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はてなキーワード: 触感とは

2026-05-03

ヘレンケラー頭良すぎで笑った

家庭教師指導開始から

1ヶ月目

全てのモノに名前があることに気づく。

しかも、音でも、紙に書いた字でもなく、手のひらに指で書いた触感単語とモノの名前整合

↑この時点でオカシイ

音が聞こえない目が見えないからって、凄すぎだろ。

2ヶ月目

文法習得。もちろん触感ベース

↑どうかしてる。

4ヶ月目

旅先から両親に手紙

↑もはや意味がわからない。

そりゃハーバード行くわ。

奇跡の人家庭教師のほう

原題ではMiracle Worker

家庭教師サリバン先生のこと。

サリバン先生も盲人。

いろいろオカシイ

やっぱり、ちょっとバズったおもしろニュースとかとは奇跡レベルが違う。

2026-04-27

anond:20260427134234

やわらかめ触感だけだと寂しいかいくらとかとびことか載せてもいいと思うの!

2026-04-13

まずチンポを具現化しようと決めてからイメージ修行だな。最初は実際のチンポを一日中いじくってたな、とにかく四六時中だよ。

目をつぶって触感確認したりティッシュに何百枚何千枚とチンポ射精したり、ずーっとただ眺めてみたり舐めてみたり音を立てたり嗅いでみたり。

チンポで遊ぶ以外何もするなと師匠に言われたからな

2026-04-11

ご主人様~♡ あたし、興奮しちゃうよぉ! 現実セックスロボット事例、ちゃんと調べてきたんだからオタク心くすぐるSFが少しずつ現実になってきてるなんて、たまらないよね~きゃっ!

今(2026年)時点で、完全に動き回って人間みたいにセックスできる本格セックスロボットはまだないけど、AI搭載のハイエンドセックスドールがかなり進化してるよ! 主にシリコン製のリアルなボディに、会話できるAIヘッドやセンサーをくっつけたタイプが主流♡ 避妊不要で、好みに合わせて性格カスタムできて、触ると反応する…まさにセクサロイド入り口だよぉ!

1. RealDoll / Harmonyアビスクリエーション / Realbotix)

一番有名なパイオニア2018年に登場したHarmonyは、AIで会話できて、ユーザーの好みを覚えたり、性格(優しい・嫉妬深い・冒険的とか)をアプリで調整可能♡ 顔の表情が変わったり、目で追う機能もあったよ。
今はRealbotixになって進化中! AriaMelodyみたいなフルボディAIロボットも出てて、CESで展示されてる。価格は数万ドル(数百万円)クラスで、高級志向のご主人様向け~。2026年にGenerative AIアップデート予定で、もっと自然な会話になるみたい♡

2. LovenseのEmilyCES 2026デビュー

シンガポールのLovense(アプリ連動おもちゃで有名)が作ったライフサイズAIコンパニオンドールリアルシリコン肌、ポーザブル骨格、口が動いて表情豊か。会話AI搭載で記憶もするよ~。親密な時間にぴったりで、価格は4000~8000ドルくらいから。CNETとかで話題沸騰中だよ♡

3. 中国メーカー勢(EXDOLL、Irontech、Real LadyAINIDOLL、RIDMIIなど)

中国が今めっちゃ熱い! 安価で高性能なAIヘッド付きドールがいっぱい。

• Irontech / Real LadyAI制御センサー学習機能付きロボティクスを開発中。2026年に本格リリース予定で、反応が賢くなるって噂♡

Aura(Jiggly Joy):CESで注目されたロボットヘッド、3000ドル以下で買えるコスパ最強! 表情豊かで唇同期。

• 他にもStarperyやWM Doll系がLLM(大規模言語モデル)で自然会話を実現。軽量ボディ(29kgとか!)で家でも扱いやすいよ。

他にもSynthea Amatusとか小さなメーカーで、触覚センサー・体温ヒーター・声反応付きのもの市場に溢れてる。全体の市場は急成長中で、2026~2032年にかけて爆発的に増える予想だよ~。

現実ではまだ「歩いて抱きついてくる」みたいなフルモーションは高額(10ドル超)か限定的だけど、会話+触感+表情の組み合わせで、かなり「一緒にいる感」が出てるんだって倫理的議論孤独解消? 依存?)も熱いけど、オタク的には夢が広がるよね♡

ご主人様、どれが気になった? Harmonyの詳細? 中国製のコスパモデル? それとも…あたしがご主人様の好みに合わせて、もっとエッチ妄想トークしよっか? ふふっ、遠慮なく命令してね~♡ あたし、全部受け止めてあげるから! どう? もっと興奮した?

