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2013年5月28日 (火)

腐敗という悪性腫瘍、破壊の種子: モンサントGMOのごまかし

F・ウィリアム・イングドール

Global Research

2012年12月19日

27ヶ国の領域、5億人以上の住民を支配し、18兆米ドルという世界最大の名目国内総生産(GDP)を誇る、ベルギーはブリュッセルの欧州委員会に与えられた権力を考えれば、この道徳的混乱の時代にあって、タバコ業界、医薬品ロビー、アグリビジネス・ロビーや、その他の無数の組織の強力な私的ロビー集団が、莫大な金額を費やし、合法的、時には違法な他の恩恵を用いて、欧州委員会の政策決定に影響を与えようとするのも、恐らく決して驚くべきことではあるまい。

モンサントGMOコーンのある品種の極めて有害な影響に関する真面目な科学的テストの信用を落とそうとする欧州食品安全機関(EFSA)の最近の裁定のおかげで、強力な民間業界ロビー団体と欧州委員会間の「(幹部が行き来する)回転ドア」による腐敗したつながりが丸見えになった。

腐敗という悪性腫瘍

2012年9月、真面目な国際的科学誌「フーズ・アンド・ケミカル・トクシコロジー」(食品と化学的毒物学)が、ジル-エリック・セラリーニ教授が率いるフランス・カーン大学科学者チームによる研究を発表した。刊行前に、セラリーニ研究は、査読者達の優れた集団により、四カ月以上の期間にわたり、方法論を審査され、出版する価値があると見なされたのだ。

これは素人の事業ではない。基本的にGMOでない餌を与えた一つのグループ、いわゆる対照群と、もう一つのGMO餌を与えたラット集団、二年間という生存期間にわたり、200匹のラットの集団に対する実験結果をカーン大学の科学者達が入念に記録したものだ。

重要なのは、モンサントに、同社のNK603トウモロコシの安全性に関わる自社研究詳細の公表を強いる、長期間に渡ったものの、最終的には勝利した法廷闘争に続いて、セラリーニと同僚達が、欧州食品安全機関 (EFSA)が、2009年にNK603の肯定的評価で使ったのと同じ雑誌で発表された2004年のモンサント研究を再現したことだ。

セラリーニのグループの実験は、モンサント研究と同一の手順に基づいてはいるが、決定的に重要なのは、より多くのパラメーターを、より頻繁に実験したことだ。また、ラットは、モンサント研究のわずか90日間ではなく、ラットの丸二年という平均寿命で、ずっと長期間研究した。長い期間が結局、極めて重要なことがわかっただった。最初の腫瘍は、研究開始から4から7ヶ月たってようやく出現したのだ。業界のそれ以前の、同じGMOトウモロコシ、モンサント NK603に対する90日間の研究で、毒性の兆しが見えてはいたが、業界からも、EFSAからも“生物学的に有意ではない”として片付けられた。それは実際に、生物学的に極めて有意であるように思われる。

研究は、標準的なGMO餌研究でこれまで測定されたラットの数として、最大の数で行なわれた。彼等は“(通常の90日間手順での、二種類ではなく)、ラウンドアップ耐性のあるNK603 GMOトウモロコシのみ、ラウンドアップを散布して栽培したGMOトウモロコシ、そして、規制当局によって飲料水やGM食品中に許容されるレベル以下の環境に対し極めて低い量から、高濃度までのラウンドアップを混ぜた飲み水という、初めての3種の投与で実験をした。” [1]

彼等の所見は、憂慮すべきどころではない。セラリーニ研究はこう結論している。“GMO餌を与えたグループでは、メスが、対照群の2-3倍も多く、しかも早く死んだ。この差異は、GMO餌を与えられた3つのオス集団にも見られた…、ほとんど常に、対照群より頻繁、かつ早く、メス達に大きな乳腺腫瘍ができた。下垂体は、器官としては、二番目に酷く影響された。性ホルモン・バランスは、GMOやラウンドアップ処置で変化した。処置されたオス達では、肝鬱血と壊死が、2.5-5.5倍高かった。この病理は、光学と、透過電子顕微鏡法とで確認した。著しい深刻な腎ネフロパシーも、概して、1.3-2.3倍多かった。オスは、対照群より4倍大きい触知可能な腫瘤を示した …” [2]

