fc2ブログ
2023.01.02 20230101 日
 新年を迎え、7時前に起床。比較的穏やかな天候の正月を迎えることができている。この新年が今朝のような穏やかな1年となることを願いたい。

morning0700 20230101
(2023年元旦、朝7時の風景は雪もなくわりと穏やかだ)

 忘れないうちに2022年について振り返っておく。
 前年から乳がんの治療を始めていたつれあいが、3月をもって第二の職を辞して4月からフリーになった。その後の経過は幸いにして順調で、何か月かに一度の経過確認の通院をしながら薬を飲むだけになっている。一時薄くなってしまっていた頭髪もある程度元に戻り、近々地毛の髪染めをしてこようかと言っている。これが2022年の最もよかったことではなかったか。4月以降家で暇そうにしているので、昼の外食に連れだしたり、あまり好きではないのを我慢して買い物につき合ったりするようにしている。
 一方母は、介護施設にいる間には頻繁に様々な病院に連れて行かなければならない上に、施設とは職員との折り合いがよくなかったり、何かと電話1本による安易な要請が多かったりして辟易していたものだが、体調不良のため一時入院した総合病院の医師から、母をこれまでのように介護施設で面倒をみてもらうには無理があり、高齢者認知障害を専門とする医療施設への入院が妥当ではないかと勧められ、9月後半には2年7か月入居していた老人ホームから専門病院へと移ることになった。
 その後は、介護施設よりもずっと適切な医療が受けられるようになり、夜の不穏行動がある程度収まり、一時自分では食べられなかった食事をある程度自分で、しかもたいていはきちんと食べるようになっているとの報告を受け、かつてよりもずっと安心していられるようになった。しかし認知度はかなり落ちてきているようで、そのためもあってか身の回りに関する不必要と思われる多くのこだわりも一定程度は収まってきたように思う。
 当方の健康に関しては、7月に急な腹痛で休日診療所へと赴いたところ、尿管結石と診断された。その後痛みがなくなったので何もしないでいたところ、10月にこれが再発し、いくつかの病院を引き回されることになる。これについては痛みこそなくなったが完治宣言は受けていず、治療途中の状況が続いている。
 旅に関しては、5月には10日間の博多ステイ、7月には6日間の金沢ステイ、9月には琉フェス鑑賞の上京と甲府散策をやった程度にとどまった。つれあいや母の健康不安に加えて、自らの唐突に発生する腹痛に対する不安も重なってのことだ。だが、現在の足元を見れば、つれあいはほぼ回復しているし、医師が常駐する病院にいる母はこれまで最も安全な場所にいると思われ、自分の健康不安以外はかつてよりもずっと改善していると言っていいのではないか。そうであれば、かつてやっていた長期にわたる車旅までは控えたほうがいいにしても、不測の事態があればすぐに戻って来られる程度の数日間ほどの短期の旅ならば、今年は十分可能だろう。つまり、ショートレンジのジャブ程度の旅をいくつか用意して、いつでも行けるようにしておけばよさそうだ。
 楽しいのは孫のことだ。彼とは昨夜も楽しく過ごしたが、日々の成長がかわいらしくて、眩しくさえ感じる。孫とは、授かってみて初めてわかる喜びがたくさんあるものだった。
 こんな1年ではあったが、家庭内の問題や課題はいくつかあったとしても、対外的なこと、例えば仕事のことや親戚・友人、天変地異などのことで悩まされずに済んだのは極めてよかった。この年齢になると、こういう平穏な毎日であることが何よりもありがたく思えるもので、ぜひとも新年も、すごくうれしくて楽しいことなどはなくてもいいから、穏やかななかで静かに、健康で暮らせることを望みたい。

new year 20230101
(image-新年)