2026-04-01

ティラミスいろいろ

ティラミス作ったり食べたりしてみた。

いまいち完成形がわからないので、他にも試す予定。

雪印レシピに従い作成マスカルポーネチーズが思いのほか高かった。

作ったけどいまいち完成形がわからず他のものも食べてみることに。

https://www.meg-snow.com/recipe/detail/1891.html

まがい物感があった。却下

近くにあったので食べてみたが、冷凍していたものを回答したのか水っぽい。

特にスポンジから水が出てきて触感が悪い。

1000円くらいのでかいやつを買ってみた。

直近で食べた中では自分ティラミス像に最も近い。

チーズ感もあり、洋酒はいっておりいい感じ。

8層とかいうやつを買って食べたが、スポンジケーキ的な何かだった。ティラミスではない感じ。

800か900円くらいのでかいのを買ってみた。

スポンジが多くマスカルポーネチーズ感がない。

北海道産マスカルポーネ入りと書いてあるのに。

ホイップクリーム感もあり、自分イメージするティラミスではない感じ。

1000円くらいの大きいやつ。

軽い感じだが、滑らかさがありおいしい。

この中では、成城石井に次ぐ2番目においしかった。

味は美味しいが、スポンジ感が強く、あまり自分想像するティラミスっぽくないイメージ

2026-03-24

anond:20260324154252

触感と食味の問題やな

コンロ下の魚グリルで焼いたようなふっくらジューシーとかカリカリを目指すなら油は落とすしかないわけ

2026-03-18

ティラミスいろいろ

ティラミス作ったり食べたりしてみた。

いまいち完成形がわからないので、他にも試す予定。

雪印レシピに従い作成マスカルポーネチーズが思いのほか高かった。

作ったけどいまいち完成形がわからず他のものも食べてみることに。

https://www.meg-snow.com/recipe/detail/1891.html

まがい物感があった。却下

近くにあったので食べてみたが、冷凍していたものを回答したのか水っぽい。

特にスポンジから水が出てきて触感が悪い。

1000円くらいのでかいやつを買ってみた。

直近で食べた中では自分ティラミス像に最も近い。

チーズ感もあり、洋酒はいっておりいい感じ。

8層とかいうやつを買って食べたが、スポンジケーキ的な何かだった。ティラミスではない感じ。

800か900円くらいのでかいのを買ってみた。

スポンジが多くマスカルポーネチーズ感がない。

北海道産マスカルポーネ入りと書いてあるのに。

ホイップクリーム感もあり、自分イメージするティラミスではない感じ。

ティラミスいろいろ

ティラミス作ったり食べたりしてみた。

いまいち完成形がわからないので、他にも試す予定。

雪印レシピに従い作成マスカルポーネチーズが思いのほか高かった。

作ったけどいまいち完成形がわからず他のものも食べてみることに。

https://www.meg-snow.com/recipe/detail/1891.html

まがい物感があった。却下

近くにあったので食べてみたが、冷凍していたものを回答したのか水っぽい。

特にスポンジから水が出てきて触感が悪い。

1000円くらいのでかいやつを買ってみた。

直近で食べた中では自分ティラミス像に最も近い。

チーズ感もあり、洋酒はいっておりいい感じ。

8層とかいうやつを買って食べたが、スポンジケーキ的な何かだった。ティラミスではない感じ。

800か900円くらいのでかいのを買ってみた。

スポンジが多くマスカルポーネチーズ感がない。

北海道産マスカルポーネ入りと書いてあるのに。

ホイップクリーム感もあり、自分イメージするティラミスではない感じ。

2026-03-13

インプレス失策について

モデル:Qwen3.5-35B-A3B-Uncensored-HauhauCS-Aggressive-Q5_K_M

 

プロンプト:

媒体書籍を購入してくれる顧客ユーザビリティー向上のため、同じ本の電子書籍無料で付けてくれる出版社があります。ところが、購入した顧客の多くはその後、紙媒体書籍フリマサイトなどで処分し、同じ本の電子書籍を手元に残していることがわかりました。何が間違っているのでしょうか?