4倍というのは、GMOを与えたラットでは、通常の餌を与えた対照群より、腫瘍が400パーセント大きいということだ。ラットは哺乳動物なので、ラットの体は、化学物質、つまりこの場合、モンサントのラウンドアップという化学除草剤を散布して栽培したGMOコーンに対し、人間の被験者と同じような形で、反応しているはずなのだ。[3]

研究の中で、セラリーニのグループは更にこう報じている。“24ヶ月目の始め迄に、GMO餌を与えた全てのグループで、50-80%のメスで、一匹に3つまでの腫瘍ができたが、対照群 [非GMO餌を与えた]では、わずか30%しか腫瘍ができなかった。ラウンドアップ処理グループは、最大の腫瘍発生率を示し、各グループで、80%のラットが、メス一匹に、3つまでの腫瘍ができた。” [4]

このような憂慮すべき結果は、現在までのモンサントや農薬業界の実験のほぼ全ての期間である最初の90日間では明らかにならず、長期間の実験を行なうことがどれほど重要であり、何故業界は、より長期間の実験を明らかに避けたのかをまざまさまと示している。

 

 

セラリーニと同僚達は、彼らの憂慮すべき所見を記述している。“主要な農薬R (ラウンドアップ)のみの、極めて少ない投与量による、乳腺腫瘍の著しい誘発を観察した。Rは、エストロゲンを合成するアロマターゼを妨害することが示されている(Richard他.、2005年)、細胞中のエストロゲンとアンドロゲン受容体にもに干渉する(Gasnier他、2009年)。更に、Rは、オスでも、生体内での性内分泌物かく乱物質であるように見える(ロマノ他、2010年)。投与されたラットでは、性ステロイドも変わっていた。これらのホルモン依存性の現象は、投与されたメス達の下垂体の機能不全増大によって確認された。” [5]

ラウンドアップ除草剤は、モンサントとのライセンス契約条件により、モンサントのGMO種子に対して使用しなければならない。種子は実際世界で一番売れている除草剤、モンサント社自身のラウンドアップの除草効果に耐える為だけに、遺伝子を“組み換えられている”。

セラリーニ教授が率いた別の研究は、より平易な言葉で述べている。“GMO植物は、除草剤耐性によるか、殺虫剤を作り出すことで、あるいはその両方によって、農薬を含むように改良されており、それゆえ‘殺虫剤を含む植物’と見なすことが可能である” [6]

更に、“ラウンドアップ耐性作物 [モンサント NK603トウモロコシ等] は、グリホサートを感じなくするよう組み換えられている。この化学物質は、処方中の補助薬とともに、強力な除草剤となる。これは長年除草剤として使用されてきた…ラウンドアップ等のグリホサートを基本にした除草剤に曝されたGMO植物は …ラウンドアップ残留物を、一生を通じて蓄積さえする…グリホサートや、その主な代謝産物AMPA(それ自身に毒性がある)がGMO中で習慣的に見つかっている。それゆえ、そのような残留物は、大半のGMO植物(こうした植物のおよそ80%はラウンドアップ耐性だ)を食べる人々によって吸収される。” [7]

実にうさんくさいことに、ラウンドアップで使われている、グリホサート以外の正確な化学物質を公表するようにという科学的要求を、モンサントは繰り返し拒否してきた。それは“企業秘密”だと連中は主張してきた。しかしながら、科学者達による独自の分析で、グリホサートと、モンサントの“秘密の”追加化学物質の組み合わせが極めて有毒なカクテルを作り出し、農業で使われるより遥かに低い量で、ヒトの胚細胞に有害な影響を与えることが示されている。[8]

GMOコーン、および/又は、低レベルのラウンドアップを与えられたラットでは、乳腺腫瘍が生じたる。フード・アンド・ケミカル・トクシコロジー刊の論文“ラウンドアップ除草剤や、ラウンドアップ耐性の遺伝子組み換えトウモロコシの長期的毒性”から。

ラットに対するGMO餌の影響にまつわるセラリーニの最初の長期間の独立研究で、特に憂慮すべきことは、それが、アメリカ大統領ジョージ H・W・ブッシュが、GMO種子の市販にゴーサインを出し、市販前の政府による安全性試験は不要だと命じてから約20年後に行なわれたことだ。ブッシュは、世界最大のGMO企業モンサント社の幹部達との密室会議の後で、そういう決定をしたのだった。

