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2023.03.01 20230228 火
 6時に目が覚めたものの二度寝して、7時15分起床。今朝も眩しいぐらいの明るさがあり、気温は12℃まで上がるとの予報だ。

 昼食は、明治時代に建てられた古民家を改装して昨年11月にオープンした、下反田の「石臼挽き自家製粉けやき庵」を初訪問してみた。
 蕎麦屋だけれどもラーメンもおいしいとテレビ番組で紹介されていたので、今回はけやき庵の中華そば780円を所望。逆三角錐の形をしたどんぶりで登場。第一印象は、鶏ガラスープの香りと表面の鶏油。啜ってみれば、和風テイストに少しの甘みと鶏油の濃厚さが加わった味わい深いもので、いいんじゃないかい、コレ。おいしいので、最後はレンゲを置き両手でどんぶりを持ち上げて完飲することになった。
 厚みがあり噛み応え満点の豚のレアチャーシューのほかに、肉中華で使われる親鶏も少々。穂先メンマを使用し、水に浸す前処理が施された多めの刻みネギもグッド。いかにも自家製らしいやや細の手もみ麺がほろほろとした食感でおいしく、唯一無二とは言わないまでも、この店のオリジナリティが感じられる。普通盛りの麺量もそれなりにあり、満足のいく一杯だった。

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(「石臼挽き自家製粉けやき庵」のけやき庵の中華そば)

 株式に関しては、前場に上げていた神戸製鋼所を売ったところ、大引けにかけて昨日の終値を下回ったので買い戻し、わずかの差益稼ぎをした形となった。
 月末なので、2月の株式取引を総括しておくと、この1か月で日経平均が0.43%上昇したのに対し、自己資産額(取引に充てている全体額で、保有株式時価総額+買付余裕資金)は0.48%上昇して、ほぼ同レベルだった。
 自己資産額は、数字を記録し始めた2021年12月以降で最高値を示し、全体として売り越しとなったことから、内訳は保有株式時価総額は最低、買付余裕資金は最高となり、いわば今後の「買い」の余裕度と自由度が高まった形となっている。
 まあ善戦していると言ってよく、何かの機会に大きな下げがあればぱっと喰いつけるだけの資金的余裕があることは喜ばしい。

 午後から始めた読書は、まずは重厚本の「谷川健一全集〈8〉沖縄4-海の群星 神に追われて 他」から。
 巻頭の「海の群星(むりぶし)」は、意外にも小説仕立て。わずか米三俵にも満たない金で買われたナガーには、厳しい労働が待っていた。そんなある日、少女カマとの神秘的な交感が生れる。沖縄を舞台に描く海と星と神秘の世界。――という、1981年初出のものだ。1988年にはNHKでドラマ化され、90分番組として放送されている。これを40ページ。

shiina makoto 202212
(78歳になった椎名誠 2022.12)

 もう1冊は、「われは歌えどもやぶれかぶれ」を60ページ。
 おじいちゃんになったシーナは生きる上であれこれ若い頃には気にも留めていなかったことが起こり始めているようで、胃に生息するピロリ菌を退治するため9日間飲酒を断って悶え、冷やし中華の通年提供と国際化を訴え、長崎・平戸の割烹民宿の悲しすぎる朝食について嘆き、連載中の文学誌の掲載作家たちの名前が2割程度しかわからなくなっていることに驚き、浮き球野球でめったに長打を打てなくなったことに悲しんでいるのだった。

 23時半に就寝。

2023.03.02 20230301 水
 6時半起床。暖かい朝となり、日中の気温は14℃まで上がるとの予報で、3月を迎えていよいよ春が近いと実感できる。空模様は曇り。

 午前中はカキモノ、ブログのアップデートをして、株式ウォッチ。本日は売り1本、買い1本が約定する。
 昼までに、「谷川健一全集〈8〉沖縄4-海の群星 神に追われて 他」の「海の群星」を読む。さすが谷川の書く文章だけあって、民俗事象に関する記述が詳細で面白い。八重山・新城(あらぐすく)島のくだりでは、ザン(ジュゴン)の外形描写や伝承、その捕獲方法、島で行われる秘祭「豊年祭」の様子と、そこに登場し、写真に撮ったら命の保証はないという来訪神のアカマタ・クロマタのおどろおどろしいありさまなどが記されている。この日はこれを50ページ読む。

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(新城島の景勝地「クイヌパナ」からの風景)