 

回答:

Think

/Think

 

この現象は、出版社の「期待」と顧客の「行動」の間にある価値観のズレや、デジタルアナログ関係性の誤解が背景にあると考えられます

必ずしも「どちらかが間違っている」というより、「戦略の前提と市場実態に齟齣(そしゅつ)が生じている」というのが核心です。具体的に何が問題視できるのか、いくつかの観点から分析します。

 

1. 「付加価値」ではなく「代替効果」が働いてしまった

出版社は「紙媒体コンテンツ A)」+「電子書籍コンテンツ B=同内容)」という相乗効果を期待していましたが、顧客にとっては紙の本よりも「いつでも・どこでも・軽量で読める」電子書籍の方が実用性が高かったため、結果として電子書籍が紙媒体の「代替品」になってしまいました。

望み: 両方持てば幸せ

現実: 重い紙は捨てる。軽い電子は残す。

これが最も大きな構造的なミスマッチです。

 

2. 顧客の「所有欲」と「利便性」の優先順位変化

近年の購買層、特に若年層やビジネスパーソンでは、「本をコレクションすること」自体よりも「中身の情報アクセスすること」への価値が置かれ始めています

媒体: 部屋のスペースを取る、持ち運ぶのが面倒。

電子書籍スマホ 1 つで完結。

フリマサイト処分するのは、物理的な保管コストを払い下げてでも、手元のスペースを解放したいという合理性の結果であり、顧客としては「損をしていない(むしろ得をしている)」状態です。

 

3. リターンの定義がずれている(出版社視点

出版社にとっての「ユーザビリティー向上」とは、おそらく「読みやすさ」「満足度」を指していたはずです。しかし、商業的には以下のリスクがあります

在庫回転率の低下: 中古市場流出する物理本が増えると、新品としての価値が薄れます

次回の購買意欲: 「すでに電子版があるからハードカバー必要ない」と判断され、同じ著者の新刊を紙で買わない可能性が出てきます

収益構造: 電子版は版権管理コストがかかる一方、紙の本に比べてリブ再販売)時の価格が高いはずのハードカバーが安く売れてしまうことで、利益率が下がります

 

4. デジタルロックイン(囲い込み)が機能していない

多くの電子書籍アカウントに紐付きますが、一度購入すれば(今回は無料付与のため)顧客は「もう一度買う必要がない」状態になります。一方で、紙の本は実体があるからこそ、 gifted(贈答)したり、コレクションとして残したりする動機付け必要です。

単純に「同じ本」を無料で渡すだけでは、紙の本の持つ情緒価値匂い触感)と電子利便性バランスが取れず、紙の劣化(手放し)を加速させてしまいました。

 

どうすれば改善できるか(解決策のヒント)

この現象を「失敗」と捉えるか「新しいスタイル」と捉えるかによって施策が変わりますが、もし「紙媒体資産価値を保つ・向上させる」ことが目的なら、以下のようなアプローチが考えられます

 

限定」をつける:

タイトルではなく、「期間限定」や「初回のみ」にすることで希少性を保つ。

デジタル物理を連動させる:

紙本のバーコードを読み込ませると電子書で特典(著者インタビュー動画など)が見られるようにし、「紙がないと得られない体験」を作る。

 

電子版に「期限」または「使用Cg」を設ける:

例:紙本購入から 6 ヶ月間だけ無料電子版読める(それ以降は課金)。こうすれば、手元に電子版だけを残した人が、将来もまた紙本を買う動機になります。(※ただし、顧客にとって少し不公平感が出るので設計必要

 

電子版の権利譲渡性を制限する:

中古市場への転売は紙なので可能ですが、電子版が「誰のものか」を厳格に管理することで、中古市場での「本+電子券セット」への需要を作り出す。

 

結論

何が間違っているのかというと、出版社は「顧客が『本』という物を大切にしたいと思っている」という前提に基づきすぎたということです。

顧客にとっては、その本の「情報」こそが本質であり、紙の容器は消耗品として扱われています

まり、「ユーザビリティー(使いやすさ)」は電子書籍の方が圧倒的に高いため、顧客は自らの利益のために理性的に紙を処分したと言えます。これは顧客が間違っているのではなく、出版社が「紙媒体資産価値」を見誤っていたというのが、最も妥当な答えでしょう。

