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2013年11月28日 (木)

モンサント、TPPと、世界の食料支配

Ellen Brown

2013年11月26日

Web of Debt

“石油を支配すれば、世界各国を支配できる”と、1970年代に、アメリカのヘンリー・キッシンジャー国務長官は言った。“食料を支配すれば、人々を支配できる。”

ごく少数の多国籍企業により配給されているGMO(遺伝子組み換え)種子で、種子の多様性を減少させることによって、世界の食糧支配はほぼ達成された。しかし、この狙いは、我々の健康に対する由々しき負荷を伴って、実現されているのだ。そして、もし環太平洋連携協定(TPP)が成立すれば、食料のみならず、健康、環境や金融制度を巡る支配は、多国籍企業の手中に落ちるだろう。

国民より利益優先

遺伝子工学は、世界の食糧供給がそれに依存している種子を巡る所有権支配を可能にした。“ターミネーター”遺伝子は、種を発芽しないようにさせる“裏切り者”という、ふさわしい名で呼ばれている化学合成触媒を用いて、発芽しない種子の生産を可能にした。したがって、農民は毎年、特許権所有者から種子をかわざるを得なくなっている。こうした費用をまかなう為、食料価格が上げられた。しかし、被害は、家計を遥かに超える膨大なものだ。

植物病理学者で、パーデュー大学名誉教授のドン・ヒューバーとのエーカーズUSAのインタビューによれば、事実上、組み換えられた二つの形質が、現在世界で栽培されている遺伝子組み替え作物の全てを占めている。一つは昆虫耐性だ。もう一つのより憂慮すべき組み換えは、グリホサートを基にした除草剤(植物を枯れさせる化学薬品)への非感受性だ。モンサントの同名のベスト・セラー製品にちなんで、ラウンドアップと呼ばれることが多いグリホサートは、それに耐えるよう遺伝子が組み換えられた植物を除いて、それが通過する、あらゆるものに害を与える。

グリホサートに基づく除草剤は現在世界で最も一般的に使用される除草剤だ。グリホサートは本質的に、GMOに不可欠なパートナーで、急成長しているバイオテク産業の主な業務だ。グリホサートは、不要な植物を直接枯らすのではなく、極めて重要な栄養素の取り入れを阻害して、無差別に植物を枯らせる“広域”除草剤だ。

知らず知らずのうちに、有害な形で機能するので、以前のダイオキシンに基づく破壊的な除草剤に対する、比較的穏やかな代替品として販売されている。しかし、今や多くの実験データが、グリホサートと、それを含んだGMO食品が、健康に対する深刻な危険を及ぼすことを示している。複合リスクは、グリホサートをより有効にする為に使用される“不活性”成分の毒性だ。研究者達は、例えば表面界面活性剤POEAが、人の細胞、特に胎芽、胎盤と臍帯の細胞を殺す可能性があることを見いだした。しかし、こうしたリスクは都合よく無視されている。

GMO食品とグリホサート除草剤が広範に使用されている事実は、アメリカが、医療に対して、一人当たり先進国平均の二倍使っているのに、世界の健康な国民の尺度ではずっと下位に位置するという異様さを説明するのに有用だ。世界保健機関は、全体的な健康に関して、アメリカを、17の先進国のどん尻に位置づけた

アメリカのスーパーマーケットの60から70パーセントの食品は、遺伝子組み替えだ。対照的に、少なくとも、スイス、オーストラリア、オーストリア、中国、インド、フランス、ドイツ、ハンガリー、ルクセンブルグ、ギリシャ、ブルガリア、ポーランド、イタリア、メキシコやロシアを含む、他の26ヶ国では、GMOは全面的、あるいは部分的に禁止されている。GMOに対する大幅な制限が他の約60ヶ国で行われている。

GMOとグリホサート使用の禁止はアメリカ人の健康の向上にも資する可能性がある。だが、オバマ政権が、その為に一括優先通商交渉権を求めている環太平洋連携協定、グローバルな貿易協定は、医療危機に対する、そうした類の原因に焦点をあてた手法を阻止するものだ。

知らぬ間に進行するラウンドアップの影響

ラウンドアップ耐性作物は、グリホサートによって枯れるのは免れるが、それを組織内に吸収することは避けられない。除草剤耐性作物には、他の作物より大幅に高い水準の除草剤残留物がある。実際、多くの国々は、GM作物導入を可能にする為、法的許容水準を、50倍にまで上げざるを得なかった。もし、モンサントによる新たな提案が承認されれば、欧州連合では、食品中の残留物は、100-150倍増大する。一方、除草剤耐性の“スーパー雑草”は、この化学成分に順応してしまい、その植物を枯らす為には、より有害な分量や、新たな有毒な化学物質を必要とするようになっている。