 今日の昼メシは、つれあいのリクエストデー。ご要望に従い、東京銀座「天國」の支店だという、七日町で古くからやっている「天國山形支店」に、初ランチに赴く。
 11時半の開店と同時に客が次々にやってきて、時間どおりに訪れた我々はその第5組目となる。一階が埋まったので二階の座敷に上がり、ランチメニューの天ぷら定食830円を注文。
 天ぷらは、キス、なす、海老2、イカ、さつま芋、舞茸の7品。各ネタは小さく、キス、イカ、海老あたりはほんの一口サイズだ。しかし、それぞれの揚がり方はさらりとして上品。おいしく食べられ、油に負けて辟易するようなことはない。天ぷらって、ばくばくとたくさん食べるモノではなく、揚げ立てで小ぶりのものをこうやって少量つまむところに美学があるのかもしれない。
 そしてこの店の優れたところは、上級の新米を使った炊き立てごはん、味わい深いワカメとひらひらに切った豆腐の味噌汁、白菜の漬物の3点セットにあった。これらはうまくてチョトビクリ。日頃お邪魔している大衆向け定食店とはチョトチガウ。満腹とまではいかなかったものの、いいものを食べたなと思うことしきりだった。

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(「天國山形支店」のランチ天ぷら定食)

 午後は、こつこつと飲食店リストのメンテナンスをする。山形市内で廃業した店がないかどうかの確認をすると、いくつかの店が該当していて、それらの多くは静かに姿を消していく老舗の大衆食堂なのだった。いわば二度と食べることができなくなってしまう“絶メシ”で、具体的には、「そば処さこん」「餅の清十郎」「門前つくもそば」「み登り屋」などがそれだ。

 夜の読書は、読んで気楽な「われは歌えどもやぶれかぶれ」を70ページ。
 シーナはゆるキャラに言及していて、行政が税金を使ってああいうものをつくっているのは気持ちが悪いとし、おちゃらけでなにか大切なことをごまかしているような気がすると記している。このことについてはまったく同感で、実際行政は、疑いを知らぬ幼稚な日本人の国民性につけ込んで、本来行政としてやるべきことを怠っているように見える。
 当方が住む基礎自治体では、市長は「ラーメン消費額日本一」を奪還したというニュースぐらいにしか登場しない。そんなことよりも市長は、住民にとって何が必要なのかをきちんと考えるなり、だらけているように見えなくもないこの自治体の職員の資質向上策を打ち出すなり、フットワークの軽い組織機構に改革するなり、近くに侍っていて何も注進しないおりこうさんなだけの幹部たちを一掃するなりしたらどうなのかと思う。
 首長の号令一下、機敏かつ効果的に動く組織であってほしいのだが、この自治体にはそうはならない昔からの伝統があり、また、今の首長はそれを改革しようとする大志をもっていないように見える。したがって市民の間には従来同様、行政には期待しない、期待できないというあきらめムードが漂ったままとなっている。きちんと市民と対話をすればソッポを向かれていることなどすぐにわかるはずなのだが、彼らはそうせず、安楽なほうに流れるのだろうな、きっと。

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(某市役所。こんなことよりも大事なことがたくさんあるのに)

 昼寝をしなかったことも考慮して、少し早めにベッドに身を委ね、23時15分、消灯・就寝。

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   幻冬舎文庫  533円+税
   2007年12月10日 第1刷
   2010年9月20日 第12刷発行

 自分にとって、宮田モノの6冊目となります。
 ものぐさだけど、前のめり。それがたたってか、カヌーに乗れば穴があき、山に登れば大雨警報。島一周歩いたら、海でも崖でも遭難寸前。宗教の勧誘を論破しようとして鼻であしらわれ、原発では放射能漏れに遭遇。ジェットコースターに乗りまくっていたらなぜか評論家と呼ばれてテレビに出演……。思わず脱力させる、旅と日常を綴った爆笑エッセイ。(カバー背表紙から)

 2000~03年に雑誌「旅行人」に連載したエッセイを加筆修正し、03年6月に「52%調子のいい旅」という表題で単行化。それを改題して、さらに加筆修正したのがこの文庫本であるとのことです。
 迷路、シュノーケリング、ジェットコースター、変な風景の見て歩きなど、どれも子供じみた一風変わった欲望に背中を押されるようにしてやってきた中でのこぼれ話や裏話を集めたもの、という位置付けのようです。
 「スチュワーデス=ゾウガメ理論」「ラスベガスで冷静沈着だった件」「アムステルダムについて何も知らん紀行」「原子炉の中で散歩」など、全29編。

