fc2ブログ
2023.09.01 20230831 木
 尿意があり、2時台に一度起きる。また始まったか、尿管結石。この3日間、前立腺肥大の症状を緩和させる薬を飲まないでいた。この薬は、出したほうがよいなら出しましょうと、医師が必要性を認めていないような口ぶりで言っていたものなので、いったん中止してみたわけなのだが、この薬にはそれなりの薬効があることがわかった。
 今日の予想最高気温は38℃。これが現実となれば、今季最高となる。
 月末だからか、今日はいろいろと活動する予定がある。

oki-img 1312 irabuohashi
(okinawa-image 伊良部大橋)

 起きてすぐのモノカキから始めて、今朝の東京市場をウォッチ。1銘柄を売って今日も小利益。8月ひと月の取引状況は次のとおりとなった。
 日経平均が前月末比で1.67%下落したのに対し、自己資産額(取引に充てている全体額で、保有株式時価総額+買付余裕資金)は1.03%の増と善戦し、引き続き最高額を更新中。
 発注単位ベースでは、買い19に対して売り22と売り越し、金額ベースでもわずかながら売り越しとなり、保有株式時価総額は5か月連続の減少、逆に買付余裕資金(=手元資金)は5か月連続の増加となった。なお、今月に買った19ユニットのうち12ユニットは、すでにわずかずつの利益を出して売却済みで、レンジ相場にうまく乗っているといえようか。
 この結果、買付余裕資金は全体の62%強となり、多くの資金を市場から引き揚げている格好となっている。この形であれば、大儲けはできないが、相場の落ち込み局面があった場合でも大損はある程度は避けられるし、その際には再投資に好都合な局面が得られるだろう。今のわが身の置かれている環境に照らせば、これが相応な形かもしれない。

 午前中、山形市のプレミアム電子商品券「べにpay」の抽選結果を確認する。申し込んでいた3万円(利用可能額37,500円)は全額当選し、すぐにカードで支払いを済ませる。明日9月1日から利用できる。
 また、9月からは上山市でも、QRコード決済サービスを使って20%割安で買えるキャンペーンが始まる。今回から楽天payも使えるようになったので、金額をチャージしてスタンバっておく。

 昼はカレーを食べたいと思い、吉野家もいいのではないかと、西田の「吉野家山形西バイパス店」へ。から揚げスパイシーカレー+サラダセット、624+206円=830円。アレマ、吉野家なのにこの立派な価格!
 27種のスパイスを使った玉ねぎとチキンブイヨンの深い旨味が特徴だというカレーは、具こそ見えないけれどもカレー香辛料をしっかり効かせたものになっていて、標準レベルを上回って美味。
 大きいサイズ2個の唐揚げは、揚げ立てが供されて熱々なのはいいのだが、トッピングなしのカレーよりも209円高く、コスパはよくない。これにサラダと味噌汁を付ければボリューム的には十分なものとなる。野菜をたっぷりとった気になれるし、岩海苔風味の味噌汁もここだけ感があっておいしい。思いのほか質感の漂う、いい昼食になった。

yoshinoya westBP 20230831
(「吉野家山形西バイパス店」のから揚げスパイシーカレー)

 午後は、月末恒例となっている母との面会のため、入院中の病院へ。母がこの病院に入院したのが昨年の9月27日だったから、あれからもう11か月が経っている。
 コロナの頃と変わりのない15分間のリモート面接。モニター越しの母の口から出るのは「おもしろくない」「もっといい病院に入れてほしい」「助けてくれ」「早く天国に行かせて」といったネガティブなことの連発で、これでは四六時中近くにいる看護師などにはたまったものではないだろう。もっと楽しく、にっこりしていたほうがいいよとアドバイスするのだが、面会者の話などは馬耳東風だ。不満や文句ばかり言っているような人は天国には行けなくなるぞと皮肉の一つも言ってみるのだが、聞く耳を持たない人には意味のないことだったと反省する。
 看護師によれば、食事もとれているし夜も眠れているので、入院当初よりはずっと落ち着いている、また、同部屋の患者たちとの軋轢はないとのことで、まずは一安心だ。