 さて、新年に当たっての今年の目標設定だが、まず読書は、過去2年と同じ年間100冊を最低目標とするが、実績を踏まえれば毎月10冊ペースの120冊超えは意識したいところだ。内数としての沖縄本の読破数は、もう設定しなくてもいいだろう。
 旅に関しては、母親の健康状態や世の中のコロナの蔓延度などに左右されるだろうが、母の入院状況が安定している現況のままいけば、一週間以内程度の短いものであれば数本程度は実施できそうだ。もっともこれは、自分が健康でいられることが基本条件になるわけだが。
 ほかには、ぼちぼち実家の処分について具体的に動き始めなければならず、それに先立って建物内に残っているものの整理をしなければならない。むろん価値のあるものはないが、家族にとって大事なものは多少ながら残っている。具体的には、祖父の遺していった絵画等が主で、これらについてはいずれウェブ上で体系的に見ることができるようにそれなりのデジタル化を図りたいと思っているのだが、道半ばになっている。これも孫である自分にとっての2023年の課題といえるだろう。
 これらがどの程度進められたか、1年経過後にはしっかり検証してみたい。

 午前中は、「ニューイヤー駅伝」を観ながら、2022年の終盤に読んだ本のインプレッション6冊分をものにする。新年早々いい滑り出しといえようか。

 昼食は、正月らしく自宅で餅を焼いて食べる。年に一度の雑煮餅と、納豆に砂糖入れますか?を実践して、若干甘さのある納豆餅。ほかに蒲鉾などのおせち風も。

house lunch 20230101
(元日は家で雑煮餅など)

 午後からは強雨が降ったりする。正月といえどもというか、新年だからこそ、午後は読書だ。「短篇ベストコレクション 現代の小説2008」を読み、夜までに120ページ。
 黄色の好きな年上の女性と不倫関係にあった主人公が、女性の突然の死に遭遇し、黄色いハイビスカスを育て始めると、その先には春を予感させるような変化が……という、藤田宜永の「黄色い冬」。
 図書委員をしているクラスメートに会いたくて図書室に通う男子中学生。彼女が転校するまでに少しでも親しくなりたいという少年の切ない気持ちが伝わってくる、関口尚の「図書室のにおい」。
 言動に問題の多い刑事コンビがなぜか高収入の女性漫画家の身辺警護に駆り出された顛末を描く大沢在昌の「ぶんぶんぶん」は、会話の羅列で推敲が甘く、やっつけ仕事になっている。他作品と並べて読むことで、そういうことがあからさまになってしまう。
 劇中劇のような形で一人芝居が展開されていくもので、この作品で作者は何を言いたかったのかを考えさせられるところに不思議な魅力がある、恩田陸の「弁明」。
 ホテルに逗留中の作家二人が出会い、怪奇な伝承にまつわる話をする。すると、その後に予想外の出来事が起こり……という、ホラー小説と言っていい桜庭一樹の「五月雨」。

 夜には、近々赴くいわきとその通過点の郡山付近の食事処を少しだけ調べ、「もっと秘境駅へ行こう!」を50ページ読み、23時頃には静かに眠りへ。

2023.01.03 20230102 月
 7時10分起床。軽い朝食をとっているうちに、もう箱根駅伝の中継が始まる。これが始まることに正月を感じる人は世に多いのではないか。
 朝のうち、今年は読書で片岡義男を攻めてみるのはどうだろうと思い、彼の人となりや作品一覧を調べることから始める。ウェブ上の「青空文庫」には彼の12作品が並んでいるので、まずは無料で読めるこれからいこうと、12個のWORDファイルに落としてスタンバイをする。面白ければ他作品は古書市場から文庫本を買い求めようという算段だ。ほかにも、村上春樹もどうだろうかと思っている。