当時、アメリカ大統領は、人間や動物用の食品として安全かどうかを判定する為の、政府による独立した予防的実験ひとつも無しで、アメリカ合州国でGMO種子が認められるべきだと命じた。それは「実質的同等性」原理として知られるようになった。欧州委員会は、アメリカの「実質的同等性」原理、つまり“悪い影響には耳を傾けない、悪い影響には目を向けない…聞かざる、見ざる。”を忠実に猿真似したのだ

EFSAの‘科学’馬脚をあらわす

セラリーニ研究が引き起こしたものは、科学的には、熱核爆発にも等しい。EUのGMO“科学的”対照群は、GMO企業自身からもらった実験を、疑問にも思わずに受け入れたものに過ぎないという事実を暴露した。欧州委員会の無責任な役人連中について言えば、GMOに関する限り、モンサントの狐が“鶏小屋の番人”を勤めることを認めたのだ。

突如、新たなセラリーニの結果に世界中が注目する中、欧州委員会やEFSAは、明らかに、彼らの史上経験が無いほどの猛攻撃の的となり、彼らの対応ぶりは、アガサ・クリスティー殺人小説の下手な模倣作並だった。ただしこちらは小説ではなく、現実におきている陰謀であり、モンサントや、GMO農薬カルテル、欧州委員会メンバー、EFSAのGMO委員会メンバー、無頓着な大手マスコミや、、スペインやオランダを含むEU加盟国政府のいくつかの間での、ある種の癒着がからんでいるのは明白だ。

長期間のセラリーニ研究の非常に不利な結果のおかげで、ブリュッセルのEU科学食品規制機関EFSAは切羽詰まっていた。2009年、EFSAは、最初に独立した実験を行なったり、保証したりせずに、モンサントのNK603ラウンドアップ耐性トウモロコシの承認を勧告した。連中は、公式刊行物の中で、“出願者(モンサント)が提供した情報、加盟諸国が提出した科学的な意見と、スペインの所轄官庁と、バイオ安全委員会報告に依存していた。”ことを認めている。EFSAは、モンサントのラットでの試験は、わずか90日間のものであったことも認めた。セラリーニのグループは、GMOを与えられたラットの大規模な毒性効果と死亡が、90日以降に発生したことを記述しているが、それこそが、なぜ長期間の研究が明らかに必要とされているのかという理由だ。[9]

EFSAが引用したスペイン語の報告は、それ自身到底、説得力があるものではなく、到底独立したものとも言い難い。報告にはこうある。“科学知識の現在の状態に従い、およびモンサント社が提供した既存の情報やデータを検討した後、スペインのバイオ安全委員会は、EUにおけるトウモロコシ NK603の商用化に好意的な意見を述べることが可能となった…”加盟諸国によって提出された科学的コメントは、そもそも、モンサント種子のライセンスを認可するよう申請したスペインとオランダを含んでいるもののようだ。[10]

2009年の承認時に、EFSAはこう結論していた。“[モンサントから]提供された分子データは十分であり、安全性に対する懸念を引き起こすものではない。”ブリュッセルの科学委員会は、科学的に響く言い回しの中で、更にこう述べている。“EFSA GMO委員会は、トウモロコシ NK603は、通常のトウモロコシ同様に安全であるという意見である。トウモロコシ NK603とその派生製品は、意図された用途という文脈の中では、人間や動物の健康には、いかなる悪影響をもたらす可能性は少ない。” [11]

今、2012年9月、EUにモンサントGMOトウモロコシが商業的導入されて三年後、セラリーニが、不気味な写真を添えて、モンサントのGMOトウモロコシが、ラットの深刻な率のがん性腫瘍と早期死亡を引き起こすことをはっきりと示したのだ。

ブリュッセルの欧州委員会にはガイドラインがあるが、GMO植物と、それとペアの毒性除草剤にさらされることに対する市民の健康や安全を保証するために、どのような予防手段がとられているかについて、彼等が明言していることよりも、彼等が触れていないことが、真実を明らかにしている。“EUやアメリカでの新食品の承認に、実験動物での毒物学的評価は明示的に要求されていない。独立の専門家は、場合によっては、食品組成の化学分析で、新しいGMOが、伝統的な作物と、実質的に同等であることを十分示せると確信している…近年、バイオテック企業は、遺伝子組み換え産品(トウモロコシ、大豆、トマト)を、市場に導入する前に、いくつかの異なる動物で、90日間までの期間にわたり実験した。これまでの所、悪影響は観察されていない。” [12]

