことを断続的にやっているうちに、たちまち時間が過ぎてしまった。
 形のないものとなった時間は、結果的には単なる「浪費」でしかなかったのではないか。この年齢ともなれば、自分に残された「確かでいられる時間」はたいして多くないと、S叔父のことを思い出しながら、思う。そのことをしかと自覚し、肝に銘じて暮らしていかなければならないだろう。

 22時15分、文庫本を手にしてベッドへ。
 この日の読書は、「幻影の嘉例吉―牧志朝忠とチル」を30ページと、「納豆に砂糖を入れますか?」を50ページで、100ページ到達ならず。

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   ボーダーインク  1800円+税
   1996年12月20日 初版第1刷発行
   2021年8月20日 新版第1刷発行

 沖縄物も読みたくなり、未読ストックから山入端つるの一代記を取り出して読みました。
 山入端つる(1906~2006)は、屋部村(現・名護市屋部)生まれの沖縄の唄者。13歳の時から辻の芸妓となって育ち、19歳のときに辻を出奔し、三線片手に宮古、奄美、大阪、東京など職を転々としながら渡世します。
 戦後は、沖縄移住者の多い神奈川県川崎や鶴見で、琉球芸能の地謡を務めるなど琉球芸能の普及、発展に貢献。1957年に東京新橋で琉球料理店「颱風」を経営、1974年には沖縄に引き揚げ、余生を郷里で百歳まで過ごしたといいます。

 この本はもともと、1959年10月から琉球新報に連載されたもので、著者は山入端つるとなっているのですが、巻末にある三木健の文章によると、沖縄の歴史学者・東恩納寛淳がつるの生きざまに心を打たれ、聞き書きで書き綴ったものであると記されています。その頃寛淳は、妻に先立たれた孤独の身を、つるが営む新橋の琉球料理店「颱風」に通って慰めていたようです。
 これを新聞に連載する際、当時の編集局長だった池宮城秀意は、社長の親泊政博からこの原稿を渡され、「寛淳の娘からこの原稿は新聞に出さないでくれと言われているが、適当に処理してくれ」と告げられたといいます。池宮城は思案の末、これを東恩納教授が「校閲」したことにし、つるが書いたものとして掲載したというのが真相のようでした。

 「沖縄島ガール」というウェブページに載っていた書評を一部抜粋し、以下に引用しておきます。

 ……山入端氏の出身地である、沖縄本島北部の名護の屋部の紹介からスタート。山入端氏の祖父が音楽好きであったことから「私の芸能に対する執心は、祖父の血筋を引いたものであろう」という文章と、「私の悲しい運命もまたその遺産かも知れない」という物語を予感させる言葉から始まる。
 その後、13歳の時に辻の遊郭に売られ、その年から芸事の手習いを始めていく。19歳になった頃、流れのままに宮古島に渡り、それからも奄美、大阪、東京と転々としながらも、その土地土地で沖縄の芸能を忘れることがなかった。
 「沖縄の芸能が広いところに出て、見聞を広くしない限り進歩の道はない」「芸能人が自重して自ら品格を保つことによって、芸能の品位を高めねばならぬとかねがね考えている」と、1冊を通して、芸事に懸ける山入端氏の思いが伝わってくる。
 本書の意義はもちろんそこにあるのだが、この文章の価値を高めているのは、その当時の沖縄に対する社会的ポジションや文化・風俗が具体的な言葉で伝わってくる点。
 「東京ではどこの下宿屋でも『琉球人、朝鮮人お断り』の札」があったり、家を建てた際に建築許可を取りに行ったら「沖縄人には許可しない」と言われたり、沖縄が置かれていた位置が分かり、「サツマイモやジャガイモ(中略)、おかっぼ(陸稲)までも作った」と食糧が貴重だったなど、当時の時代背景が生々しい言葉でつづられている。
 そして、終戦後間もなく山入端氏は沖縄に戻るが、沖縄では芸事を披露することを控えていたというが、その理由を「沖縄では芸能の価値がほんとうには理解されていないと考えていた」と、何とも彼女らしい言葉で書き留めている。
 ……ある種ストイックで凛とした山入端氏の姿勢と、その山入端氏のスタイルを的確な言葉で伝えた東恩納氏の2人だからこそ生まれたこの名著。今回、「新版」という形で刊行されることで、新たな読者に届き、さらなる沖縄芸能の評価につながりそうだ。

(2022.10.23 読)

2022.12.04 20221203 土
 眠りが浅く、たくさん寝ても眠り足りず、朝寝坊までして7時15分起床。
 気温が低くて寒いからということもある。二重窓の一部が凍結している。換気のため薄開きにしていた各部屋の窓を全閉し、家の換気システムのスイッチを入れる。今朝の最低気温は-3.3度と今季最低だった。