 2023年の外食始めは、富の中の「大阪王将山形南店」にて。3か月ほども間が空いていないけれども、元日から元気に営業していること、手元に餃子の無料券が2皿分あること、期間限定メニューがおいしそうだったことなどが理由となっての訪問だ。
 その期間限定メニューは、「幸福絶倒でれうまえびめし」で、その派生メニューの「とろとろ玉子のオムえびめし」790円に、通常290円する元祖焼餃子を無料で添えて。香り高いスパイス(カレー粉・豆板醤)を効かせた炒飯に、香ばしく焼き上げた大ぶりの海老ととろとろ玉子をトッピングしたもので、スパイシーなコク旨ソースが食欲をそそる大阪王将流の“えびめし”であるとのこと。
 思い出したが、えびめしは岡山のB級グルメで、山陽方面の車旅をした際に岡山県瀬戸内市牛窓の「キッチンかいぞく」で食べたことがあった。ごろりとした揚げ海老が5個。そしてこのクオリティの餃子がタダ! おいしくいただいた。

osaka ohsho y-south 20230102
(「大阪王将山形南店」のオムえびめし)

 午後になって、つれあいは1泊の予定で実家へと出かけて行き、ここからは自分一人の気楽な正月となる。本を手に取ったりするが、今日は寝正月でもいいかなと、大休憩と称して昼寝を貪る。極めて静かだし、部屋は暖かいし、心地よし。
 起き出してからは、さっそく片岡義男の「彼のオートバイ、彼女の島」を文庫本換算で40ページ読む。電子媒体の読み物は、年間読破冊数にはカウントしないことにしている。

 夜はアルコールの量をいつもの1.7倍、つまり缶チューハイを500+350mlの大小2本にして、12月30日にBS朝日で放送された「ワールドプロレスリングリターンズ」の年末3時間スペシャル「“燃える闘魂”アントニオ猪木~私たちに遺してくれたもの~」を一気に観る。
 次々に登場する猪木の対戦相手がすごい。ストロング小林、タイガー・ジェット・シン、ブルート・バーナード、キラー・カール・クラップ、ビル・ロビンソン、アンドレ・ザ・ジャイアント、ザ・モンスターマン、ボブ・バックランド、スタン・ハンセン、アブドーラ・ザ・ブッチャー、前田明、ハルク・ホーガン、長州力、ブルーザー・ブロディ、藤波辰巳、天竜源一郎、ビッグバン・ベイダー……。全身全霊でこのような極悪で大きな相手に立ち向かっていく猪木が神々しく、見ていて泣きたくなるぐらいに感動する。これだけの名場面を集めて放送してくれたテレ朝にも大きな拍手を送りたい。
 飲んで、観て、満足したあとは、インスタントのトッポギとカップ焼きそばで腹ごしらえをする。こんなもので十分だ。

inoki 202301
(アントニオ猪木)

 寝る前には、「もっと秘境駅へ行こう!」を60ページ読む。
 身近な秘境駅として、奥羽本線の大滝駅(山形県)が載っていた。山形・秋田県境に近い及位駅の一つ手前らしいのだが、ずっと山形県に住んでいてその駅を知らないでいた。1912年に信号所として開設されたが、その後林業の衰退で人々が離れ、1975年の集中豪雨で駅周辺の人家が埋まるということがあり、山形・秋田両新幹線の開業でこの地の列車交換機能も不要となって、秘境駅になったという。旧駅舎は1968年築。2010年以降は新駅舎に変わっている。
 仙山線の八ツ森駅も。仮乗降場で、1年を通してまったく列車が停まらない、到達難易度の高い駅なのだそうだ。

ohtaki st 200806
(奥羽本線の大滝駅の旧駅舎)

 24時前頃には眠りへ。

2023.01.04 20230103 火
 いつもどおり目覚めたものの、ベッドの中でしばらくくすぶって、7時半起床。前夜多めに飲んだことで眠りが浅くなったのと、家に一人なのでつい気が緩んでいるということもある。外は積雪のため白々、寒々とした冬景色になっている。

 午前中は、箱根駅伝の復路を横目で見ながら、「彼のオートバイ、彼女の島」を読む。この日はこれを80ページ。

kawasaki650RS 02 1973
(主人公の橋本巧(コオ)が乗っていた「カワサキ650RS W3」。1973年発売)