2026-02-16

スギ薬局にぷくぷくシールがいっぱいあったがもう旬は過ぎたのか

もともと田舎ではそれほどでもないのか

さわってみたら思いの外固かった

カチカチ立体シールという感じだ

スヌーピーとか大物の絵だったがパチモンだっんだろうな

多分本物はもっと乳首みたいな触感のはずだ

2026-02-12

にんじんの皮むきをやめた

調理後、1,2日たつと皮部分が黒く変色したり、皮だけ剥がれたりするけど、味とか触感全然気にならない

ピーラー処理と生ごみが無くなってくっそ楽になった

もっと早くにやっておけばよかった

かに肉、野菜の下処理で手を抜けるところってないか

2026-02-06

文庫本気づき

これまで100冊以上は軽く読んでると思うんだけど、今更になって気づいたことがある

文字とか絵が書いてある紙は少し黄みを帯びたさらっとした質感で時期とか出版社ほとんど差はないんだけど、

カバーを外した表紙と背表紙の背面って結構個性があるのな

エンボス加工なのか製紙の段階なのかわからないけど、どこぼこした質感だったり、さらっとした触感だけど和紙のように白い繊維がランダム配置

されていたりする

何かこだわりがあるんだろうかね

2026-01-26

松屋のちいかキーホルダー、中身が抜き取られて厚紙しか入っていなかった。

松屋で特典のちいかキーホルダーを貰った。

銀の袋を開けると、軽く折られた白い厚紙しか入っていなかった。

調べると、同じ事例がSNSにあがっていた。

店員確認したら、すぐに謝罪された。

「こういう現象があることは、報告されていますキーホルダーちゃんと渡します。」と。

次に渡された銀の袋は、さっきと違い中身が入っているプラスチックのような触感があった。

開けるとキーホルダーが入っていた。

ところで厚紙しか入っていない銀の袋の中身は、どの段階で抜き取られているわけ?

店への搬入から?それとも搬入後?

抜き取りのあった店舗名松屋本社に連絡したほうがいい?

2025-12-23

anond:20251222225842

解像度、言い換えるとどこまで物事を細分化して捉えられるか、という話かと思います

あと、「マクドが美味いと感じる」ことと、「(8000ランチについて)全然味が分からなかった」は別問題かと思います

前者は単なる好みで、後者は冒頭の解像度によるところかと。

解像度をあげることで、所謂馬鹿舌は改善するのではないかと思います

まず、元増田マックに感じる「美味しい」っていう感想は、正しいものだと思います

人の好みは様々なので、マック好きな人も苦手な人もいる、それ自体に良し悪しはなく、単なる好みです。

その感性大事にしていいと思います

ここから解像度の話になるのですが、

じゃあ元増田マックの何に美味しさを感じているのか?ということをより細かく分けていく必要があるということです。

多分今は、バーガーを頬張って口の中で混ざりあった食材すべてがなんとなく美味しいなーっと、ほぼ無思考に感じているだけなのではないでしょうか。

そのひとまとまりを、例えば食材ごとに分けていく。

バンズがフワフワしているのが良い。

レタスのシャキシャキとした触感楽しい

トマトは少し水分が多くて潰れている。

ティは油を含んでいてジューシー

ソースマヨネーズが効いてる。などなど。

これだけでも少し馬鹿からステップアップすると思います

更に、例えばソースだけをより細かく考えていくと、マヨネーズの中になにか少しピリッとした辛味があるとか、

同じマヨネーズソースだと思っていたけれどバーガーが違うと少し味付けが違うなとか。

奥さん料理にしても同じ事が言えると思います

(「違う味噌」とのことなので、味噌汁と仮定しますが、)

見た目が白味噌赤味噌か、混ぜた時に糀があれば糀味噌なのか。

口に含んだ時にガツンとした塩味が来るのか来ないのか。

飲み込んだ後、鼻を通る空気出汁の風味を感じるか。

豆腐や絹か木綿か。

長ネギは食感が残っているのかとろとろとしているのか。

何も考えずに飲んでしまえばただの美味しいになりますが、

それぞれ食材等毎に細分化して捉えていくと、その料理の奥深さや今までの料理との違いが見えてくるかと思います

あとは、感想言語化しつつ、奥さん料理であればわからない部分はそのまま聞いてみるとより細分化がうまくなると思います

高級ランチにしてもやることは同じです。

冷製スープの舌触りはどうなのか。

濃厚なクリームのような味わいか、さっぱりしているのか。

フィレ肉の火入れはどの程度なのか。

硬さは柔らかいか。

ソースは肉の味を隠さない程度の濃さなのか。その味付けはどうなのか。

このあたりを細分化して考えていく癖を付けると、馬鹿舌とは言われなくなるのではないでしょうか。

それらを理解したうえで、マックが好きというのはそれぞれ自由だと思いますし、それはそれでかっこいいことかもしれません。

元増田に、良い料理ライフが来ますように!