人間の酵素は、植物の酵素と同様、グリホサートによって影響を受ける。この化学物質はマンガンや他の不可欠なミネラルの吸収を疎外する。こうしたミネラル無しには、我々は食べ物を適切に新陳代謝できない。これはアメリカ合州国における肥満の蔓延を説明するのに有効だ。いつもの食事で得られない栄養素を得ようとして、人々は同じものを食べまくるのだ。

出典:Biosemiotic Entropy: Disorder、Disease、and Mortality中の研究者サムセルとセネフによるもの (2013年4月):

グリホサートによる、チトクロームP450(CYP)酵素阻害は、哺乳類に対する毒性の中でも見過ごされてきた要素だ。CYP酵素は、生物学上、重要な役割を演じている .....体に対する悪影響は知らぬ間に進行し、体中の細胞の炎症損傷等の様に、時間とともに、ゆっくり発現する。その結果が、消化器疾患、肥満、糖尿病、心臓病、鬱病、自閉症、不妊症、癌やアルツハイマー病を含む大半の病気や、欧米の食事と結びついた症状だ。

40以上の病気が、グリホサートの使用と結びつけられており、更に多くがそうであることかは判明しつつある。2013年9月、アルゼンチンのリオ・クアルト国立大学が、グリホサートが、最も発癌性の高い物質の一つアフラトキシンB1を生成する真菌の成長を促進するという研究結果を公表した。アルゼンチンのチャコの医師は、AP通信にこう述べた。“かなり健康な国民から、癌罹患率、出生異常や、かつては稀にしか見られなかった病気の多い国民に変わってしまいました。”アメリカのトウモロコシ作物における真菌の成長は大幅に増加した。

グリホサートは、環境にも深刻な被害をもたらしている。2012年10月のInstitute of Science in Society報告によれば、こうだ。

グリホサートとグリホサート耐性作物は、収穫量を増し、農民の収入を高め、農薬の使用が減ることで、環境にも良いとアグリビジネスは主張している。実情は、まさにその逆だ....証拠は、グリホサート除草剤とグリホサート耐性作物には、グリホサート耐性のスーパー雑草や、毒性植物(そして、家畜への新たな) 病原体を含む、広範な有害な影響や、作物の健康と収穫量を低下させ、昆虫から、両生類や家畜に至るまでの対象外の種に害を与え、土壌の肥沃度も低下させることを示している。

政治が科学ををしのぐ

こうした逆の所見にもかかわらず、アメリカ政府や欧州委員会は、一体なぜグリホサートを安全だと是認し続けているのだろう? 批判する人々は、緩い規制や、大企業ロビイストの大きな影響力や、人々の健康を守るよりも、権力と支配を狙う政治的目標を指摘する。

2007年の画期的な本『ロックフェラーの完全支配 アグリスーティカル(食料・医薬)編』(原題Seeds of Destruction: Hidden Agenda of Genetic Manipulation)の中で、ウイリアム・イングドールは、ロックフェラーの子分、ヘンリー・キッシンジャーの下で、世界的食料支配と人口削減がアメリカの戦略的政策になったと述べている。石油の地政学と共に、アメリカの世界覇権への脅威と、アメリカが開発途上国の安い原料を継続して入手する為の新たな“解決策”となる予定だ。この狙いに従い、政府は、バイオテクノロジー農業関連業界に有利な、極端な党派性を示して、業界自らが“自発的に”取り締まる体制を選択している。バイオ食品は、いかなる特別の試験も必要としない“自然食品添加物”として扱われている。

Institute for Responsible Technology(=責任を負う技術研究所?) 事務局長のジェフリー・M・スミスは、アメリカ食品医薬品局の政策が、バイオテクノロジー企業が自らの食品が安全かどうか判断するのを認めていることを確認している。データ提出は完全に任意だ。彼はこう結論している。

食品安全研究の極めて重要な場面において、バイオテクノロジー業界は説明責任を負わず、基準も専門家による評価も不要だ。彼等はエセ科学を科学にしてしまったのだ。

人口削減が、狙いの中でも、意図的なものかどうかは別として、GMOとグリホサートの広範な利用は、そういう結果をもたらしている。グリホサートの内分泌攪乱成分は、不妊症、流産、先天異常や、性的発育の停止と結びつけられている。ロシアの実験で、GM大豆を与えられた動物は、第三世代迄には子を作れなくなる。植物の根が土壌の栄養素を吸い上げることを可能にする有益な微生物を死滅させることで、膨大な量の農地の土壌も、組織的に破壊されている。