 昼の一人外食は久しぶりで、4か月ぶり3訪目となる飯田西の「きのくにや」で肉そば(冷)とミニカレーのセット850円を食べる。
 肉そばは、小さめのどんぶりで供されるため、これ1品では不足。しかし味はよく、テイクフリーの揚げ玉を多めに加えればその香ばしさも手伝って、ついズバズバとあっさり啜り上げてしまった。
 おっと、カレーも食べなきゃ。ミニにしてはごはんが多めのためルーが多いとは感じないが、びろんとした豚バラ肉が数枚入っていて、業務用の本格スパイシーな味わいも悪くない。
 セットでちょうどいい感じ。選べるミニ丼は、やっぱり前回食べた天丼か、かき揚げ丼あたりのコスパが高いかもしれない。

kinokuniya 20230103
(「きのくにや」の肉そば(冷)ミニ丼セット)

 午後は、「もっと秘境駅へ行こう!」を50ページ余り読んで読了。
 巻末には前作の「秘境駅へ行こう!」を読んだ原武史の「列車が停まらぬ駅がもつ「近代日本の記憶」」(「論座」2001年10月号掲載)が引用されている。原はそこで、なぜ秘境駅に惹かれるのかということについて、「ただ、都会の雑踏を逃れて一人だけになりたいからとか、駅の周りに手つかずの自然が残っているからだけではないだろう。著者の動機を私なりに言い換えれば、そこには鉄道の黄金時代であった近代日本の「記憶」が、ひっそりと刻まれているからではないのか。……駅に残された一つ一つの「遺跡」に注意深く眼を向けることで、かつてその線が栄華を誇っていたころの風景に、著者の想像力は確実に届いている。……本書は単なるきわもの趣味の本ではない。ローカル線の廃止がますます進み、全国が新幹線や道路だらけになったときにこそ、本書の真の価値が明らかになるに違いない」と記している。

 夜は、映画「網走番外地 南国の対決」を途中まで観る。1966年制作のシリーズ第6作目で、あらすじはワンパターンだが、背景にアメリカ治世下の沖縄の様子が窺えて興味深い。世良利和著「沖縄映画大全」(ボーダーインク 2008)によれば、沖縄で本格的なヤクザ映画が撮られたのはこれが最初で、照屋林助、森田豊一、神谷義武といった地元役者が無名のチンピラ役で登場する程度だという。

abashiribangaichi nangokunotaiketsu 1966 (映画「網走番外地 南国の対決」)

 本は、「短篇ベストコレクション 現代の小説2008」を80ページ。
 麻布十番の「味六屋」には、鰹が入ったと報せると欠かさずタタキではなく刺身を食べにくる常連がいる。彼は和歌山の鰹が最高で、食べればその味がわかるという。主人の銀次はそれを食べさせるため、女将の女房とともに出かけるのだが……という、柴田哲孝の「初鰹」。
 15年前に人を殺し指名手配されて逃亡を続けているかつての同僚女性の時効成立の日が迫るなかで、ある事情がヒロインを追い詰めてゆく、新津きよみの「その日まで」。

 24時前頃には就寝。

2023.01.05 20230104 水
 7時前起床。2~3cm程度のさらりとした積雪。年末年始休暇が終わり、世の中が正常化しつつあることを喜ばしく思うが、自分が現役だった頃はああまた仕事が始まるのかいやだなと、真逆のことを思っていた。1月4日は1年のなかでの三大出勤ウンザリ日のひとつだった。残る2日がGW明けと盆休み明けであったことは言うまでもない。
 仕事を持っているときは、旅はそれらの長めの休暇を利用するしか方法がなかったものだが、今では敢えて混雑するその時期をはずして出かけられるようになっている。これはシアワセなことだ。
 外食の昼食もそうで、土日は混雑しそうなところには近寄らず平日に狙うし、平日でも12時から13時過ぎの繁忙タイムには入店しないことにしている。そうすることで、同じ値段で寛いで食べられるし、時間のない人たちの邪魔にもならない。

