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2013年3月 6日 (水)

米EU自由貿易協定は新世界経済秩序の基盤

Dana Gabriel

2013年2月25日

Be Your Own Leader

アメリカとEUは、世界最大の自由貿易協定となるであろうものの交渉を始めることに合意した。そのような協定は、経済版NATO創造の基盤となるだろうし、通商の中には、商品、サービスと投資と知的財産権が盛り込まれよう。こうした交渉を、遺伝子組み替え作物や食品に対する規制をEUに緩めさせるのに、アメリカが利用しかねないという懸念がある。更に、この協定は、昨年ヨーロッパ議会で拒否されたACTAを実施するたの裏口手段として機能する可能性もある。米EU大西洋通商協定は、中国の増大する勢力に対抗する一つの方法であり、新たな世界経済秩序の基盤と見なされている。

最近の一般教書演説で、バラク・オバマ大統領は、アメリカせ、欧州連合(EU)と、包括的な大西洋通商・投資パートナーシップについての交渉を開始すると正式発表した。ホセ・マヌエル・バロッソ欧州委員会委員長、欧州理事会議長ヘルマン・ファン・ロンパイと、アメリカのオバマ大統領が発表した共同声明はこうだ。“この交渉を通して、アメリカ合州国と欧州連合は、機会 大西洋を越えて貿易と投資を拡大するのみならず、多国間貿易制度を強化できる世界的ルールの開発にも貢献できるだろう。”別の演説でバロッソ欧州委員会委員長はこう強調した“世界の最も重要な二つの経済勢力間での新たな協定は大きな変革をもたらすものとなろう。我々は協力して世界最大の自由貿易圏を形成するつもりだ。だから、この交渉は、規制の問題を含む将来の双方二者間の貿易と投資に対してのみならず、世界的な通商ルール開発に対しても、基準をうちたてるものだ。”

自由貿易協定を推進するという決定は、米EU経済統合を深化するために作られた「雇用と成長に関する米欧ハイレベル作業部会」によって提出された勧告に基づいている。作業部会は最終報告書で、“包括的通商投資協定交渉を開始するのに必要な正式な国内手順をできるだけ早く開始する”よう双方の指導者達に呼びかけた。アメリカとEUの当局者によれば、交渉は2014年末までに協定をまとめるのを目標に、6月にも開始予定だ。提案されている通商条約は、輸入税撤廃、商品、サービスと投資取引に対する障害の除去、規制と基準の調和を盛り込むだろう。また、知的財産権保護と実施も盛り込むだろう。これは偽造品の取引の防止に関する協定(ACTA)を裏口から実施する好機として利用されかねない。ACTAが2012年7月、ヨーロッパ議会によって否決されることになったのは、インターネットの自由とプライバシーに対するリスクにまつわる世論の圧力の結果だった。ACTAの一部を忍び込ませるために、カナダ-EU貿易交渉を利用しようとする企みが実際にあったのだ。

パブリック・シチズンのGlobal Trade Watchディレクター、ロリ・ワラックは、米EU交渉の狙いが“多国籍企業は"貿易の目の上のこぶ"と呼ぶが、一般市民は厳格な食品安全、環境、健康上の安全対策と考えている基準のリストを消滅させるのが狙いなのだ。”であることを警告している。彼女は更にこう言っている。“ヨーロッパの企業はアメリカの金融規制体制、アメリカの厳しい医薬品や医療機器の安全基準や、試験基準等々という面を標的にしている。”ワラックは更につけ加えている。“メリカ企業は、ヨーロッパに、その優れた化学製品規制体制、厳しい食品安全規則、遺伝子組み換え食品の表示、厳格な環境政策を棄てさせたがっている。”プレス・リリースで、アース・オープン・ソースはこう警告した。“EU米自由貿易協定は、遺伝子組み換え(GM)作物と食品に関する健康と環境の為のEUの予防措置を消し去るだろう。” リサーチ・ディレクターのクレア・ロビンソンは次のように指摘している。“もしこの新たな通商協定が成立すれば、世界貿易機構WTOの規則の下では、GMOに対して、アメリカの制度より、EUの規制制度が厳しいのは違法になってしまうだろう。”多くの場合、アメリカでは、GM食品は特別な規制監督や安全性検査が必要ではないことを考えると、これは憂慮すべきだ。

