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 2023年5月22日(月)。
 この日から3泊4日で、つれあいとともに別府・湯布院・大分を巡ってくる。九州は、前年5月に福岡で10日間滞在して以来のことで、大分に限れば4年前に30日間の九州一周車中泊の旅以来となる。

 フライトの時間を考慮して5時15分に起きて、朝ルーチンや荷物の最終確認など。
 7時15分に家を発ち、通勤で渋滞する道路では思いのほか時間がかかり、8時15分に山形空港着。8時50分発の大阪伊丹空港便に乗り込む。

 大阪伊丹空港でのトランジットに1時間余りあったので、少し早いがここで昼食をとる。「SORADELI」でゲットしたのは 「六甲山縦走弁当」淡路屋780円。彩りがいい。三角おむすびは六甲山? 蛸旨煮やいかなご釘煮が入った真ん中が瀬戸内海で、牛肉煮、鶏旨煮などの右側が裏六甲ということだろうか。はじめに「ハイキング弁当」という名称で発売したところ売れず、名前を「六甲山縦走弁当」としたところ、中身は変えないのに売れ行きが4倍になったとか。

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(大阪伊丹空港「SORADELI」)

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(六甲山縦走弁当)

 「大分空港」へは、ほぼ定刻の12時10分着。
 温泉の源泉数・湧出量が日本一で「おんせん県」といわれる大分県。到着ゲートを出たところでもう「足湯」が目に入ってきた。今回の旅行はその代表格の別府と由布院を巡るわけだが、大分空港内にも無料の足湯が設けられているのだった。
 なお「大分空港」は、国東半島の沿岸海域を埋め立てて造成した空港で、1971年に供用開始されている。4年前にも国東半島をくるりと周った際にチョイ寄りしている。
 今回のレンタカーは、バジェットレンタカー。3泊4日、1万2千円で借りたのは、白のヤリスだった。

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(「大分空港」内にも足湯が設けられていた)

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(4日間の旅のお供は、ヤリスだ)

 空港からはあえて「空港自動車道」を通らずに里山を通る一般道を走って、別府方面へと向かう。
 別府市内では、一休みする場所としてR10沿いにある「別府国際観光港」に立ち寄る。岸壁には大阪・別府航路のフェリー「さんふらわあくれない」が停泊中だった。「さんふらわあ」はたしか、鹿児島の志布志までの航路もあったはずだ。
 別大マラソンの中継でも紹介されるところで、「別府交通センター」の「むぎ焼酎二階堂吉四六」の大きな広告塔が目印だ。

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(「さんふらわあくれない」が停泊中)

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(「むぎ焼酎二階堂吉四六」の大きな広告塔が目印の「別府交通センター」)

 近くには「別府タワー」が見える。1957年に建設された、高さ約100mのタワー。地上55mの高さに展望台があり360度のパノラマが楽しめるらしい。まあ、高いところには金を払ってまで登らなくてもいいというわれわれ夫婦の考え方がある。
 むしろ、タワーを撮影するのにふさわしいスポットがないかと近くをうろついたが、車を停められる場所はそうなく、ビルの谷間から見えたところを撮影したにとどまる。R10沿い、地元資本のデパート「トキハ別府店」あたりからならきれいに撮れたはずだ。

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(ビルの谷間から「別府タワー」を見る)

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(4年前に撮影した「別府タワー」 2019.11.9)

 別府駅至近の駐車場に車を入れ、駅周辺を散策する。まずは「ピカピカのおじさん(油屋熊八像)」に4年ぶりにまた逢えたねとごあいさつ。別府を観光地として開拓し、バスガイドや温泉マークを考えたのもこの人なのだ。
 その足元には警察官や報道陣が多くいる。ひき逃げ犯人の公開捜査を呼びかけているもので、逮捕につながる通報者には500万円の賞金が出るとか。このことが、夕方のローカルニュースのトップで報じられていた。
 また、おじさん像のそばには竹木で囲われた手湯があり、温泉風情を醸し出しているのだった。

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(ピカピカのおじさん(油屋熊八像))

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(「手湯」の中はこんな感じ。いい湯加減)