 巻末の解説で高野秀行(辺境作家)は、タマキングの本には重大な欠陥があり、それは何がどう面白いのか、なかなか言葉で説明できないことだと書いています。
 この本についても、どんな本かと訊かれれば「旅のエッセイ」と言うしかないが、仕事で原子炉に入ったとか、ジェットコースター評論家にされてしまったとか、旅と何の関係もない話もあったりするし、ならば「すごく笑えるエッセイ」かと言うと、書店に死ぬほど置かれている「爆笑エッセイ」や「抱腹絶倒エッセイ集」などとタマキングとどうちがうのかと問われることになってしまうといいます。そして、だが全然ちがうことは一度でもタマキングを読んだ人ならわかるとし、彼の面白さはチャンドラーが寝言を言っているような特異な文体とレトリックにあり、それがうねるような有機結合体というか、時間がたってくっついたざるうどんのようになっているため、そこだけピッと引き剥がすことができないために、説明が難しいのだと分析しているのでした。これもまた難解ですが、言い得て妙かもしれません。
(2023.2.8 読)

2023.03.03 20230302 木
 深夜に暑さで目が覚め、今年初めてベッド脇の窓をわずかに開けて再度眠る。暑さのせいなのか、6時前には右脚のふくらはぎが攣り、えらく痛いのといやな感じがするのと。そんなことがあって6時40分起床。

 昼食は、去年12月にオープンし、早朝から元気に営業している「初代しちのや」を初訪問。十文字というところが仙山線楯山駅の近くであることを初めて知る。
 支那そばのこってり。100円増しの大盛りにしようかと思っていたが、卓上にふりかけがあるのを見て、普通盛りの小ライス付に変更し、800+100円。
 これ、おいしい。背脂チャッチャの下のスープは、かえしの醤油香が秀逸。やや甘めで、焦がし風味のような独特のテイストがあり、こういうの、好きな味なんだよナ。その脂に浸ったニラと火が通ってしんなりとしかけたネギがいい仕事をしていて、筋の通ったメンマの食感もスバラシイ。
 麺は、やや細めのウェーブ麺でつるりとしたいい舌触りと味わいだが、若干スープのコク深さに負けているかもしれない。麺箱から判断して、天童市蔵増の「渡辺麺工」製のようだ。適量のライスは、はじめはふりかけで食べ、残りはスープに投入しておじや風に。
 寒河江の「ラーメンはちのや」で修業したという店主は厨房から大きな声で客を迎え入れる元気さがあり、テーブルまわりの清潔さを見ればフロア担当の女性陣もはりきっていることがわかる。いずれ朝ラーでも伺ってみたい。

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(「初代しちのや」の支那そば)

 午後に再度外出し、前週が旗日のため休みで5週間ぶりとなったリモート面接をするため、母の入院するC病院へと赴く。
 もしかすると「どちら様で?」などと言われはしまいかとはらはらしたが、自分の息子が来たことは認識してくれたようだった。
 看護師によると、少し前から4人部屋に移ったが、特に問題はないし、むしろ話し相手ができたことに喜んでいるようだとのこと。また、3度の食事は自分で食べているし、夜もきちんと眠れているが、膀胱に老化による障害が出ていて、排尿時に介添者が下腹部を押すことによって排出しているとのことだった。
 モニターの前に連れてこられた母は、横になってばかりいるからか背中が痒くて体をもぞもぞさせ、前歯が取れてくるし目が見えないしですっかり大年寄になって訳が分からなくなったと嘆き、人の話を聴く余裕などないといった風情でずっとしゃべり続ける。目は見えなくたって、これだけ話せるし耳もきちんと聞こえていれば、かぞえ94歳としては立派なものではなかろうか。
 少なくとも介護施設にいた頃よりは、さらに老けはしたが健康そうに見える。あれこれ細部にこだわる神経質な性格も、ボケが進んできたためかあらゆることがどうでもよくなってきつつあるようで、そのことがむしろ精神的な安定に一定程度寄与しているように思われた。様子を窺うことができて一安心といったところだ。

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(okinawa-image 謝苅(じゃーがる)エイサー)