ゲイリー・ナルの驚くべきドキュメンタリー映画 『医原死―死の医療ビジネス』(原題Seeds of Death: Unveiling the Lies of GMO)で、ブルース・リプトン博士は警告している。“私達は世界を地球上の生命の第6次大量一斉絶滅に追い込んでいます....人間のふるまいが、生命の網目を傷つけている。”

TPPと、国際企業による支配

あれこれの研究の衝撃的結論が、世界中の人々をラウンドアップとGMO食品の危険性に目覚めさせたので、多国籍企業は、多国籍企業の活動を規制する権力を政府から剥奪するであろう貿易協定、環太平洋戦略的経済連携協定を、一括優先通商交渉権でまとめるよう、オバマ政権に熱狂的に協力している。交渉は議会には秘密にされているが、相談を受け、詳細を知っている600人大企業顧問にとっては秘密ではない。ネーション・オブ・チェンジバーバラ・チチェリオによれば、こうだ。

    環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、史上最大の地域的自由貿易協定となる可能性がある....

    アメリカの農業首席交渉官は元モンサントのロビイスト、イスラム・シディークだ。もし批准されれば、TPPは、大企業が自分達の利益の障害だと見なす政策に対する納税者による補償を要求する未曾有の権利を多国籍企業に与える懲罰的な規制を課すだろう。

    ...連中はTPPを、一体何を食べているのか、どこで栽培されたのか、どのような条件で食品が栽培されているのかや、除草剤や農薬の使用といった食品の安全に対して、参加国の国民が、全くどうすることもできないようにするよう入念に仕組んでいる。

食品の安全は、国際企業による支配の為の、この超強力兵器に敗れる可能性がある多くの権利や保護の一つにすぎない。2013年4月のリアル・ニューズ・ネットワーク・インタビューで、ケヴィン・ジーズは、TPPを“ステロイドで強化したNAFTA”で“グローバルな大企業クーデター”だと呼んだ。彼はこう警告した。

給料なり、雇用、環境保護なり、どのような問題を懸念しておられるにせよ ...そうした問題は、そうしたものに悪影響を及ぼします....

もしも、ある国が、金融業界を規制しようとする手段を講じたり、公益の為に、公庫を設立したりすれば、訴えられかねません....

自然に帰れ: まだ間に合う

国民を食べさせるのに、より安全で、より健全で、より地球に優しい方法がある。モンサントやアメリカの監督機関は、アメリカの家庭にGM作物を押しつけているが、ロシアの家庭は、普通の庭での自足を意図した農業で、一体何ができるかを示している。2011年、ロシアの食品の40%がダーチャ(田舎家の庭、菜園用貸付地)で栽培された。ダーチャ菜園は、ロシアの果物やイチゴ類の80%以上、野菜の66%以上、ほぼ80%のジャガイモと、ロシアの牛乳のほぼ50%(そのうちの大半がそのまま利用される)を生産している。ベスト・セラー『Ringing Cedars』シリーズの著者ウラジーミル・メグレによればそういうことだ。

本質的に、ロシアの菜園は、庭で世界が食べられることを実証しているのだ。全員が十分な食べ物を得られることを保証するのに、いかなるGMOも、工業的な農園も、あるいは他のいかなる技術的な仕掛けも不要だ。ロシアの栽培可能期間は、年間110日に過ぎないことに留意願いたい。だから、アメリカでは、例えば菜園の生産高は、遥かに上回る可能性がある。ところが現在、アメリカで芝生に使用されている面積は、ロシアの菜園の二倍以上で、それが生み出すものと言えば、何十億ドル規模の芝生お手入れ産業だけだ。

アメリカでは全農業面積のわずか約0.6パーセントが有機農業に向けられているに過ぎない。“第六次大量一斉絶滅”を避けたいのであれば、有機農業地域は大々的に拡張されるべきだ。しかし我々は何よりもまず、国会議員達に、一括優先通商交渉権を与えるのを止め、TPP反対票を投じ、世界中でグリホサートに基づく除草剤とGMO食品の段階的廃止を求めるよう強く要請する必要がある。我々の健康、金融、そして環境が危機にひんしているのだ。

エレン・ブラウンは弁護士で、Public Banking Institute(公庫研究所?)理事長で、ベスト・セラーのWeb of Debtを含む12冊の本の著者。最新刊『解決策は公庫=The Public Bank Solution』の中で、彼女は成功した公庫モデルを、歴史的、世界的に調査している。彼女のブログ記事はEllenBrown.comで読める。