 駅の近くには、前回も立寄った「駅前高等温泉」がある。同じところに立ち、同じ構図で写真を撮っている自分。
 大正レトロの面影漂う建築物が印象的な、創業1924年のかけ流し天然温泉。部屋を借りたりマッサージを頼んだりすることもでき、炭酸泉の並湯とイオウ泉の高等湯があって、24時間年中無休で入浴料は250円。なのに、駐車場に車が1台も停まっていないのはなぜなのか。

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(駅前高等温泉)

 ものすごく狭い道だらけの古い街区を、レンタカーに傷を付けぬよう最々徐行しながら、「竹瓦(たけがわら)温泉」にも立寄ってみる。
 ここには初めて来る。車の置き場所がないので、R10を挟んだ向かいにある「ゆめタウン別府」の駐車場に停めさせてもらい、店のなかでのウィンドウショッピングもやる。
 このあたりは「別府温泉」で、別府温泉郷の中心となる温泉観光地だ。市街地の海岸通りと流川通りの周辺にホテル旅館街がある。流川通りには楠銀天街などの繁華街もある。
 市営の共同浴場の「竹瓦温泉」は、明治時代から続く唐破風造りの共同浴場で、砂の中に埋まって汗を流す砂湯が有名のようだ。受付の女性に挨拶をしてエントランスから内部を覗かせてもらったが、風情のあるつくりに加えて十分な広さと清潔さが感じられる。建物に向かって左側の大きな部屋が砂湯になっているのか、そこからは砂に埋まっているのであろう利用客たちの寛いだ会話が反響して聞こえてきていた。

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(「竹瓦温泉」の格調高いファサード)

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(玄関から内部を覗かせてもらった)

 竹瓦温泉の周辺は小さな店が密集する歓楽街を形成している。角には風俗関係の「無料案内所」があり、夜に訪れたならばぐっと雰囲気が変わって別の表情を見せるのだろうと思われる、魅力的な路地が随所にあった。

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(竹瓦温泉西側の小路)

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(こちらは「竹瓦小路」と名の付く路地)

 次は、鉄輪(かんなわ)温泉方面へと向かい、前回も別府の温泉街を眺めた「湯けむり展望台」へ。
 あちらこちらで温泉の蒸気が立ち上る、別府ならではの風景が見られる場所だ。そのむこうには扇山や鶴見岳も一望することができる。
 別府の湯けむりは、2001年にNHKが募集した「21世紀に残したい日本の風景」で富士山に次いで全国2位に選ばれたことがあるという。また、ここからの夜景は2010年には「日本夜景遺産」に認定されたとも。

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(「湯けむり展望台」から1)

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(「湯けむり展望台」から2)

 もう1つ、湯けむりの鉄輪温泉郷と別府湾を一望できる絶景スポットだという「貴船城(きふねじょう)」にも寄ってみる。
 1957年に建造された「城」があり、城内には狩能探幽という17世紀の絵師の屏風などの美術品が展示され、守り神の大白蛇もいるというのだが、ここは景色だけでいいや。
 天守閣脇の庭園からは別府湾を望む。ほかにも高崎山、鶴見岳、扇山。晴れていれば国東半島や四国の山々まで見えるらしい。

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(貴船城)

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(庭園から別府湾方面を望む)

 「鉄輪温泉」の中心部へと進み、観光駐車場に車を停めて温泉街歩きを始める。
 「鉄輪温泉」は別府8湯のひとつで、昔からの湯治場としての雰囲気を今も色濃く残し、100軒ほどある旅館の多くは自前の源泉を持っていて、あちこちから水蒸気が上がっている。自炊・半自炊の貸間も多く、それらが湯治場の味わいをより深いものにしていると思う。
 鉄輪のメインストリート「いでゆ坂」の周辺には、泉質や温度が異なる渋の湯・熱の湯・すじ湯・蒸し湯など多数の外湯があるので、今回はそれらを巡ってみることにする。外湯の多くは市営で、料金は100円だったり、脱衣場のロッカーが入湯料だったり。温泉地なので100%掛け流しなのだろう。

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(いでゆ坂)