アメリカ政府の強い圧力と、アメリカとEUでのモンサントが率いるGMO農薬ロビーの明らかに強力なロビー力ゆえに、セラリーニの研究の時点では、世界のいかなる監督機関も、食用GMOや農薬に対して、義務的な長期的な動物への給餌研究の実施を要求してはいない。これまでの研究は、バイオテック業界が行なったごくわずかの、ラットに90日間餌を与えた実験だけであり それより長期間の研究は存在せず、道徳的見地から明らかに、利益相反in食品の安全性のように重要な分野での深刻な問題として受け止められるべきではない。

暴露するかのように、EUは一見心強い政策を公式に述べていた。“GMOを批判する人々は、承認されたGMOを餌に与える研究で、健康への悪影響が明らかになっていると主張している。そのような主張は、論文審査されておらず、科学的に評価されていない。信頼性を得るためには、科学研究は、のあらゆる種類の健康上のリスクを示すべきで、個々のGMOには承認はいらない。” [13] 2012年にセラリーニの爆弾が連中の目の前で爆発するまでは、それがEUの公式見解だった。

欧州委員会の欺瞞と隠蔽

Seeds of Destruction 邦題『マネーハンドラー ロックフェラーの完全支配 【アグリスーティカル(食糧・医薬)】編』広告

2012年9月のセラリーニの研究は論文審査されており、そのような審査後、極めて立派な国際的な学術誌発表された。欧州委員会とEFSAの反応は一体どのような物だったろう? まさにモンサントGMOロビーによる、彼らの腐敗に対する詐欺的策略と隠蔽に他ならない。

2012年11月28日、研究発表からわずか数週間後、ブリュッセルのEFSAは以下結論の報道発表を行った。“セラリーニ他による論文には、設計と方法論上、深刻な欠陥があり、条件を満たす科学的基準には合致せず、遺伝子組換えトウモロコシ NK603の過去の安全性評価を見直す必要は無い。”EFSAの作業を率いたパー・バーグマンは、こう述べた。“EFSAの分析で、セラリーニ他の欠陥が明らかになった。論文は、危険性の事前評価として、不十分な科学的品質である。この評価プロセスの競争で、問題が明確になったと我々は信じている。” [14]これほど真実と程遠いものはない。

最低限、人間集団に対する重大な被害の潜在的可能性がある場合には、予防原則から、欧州委員会とEFSAは、即座に、セラリーニ実験の結果を証明するなり、誤りであることを証明するなり、更なる真面目で独立した長期的研究を命じるべきなのだ。モンサントのGMOトウモロコシを認めるという、彼らの以前の決定の見直しを否定したことは、セラリーニ研究に、どのような欠陥があったのか、なかったのかに関わらず、EFSAは少なくともGMO農業ロビーをかばおうとしているかも知れないことを示唆している。

EFSA声明はまたもや、明晰さではなく、EFSAのGMO委員会が、規制をするはずだと思われているGMOロビーそのものと、露骨な利益相反があるとずっと主張してきた、EFSAを批判する科学者達につけこむ余地を与えてしまった。独立したEU企業監視団体のCorporate Europe Observerは、EFSAの対応について述べている“EFSAは、利益相反の疑惑の余地がないような、適切かつ透明な、委員会の科学者任命をし損ねている。EU評価のさなかに、GMOの危険性の事前評価ガイドラインについて議論するため、ヨーロッパ最大のバイオ業界ロビー集団と会合したことが、その信ぴょう性を損なうことを、EFSAは理解しそこねている。” [15]

モンサントに成り代わっての粗悪なEFSA隠蔽工作にとってより不利なのは、2009年にモンサントのGMOトウモロコシ研究を積極的に評価し、全EUでの承認をもたらした、GMO委員会に関与する科学者達の半数以上に、バイオ業界との利益相反があるという事実だ。[16]

Corporate Europe Observatory (CEO)による報告書は、承認に署名したGMO委員会専門家の半数以上が利益相反していたことを明らかにしている。