 今日から、はるき君3連戦が始まる。夕方、2日ぶりににこにこでやって来て、つれあいのつくった炊き込みご飯には興味を示さず、ジュース、ゼリー、果物などを好んで食べている。ずいぶんお話が上手になったし、歌もうたうし、大好きなテレビは仁王立ちになって数分間びくともせずに見ていることもある。
 迎えに来たパパにお相伴して、当方も今夜は炊き込みご飯とイカフライを食べ、飲酒は休み。夜には炭水化物と飲酒は両立しない身体になっている。ふと思うが、「血液検査の前日」などの他動的要因によるものを除き、自主的に飲酒をしなかったのはものすごく久しぶりだったのではないか。

 読書は、「旨いものはうまい」を80ページ余り読んで読了。これが8月、17冊目の読了本となった。このクソ暑い夏の時期、これだけの冊数をしっかり読めたことは好成績といっていい。まあ、読書のほかはほとんど何もやっていないとも言えるわけだけれども。
 「東北のたべもの」の項では、北国の蕎麦のことを褒めていて、このうち山形県の酒田では、ここでしかつくれないものとして「剥(へ)き蕎麦」について書いているが、これは「むきそば」のことだろうか。蕎麦の実を剥いて茹でたものにだし汁をかけて食べる酒田の郷土料理だ。だが、学生時代東京に下宿していた折、亭主の故郷の徳島で食べるものだという「そば米」を、おばさんが食べさせてくれた。これも蕎麦の実をそのまま使った料理だったと記憶している。
 「私の食物誌(抄)」の項では、海をそのまま口に含むような広島の牡蠣、粕漬・味噌漬にした新潟の筋子、粕汁や煮締めと合わせて味わう大阪のかやく飯、塩や糠で漬ける京都の漬物、大ぶりで皮が薄い横浜中華街の点心、匂いやコクが素晴らしい北海道の牛乳、鱒の姿鮨をはじめとした信越線長岡駅の弁当など、いくつもの旨いものがずらりと並んで紹介されているのだった。

mukisoba 20230831  sobagome 20230831
(酒田の「むきそば」(左)と徳島の「そば米」)

 もう1冊、「短篇ベストコレクション 現代の小説2004」を60ページ。
 唯川恵の「桜舞」は、居住地の隣に高層マンションを建てる計画が明らかになり、反対運動に駆り出される、5年前に夫からの強い要請で離婚した女性教師。思い出したくない過去が、周辺で再び動き出し……という、筆力のある作品。
 伊集院静の「やわらかなボール」は、熟年期にさしかかった男性の新たな出発を描いたもの。当方も見たサンフランシスコの金門橋と天草諸島の2景が、背景としていい流れをつくっている。

 予報どおりとなり、38.2℃を記録して、今季最高。でも、夜になれば耐えられなくもないあたりに、秋の気配が感じられる。明日の予報も38℃で、いささかウンザリではあるが。

shitamachiyabusaka oki

   集英社文庫  740円+税
   2022年4月30日 第1刷発行

 沖縄モノとして買った本。池永陽作品を読むのは、「でいごの花の下に」(集英社刊、2005)に次いで2作目になるでしょうか。
 浅草の診療所医師・真野麟太郎は、ご近所から大先生と呼ばれ頼りにされている。ある日、美咲と名乗る娘が訪ねて来て、麟太郎が父親だと告白。美咲の母・律子が言い残して失踪したという。かつて、律子と親しかった麟太郎は、母娘が心配になり沖縄へ向かうが……。
 真野家の居候で武闘派女子高生の麻世を相棒に、律子捜しに奮闘する大先生。隠し子騒動から難病まで、患者の心と体に寄り添う医師の人情物語。(カバー裏表紙から)

 2020年12月から22年1月にかけて、「web集英社文庫」に配信されたものを加筆修正して、単行本を経ずに文庫化されたものであるとのこと。ふーん、そうか、こういうところをうまく使ってタダ読みするという方法もあるわけだな。
 さっそくそのウェブページを覗いてみると、「よみもの・連載」のページにけっこう面白そうなものがあるではないか。「下町やぶさか診療所」も現在その第4話が連載中。よし、それではブックマークして、今後活用することにしようっと。
 なお、「下町やぶさか診療所」は2018年からシリーズとして文庫化が始まっていて、当著作は「下町やぶさか診療所」、「下町やぶさか診療所 いのちの約束」に次ぐ3作目となっています。
 ちなみに著者は、1950年愛知県豊橋市生まれ。グラフィックデザイナー、コピーライターなどを経て、1998年「走るジイサン」で小説すばる新人賞受賞しています。