 いでゆ坂に面している「地獄原温泉」は、比較的新しくて快適そうだ。
 「すじ湯温泉」は、貸間旅館街のド真ん中にひっそりと佇む歴史ある共同浴場。内部はかなりプリミティブな浴屋のようで、加水なしの100%掛け流し。蛇口からは高温の温泉が出るので湯加減に注意が必要なのだという。
 無料で入れる「熱の湯温泉」は、中から地元のばあちゃんたちが楽しそうに話しながら入浴している様子が聞き取れる。名前のとおり熱い湯で、鉄輪では「むし湯」と並んで最も古い共同浴場であるとのこと。

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(地獄原温泉)

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(すじ湯温泉)

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(熱の湯温泉)

 「鉄輪むし湯」は、一遍上人が開祖とされている伝統ある共同浴場だ。
 石室の中で蒸されるスチームサウナ風温泉で、床に敷かれた石菖(せきしょう)という薬草の上に寝転がり、香りと湯気に包まれながらデトックス体験ができるのだという。ここは700円+浴衣レンタル料220円と、一般的な料金だ。
 玄関の手前には無料足蒸しの建物もある。温泉の蒸気で身体を蒸す「むし湯」で、写真のような構造になっている。

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(鉄輪むし湯)

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(穴に両足を入れる「足蒸し」)

 「鉄輪むし湯」の前のポケットパークには「一遍湯かけ上人」の像があり、体に悪い部分や治したい部分があれば、上人像の同じ箇所に湯をかけて治癒を願うというもの。
 その右隣りには“豊後鉄輪蒸し湯のかえり 肌に石菖の香が残る”という「野口雨情の歌碑」がある。

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(「一遍湯かけ上人」のあるポケットパーク)
                  
 「鉄輪むし湯」からいでゆ坂に出ると、「渋の湯」がある。
 市内で唯一、竹製の冷却装置を備えた芳香の湯をもつ共同浴場で、肌のツルツル感とスベスベ感がよい浴場であるとのこと。

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(渋の湯)

 いでゆ坂をてくてくと歩いて、「地獄蒸し工房鉄輪」へ。温泉蒸気による「地獄釜」を使った地獄蒸し料理が食べられる施設だ。
 地獄蒸し料理を体験することも楽しそうだが、これから間もなく宿入りして夕食バイキングを食べる我々としては、ここで食べてしまうと大変なことになる。したがって、体験施設の様子を眺めるにとどめた。
 ああ、いっぱい歩いたな。16時半だし、ぼちぼち本日の宿に向かうとしますか。

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(「いでゆ坂」永福寺前を歩く)

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(湯気もうもうの地獄蒸し体験工房)

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(駐車場へと戻る途中の「いでゆ坂」)

 1泊目となるこの日の宿泊は、別府一のマンモスリゾートホテルの「別府温泉杉乃井ホテル」だ。
 そのうちの2021年にできた「紅館」というスタンダードクラスの建物に、我々の部屋が充てられていた。

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(「杉乃井ホテル」の全貌は到底撮影できないため、マップを借用)

 18時からの夕食バイキングは、ワールドダイニング「シーダパレス」というところでとる。
 イタリア・ナポリの街並みを思わせるつくりになっていて、中央にある巨大水槽では魚たちが泳いでいるのだった。
 ナポリの建物を模したつくりの部分にずらりと食べ物が並び、水槽下にも飲み物やデザートなどがセットされているというすさまじさで、はて何を食べようかと目移りがする。これらを一通り味わうには少なくとも3~4泊は必要なのではないか。
 はじめは寿司を中心とした和食から。シャリの酢が効いた寿司がおいしい。
 次には、中華料理などのアラカルトで。サラダ、フルーツと進めて、大分の郷土料理だんご汁で締めた。けっこう食べたぞ。

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(ワールドダイニング「シーダパレス」1)

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(ワールドダイニング「シーダパレス」2)

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(はじめは和食で……)

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(次は中華料理などのアラカルト)