 その昼食は、1年10か月ぶりとなる山寺の「美登屋」にて。冬期間のみ提供される青竹手打ちラーメンの中から味噌ラーメンの大盛り800+100円をチョイス。
 やや不ぞろいの手切りで、くねくねの形状になるまでしっかり手もみされた青竹手打ち麺が秀逸だ。オールシーズン提供してほしいが、これを通年で毎日一定量つくるのは大変なのかもしれない。この極上麺はぜひとも大盛りで食したい。
 麺だけでも十分な価値があるのに、でっかくて厚いチャーシュー、長い穂先メンマ、浅茹でのキャベツ、たっぷりの新鮮な白ネギの4点が勢揃いしたトッピングもいいし、やさしいながらもコク深い味噌スープのデキも格別で、まったく穴のない一杯に仕上がっていた。雪の山寺まで赴いた甲斐があったというものだった。

mitoya 20230104
(「美登屋」の味噌ラーメン)

 今日は東京証券取引所の2023年の大発会だったが、ほぼ全面安の、かなりの低水準からのスタートとなった。下げれば買うので低価格の買い3本があっさり約定し、今年の日本経済はどうなるのだろうと不安にもなる。当面は劇的な上昇は望めない反面、逆にびっくりするほどの下げもないだろうと予想するのだが、さて、どうなることか。

 夜の録画視聴は、昨晩観た映画「網走番外地 南国の対決」の続きから。復帰前の沖縄の、守礼門前、むつみ橋通りの水上店舗、当時琉球政府の建物があった現在の沖縄県庁付近、通堂の那覇港、英字看板が横溢するコザのゲート通り、塩屋のウンガミで行われたものと思われるハーリー競漕などが見られた反面、照屋林助などの沖縄のキャストはヤクザとの格闘時にちらりと出る程度でがっかりなのだった。

shioya ungami 20010909
(22年前に見に行った「塩屋のウンガミ」 2001.9.9)

 この日の読書は、「彼のオートバイ、彼女の島」を80ページ。
 バイク小説、ツーリング小説というジャンルがあるのであれば、まさにそう呼ぶのがふさわしい青春小説。
 「さきを走るミーヨが、Rの大きなカーブにさしかかろうとしている。腕や肩から、きれいに力が抜けている。RDと一体になり、脚と腰は、RDと分かちがたく溶け合っている。」(本文から)
 RDとは、ヤマハRD250のことだ。さらりと書かれているが、こういう感覚なり一体感というものの神髄は、実際に風を切ってバイクに乗っていた者でなければわかるまい。
 自分も自動二輪中型で武蔵野の山間を走っていた人間なので、こういうものを読めば今になってもバイクで走る爽快感や、あの時代に走りながら考えていたことが甦ってくる。無邪気ないい時代だった。

yamaha RD250 1973
(ヤマハRD250 1973年初期モデル)

 「短篇ベストコレクション 現代の小説2008」は90ページ。
 作者が悦に入って描いている脈絡のない文章が、興味のない落書きを無理やり見せつけられているようで、なぜこの凡作がこのオムニバスに取り込まれたのか首を傾げざるを得ない、森見登美彦の「蝸牛の角」。
 宇宙空間で消息を絶った無人探査機を単身で追う主人公の孤独感や、惑星の不可解な地表成分によって引き起こされる驚愕などが描かれるSF作品の、堀晃の「渦の底で」。
 記憶から消えている小学生時代の思い出を取り戻そうと、卒業後25年ぶりの同窓会に出席すると、当時互いに心を寄せていたクラスメートのみっちゃんと邂逅する。そのことで記憶は徐々に甦ってくるのだが……という、衝撃的な結末で締めくくる飯野文彦の「蝉とタイムカプセル」。