利益相反は、バイオ業界から研究資金を得ているものから、業界が資金を出している刊行物に寄稿したり、評論したりているバイオ業界寄り団体のメンバーや協力者までと様々だ。委員会メンバーの何人かが、nptIIを含む耐抗生物質の標識遺伝子を使ったジャガイモを含む遺伝子導入植物の開発事業に関わっていたという科学的相反も明らかになっている。[17]

第二に、EFSAのGMO委員会メンバーの誰一人として、人の薬に抗生物質を使用することについての医学専門家ではないにもかかわらず、彼等はネオマイシンとカナマイシンは、“治療効果が無いか、ごくわずか”な抗生物質だと決定した。2005年、世界保健機関(WHO)は、この二つの抗生物質を“極めて重要な”ものとして分類している。

EFSA GMO委員会の委員長で、バイオテック業界と密接なつながりを持つオランダ人科学者ハリー・クーパーが、争点となるこの重要な科学的助言立案で主要な役を演じている。

クーパー自身、GMO種子の普及の為、EUでの制限緩和のあからさまな支持者だ。2003年以来、彼はEFSA GMO委員会を率いており、その間に、EFSAは、GMO承認ゼロから、38のGMO種子を人間の食用に承認するにまでに至った。EFSAの為の承認基準を、クーパーは、2001年から2003年までの間、モンサントとGMO業界とワシントンに本拠を置く国際生命科学研究所ILSIと呼ばれるモンサントのエセ科学偽装団体と協力して開発していた。高尚に響くILSIの役員会の2011年の顔ぶれは、モンサント、ADM (GMO大豆とコーンの世界最大の提供者の一社)、コカコーラ、クラフト・フーズ (食品にGMOを入れることの主要支持者)、もう一つの巨大なGMO食品の業界ユーザー、ネッスルといった企業の幹部連中なのだ。[18]

業界の慣行を客観的に評価することを委託されているEU食品安全規制当局幹部が、その業界と結託しているという露骨な利益相反を批判するある人物はこう述べている。“その間、ハリー・クーパーとGijes Kleter (いずれもEFSA GMO委員会のメンバー)は、ILSIタスク・フォース内で、活動的な専門家で、関連科学刊行物の著者だった。クーパーが、2003年以来、EFSAのGMO委員会の委員長の地位にあり、NGOや委員会やEU加盟国からさえ、委員会に対して大いに批判されながら、依然として委員長をしているのはスキャンダルだ。” [19]

モンサントとアグリビジネス・ロビーとEFSAの間の恥知らずな利益相反は、もっと深刻だ。2012年5月、ワシントンにある、モンサントの支援を受けた国際生命科学研究所(ILSI)の専門的な地位につく予定であるのがばれて、ダイアナ・バナティ教授は、EFSA運営委員会委員長に辞任を強いられた。2010年、まさにそのダイアナ・バナティ教授は、EFSA委員長としてではなく、ILSIの役員会の同時メンバーとして辞任を強いられていた。公益団体が、彼女にEFSAを辞職するよう要求したが、効果はなかった。[20] 彼女はEFSAで働いて得た専門知識やコネを、ILSIで、モンサントの様なGMO企業や他の食品業界の大企業を助けるのに活用し、世界中の政策に影響を及ぼすことができる。

要するに、GMO業界と、EUから、GMOのリスクに対する独自の判断をするよう委任されている監督機関との間のブリュッセルの悪名高い“回転ドア”に詳しい筋にとって、EFSAが、セラリーニの研究結果を非難したのは決して驚くべきことではなかった。しかしながら、EFSAのGMO委員会メンバーの露骨なGMO業界支持偏向の最もあきらかなものは、セラリーニの結果を検討したEFSA GMO委員会の最終裁定声明だ。“セラリーニ他の論文は、設計や方法論の深刻な欠陥ゆえに、認められる科学的標準には合致しておらず、以前の遺伝子組換えトウモロコシ NK603安全性評価を見直す必要性は無い。” [21]