 作中には、沖縄の屋我地島にあるハンセン病療養施設「沖縄愛楽園」が出てきます。無知によることとはいえ国家が犯した大きな人権侵害がテーマの一つになっていて、エンターテインメント小説でありながら、深みのある内容にもなっています。

(2023.6.18 読)

2023.09.02 20230901 金
 5時45分起床。関東大震災発災から今日でちょうど100年。9月になったがまだまだ暑い日は続くようで、山形の予想最高気温は38℃。気温さえ上がらなければ、日程としてはわりと落ち着いた一日になりそうだ。

 カキモノを終えて、投資に向けてのひと作業をしたあとは、WORDの「軍都と色街」を40ページほど読む。海軍の軍都として栄えた青森県大湊のところ。

ohminato st 20210712
(JR大湊線「大湊駅」 2021.7.12)

 猛暑でもあり絶好の冷やし肉そばデー。ところが、勇んで「そば処さくら」に伺ったところ、開店時刻を過ぎているのに準備中。これではカスタマーサービスという点で問題ありではないか。炎天下、外で待たされるのはたまったものではなく、じゃあまたということで、近くの「肉そばまると」へと場所を変える。こちらはきちんと営業していて、すでに多くの客で賑わっている。
 肉そば(冷)の大盛り、800+120円。ここならこれになっちゃうよナ。半年前の前回も同メニューを食べてインプレを書いたので、今回は語らず。おいしいことは画像で伝わるだろう。カテゴリーでいえば、黒色田舎蕎麦の、つゆやや甘めあっさり、鶏油しっかり系。

maruto 20230901
(「肉そばまると」の肉そば(冷))

 暑さがうなぎ上りとなった午後は、はじめから白旗を上げて、涼しい居間に本を持ちこんで読書と昼寝を貪る。こういうブチクンの日々はあとどのくらい続くのだろうか。
 この日最高は36.3℃どまり。昨日よりはだいぶ低いので、暑くて死にそうというほどではない。そう感じるのは、ただ身体が暑さに適切に反応することができなくなっているだけのことなのかもしれない。

 夕刻には、昨日に続いて孫が来襲。パパが迎えに来るまで楽しそうに過ごしていった。明日の午前中も来る予定で、それで彼との3連戦、一週間に5回の顔合わせが終わってしまうのは寂しい気もする。

 紙媒体の読書は、この日も2冊。
 「短篇ベストコレクション 現代の小説2004」を70ページ。
 野坂昭如の「誰よりも妻を――」は、長年結婚生活を送ってきた夫が、目にとまった妻の言動を次々に開陳していくという変わった作品。句点がほとんどなく、読点で長々とつないでいるが、それが文章としてのリズムを醸すまでに至っていないところが惜しい。野坂は今年で93歳だ。
 江國香織の「そこなう」は、38歳の女性の心中を描いたもの。15年の不倫生活の末に晴れて年上の男性と結ばれるのだが、待ち過ぎた末に訪れる皮肉な心理とは。香織は江國滋の娘。
 角田光代の「サイガイホテル」は、お得意の旅モノ。東南アジアへの放浪で安宿に落ち着いたものの、隣室の男女の策略にはまり、デイパックを持ち逃げされてしまう――という顛末。

nosaka akiyuki 201512  ekuni kaori 201910  kakuta mitsuyo 201904
(左から野坂昭如、江國香織、角田光代)