 読み足りず、夜には新たに「愛しの座敷わらし 上」(荻原浩著、朝日文庫、2011)を開き、30ページ。
 枕灯を消したのは25時近くとなる。

2023.01.06 20230105 木
 7時起床。外は新たな降雪がありうっすらと雪化粧をして寒々としている。朝食中、こんな日は外食に出かけるのも気が乗らないねという話になり、昼食は家でパスタにすることが早々と決まる。
 モノカキ、ブログの更新作業、この日の株式投資の仕込みと進めて、あとは気楽な読書態勢へと移行する。そうしている間にも雪は降り続き、気温はちっとも上がらない。

 まずは「彼のオートバイ、彼女の島」から始め、80ページ読んで読了。爽やかな読後感があり、読んでよかったと思わせてくれるいい作品だった。
 ところで、当方が学生時代に乗っていたバイクは、SUZUKIのGS400Eだった。空冷2気筒のDOHC。当時は新車価格で40万円程度のものをローンを組んで買い、ヒーコラとバイトをしながら返済したことを覚えているが、今ではこれの中古価格は260万円するらしい。

suzuki GS400E 1978
(わが愛車だったSUZUKI GS400E(1978年型)。星型ホイールが新鮮だった)

 それからの午前中は、これまでそのときどきに随意につくってきた画像のサイズや文学書のWORDへの落とし方について、自分なりのルールが必要だという思いが強くなっていたので、このたびそのレギュレーションを明確にし、一つの表としてまとめる。

 昼食は自宅パスタ。海老と茸のトマトクリームのパスタであるとのことで、キャンベルのトマトクリームスープを使い、海老・茸・ベーコン・タマネギ・牛乳を足してつくったとのこと。おいしかったが、コスト無視かつボリューム満点の上に、スナップえんどうなど具だくさんの卵スープやポテサラまで添えられて、この日も食べ過ぎ傾向が続くのだった。

house lunch 20230105
(昼食は自宅で)

 午後から夜にかけての読書は3種。
 「沖縄を語る2 次代への伝言」(沖縄タイムス社編、沖縄タイムス社、2020)を読み始めて60ページ。
 沖縄タイムスの大型インタビュー企画として、2015年6月から16年11月にかけて沖縄タイムス紙に掲載されたもの(第21~40回)を、第2弾としてまとめたもの。2020年11月の発行だが、古書市場で値ごなれするまでずっと待ち続け、1,600円+税を送料込み685円で購入したもの。なお、2016年6月発売の第1巻のほうは、2017年に読んでいる。
 この日は、ミュージシャンのジョージ紫、役者の北島角子(2017年4月逝去)、元プロ野球投手の安仁屋宗八、写真家の石川真生、沖縄愛楽園自治会長の金城雅春の5人のところ。全員既知の人物でもある。

george murasaki 201704  aniya souhachi 196604
(ジョージ紫(2017.4 左)と安仁屋宗八(1966.4))

 「短篇ベストコレクション 現代の小説2008」を60ページ読んで読了。
 音楽に熱いハートを持つジャズバンドの熱気、苦難、栄光などが、30年もの時を超えて次世代によってドラマ化されるという、時間空間の配置が見事な、小路幸也の「唇に愛を」。
 今手元になく、高額に評価されるものを探してほしいというテレビ番組の企画が持ち込まれるところから前ぶれなく怪異譚へと移行していく、その前後のアンバランスが釈然としない、高橋克彦の「私のたから」。

 昨夜に読み始めた「愛しの座敷わらし 上」を60ページ。
 食品メーカーに勤める一家の主・晃一の左遷から、田舎の古民家に引っ越した高橋家。夫の転勤に辟易する史子、友達のいない長女・梓美、過保護気味の長男・智也、同居の祖母は認知症かも知れず……しかもその家には、不思議なわらしが棲んでいた。笑えて泣ける、家族小説の決定版。(カバー背表紙から)というもので、自身としては荻原浩作品の4冊目。読み口は中学・高校生レベルで軽快そのものだ。初出は2008年で、文庫化の際に2分冊になっている。