提案された米EU貿易協定のせいで影が薄くなったのが、現在行われているカナダ-EU包括的経済貿易協定(CETA)交渉だ。交渉が最終段階であるにもかかわらず、協定をまとめる為には、依然、双方に埋めるべき重要な溝がある。トロント・スターのトーマス・ウォルコムはこう認識している。“オタワとの通商協定交渉に対するヨーロッパの本当の関心は、大西洋自由通商条約が可能であることを、アメリカに実証することなのだ。” 彼は言う。“EUの交渉担当者は、アメリカに対する交渉力が弱体化するのを恐れ、カナダに譲歩するのを非常にいやがるだろう。”ウォルコムは、こう主張する。“ヨーロッパ側はそれ程でないのに、カナダ側は、協定をまとめようとして、より強い圧力下にある。” 彼の結論はこうだ。“カナダ-EU協定は不可避のものに思える。しかし当面、アメリカが加わったので、カナダに対する条件は、期待したよりも更に不利となり得る。”グローブ・アンド・メイルは最近、EUは、いかなる協定を署名する前に、カナダから更なる譲歩を要求していると報じた。事をまとめる為に必死のカナダが更に譲歩してしまう可能性がある。そもそも、でだしから損な協定なのだから、CETAから撤退してしまうのが一番の得策だろう。

今後数カ月のうちに、大西洋の両岸で、米EU通商協定反対に結集する反大企業グローバリゼーション運動が起きるだろう。健康、環境や食品安全基準を脅かす、この規制撤廃計略を推進しているのは、大企業と金融機関だ。NAFTA同様、提案されている米EU通商協定には、大企業に企業利益を制限する政府の政策に異議を申し立てる権利を与えてしまうISD手順が盛り込まれる可能性も高い。アメリカとEU間の通商協定は新たな世界通商体制の構成要素だ。NAFTA、環太平洋戦略的経済連携協定と、米EU大西洋通商協定を一緒にすれば、グローバル自由貿易地域の手だてが整うことになる。

Dana Gabrielによる関連記事(全て英語原文):
Deepening the U.S.-EU Transatlantic Trade Partnership
Growing Opposition to the Canada-EU Trade Agreement
Advancing the Transatlantic Agenda
From NAFTA to CETA: Canada-EU Deep Economic Integration

Dana Gabrielは活動家、独立研究者。貿易、グローバリゼーション、主権、安全保障等について書いている。連絡先: [email protected]. 彼のブログはBe Your Own Leader

記事原文のurl:beyourownleader.blogspot.ca/2013/02/us-eu-trade-deal-is-foundation-for-new_25.html
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電子白痴製造装置、たまたまた見たところ、国会中継。
聞き応えのある質問は、日本共産党の志井書記長と、生活の党の青木愛のお二方のみ。他は実際は与党も同じゆえ、聴取していない。
二人の質問にたいする首相回答、はぐらかしの見本。

太平洋で隔てられてはいても、この国、実際は宗主国の飛び地、天領、直轄自治区。

この記事、巨大企業という国家をのっとった怪物吸血鬼が、その触手を、隣国二国、さらに韓国、日本、そしてヨーロッパに刺し込もうとしているおぞましい姿をみている気分。エイリアン。

「自動車関税で宗主国に譲歩」し「参加表明」するという。「日本を取り戻す」のは宗主国で、こちらは「日本を差し出す」のだ。

文中にあるパブリック・シチズンのGlobal Trade Watchディレクター、ロリ・ワラックさん発言部分の元記事「一般教書、TPP、TAFTA -- WTF?」として訳してある。

米国市民団体がTPP秘密交渉を告発した驚愕の報道内容 2013年03月02日という
「天木直人のブログ」記事のおかげで、デモクラシー・ナウ!でのロリ・ワラックさん発言、注目が高まっているようだ。デモクラシー・ナウ!、今週の人気動画1位は、
該当番組 TPPは貿易協定の衣を着た企業による世界支配の道具 2012/6/4

デモクラシー・ナウ!にお断りなしに番組の書き起こし文翻訳「TPPは貿易協定の衣を着た企業による世界支配の道具」を当ブログに掲載したのは、2012/8/26のこと。

2/20の「TPPを慎重に考える会学習会第44回」岩月弁護士講演の中に「宗主国の身勝手さ、属国の無防備さを」説明する項目がある。第7 不平等条約。これも極めて重要な点だ。

TPP条約で、

    • 宗主国は、属国を自在に経済侵略できるが、
    • 属国は、宗主国にはとうてい攻め込めないよう

宗主国は、しっかり法制度で防御している。属国にはそうした構えはない。こうした物事、先にルールを決めて、押しつけた側の勝ち。アメリカ200年の歴史が、彼らのその道での卓越性を示している。「属国は自治領化する」以外の結果はおきない。一方通行で宗主国大企業にまきあげられる。

講師の岩月弁護士、ブログ記事を書かれている。「ISDの罠 番外 TPPを慎重に考える会学習会(第44回)」の冒頭リンクで、当日配布されたレジメが、また末尾のリンクでは、資料のダウンロードが可能。是非、レジメをダウンロード頂きたい。