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(本日、冬の快晴(正午ごろ))

 朝の諸作業を終えた9時半頃から、この日は真面目に読書へと移行し、昼食前までに「幻影の嘉例吉―牧志朝忠とチル」を50ページ余り読んで読了する。
 「あとがき」にあったあらすじを概括すると、次のとおり。
 牧志朝忠(1818~1862)は、北京での留学中に清国が阿片戦争で英国に敗れたことに衝撃を受け、琉球の自立のためにはまず、琉球の人々が個人として自立しなければならないと考える。
 帰国後、朝忠は異国通事として活躍し、次々に来訪する異国船の対応に当たり、高い見識により異国艦隊の人々にも深い感銘を与えた。当時琉球は、清朝と薩摩藩に両属しつつも、国際法上は独立国として、米仏蘭各国と条約を結ぶ。そうした中で朝忠は、中級武家の出身ながら、のちに王国閣僚にまで出世する。
 チルは、久米島から琉球本島に流れてきた薄幸の少女。貧困にあえぐ家族を救うため、辻の遊郭でジュリ(遊女)となることを自分の意思で決める。しかし天性の才能をもつ舞踊の世界で大きく羽ばたき、自立した琉球の女としての道を進み、朝忠との運命的な出会いを通して、チルもまた琉球の歴史の中で役割を果たすことになる。
 琉球の王宮内では摩文仁親方の率いる親清国の守旧派が主導権を握っていたが、宗主国藩主の島津斉彬は、家臣の市来正衛門を派遣して琉球王府の改革を断行させた。この改革はいったん成功したかに見えたが、斉彬の急死によって挫折。ここに親薩摩・改革派(白党)と親清国・守旧派(黒党)との間の熾烈な抗争が展開される。対立はやがて朝忠を巻き込んで一大粛清事件に発展(「牧志・恩河事件」)。同志の恩河親方は凄惨な拷問の末に獄死、朝忠も終身禁固刑を受けて獄舎に繋がれる。
 3年後、朝忠は薩摩藩に救出され、チルとも再会する。しかし彼は、御用船で鹿児島に向かう途中、本島最北端の海峡で「自ら急流に身を投じて」死んだとされる。
 だが、自死を選ぶ理由など全くない。では、誰が牧志を殺したか。朝忠の若い頃からの親友・津波古政正とその弟子・喜舎場朝賢がその謎に迫り、ついに真相が明らかとなる。
 これは、琉球の海にジュゴンの群れが多く回遊していた頃の物語である。―――

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(本日の昼食)

 昼食は、家で。ナポリタンをつくるのだと、昨夜のうちにつれあいから告げられていたものだ。なめこを、味噌汁ではなくコンソメでスープに仕立てたものと、旬のりんご。

 午後は、だらけずにカキモノに入り、読後本のインプレを4本書き上げる。今日は締まっているゾ。(笑)
 本を「納豆に砂糖を入れますか?」に持ち替えて、夜までに70ページ。汁かけ飯、日本の大衆食堂、鮭とブリについての章を読み、最終章は「糸魚川-静岡構造線を歩く」。読者からの投票によって様々な食文化地図をつくってくると、糸魚川-静岡構造線を挟んで顕著な違いを見せる文化が少なくないことが判明したと著者はいい、2009年10月に17泊18日の構造線をたどる旅へと赴いている。そして、薬味として使うネギが白か青か、うどんとそば文化の分かれ目は、カツ丼はタレか卵とじか、醤油の甘・辛はどうか、蒲鉾は板付きか否か、稲荷寿司は三角か俵型か――などについて調査しているのだった。
 文章には、新潟の醤油だれのカツ丼が登場する。揚げたての薄めのトンカツを“甘辛醤油ダレ”にくぐらせて、ご飯にのせただけのシンプルなものデアルとのことで、そそられる。その元祖は新潟市古町の「とんかつ太郎」だという。いずれ食べてみたい。

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(新潟のタレかつ丼)

 夜は、比較的軽めのつまみ2品で缶チューハイを飲み、ウェブからNEW日産エクストレイルの諸元表とオプションカタログを入手して、どういうクルマなのか調べてみる。4WDは30万円近く高めで、オフロードや冬季の走行などはほとんどないというか、そういう場所や季節は運転しなければいいので、自分の場合2WDで十分か。グレード的にもスタンダードのSで十分のようだ。今乗っているクルマのタイヤも使えるのではなかろうか。
 だが、この車種は販売好調により現在、注文受付を停止しているようだ。いいんだ、この車種がすごく欲しいというわけでもないし、べつに慌てて買い替える必要もなく、いまだ勉強中という段階なので。
 ほかには、市内の飲食店情報の収集も少し。

 24時15分に消灯、就寝。