 風呂は、建物内にはなく、各館をつないでいるバスで移動する。
 有名らしい大展望露天風呂「棚湯」は、5段の湯船を棚田状に広げた大展望露天風呂なのだというのだが、あいにく改装工事中で入れず、本館の「みどり湯」での入浴となる。でも、ここの風呂だって大きくて悪くない。
 素晴らしかったのは、風呂上がりに冷たいキリンのクラフトビール「スプリングバレー豊潤」のレギュラー缶が無料サービスされるのだった。こういうサービスを受けたのは初めてのことだ。
 歩いてもいいのだが、小雨が降っているので戻りにもバスを利用して、20時40分には部屋に戻る。

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(こんな「棚湯」は改装工事中のため入れず、残念)

 バイキング時は有料のアルコールを取らずに食べたので、飲酒は部屋にて。
 チェックインの前に通った酒類も売る薬局で多めにビールやチューハイを調達してきたが、たくさん食べたし、風呂でビールを飲んだので、存外進まず。余った数本は翌日からのキャリーバッグの重石と化したのだった。

 22時半頃には就寝のはこびに。

 旅の2日目、2023年5月23日(火)。

 「別府温泉杉乃井ホテル」にて、6時20分過ぎまで眠り、起床する。昨日の旅の疲れと、食べ疲れ、それらとつれあいの歯ぎしりのため、寝坊した形だ。窓からは扇山という草地化された別府の山がきれいに見える。
 つれあいは鼻水が出るとかで、「これは鼻水地獄」と言いながら頻繁に洟をかんでいる。何にでも「地獄」を付けるとそのすごさ、酷さが増幅して面白い。さしずめ今朝までの夜は、当方にとっては「歯ぎしり地獄」だったと言ったら怒られるだろうか。(笑)

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(客室から見た朝の風景)

 朝食バイキングは7時過ぎから、前夜の夕食会場にて。
 この春からつれあいと温泉旅館に泊まることが増え、バイキング料理を食べることが多くなったが、おバカな我々も少しは学習して、次の食事が摂れないほどに食べるということはなくなった。それでもけっこう食べていて、今朝はフルーツサンドとアップルパイをメインにして、フルーツ多めにテイクし、明太子やとろろそばなど食指が動いた別ジャンルのものも食べている。

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(朝食バイキングの一部)

 8時45分、本日のスタート。

 この日は「別府地獄めぐり」からスタートして、今夜の宿泊地の由布院へと向かう。

 別府の温泉噴出地が「地獄」と呼ばれるようになったのは、今から1000年以上前のことで、その当時から噴気や熱泥、熱湯などが噴出していて人々に忌み嫌われていたことが、「豊後風土記」にも記されているという。
 そんなところを見て回る地獄めぐりとは、「海地獄」「鬼石坊主地獄」「かまど地獄」「鬼山地獄」「白池地獄」「血の池地獄」「龍巻地獄」の7ケ所の地獄(源泉)を巡るコースのことだ。
 地獄めぐりはこの旅のメインイベントになるのではないか。当方としては2度目になるが、それぞれ異なる“地獄”を感じることができ、初めて見たときはすごいところがあるものだと大いに楽しんだので、今回はつれあいを喜ばせてやろうと連れて行くことにしたものだ。

 4年前とほぼ同じルートで、まずは「海地獄」エリアから。全国旅行支援のクーポンを使い、2,200円の7か所共通観覧券を購入して、さっそく「海地獄」へと突入する。
 「海地獄」は、神秘的な美しさのコバルトブルーの地獄。一見湖のようだが、実は98℃もある熱湯で、もうもうと湯気が立ち上る。1200年前に鶴見岳の爆発によって誕生したもので、湯に硫酸鉄の成分が含まれているため、光などと反応して蒼い色に見えるのだという。
 地獄の美しさ、比類のなさは7つの地獄の中でもピカイチだと思うが、それと合わせて夢中でカメラを向けて群がる観光客を見ているのも面白かったりする。あれまあ、なんだか高齢者ばかりではないか。(笑)
 「海地獄」の出口売店では、“地獄名物”の「極楽饅頭」なるものを売っていた。地獄で極楽とはこれいかに。(笑)

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(「海地獄」のゲートで7か所共通観覧券を買って……)

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(美しい「海地獄」)

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(観光客の誰もが夢中で写真を撮る)

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(地獄で極楽?)