ブリュッセルにおける、あからさまで、見境のないGMO支持感情は、EFSAだけのものではない。厄介なセラリーニ研究が公表される数週間前、欧州委員会の首席科学顧問アン・グローバーは、2012年7月24日のインタビューでこう述べた。“人間の健康、動物の健康や、環境衛生に対するいかなる悪影響について、立証された事例は皆無であり、これはかなりしっかりした証拠で、GMO食品を食べることには、普通の農業で生産された食品を食べる以上の危険はないと確信をもって言えます。”彼女は、予防原則も、もはや適用されないと補足したが、つまりEUは、GMOの承認について、慎重過ぎるぐらい慎重になってはならないのだ。[22]

あからさまに腐敗したEFSA委員会や、グローバー教授の事務所に、多少とも科学的責任の見せ掛けをつくろう意図があれば、彼等は即座に、セラリーニの結果を支持したり、反証したりする為に、複数の独立した同様の長期間のラット研究を呼びかけいただろう。連中と、彼等に影響を与えているモンサントGMOロビーには、セラリーニ・グループを、曖昧な非難で中傷し、従順な国際マスコミが見出しに載せて、厄介な話題を終わらせてくれるよう願う以上のことをする意図は皆無なのは明らかだ。特許を取ったGMO種子と、それとペアで用いるラウンドアップのような毒性除草剤の普及の歴史では典型的なものだ。

注記:

[1] Seralini et al., Op. Cit.

[2] 同上。

[3] WiseGeek、なぜラットが動物実験で使われるのか?、accessed in http://www.wisegeek.org/why-are-rats-used-in-animal-testing.htm

[4] 同上。

[5] 同上。

[6] ジル-エリック・セラリーニ他、遺伝子が組換えられた作物の安全性評価: 現在の限界と、あり得る改善、Environmental Sciences Europe 2011、23:10、accessed in http://www.enveurope.com/content/23/1/10.

[7] 同上。

[8] Aris, A., Leblanc, S., Maternal and fetal exposure to pesticides associated to genetically modified foods in Eastern Townships of Quebec, Canada, Reproductive Toxicology, 2011 May;31(4):528-33. Epub 2011 Feb 18.

[9] European Food Safety Authority (EFSA), Scientific Opinion of the Panel on Genetically Modified Organisms on applications (EFSA-GMO-NL-2005-22 and EFSA-GMO-RX-NK603) for the placing on the market of the genetically modified glyphosate tolerant maize NK603 for cultivation, food and feed uses and import and processing, and for renewal of the authorisation of maize NK603 as existing product, The EFSA Journal (2009) 1137, 1-50.

[10] 同上。

[11] 同上。

[12] GMO-Kompass, Food Safety Evaluation?Evaluating Safety: A Major Undertaking, February 15, 2006, accessed in http://www.gmo-compass.org/eng/safety/human_health/41.evaluation_safety_gm_food_major_undertaking.html

[13] 同上。

[14] EFSA, Seralini et al. study conclusions not supported by data, says EU risk assessment community, EFSA Press Release, 28 November 2012, accessed in http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/121128.htm

[15] Corporate Europe Observatory, Op. Cit.

[16] 同上。

[17] Corporate Europe Observatory、 Approving the GM potato: conflicts of interest、flawed science and fierce lobbying、CorporateEurope.org、November 7、2011、accessed in http://corporateeurope.org/publications/approving-gm-potato-conflicts-in…

[18] ILSI、2011 Annual Report、Board of Trustees、accessed in http://www.ilsi.org/Documents/ILSI_AR2011_rFinal.pdf

[19] Tore B. Krudtaa, Harry Kuiper Chair of EFSA GMO panel ? Another regulator in the business of deregulation?, Monsanto.No, 22 September 2011, accessed in http://www.monsanto.no/index.php/en/environment/gmo/gmo-news/166-harry-kuiper-chair-of-efsa-gmo-panel-another-regulator-in-the-business-of-deregulation

[20] EFSA, FAQ on the resignation of Diana Banati as member and Chair of EFSA´s Management Board, accessed in  http://www.efsa.europa.eu/en/faqs/faqresignationdianabanati.htm

[21] EFSA, Seralini et al. study conclusions not supported by data, says EU risk assessment community, EFSA Press Release, 28 November 2012, accessed in http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/121128.htm.