 雪の降る寒い冬の日はどこにも出ずに本でも読んでいるに限る。今日はずいぶんページ数を稼いだし、家の外には一歩も出なかった。体を動かすことといえば、15分程度のストレッチをやっただけ。この程度ではどんどん体力が衰えていくのだけどな。
 25時頃まで読み、就寝。

2023.01.07 20230106 金
 7時就寝。新たな積雪はほとんどないが、気温が低いためほとんど融けない寒い朝だ。
 今朝の株式市場は動意に乏しく、今日は「見」で終わりそうだと予測したが、そのとおりになった。

 片岡義男の「波乗りの島」(1979)を読み始める。この日はこれを40ページ。
 片岡作品が相次いで発売されて時代のトレンドとなった頃が、思い返せば自分の大学生時代、つまりは青春時代と重なる。したがって、主人公の頭の中や次にとる行動がある程度わかるので、読んでいて面白い。今作はサーフィンの話だ。自分はやらないけど。

 片岡作品に触発されて、当方がバイクに乗っていた当時の写真を久しぶりに見てみた。住んでいたアパートの前で愛車にまたがる自分。今よりもずっと細身の体と、春風に煽られるバクハツ頭。元気のいい時代が自分にもあったということだ。
 多摩川堤防近くの、畑と鉄塔と空き地しかないどんづまりの場所。新築物件だったアパートは現存しているが、今では周辺にびっしりと民家や集合住宅が建っている。蛇足だがこのスナップは、当時付き合っていた彼女が撮ったものだ。その女性は現在、当方の妻となっている。

tama 02 1981
(1981年、東京都多摩市にて)

 昼食は、連日満たされっぱなしのこの頃のため、あれが食べたいというこだわりが湧いてこない。それではと、つれあいの買い出しに付き合うついでに、2年ぶりに「ひまわりヤマザワ成沢店」にて。
 みそラーメンとミニカレー、380+180円。野菜たっぷりで味噌の風味がいいのだが、残念ながらチャーシューやメンマはカットされている。カレーには牛スジが入り、スパイシーでおいしい。そしてとにかく安い。
 小さい子供を連れた買い物途中のお母さん、コスパにつられて散歩がてらやってくる年金生活者、外回り中の腹ごしらえに寄った営業風などが見られるのだった。

himawari nrsw 20230106
(「ひまわりヤマザワ成沢店」のみそラーメン+ミニカレー)

 夕刻には、予約を入れた歯医者へ。一昨日の夜、歯を磨いているときに、左下奥歯の詰め物が取れた。これを再度詰めてもらいたいと思って出かける。
 その部分はあっさり終わる。しかし、数か月前から欠け始めていた右上の歯は放置できないとして、たちまちガリガリと削られてしまった。削ったあとは数日化膿部分の様子を見て、その後には義歯をつくってボルトで歯茎に固定するのだそうだ。今後何度か通院が必要になりそうだ。

 夜も普段どおりで、飲みながら録画を観たり、飲み終えたら本を読んだり。
 「沖縄を語る2 次代への伝言」を50ページ。島唄歌手の大工哲弘、「放送人」上原直彦、大田昌秀知事時代の副知事・吉元政矩、直木賞作家の又吉栄喜のところで、よく知っている人ばかり。大工のCD、上原の著作とブログ記事、又吉の作品はいずれもほぼ全部聴き、読んでいる。
 「愛しの座敷わらし 上」も50ページ。読み口軽快なのはいいのだが、軽すぎて読む醍醐味が少ないともいえる。面倒くさい読者でスミマセンね。

naminorinoshima futaba 1998  okiokataru2.jpg  itoshinozashiki1.jpg
(この日読んでいる3冊)

 23時半頃には就寝。

2023.01.08 20230107 土
 7時半までベッドにいて、それからようやく活動開始。毎日のことに加えて土曜日恒例の一週間分録画セットをして、朝作業終了。
 寒いし、格別の用事もなく、すぐにやるべきこともないので、よーし、今日もたっぷり読書といこう。働いていた時代には、一日中本を読んでいられる日がしばらく続いてくれないものかと幾度も夢想したものだが、今になってようやくそういう日々を易々と送れるようになっている。仕合せなことだと思っていいのではないか。

