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 2023年11月20日(月)。
 6時15分起床。福島飯坂温泉に1泊するドライブに出かける日だ。
 ちゃちゃっと旅の準備を済ませて、しばらく株式ウォッチなどの毎日のルーチン作業を済ませ、10時過ぎに出発。山形の天候は雨だが、徐々に回復傾向にあり、福島は午後から晴れるとの予報だ。
 ところが、出発時から山形はずっと雨。福島に入ってからも雨は止まず、ホテルに入り、夜になってからも風雨が続いていたのだった。予報、大はずれ。

 事前に調べたところ飯坂温泉は、それは少し大袈裟だろうと思わないでもないが「東の飯坂、西の別府」とまでいわれ、日本最古の歴史を持つ温泉なのだという。阿武隈の支流摺上(すりかみ)川に架かる新旧の十綱(とつな)橋の間2kmにわたって多くのホテル・旅館が両岸に立ち並び、伝統の共同浴場もいくつかあるらしい。

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(「かまた食堂」のメンマラーメン

 昼食は、米沢市内のどこかで米沢ラーメンを食べようかと考えて、14年4か月ぶり2度目となる通町の「かまた食堂」をチョイスしてみた。
 メンマが多いのがいいなと、メンマラーメン900円。中華そばより200円高いわりにはメンマの量はそれほど多くない。つまりメニューから読み取れることは、中華そばの大盛りを(100円増し)を食べなさいと言うことだろうか。
 手もみの細縮れ麺は、いかにも米沢ラーメンといったほろほろとした食感と独特の味わいで、これが格別においしい。ひと口にラーメンと言っても、米沢ラーメンはそれで一つの別の境地を築いているように思えるのだった。

 「道の駅ふくしま」で、明日の帰路での買い物の下見をするなどして時間をつぶしたものの、ホテルにチェックインするにはまだだいぶ早い時間に、飯坂に着いてしまった。
 しばらく、穴原温泉まで行ってみたり、飯坂温泉の「ホテルジュラク」に入ってみたりして、14時40分に泊地となる「伊東園ホテル飯坂叶や」に着く。激安なのでこのところ頻繁に利用している「伊東園ホテルズ」のひとつだ。ここに泊まれるから飯坂温泉を選んだと言っても過言ではないかもしれない。

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(伊東園ホテル飯坂叶や)

 さっそく大浴場で入浴。飯坂温泉の湯は熱いと聞いていたが、ここの場合はちょうどよく、露天風呂やサウナは見当たらないけれども、主浴槽自体が広くて清潔な上、洗い場の数が多くてで明るく、好感が持てる。

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(同 大浴場)

 17時半からはバイキングの夕食。サーモンを主にした刺身や寿司をはじめ、いぶりがっこ入りタルタルソースのチキン南蛮やカカオ風味の立ったカレーをかけた豚カツなどを食べ、飲み放題のアルコールを3杯飲んで、またもや満腹になる。これで入湯税込み一人6,882円と、驚異の価格で泊れるのがスゴイ。

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(同 夕食バイキング)

 19時前には部屋に戻り、腹をさすりつつニュースを見て休めば、もう一度入るつもりだった風呂はなんだか面倒くさくなり、明朝でいいやと省略。
 ニュースを見ているうちにどんどん眠くなり、耳栓を着けて22時前にはもう眠りへ。

 この日の走行距離は、96kmだった。

 2023年11月21日(火)。

 飯坂温泉での旅館の朝、いつもどおり5時台に目が覚め、6時起床。前日の雨から一転して、快晴の朝だ。部屋のすぐ下が川になっていて、朝日を浴びた樹々が紅葉している。

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(旅館の部屋からは紅葉した樹々と青空が見える)

 6時45分からの朝食バイキングは、生野菜とフルーツをメインにしじみ汁とミルクと、「軽く」を意識するも、結局あれこれとってしまう。でもまあ、過去の反省を踏まえて、ある程度は抑制の効いたいいテイクになっていただろう。
 空いている大浴場でゆったりと朝風呂を楽しみ、9時半頃まで部屋で寛いで、のんびり出発する。

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(「伊東園ホテル飯坂叶や」の朝食バイキング)

 町場にある共同浴場「波来(はこ)湯」の利用客用の無料駐車場に車を入れて、飯坂温泉の街歩きを始める。
 そのひとつ目は、飯坂の観光でははずせないところであろう「旧堀切邸」。年中無休で入館無料という素晴らしい施設だ。
 16世紀、梅山太郎左衛門なる者が若狭国(福井県)から当地(昔の上飯坂村)に移住してきたことに始まる、地元名士の邸。大雨で氾濫した川を「堀を切って」食い止め、その地の「字」を堀切としたことにちなみ、「堀切」を名乗ったとのこと。市の整備事業により2010年、近代和風住宅の主屋、市指定文化財の十間蔵、ステージを備えた下蔵、源泉かけ流しの手湯・足湯などが復元、新築されたものだ。
 堀切氏は、地主経営のほか金融・酒造・生糸・鉄・塩など現在の商社の原型のような多角経営をこなし、蓄えた財力は農民の救済などにも積極的に寄付などした、人物だったという。

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(「旧堀切邸」の表門)

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(管理の行き届いた足湯・手湯)

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(主屋の内部)

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(庭園の紅葉の色づきがいい)

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(十間蔵)

 次は「鯖湖湯(さばこゆ)」。
 飯坂温泉には9カ所の共同浴場が町中に点在し、町民生活に寄与しているという。そのうちこの鯖湖湯は、飯坂で最も古い木造建築の共同浴場だ。昔は「佐波子」の字があてられていたという。
 唐様の屋根に湯気抜きの小屋をのせ、くすんだ木の色がレトロっぽく落ちつく風雅なつくり。隣には、巨大な樽型の分湯槽。1993年に改築されている。
 御影石の浴槽で、熱めの湯の単純温泉。何日か滞在するのであれば、こういう味のある浴場をめぐるのもいいかもしれない。飯坂温泉の一番の見どころはここなのだろうな。