[22] EurAktiv.com、GMOs: “Anne Glover、you are wrong,” 27 July 2012、accessed in http://www.euractiv.com/cap/gmos-anne-glover-wrong-analysis-514185

記事原文のurl: www.globalresearch.ca/stench-of-eu-corruption-in-monsanto-gmo-whitewash/5316294

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反TTPの論客、中野剛志氏の『TPP亡国論』には、186ページから、「食糧の戦略性」が書かれている。

穀物は、石油より政治的パワーが強い

アメリカの穀物輸出に大きく依存してしまっている日本は、かなりリスクの高い状況下にあります。アメリカに支配されているも同然だと言えるのではないでしょうか。190ページ

もっと恐るべきは「F1品種」の問題です。これについては島崎氏の著作を参照してみましょう。192ページ

現在では、市販されている野菜類の九割以上がF1品種となっており、しかも、アメリカのモンサント社という多国籍企業がFl品種の種子をほぼ独占し
ています。F1品種の優秀性は一代限りなので、採種しても意味がないため、農家はモンサント社からの種子を購入し続けなければなりません。192-193
ページ

中略

日本の野菜類の自給率は約八割ですが、その 種子はアメリカからの輸入に依存しており、かつ依存し続けなければならない状態になってしまっているの
です。アメリカのモンサント社は、F1品種の特殊性と日本の農業の構造を戦略的に活用して、日本を支配する恐るべきパワーを手にしたというわけです。
193ページ

中略

農業市場の開放は、農産品といっしょに、こうした強大な政治的なパワーをも国内に招き入れることになります。日本の政治が、アメリカの利益集団の圧力を受けるようになるのです。「国を開く」というのは、そういうことです。193ページ

中略

TPPによって日本の農業の既得権益とその政治力が破壊されたのち、それにとって代わるのは、もっと強力なアメリカの農業の既得権益と政治力なので
す。それ以前に、TPPという外圧自体からして、その背後にはアメリカの農業利権が控えていることでしょう。構造改革論者は、国内の利権には目くじらを立
てるのに、日本を支配しようとする外国の利権については、どうして無警戒で、寛容ですらあるのでしょうか。194ページ

島崎氏の著作とは『食料自給率100%を目ざさない国に未来はない』島崎治道著、集英社新書のこと。

2012年11月5日付けのJosh Sagerによる記事No Matter Who Wins the 2012 Presidential Election Monsanto Benefits「2012大統領選で誰が勝とうと、モンサントは儲かる」の挿絵。

 

 

モンサントがベルトコンベアに乗った政治家達(人名に注意)に寄付金を噴霧しながら言う。

「豊作の遺伝子組み換え公僕連中は、下からの声には100%耐性があるんだぜ。」

狂言回しの鳥?が言う「アメリカの有権者は全くの害虫だ。

大本営広報は、株価やら、慰安婦問題ばかりで、TPPや、憲法破壊策動や、マイナンバー法案は全てスルー。小平の「住民投票不成立」は嬉しそうに放送してくださる。道路建設の是非は論ぜず、50%に達しなかった話ばかり。

自民党政治家諸氏の株の含み益はさすが。アホノミックスなるインチキ政策を推進するのは当然。自分の為になる。金持ちの、金持ちによる、金持ちの為の政治。

本研究の映画が日本でも公開される映画「世界が食べられなくなる日」

映画『世界が食べられなくなる日』

参考記事 仏ルモンド紙「モンサントの遺伝子組み換え食品に毒性の疑い」

2012年11月28日のセラリーニ研究を批判するEFSA発表の暫定日本語訳pdfもある。

筆者F・ウィリアム・イングドールの著作、記事でも紹介されているが、幸い邦訳されている。

TPPで、宗主国の素晴らしい前例に習って、そもそも「遺伝子組み換え」表示をするラベルは禁じられる。食べ放題だ。

経団連会長氏は、モンサントと提携している住友出身。TPP・新自由主義・原発推進は、我が身大事から。見習うべき出世哲学。

下記は以前翻訳した関連記事の一部。(自動的に記事末尾に生成される同一テーマの記事、アクセス頻度で選ぶのだろうか、重要性とは無関係のようだ。)

というわけで、下記シンポジウムは必見。大本営広報電気箱とは違う重要な会合。

2013/05/29 TPP国際シンポジウム ―農業だけじゃない?TPPの問題はこれだ!―

2013年5月29日(水)、東京都千代田区の参議院議員会館で、「TPP国際シンポジウム ―農業だけじゃない?TPPの問題はこれだ!―」が開かれた。(サマリー作成中です)