 新たに「歴史の舞台―文明のさまざま」(司馬遼太郎著、中公文庫、改版1996)を読み始めて40ページ。
 憧憬の西域、天山山麓の大草原に立って、宿年の関心であった中国周縁にひろがる地と人々の歴史と風貌、遊牧と農耕の暮らし方を語る「イリ十日記」や「古朝鮮の成立」「倭の印象」など、中国・朝鮮・日本を連関して観ることから普遍文明について地球規模で考察する雄大なエッセイ集。(カバー裏表紙から)――というもので、このテーマで書くのであれば書き手は彼しかいないだろうと思われる、司馬のツボにはまった作品。
 巻末の掲載書誌一覧から、1974年から83年にかけて、週刊誌などに掲載された14編で構成されていることがわかる。
 はじめの「天山の麓の緑のなかで」では、ジュンガル盆地の歴史と盛衰に思いを馳せ、13の多彩な民族がそれぞれ民族としての誇りを失わずに共存している新疆ウイグル自治区の主邑ウルムチを訪れ、様々な思索をめぐらせている。

4jigenonsen.jpg

   ちくま文庫  720円+税
   2015年1月10日 第1刷発行

 宮田珠己作品を読むのはこれが11冊目となります。

 風呂嫌いの宮田クン、ついに温泉に行く。熱すぎる湯を水でうめるのはなぜいけない? 家にも風呂はあるのにわざわざ出かける理由がよくわからない……。風呂なのに体を洗い流さないって???――温泉を巡る謎は深まるばかり。しかし迷路のような温泉旅館はアトラクション感あふれる異次元ワンダーランドだった! 日本の名湯につかる、珍妙湯けむり紀行14篇。(カバー裏表紙から)

 これ、なかなか面白い。タマキングのものの考え方や文章力がいい方向に作用していると思う。彼の作品群のなかでも上位に入るものなのではないか。あまりに面白いので、つれあいにも勧めたところ、彼女も読んでけっこう楽しめたようでした。

 取り上げられている温泉旅館名はアルファベットで記されて具体名は伏せられていますが、読んでいてなんだかすぐにでも行ってみたくなるようなところばかりです。でもまあ、そこに泊りたいか?と問われれば、中には古過ぎたりボロ過ぎたりしてうーむ……と言わざるを得ないようなところもあったりするのですが。

 旅館名ではなく温泉名だけを目次から拾うと、行きも行ったりという感じ。(笑)
 三朝温泉(鳥取)、伊勢市古市(三重)、湯の峰温泉(和歌山)、奥那須温泉(栃木)、四万温泉(群馬)、花巻南温泉(岩手)、日景温泉(秋田)、微温湯温線(福島)、東鳴子温泉(宮城)、瀬見温泉(山形)、伊豆長岡温泉(静岡)、湯河原温泉(神奈川)、別府鉄輪温泉(大分)、地獄温泉(熊本)、霧島温泉(鹿児島)、地獄谷温泉と渋温泉(長野)、下呂温泉(岐阜)

 温泉は服を脱がなければならないので面倒臭いとして全く興味がなかった著者が、昔勤めていた会社の元上司とコピーライターのおっさん二人から誘われて温泉巡りをしているうちに、古くからある湯治場の独特な風呂世界を体験するのが楽しくなり、すっかり温泉好きになってしまっているのが可笑しい。

 「解説」を担当した新保信長氏(フリー編集者)も、これぞキング・オブ・温泉旅であると絶賛しています。

(2023.6.21 読)

2023.09.03 20230902 土
 6時起床。早朝の室内温度は27℃台まで下がっていて、近時としてはすこぶる快適。前夜のうちに示されていた35℃の今日の予想最高気温が、今朝の段階で33℃に変わっていることは、実に喜ばしい。

 9時前に長男と孫が来宅。用事があるという長男はそのまま出かけ、残った孫はただちにジャムパンとめんこちゃんゼリーを催促し(カニカマはなぜかつれあいから却下されていた)、オレンジジュースとともに食べる。その後も昼ごはんまで待てず、せんべいをカリカリと食べ、イチゴオレを飲みながら遊ぶ。パパが戻ってからの焼きそばの昼食もそれなりに食べて、午後に帰るまでなんだかんだでずっと食べていたようだった。風呂場を見て急に、入るから服を脱がせてくれともじもじし始めたのがおもしろかった。

menkochan 20230902
(孫の好きな「めんこちゃんゼリー」)