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(鯖湖湯1)

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(鯖湖湯2)

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(鯖湖湯3)

 鯖湖湯の周辺には、老舗と思われるいくつかの旅館や、「鯖湖神社」、足湯「あ~しあわせの湯」などが立ち並ぶ場所になっている。
 1882年創業だという「ほりえや旅館」の前には「飯坂温泉発祥の地」の碑もあった。
 その斜め向かいには、1888年創業の「なかむらや旅館」。赤瓦白壁土蔵造りの建物は国登録有形文化財。
 「なかむらや旅館」から路地を東に進んだところにある「旧採進堂酒店」の建物も、国登録有形文化財だ。下屋の上に並んだ銘酒の看板が見事で、近代温泉地の隆盛を伝えている。

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(飯坂温泉発祥の地碑)

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(なかむらや旅館)

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(旧採進堂酒店)

 町並みを眺めながら飯坂温泉駅へと向かう途中にあった「わたなべパン店」で、めずらしいラジウム玉子パンとちくわパン、各260円をゲットする。狭い店内は昭和の一銭店を連想させるようなつくりで、年配のおじさん店主が応対してくれる。

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(「わたなべパン店」の販売棚)

 福島交通飯坂線の終点駅となっている「飯坂温泉駅」。
 内部にはコンビニのほか産直野菜の販売店もあり、素朴な駅といった感じ。改札口からは、単線路の両側にホームが付く駅内部の一部が奥のほうに見える。日中は概ね25分間隔での折り返し運転となっているようだった。

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(福島交通飯坂線「飯坂温泉駅」)

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(駅の内部はこんな感じ)

 駅舎は摺上川の渓流沿いにあり、川面が見渡せるコンパクトな駅前広場には「松尾芭蕉の像」やラジウム玉子を象った「日本最初のラジウム発見の地」のオブジェなどがある。
 その後ろの「十綱(とつな)橋」は、1915年竣工の現存する大正期の鋼アーチ橋で最も古いものの1つで、温泉街を代表するランドマークとなっている。
 周辺にはかつては栄華を極めたと思われる温泉ホテルのビル群が並んでいるが、今はそのうちのいくつかはよくてサービス付き高齢者向け住宅か、悪ければ空きビルとして放置されている様子が窺える。温泉街は今、どこも窮地に立っている。

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(「松尾芭蕉の像」と「日本最初のラジウム発見の地」碑)

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(十綱橋)


 駐車場に戻る途中に建っていた共同浴場のひとつ「波来湯(はこゆ)」。
 延暦年間というから8世紀末頃に開湯されたといわれ、「鯖湖湯」に次いで長い歴史があり、2011年に新築されたもの。地下1階の浴室は、男女ともに源泉掛け流しの熱い湯と適温に調整された温い湯の2つの湯船があるというが、この日火曜日は定休日だった。
 今回は立ち寄らなかったが、共同浴場はほかに「切湯」「仙気の湯」「天王寺穴原湯」「八幡湯」「大門の湯」「十綱湯」「導専の湯」があるようだ。

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(波来湯)

 11時前には飯坂温泉を発って、東北中央自動車道の福島大笹生ICそばの「道の駅ふくしま」でお土産の調達をする。
 往路の昨日もここでじっくり品定めをしていて、そのときには買うのは明日にしようねと示し合わせていたのだった。
 さあ買うぞ!ということで、購入品を思い出す限り列挙すれば、産直のなめこ、りんご、トマト、キュウリなど、ラジウム玉子、燻製玉子、油揚げの三角揚げ、地物の納豆、地ビールならぬ地チューハイ、孫用の赤べこのクッキー……。〆て5千円弱だったろうか。

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(道の駅ふくしま)

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(孫向けのお土産クッキー「飛び出せ赤べこちゃん!」)

 朝バイキングがまだこなれていないが、高畠町まで戻って、夏茂の「食堂万来(ばんらい)」でランチ。
 みそラーメン900円。ここは米沢ラーメンの細縮れ麺を使う北限で、いわば赤湯ラーメンとの境目となる店であると認識していて、味噌ラーメンだってしっかり米沢風の細縮れの麺で供される。
 麺もおいしいけれども、それを上回る白眉は、野菜を煮だしてつくった味噌スープ。こんなにやさしい味につくれるのかと思わせる、味噌味では最高峰クラスのマイルドスープといえる。ラードの効かせ方も穏やかで、味噌と塩の味がじんわりと体に染み渡るような印象。豚肉の脂を少しだけ吸わせた煮炒め野菜もしゃきっとしていておいしい。
 つれあいが食べていたワンタン800円も、鶏ガラ風味の勝ったあっさりスープに肉多めのワンタンがとにかくたくさん入っていて、すごい。ラーメン770円よりも高い価格設定にしなければならない理由がよくわかる。
 ラーメン店がしのぎを削るこの土地にあって、この店が長く店を構えている理由もまた、食べてみてよくわかった。

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(「食堂万来」のみそラーメン)

 13時過ぎにはもう帰宅。この日11月21日の走行距離は85km。
 飯坂温泉って、思っていたよりかなり近いのだな。行きも帰りも時間がたっぷり余ってしまった。

 帰宅してからはせっせとこの日の行動をまとめ、撮ってきた写真の画像をブログ用に加工して、明日の朝には公開できるところまで仕上げる。そこに至った段階でもう22時半になっていた。
 ログ付け以外のことは省略して、もう寝ることにしよう。

 さあ、次はどこに行こうかな。