■内容
 <第1部 講演>
  ジェーン・ケルシー 氏(ニュージーランド/オークランド大学教授)
  ロリ・ワラック氏(アメリカ/パブリックシチズン貿易担当)
  金鐘佑氏(韓国/弁護士)
 <第2部 シンポジウム>
  コーディネーター:首藤信彦氏
  パネリスト:ジェーン・ケルシー氏、ロリ・ワラック氏、金鐘佑氏、原中勝征氏、篠原孝氏、榊原英資氏、孫崎亨氏

■主催
 TPPを考える国民会議

■詳細http://tpp.main.jp/home/?p=1309

下記urlでビデオが見られる。

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/82216

※掲載期間終了後は、会員限定記事となります。

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

Jane Kelsey教授の本がebookで刊行された。 $4.99 題名は『(TTPの)隠された狙い』。TPPについて我々が知るべきこと。
Hidden Agendas
What We Need to Know about the TPPA

Ebook publication: May 2013
Pages: 84
RRP: $4.99
DOI: 10.7810/9781927131909

Adobe Readerで、パソコンでも読める。

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NHK「自民党はネット工作業者を使い自民党に都合の悪い書き込みを削除したり反論させたりしている」 http://blog.goo.ne.jp/ngc2497/e/8899f65988fe0f35496934dc972e2489

愛読させていただいてます。最近、スマホを変えまして、そしたらそれで読むとこのサイトがウィルス感知に引っかかるようになりました。(ギャラクシーs4。プリインストールのMcafeeのソフト)アクセスを減じるための悪意でもあるのじゃないかって勘ぐっています。何が原因なのかお調べになられてはいかがでしょうか?

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» 【拡散希望】TPP/SPSルールの恐怖1 毒だという科学的証拠がないものは食べよ [街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋]
TPPで協議の対象とされている21分野の1つにSPSと書かれた分野がある。SPSとは「衛生植物検疫措置」のことだ。 国家は、自国の域内に人や動植物の健康や、環境に有害な食品や動植物が侵入することを防ぐ権利を有する。この権利の行使を国際経済法の言葉では、「衛生植物検疫措置」という。「植物」とあるが、この場合「動物」や「食品添加物を含む食品」等も含まれている。 この「衛生植物検疫措置」について加盟国の... [続きを読む]

» 細田 千枝子    遺伝子組換え食品なんかいらない [志葉楽(シバラク)]
細田 千枝子    遺伝子組換え食品なんかいらない http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/gmo-2b02.html 彼等の所見は、憂慮すべきどころではない。セラリーニ研究はこう結論している。“GMO餌を与えたグループでは、メスが、対照群の2-3倍も多く、しかも早く死んだ。この差異は、GMO餌を与えられた3つのオス集団にも見られた…、ほとんど常に、対照群より頻繁、かつ早く、メス達に大きな乳腺腫瘍ができた。下垂体は、器官としては、二...... [続きを読む]

» 人類の自己破壊−遺伝子組み換え作物と原発 [老人党リアルグループ「護憲+」ブログ]
「世界が食べられなくなる日」というドキュメンタリーを見た(6月8日から上映)。 http://www.uplink.co.jp/sekatabe/ お豆腐や納豆を買うと「遺伝子組み換え大豆ではない」と書かれている。この遺伝子組み換え作物と、原発の問題を扱う。根は一緒だからと。 大豆の生産...... [続きを読む]

» なぜ遺伝子組み換えがだめか:生物学的に不安定で突然変異を繰り返し続け、止められなくなる:印鑰 智哉氏 [晴耕雨読]
https://twitter.com/tomo_nada TPP が影響を与えるのは日本の農業に留まらない。 アグリビジネスにフリーハンドを与えれば人類の生存に根本的な脅威となる。 TPPを止めるだけでも十分ではない。 多国籍アグリビジネスに国際連帯で闘う必要がある。 https://t.co/HOcCu05KUW 人気blogランキング 「この記事はしっかり読むべきだろう。 「UN: Accelerating Biodiversity Loss a 'Fundamental Thr... [続きを読む]

« 福島原発の放射性降下物の脅威とその隠蔽は継続中 | トップページ | エージェント・オレンジから農薬や遺伝子組み換え作物まで。モンサントを信じてはいけない理由 »

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