レジメから、不平等条約の部分を引用させていただく。読みやすくするため改行挿入した。

第7 不平等条約
1 アメリカ合衆国のISDSの国内的受容 米国の徹底した保護主義
(1)合衆国憲法の「条約」
条約の受容は、各国の憲法体制によって決まる
アメリカ合衆国憲法は、上院の3分の2で可決する合意のみを狭義の「条約(treaty)」とする。狭義の「条約」は直接国内法的効力を持ち、法律と同等の効力を有し、法律と条約が矛盾する場合は、後法優先の原則が判例。

その他の国際協定(international agreement)は大統領限りのものとして「行政協定 (exective agreement)」と呼ばれる。国内法的効力を有するが、国会の承認がないものは法律に劣後する。承認立法がなされた行政協定は法律と同等の効力を有する。

しかも、アメリカ憲法では、「関税を課し、徴収する」権限、「外国との通商を規制する」権限は議会に属する(1条8項)
通商行政協定が、自動執行力を有するか否か、どのような範囲•内容で国内法化するかはすべて議会にゆだねられる。

なお、2002年「貿易促進権限法」

cf日本
日本は憲法98条2項により、「条約及び確立された国際法規」の誠実遵守義務を規定し、原則として条約に国内法的効力を認め(直接受容•但し自動執行力ある条約の範囲は極めて狭いと解釈されている)、かつ条約が法律に優位する憲法体制となっている。
(2)    米国のISDSの国内的受容(WTO、NAFATA、韓米FTA)
①連邦法、州法に反する協定の無効
②協定に反する連邦法•州法の有効
③協定に基づく i )攻撃防御方法の不発生、ii)連邦法、州法、行政当局の作為-不作為に対する訴訟提起(challenge)の不可能
④履行法の規定は以下の米国法の解釈を変更するために用いられない

「猿の惑星」を「すばらしい新世界」を「華氏451度」を思う。

「独りファシズムVer.0.1」、鋭い分析を拝読している。ここで、

2013/02/27の記事の、TPPに触れた一部を引用させていただこう。

TPPによる経済発展という美麗なキャッチが喧伝されているが、おおよそ近代において自由貿易の受け入れとは、IMFや世界銀行が対外債務を抱える破綻国家群へ強制する融資条項なのであり、多国籍企業が金融を武力として、経済市場と国家資源を略奪するという王道的スキームに他ならない

市場が完全なものに近づくほど、市場は暴力性を帯び、生活世界が破壊されるというのは経済学の基礎的概念であるにもかかわらず、この社会では建前と本音という二重構造が執拗に秘匿されているのだから、あらゆる報道は幻覚的な見世物であり、文明の麻酔であると捉えなくてはならない。

原発事故によって東北・関東圏の食糧生産が壊滅状態に陥り、つまり都市国家のロジスティクス(兵站線)が破壊され、すでに安全な生鮮食物の入手が困難化している状態で自由貿易を推進し、残された貴重な生産者を抹消しようというのだから、その狙いが穀物メジャーによる市場創出であることは子供が考えてもわかることだろう。

さらに被爆地児童から膨大な甲状腺異常が報告されているとおり、今後は世代間にわたる爆発的な疾患の勃発が不可避であるにかかわらず、保険・医療分野という国民生命に直接かかわる分野で市場原理主義を導入しようというのだから、行為は一条約の締結ではなく、一国家の終焉なのだと思う。つまり、この国ではリスクの定量化という概念すら成立しないわけだ。

70年代に壮絶なレッセフェール(企業利潤主義)が席巻したブラジルでは、保守系新聞が「改革を促進するためには国民精神の浄化が必要である」と論説し、思想統制を率先したのだけれど、破滅的な自由貿易を称揚するこの国のメディアも等しく狂熱に犯されているのであり、つまることころ彼らが唱導する未来像とは、自身の特権階級的な属性は担保されながら、失業や自殺あるいは児童買春が蔓延し、市民は安全な食料も適正な医療も得ることができず、貧困のドン底で死に絶えるような荒廃世界なのだろう。

最近の朝刊、「衆院比例30減」やら「憲法96条見直し」という見出し。

いずれも宗主国の侵略戦争に派兵できる、美しい一流ファシズム属国を完成する方策の一環。一方天の声、武器輸出解禁について「堤防もアリの穴から」と珍しく正論にビックリ。

武器輸出解禁にだけ正論を載せても、小選挙区を推進し、属国化の旗を降り、TPP加盟を言い立て、衆院比例減を進める連中の罪、決して消ない。

まに受ける人々にも、小生のように文句をいっている連中にも、そしてあらゆる未来世代にも永遠の地獄が待ち受けている。

そもそも、でだしから損な協定なのだから、TPPから撤退してしまうのが一番の得策だろう。

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