 夕方からは飲食店リストのメンテナンス、入浴、飲酒と録画視聴。そうするうちに時間が経ってしまい、読書時間が圧縮されてしまうことになる。
 眠るまでに読んだのは、「われは歌えどもやぶれかぶれ」の40ページ。この程度の読書量ではお話にもならない。
 23時半、就寝。

2023.03.04 20230303 金
 比較的安らかに眠れて、6時半起床。もう週末が近づいてきている。
 朝ルーチン作業のあとは、株式市況のウォッチと、飲食店リストのメンテナンスを行う。飲食店は、グーグルマップに営業店として載っているかがポイントとなり、やめた店は掲載されていないか「閉業」と表示される。想定以上に既存の飲食店が閉業しているが、これもコロナによる利用減、そして経営者の高齢化と後継者の不在が影響しているのではなかろうか。
 群馬県高崎市には、市内に点在する長年愛され失うには惜しすぎる絶品ローカルグルメに特化したサイト「絶メシリスト」があるという。

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(絶やすな!絶品高崎グルメ「絶メシリスト」)

 昼メシはとんかつが食べたいと思い、それだったらこういうところもアリなのではないかと、初めて天童市川原子の「まさもりドライブイン」で食べてきた。このあたりに多いホルモン系メインの店で、かなり年季の入った老舗ドライブインだ。
 とんかつ定食、1,000円。ぱっと見、これで千円なら満足というビジュアルだ。手仕込みのとんかつは、肉質はわりと赤身がちのほどほどのものではあるものの、厚みのある肉がキツネ色の衣をまといしっかりした食べ応えがあり、このレベルなら十分満足できる。千切りキャベツいっぱいに、レモン、トマト、キュウリ添えなのもよろしい。おひたしと煮物の2種の小鉢と、切り昆布入りの白菜漬けと色鮮やかなタクアンの皿が添えられていて、いずれもおいしい。
 米どころ山形の名に恥じないふっくらのごはんは、ドライブインの定食といって侮ることはできないハイグレード。濃いめの味噌汁もなかなかで、穴の見当たらない立派なとんかつ定食だった。
 いい店発見。まだまだ未知の店は多いぞ、山形。

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(「まさもりドライブイン」のとんかつ定食)

 午後には、本読みと少しの昼寝。昼寝をするのは3日ぶりだ。とりたてて珍しい事象のない、いい昼下がりだ。
 夜までに「われは歌えどもやぶれかぶれ」の100ページ読んで読了する。
 若い頃は頑健を絵に描いたようなシーナだったが、70を過ぎた彼は夜中に目覚め、ベッドから立てずに床にへたり込み、起き上がれなくなっている様子を書いている。翌朝の体温は39.5℃もあり、どうやら熱中症にかかったようだった。年をとると、彼のような人間でもこういうことになってしまうのだろうか。
 巻末の解説では、雑魚釣り隊副隊長の竹田聡一郎(隊長はシーナ)が、「椎名さんの好きなものは酒と映画と相撲と麺とカツオと他人の痛風と焚き火と孫なのです。それ以外にはあまり心が動かないのではないでしょうか」と書いているのが笑える。

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(怪しい雑魚釣り隊の面々)

 夜は軽いものを読みたいので「谷川健一全集」は敬遠して、次に手にしたのは「東洋ごろごろ膝栗毛」(群ようこ著、新潮文庫、1997)。
 まず、訪れたのは魅惑の台湾。温泉ではおばさんの大開脚に女性陣唖然、ガイドの爺さんの科白に男性陣悄然、占いをしてもらってみたら著者呆然。続いて巨大都市、北京。万里の長城、天安門、故宮等々、見るもの聞くもの古くてでかい。薬膳料理はアリの団子にサソリの唐揚げ、宮廷料理は象の鼻に熊の前足。何でも食べます。お腹ごろごろ、猫もごろごろ。絶好調文庫書き下ろしアジア紀行第3弾。(カバー裏表紙から)――という、自分にとっては群ようこの4作目。
 アジア紀行第2弾の「またたび東方見聞録」は先月読んだばかりだが、第1弾の「亜細亜ふむふむ紀行」は未入手だったため、さっそくブックオフに注文する。
 23時50分までこれを50ページ読み、消灯。

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   山川出版社  3,800円
   1986年6月30日 第1刷発行

 次は何を読もうかと少し考えて、厳かな気持ちで書棚からこの箱入りの布表紙を取り出しました。重厚本としては今年の1冊目、おそらく難読となるもので、少し大袈裟に言えば、今年もまた本との「格闘」が始まったなという心境です。デスクの前で背筋を正し、「お願いします」と心で念じて読み始めました。(笑)