 2番目は「鬼石坊主地獄」。
 灰色の熱泥が沸騰する様子が坊主頭に似ていることからこの名称になっている。明治時代には一大観光名所として人気を博したものの、1950年代後半にいったん閉鎖。しかし、復活を願う声に応えて、2002年にリニューアルオープンしたという経過がある。

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(鬼石坊主地獄1)

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(鬼石坊主地獄2)

 3番目は「かまど地獄」。
 古来より氏神の竈門八幡宮の大祭のときに、地獄の噴気で御供え飯を炊く習わしがあったというのがこの名の由来。3丁目は青い地獄、6丁目は赤褐色というように、敷地内の1丁目から6丁目までそれぞれ特徴の異なる地獄があり、いろいろな種類の地獄を見ることができる。
 かまど地獄の煙の実験、のど湯・飲む温泉などの体験コーナー、足湯などがあり、係員がいろいろと説明してくれるのが、この地獄の特徴になっている。

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(かまど地獄)

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(これは何丁目だったか?)

 4番目は「鬼山地獄」。
 大正時代に日本で初めて温泉熱を利用してワニの飼育を始めたところで、別名ワニ地獄とも。メインの地獄池の蒸気の噴出は爆裂火口並みの激しさがあり、ボコバコとものすごい音をあげている。
 だが、ここは飼育員も多く見られ、地獄というよりもワニの飼育のほうにずっと力点が置かれているように思う。はて、ここはワニを飼育してどのような利潤が得られるのだろうか。つれあいは、鰐革が高く売れるというのだが。

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(蒸気の噴出が激しい)

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(ユニークな路面標示があった)

 5番目は「白池地獄」。
 重厚なファサードをもつ入口を入ると、静かな和風庭園の中に青白い池が存在する、ほかの地獄とは少し様相が異なる優雅な地獄。
 熱水の噴出時は、透明な湯が温度と圧力によって青みを帯びた白色に変化し、美しい光景が生み出される。温泉熱を利用して10数種の熱帯魚を飼育している「熱帯魚館」もある。

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(「白池地獄」入口)

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(白池地獄)

 ここまでで「海地獄」エリアの5か所が終了。「みゆき通り」を挟んだ「白池地獄」の向かいには「地獄温泉ミュージアム」という新しい建物があったので、覗いてみる。
 前年の2022年12月にオープンしたばかり。「温泉が、もっと愛おしくなる」をテーマに、かつては“地獄”と呼ばれた別府鉄輪の魅力を伝えるアカデミック・エンターテインメント施設――というのだが、そういう博物館は一般受けするのだろうか。
 一般料金が1,500円で、地獄めぐり共通観覧券の所持者は1,050円になるのだが、当方に雨水や温泉に対する知識や理解能力がないため、申し訳ないがスルーする。

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(地獄温泉ミュージアム)

 車で少し離れた「血の池地獄」エリアへと移動して、6番目の「血の池地獄」へ。
 こちらのエリアの白眉となる、日本で一番古い天然の地獄の「赤い熱泥の池」。地下の高温、高圧下で自然に化学反応を起こし生じた酸化鉄、酸化マグネシウム等を含んだ赤い熱泥が地層から噴出して堆積するため、池一面が赤く染まるのだそうだ。……と言われてもピンとこないが。(笑)

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(血の池地獄1)

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(血の池地獄2)

 最後の7番目は「龍巻地獄」。
 一定周期で熱水や水蒸気が噴き上がる間歇泉で、ここの場合は約35~40分間隔と噴出周期の短い。前回は噴出場面を見なかったので、今回は石段の一角に腰を据えて20分ほど噴き出すのを待つ。
 まだかまだかと思い始めた頃に、おおっ、始まった。遠巻きに待っていた人たちが徐々に噴出場所に近寄っていき、たちまち人だかりになる。100℃超の熱湯が5分以上も噴出し続け、なかなか面白い。こういうものは場所を見るだけではダメで、やはりその瞬間を見てナンボなのだな。

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(龍巻地獄1)

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(龍巻地獄2)