 一週間のうち5日間を孫の面倒見に充てたつれあいを慰労するため、夕食は外で飲むことにして、4か月ぶり、夜に限れば1年1か月ぶりに、桜田西の「台湾料理紅四季山形店」へと赴く。ここは近くて安くておいしくてという、我々にとってスグレモノの店だ。
 夕刻であればこれが定番の、お酒セット1,080円。生中or日本酒1合or紹興酒1合に、28種の料理から2品を選ぶ仕組みで、この価格。二人で4品(油淋鶏、青椒肉絲、豚肉とキクラゲの玉子炒め、春巻)をセレクト。以前の注文品とかぶらないようにしたつもりだったが、結局4種すべてがかぶっていた。(笑)
 各皿の量がしっかりしているので、アルコールが加わればほかを注文することは不要。もう1杯ずつ飲み、二人で2,960円。飲んで食べて、お安く満足できている我々の日常は、それはそれでとてもステキなことだと思う。

koshiki1 20230902
(「台湾料理紅四季山形店」のお酒セット(一部))

 主体的に行った知的活動は読書だけだったか。
 「短篇ベストコレクション 現代の小説2004」を110ページ。
 瀬尾まいこの「眺めのいい場所」は、図書室準備室で毎日を過ごしている女生徒に給食を届ける中学生の少年の視点で語る、さわやか系の物語。幅跳びを中学生で7mは無理でしょ。
 岩井志麻子の「嫌な女を語る素敵な言葉」は、容姿も性格も真逆の仲よさそうな女性二人が、やがて悲劇的な末路をたどるという、凡人男性には理解できない女性心理の虚実を描くもの。
 東直己の「作り話」は、クリスマスの季節、4歳の息子がサンタクロースに2つの願いを託す。ひとつは補助輪のない自転車で、彼がサンタへの手紙だけに書いたもう一つの願いとは――。東の作品は「半端者」を入手済みだ。
 内海隆一郎の「キルトの模様」は、同族重視の大手の会社経営に不満を持ち退職、ナンバー2待遇で経営側に立った小出版社が倒産してしまった主人公。その苦境に新たな光明を射しかけたのは、これまでずっと思いを胸中に押し込めていた妻だった――という、“人生捨てたものではない”的にまとまった良作。著者は2015年、78歳で死去している。
 こうして読んでいると、この世には作家を生業としている人のすごく多いことがわかる。作家になりたい者や予備軍を含め、そのうちどの程度が作家として食っていけるのかと、こちらが心配になるほどだ。

seo maiko 201903  azuma naomi 201211  utsumi ryuichiro 1996
(左から瀬尾まいこ、東直己、内海隆一郎)

 ベッドでの精神安定剤として読む「歴史の舞台―文明のさまざま」を40ページ。
 ウルムチから飛行機でイリ(伊犂)に入ったところ。その項で司馬は、少年の頃から中国の少数民族が好きだったと書いていて、BC3世紀頃に匈奴が支配する地帯の北辺にいた「丁零(ていれい)」の中国音を中国語教師に質問したりしていたという。そしてその関心の根は、漢民族から蠕蠕、鮮卑といった差別的な感じを当てられて、北アジアや中央アジアをかけまわっている草原民族についての詩的感情だったろうとしているのだった。

 この日の最高は31.9℃にとどまった。こうなるとこの数日比較では涼しいので、久しぶりにセンプー機は3時間のタイマーにする。
 24時近く、就寝。

tokyobandwagon.jpg

   集英社文庫  552円+税
   2008年4月25日 第1刷発行

 「短篇ベストコレクション 現代の小説」シリーズで、「唇に愛を」と「明日を笑え」を読む機会があり、けっこうイケルのではないかと、初めて手にした小路幸也の文庫本。
 東京、下町の古本屋「東京バンドワゴン」。この老舗を営む堀田家は、今は珍しき8人の大家族。60歳にして金髪、伝説のロッカー我南人(がなと)。画家で未婚の母、藍子。年中違う女性が家に押しかける美男子、青(あお)。さらにご近所の日本大好きイギリス人、何かワケありの小学生までひと癖もふた癖もある面々が一つ屋根の下、泣いて笑って朝から晩まで大騒ぎ。日本中が待っていた歴史的ホームドラマの決定版、ここに誕生!!(カバー裏表紙から)――という、自分にとっては新ジャンルと言っていいホームドラマ系です。