 全15巻の中で、ヨーロッパの諸民族関連には3巻が割り当てられていて、そのうちの1冊。
 前書きのはじめのフレーズから「スラヴ民族の歴史と文化を一書にまとめるのは、率直にいってかなりの難事であり、事情をわきまえた識者ならあえて手を出さないところである」と、及び腰です。それは、スラヴ民族に関する文献が国内において極めて乏しいため、他のヨーロッパ諸民族と同じレベルで扱うのが難しいことが原因のようです。
 したがって本書は、スラヴ諸国の言語、文学、歴史の研究を志す学徒にとっても役立つ、スラヴ・ハンドブックになるよう配慮しているとのこと。おお、そうであればひょっとして、当方にとってはむしろ与しやすいのではないか。
 序章・終章のほか4章で構成され、第1章で「スラヴ民族」を概括し、以降でスラヴ民族の「歴史」「文化」について述べ、最後に近現代におけるスラヴ民族の問題をとりあげてまとめとしています。

 「国家形成以前のスラヴ人」では、考古学の研究成果と通説、東欧の各地の名称や特徴、川や山地の名前、入り乱れて移動するたくさんの民族名などに悩まされながら、古地図や現代地図などを参照して読みました。なかなかページ数は稼げません。
 スラヴ民族の社会構造について、基本的には父系的なものであるといい、社会構造の最小単位としての家族・世帯が各民族においてどのような名称で呼ばれているかについて長々と説明しています。しかし、こちらにとっては、どこでどう呼ばれようとどうでもよく、知らないカタカナ語が並んでいるだけで、退屈で頭に入ってきません。専門書たるもの、学者さんである著者の興味を中心に据えるのではなく、その内容をこそ詳述すべきだと思います。

 スラヴ語の方言分化をまとめると、東スラヴ族(ロシア、ウクライナ、ベラルーシなど)の先祖は5~10世紀に東進して次第に他のスラヴ族から離れます。西スラヴ族(ポーランド、チェコなど)は、フランク王国カール大帝の版図拡張とともにエルベ川以東域に徐々に退却し、バイエルンやオーストリアに進出していた領域は漸次ゲルマン化されます。南スラヴ族(バルカン半島のスラヴ族)は、10世紀にはゲルマン勢力の攻勢と東方からのマジャール族の侵入によって西スラヴとの接触を断たれ、のちにはラテン系民族(後代のルーマニア人)の勢力拡張によって東スラヴ族からも分断され、孤立します。このあたりが重要なポイントでしょうか。
 スラヴ共通語の音韻の特徴、母音・子音体系、文法などは難解すぎるのでナナメ読みにとどめました。

 東スラヴ民族の歴史の記述では、キエフ・ロシアの建国の経緯について知りました。キエフは地理的に森林がステップに移行する境にあって、ステップの遊牧民ににらみをきかせることのできる好位置にあるとのこと。そのため、北部のゲルマン民族の一派であるノルマン人の交易基地となり、このノルマン人こそがキエフ・ロシアの建国の主役でした。しかし、数のうえで劣勢だったノルマン人は急速にスラヴ化されていくのでした。
 ほかにも、弱体なビザンツ帝国が周辺の蛮族対策に苦慮している様子や、ノルマン人が地中海を経由して南イタリアまで進出して王国を築いたことなど、10~11世紀頃の興味深い歴史事実が登場します。

 スラヴ民族の神話と民間信仰に関する部分は、スラヴ諸民族に共通する吸血鬼と人狼に関する民間信仰など興味深い点もありますが、事実に即さないことに人々が惑わされるような内容は退屈で、読み続けるのがけっこう厄介。民俗文化に関する章は退屈でした。

 最後は、「社会主義とスラヴ民族」の項と座談会。
 この書物は1986年の発行で、東欧社会の苦悩が最高潮に達していた時点のもののため、経済成長の停滞、広く根を張ってしまった官僚主義、勤労者の労働意欲の減退、必要消費物資の慢性的不足と長い行列、東欧諸国民間に成長し始めた西欧崇拝、周期的に爆発する東欧の反ソ暴動、各民族間の激しい対立意識などの状況を背景として書かれています。マルクス主義理論でいう社会主義の二段階論が、「第一の段階は成長の困難で、第二の段階は困難の成長である」と揶揄されるのもむべなるかなといった状況でした。
 これらの根にあるのはどうやら、民族自決と多民族の同権、自由意志の結合による「統一的な多民族連邦国家」としてのソビエト連邦の建前と本音の違い、つまりは社会主義国における民族問題解決の困難性であると言えそうです。ロシア人の多民族差別観はいまだに根強いようです。
 著者4人による終章の座談会も、スラヴ研究に入って言ったきっかけなどを肩の凝らない語り口で話していて、わかりやすいものでした。
(2023.2.12 読)