記事原文のurl:ellenbrown.com/2013/11/26/monsanto-the-tpp-and-global-food-dominance/
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ダーチャ、日本ではほとんどなじみのない制度?『ロシア文化の方舟』に、福間加容「ロシアの田園詩、ダーチャ」という詳しい記事がある。

昨日の秘密法案衆院強硬採決を受けて、早速、政府に不利な秘密を保護する大本営広報部宣伝体制が始まった。定時の国営放送ニュース、もはや、ニュースという代物ではない。電子版・政府回覧板。TPP追求報道など、もはや望むべくもない。

最終段階で反対のボーズをとった、実質与党の維新、民主同様に、マスコミの反対姿勢も、庶民を目をくらますための茶番反対姿勢としか思えない。NSC法は成立。

朝・夕刊読む気力がでない。電気洗脳箱も。ネットでみると馬鹿馬鹿しい話題があった。

  • 政府、食材虚偽表示にGメン 飲食店の覆面調査も

食材虚偽表示でなく、政治虚偽表示にこそGメンが必要 与党政治家の覆面調査が

自民沖縄も辺野古容認。これも、予想通りとはいえ、とんでもない政治虚偽表示。

国営放送は言うだろう。「我々は特定メーカーに殊更都合良い宣伝番組は放送しません」

民放は言うだろう。「我々は政府に殊更都合良い宣伝番組は放送しません」

それぞれ

    • 政府に殊更都合良い宣伝番組を放送し
    • 特定メーカーに殊更都合良い宣伝番組を放送する。

      結果として、どのチャンネルを見ても同じ内容になる。違いはCMの有無のみ。

小選挙区制が成立した日、日本は終わったと考えた。とんでもない社会を実現する仕組みが完成したと思った。あの日こそマスコミが最初に死んだ日といまも思う。昨日はマスコミが二度目に死んだ日。ビン・ラディン同様、最初に死んだ時が、本当の終わりだろう。シールズ攻撃というでっち上げは予想された茶番。国会での維新、民主の反対も同じ。ブレジンスキーの弟子を誇る「知米派」政治家氏が目立つ位置に写っているあざとさに感心。エイズ問題を強調した、みんなの党政治家氏も賛成するのだろう。

‘我々の自由を奪うな’ - 新たな秘密法案に反対する日本人の抗議の末尾に書いた文章を再度掲載する。新聞の葬式。当時、ラジオもテレビもなく、メディアは新聞だけだった。

「新聞紙条例」「讒謗律」発布から一周年1876(明治9)年6月28日、新聞供養が行われた。
政府のこうした暴挙に抗議して、この日、日朝、朝野、報知、噂、問答、横浜、読売、絵入、目覚、評論、近事、九春等、東京・横浜の新聞18社が相謀り、前代未聞の新聞供養を営む事になった。28日各社は皆刊行を停め、社員に一日の休暇を与え、午後2時より浅草観音堂に集まった。本堂の正面には一尺角の大卒塔婆がたてられた。開会を告げる雅楽の演奏、ついで36人の僧侶の読経が終ると、各新聞の代表は、この大卒塔婆の前で香を焚き、思い思いの祭文を朗読した。

明治15年7月16日には、高知自由新聞が、高知新聞の葬式の予告を掲載した。実際の高知新新聞葬式の日には、仏式で新聞の葬式が行われ、奏楽の中、粛々と会葬者による焼香が行われた。会葬者は実に5000人を超えた。

しかし、大本営広報部ではない組織IWJが健闘してくださっている。様々な報道をされている。一例をあげれば、

【緊急掲載!】衆議院で特定秘密保護法案が可決! 米国と属国・日本の奴隷の如き「従属」プレイ(「岩上安身のニュースのトリセツ」より)

そういう有り難い組織が資金難という不思議。

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

こういうメディアからえられる重要な情報は、結局、皆様の具体的な行動につながるだろう、と思う。つまり

街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋

【拡散希望】 「これでいいのか?!TPP」12月8日大行動にご参加を!

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コメント

TPPと、国際企業による支配
もし批准されれば、TPPは、大企業が自分達の利益の障害だと見なす政策に対する納税者による補償を要求する未曾有の権利を多国籍企業に与える懲罰的な規制を課すだろう。

意味がわかりにくかったので原文を見てみました。違っていたらすみません。

納税者による補償 ではなく 補償を納税者に要求するという先例のない権利 ではないでしょうか?よろしくお願いします。

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