 「東京バンドワゴン」は、2006年初出のこの作品からシリーズ化されていて、これまで19作ほどが世に出されているようです。本作が面白ければそれらを続けて読んでみてもいいかなという気になっていました。

 小路幸也(しょうじゆきや)は、1961年生まれで北海道旭川市出身の小説家。2002年に「空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction」によりメフィスト賞を受賞して作家デビューし、現在は江別市に住んでいるようです。

 読み始めてみると、すでにあの世へと旅立った一家のおばあさんの語りで書き進められていて、家族メンバーをはじめとした登場人物の紹介が長めに述べられていて、本筋に入るのはいつになるのかという感じ。
 面白いかと言えば、エンターテインメント小説なので面白いのですが、設定された家族の在り方がつくりものっぽく、亡くなったおばあさんの語り口調のタラタラとした感じにやや違和感がありました。

 うーん、これでは、たくさんある連作を読み続けるのはややしんどいかな。しばらく間を置いて、いずれまた考えてみることにしましょうか。

(2023.6.25 読)

2023.09.04 20230903 日
 5時45分起床。朝の室内温度は26℃台を示すまでになっている。まあ、日が高くなればこの程度では到底済まないのだが。

 涼しい朝のうちからしっかりと作業をする。涼しければニンゲン何でもできる!と、猪木のように叫んでみようか。書き上がっていた読後本インプレ5本をブログサーバへアップロードし、それとは別に3本のインプレを書き上げ、地震保険更新書類を作成する。
 ここまでやってようやく読むほうへと切り替え、WORDの「軍都と色街」を60ページほど読む。第3章の舞鶴のところ。第9章まで取り込んでいたが、「web集英社文庫」に第10章が加えられていたので、それもWORDファイルにコピーしておく。

maizuru 20190525
(「舞鶴赤れんがパーク」の向こうには海上自衛隊専用の桟橋があった 2019.5.25)

 猛暑が戻った午後からは、「短篇ベストコレクション 現代の小説2004」を140ページ読み、読了のはこびに。
 熊谷達也の「磯笛の島」は、昭和中期の能登、海女の島の過酷な労働現場を描くもの。海で妻を失い名古屋に出奔した主人公は、親に電報で呼び出され、半ば強制的に海女と再婚されられて……。鼻の奥が痛くなる読後感がある。
 筒井康隆の「空中喫煙者」は、80歳になる頑固老人が、タバコを吸うたびに空中に浮かぶようになったという奇譚。わずか6ページの、キレのある1作。
 池永陽の「三センチ四方の絆」は、清掃会社でアルバイトをする青年が、仕事先で私物のデジカメの画像を盗み見したことから始まる。仕事でタッグを組む50がらみの同僚の設定が効いている良作。
 草上仁の「セキュリティ・プロフェッショナル」は、幕末期の日本を想起させる国に職を見いだした55歳の似非セキュリティ専門家を主人公に据えたSF。この齢になってこういう奇抜な設定の読み物についていくのは大変なことだ。
 川上弘美の「えいっ」は、裁縫箱をモチーフとした1編。2つ年上の女友達が言葉の最後につけるえへへへという笑いが妙に記憶に絡みつく。

kumagai tatsuya 202103  ikenaga you 202005  kawakami hiromi 202109
(左から熊谷達也、池永陽、川上弘美)

 午前中こそよかったが、午後からの気温の上がりようは空に向かってアッパレ!とでも言いたくなるようなもので、午後遅くに34.2℃までいった。
 夜も暑く、気分はだらけたまま。飲みながら録画を観るが、こんなの観ないよなと多くの録画番組を消去する。それでもかなりの番組数が残っており、毎週録画しているものは3週間分ほどがそっくり未視聴のままになっている。こう暑いと、観る気も起きず、それに輪をかけた形でテレビの液晶画面の色が飛んで画質が美しくないのだ。

 夜間中センプー機フル使用にして、23時半過ぎに就寝。
 外出もせず、動きの少ない一日だった。