2023.03.05 20230304 土
 また週末がやってきて、7時前起床。朝日が眩しく、この先しばらくは最高気温が2桁になると予報している。とうとう冬は去ったか。

 朝のうちは日々作業のほかに、ブログについてのお勉強。ブログは日付順にソートされるが、各記事をはじめからカテゴリー順に並べる場合にはどうするのか、また、記事に日付が入らないよう設定できるのかを調べる。そして、それらを可能にする方法がわかった。
 少し先のこととして、洋画家だった祖父の画業をまとめてそれをブログ仕立てにして公開してみたいと考えている。遺されている絵や古い画集に載っている絵をデジタル化して、それらに関係情報を付して記事にしたいという考えだ。
 これから徐々に暖かくなっていくので、火の気がなく水も止めている実家にある遺留品を少しずつでも整理していきたいと思っている。

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(祖父の絵「北欧の城下町」)

 昼近くになってから読書に着手し、民俗学のお勉強を始める。「谷川健一全集〈8〉沖縄4-海の群星 神に追われて 他」の「海の群星」を40ページ。

 週末の昼メシは静かに自宅で。ナポリタンを所望してつくってもらう。トマケをたっぷり使ってデロデロにという強引なリクエストをしたのだが、缶詰のトマトソースを使ったということで、ドロドロになってはいるけれども期待したようなデロデロではない。ドロドロとデロデロのちがいを一言で説明するのは難しいが、トマケでこれでもかと味付けしてフライパンでしつこく焼き和えなければ、デロデロにはならない。要するにひたすら下品にということなのだが、その機微まではつれには理解してもらえなかったようだ。おいしいかったし、多かったと言っておこう。

house lunch 20230304
(昼は自宅でナポリタン)

 午後には、イエローハットにタイヤ交換の予約を入れる。3月18日(土)の午前中。少し早い気もするが、その後に万一大雪が降ったなら家で、融けるまでしばらく大人しくしていればいいだけのことだ。
 4月に予定している喜界島・鹿児島旅に関し、3泊を予定している喜界島のうち2泊分の宿が確保できないので、出発日を3日間後ろにずらして計画を練り直す。こうすることで鹿児島を含めた5泊の宿はすべて確保することができた。
 問題は、3月9日から限定販売されるJALのタイムセールの激安チケットが取れるかどうかだ。これについては、同日の零時から販売されるので、8日の夜はそこまで寝ないでスタンバイしていることにする。往復6本もあるフライトがすべて確保できるかどうか。
 一方、改めてJALのHPを見ると、6月を搭乗期間とするタイムセールの第2弾の販売が3月12日から行われることを知る。6月になれば札幌を攻めてみたいと思っていたので、これについても画策してみようかと思う。

JAL timesale 202303
(JALタイムセールは全路線一律6,600円!)

 入浴前にはウェブで「山形ふるさと観光検定」の中級と上級を試してみる。いずれもなんとか合格でき、アンケートに答えてプレゼントの抽選に応募しておいた。温泉旅館の宿泊券、当たるといいな。
 夜には、初夏の札幌ステイに向けて情報収集を始めてみる。まだ走りの部分だが、旅は事前の仕込みが重要だと認識しているので、徐々に充実させていきたい。

 夜のお供は「東洋ごろごろ膝栗毛」。台湾編では作家の関川夏央が“アジアの大将”として同行していて、なにかと人のことに首を突っ込んでいる。独り者の関川は、他人が幸せだとものすごく嫉妬しているのだった。買い物のシーンが多く出てくるが、女性たちっていろんなものをよく吟味もせずポンポン買うものだと思う。
 次の北京編では、同行の新潮社の編集者のツルタ女史(のちに「新潮45」編集長となる中瀬ゆかりのこと)が大暴れ。北京で怒ってしゃべって酔っ払っている縦横無尽なところが面白い。
 24時前まで140ページ読んで、就寝。