 まずはデジタルソースの「波乗りの島」をパソコンのモニターで読む。空白・改行つぶしや、時には送り仮名の削除などをしつつ手を動かしながら読むので、それなりに時間がかかる。午前中のうちに40ページ。
 ハワイの風景や、日系男性の主人公、その若いサーファー友達などが、片岡作品には常に漂う一種の気取りとともに描かれている。
 昨年3月で仕事を辞したつれあいが、ハワイに行きたがっていることを思い出す。これまでなかなか縁のなかったハワイだが、観光地のワイキキビーチのようなところばかりではなく、ハワイに住む人々の生活に一定程度迫れるミドルステイのような滞在ならいいかもしれないと、これを読んで思う。いずれにしても、コロナ禍や過剰な円安が過去のものになってからのほうがよさそうではあるが。

hawaii surfin 202301
(ハワイは波が違うらしい)

 昼食は自宅で焼きそばを食べる。外で食べるものよりも野菜類がぐんと多い。つくり手によれば、投入している麺の量よりも野菜が多いとか。おっとっと、青海苔かけ過ぎじゃん。紅生姜はあるだけすべて添えてしまおうではないか。やや薄味なところはオタフクソースを追いがけして、庄内のソース後がけ焼きそばみたいだ。
 今日もおいしい昼メシを食べた。

house lunch 20230107
(昼メシは自宅で焼きそば)

 午後からは「沖縄を語る2 次代への伝言」を50ページ。
 沖縄喜劇の女王・仲田幸子の舞台は那覇まつりなどで何度か観て面白く思い、今はなき「仲田幸子芸能館」にも潜入して孫の仲田まさえとお話ししながら飲んだこともあった。
 写真家の山田實(2017年5月死去)は、写真集「山田實が見た戦後沖縄」(琉球新報社編、琉球新報社、2012)を、感銘を受けながら見た。2010年1月から11年3月まで、琉球新報文化面に掲載された連載「山田實が見た戦後沖縄」(35回)をまとめたものだった。
 円谷プロで活躍した脚本家の上原正三(2020年1月死去)は、ウルトラマンの生みの親の金城哲夫を追う中でよく登場したので名前は知っていたが、上原本人の語りを読むのは初めてだ。
 沖縄芝居役者の吉田妙子は、本土資本の沖縄関連の映画やテレビドラマに沖縄のオバア役として必ずと言っていいぐらい頻繁に顔を出している。NHKの朝ドラ「ちむどんどん」にも出ていたが、彼女の口から飛び出すウチナーグチが、登場シーンを圧倒する。

nakada sachiko 202005  yoshida taeko 02 2022
(仲田幸子(左)と吉田妙子)

 夕刻からは「愛しの座敷わらし 上」を読み、夜に寝入るまでに150ページ余り読んで読了。
 「上」は、田舎の古民家に引っ越してきた家族5人のうち、小学4年生の智也と認知症が始まりかけた澄代バァバの2人には座敷わらしが見えて、少しだけコミュニケーションが生まれてきたところで終わっている。「下」がどう展開していくのか楽しみだ。
 荻原浩の文章は、丁寧で、さっぱりしていて、とにかくわかりやすい。風景や情景、それらを見て登場人物が思ったことなど、すべてがきちんと表現されてしまっているので、読み手がそれ以上自分の頭でイメージを膨らませていく必要がない。したがって、別の言い方をすれば、ある意味退屈と思えてしまうところがある。

 飲んだあとはしばらくの間、この地域の飲食店情報の収集に充てる。これだけ連日外食をしていても、まだまだ知らない店は多い。
 24時過ぎまでパソコンと相対し、ベッドで本を読んで、25時過ぎに消灯。