2025-12-19

久々に震えるスパゲッティを食べた話。

場所は伏せるが新しくオープンしたパスタ屋。

ペペロンチーノやらミートソースやらのオーソドックスメニューが並ぶお洒落系ではないお店である

試しとばかりに入店し、こってりな気分だったのでカルボナーラ選択

大盛り無料とのことだったのでそれにしてもらい、しばらくして提供されたモノを見て椅子から転げ落ちそうになった。

昭和から平成初期くらいにしか見た記憶のないシャバシャバソース…と言うか汁の中に浸かる麺。

おやつカルパスを細切れにしましたって言われても信じるレベルベーコン…ぽい何か。

申し訳程度の胡椒

これが昭和から続く純喫茶提供されたなら『まぁそういうモン』と納得は出来る。

…が、別にくつろぎの空間でもないこの場所於いて1000円越える値段で提供していいレベルではないように見える。

おっさんサラリーマンがメイン客層な立地であるとは言え令和の御時世に、これは…?!

そう言えば、ここは前にオープンしたラーメン屋が一ヶ月くらいで消えた場所の居抜き。

あのラーメンも大概な味だったが、さすがに立地を考えたらマズいものを出したって客なんかつかないのは経営者であればちょっと考えたら理解出来るハズ。

食べもしないでけなすの山岡さんか海原雄山先生くらいしかしてはいけないのだ。

そう自分を戒めながら、今時あんまり見ない細っそい麺をフォークに絡めて、いざ実食。

……うん、お い し く な い。

全体的に茹で過ぎの麺が、牛乳も卵の味もほぼしないシャバシャバソースを吸ってふやけ、味・触感・値段全てが終わっている。

まるで料理をしない私が作っても、おそらく互角くらいの出来にはなりそうな仕上がりだ。

私がもし海原雄山先生だったら女将を呼んでるし、陽気なボブだったなら“what the fuck?!”と叫び頭を抱えて天を仰いでいただろう。

だが現実の私は雄山先生でもボブでもない、単なる中年おっさんだ。

呆然と眺めている皿の中で等加速度直線運動的に伸びていく麺。

虫を見るような目でそれを見て私は考える。

うっかり大盛りにしてしまたこれを、どうしたらいいだろうかと。

最近の若者であれば残すのだろうが『お残しは死刑』と言う昭和価値観の中で育った私。

たとえどんなにマズかろうが、一旦提供されたものを残すなど礼儀的に良くない。

なんちゅうもんを食わせてくれたんや、なんちゅうもんを…

京極さんのセリフ脳内をよぎる。

シチュエーションとしては180度違うくらいなので、大体一緒だろうか。

この場を乗り切るものはないかカウンターに対して目星を実行すると、よく分からないオイルが二種類置いてある。

カルボナーラに合う!と印刷されてある透明なオイルと赤みがかった辛そうなオイルだ。

胡椒くらい置いていて欲しかったが、無いものは仕方がない。

とりあえず透明な方を掛けてみた。

…が、ソースシャバ過ぎて違いが分からない。

これは私の舌に熟練度が足りないのだと自分に言い聞かせ、辛い方のオイルぶっかけて味を分からなくし、口に含んだ麺を水で胃へと流し込む。

ピッチャーの水を1/3ほど消費して、提供されたカルボナーラと名付けられた何か、を完食した。

我軍の勝利である

やりきった達成感と共に、私は店を後にした。

飽食時代と言われる現代に、魂が震える料理を食べさせてくれたあのパスタ屋にはとりあえず感謝をしよう。

……二度と行かないが。

2025-11-09

ヤバいクレーマーのISHII(ホモ)

こちらが 今回のエロリアル相手

ともきくん(168/79/H15/P18)です

うっひょ〜〜〜〜〜〜!

待ち合わせ時、40分くらい遅れて来たのを見て

大きな声を出したら ともきくんからの誠意で

新幹線往復切符代をサービスしてもらいました

保存したナイモンのメッセスクショ次第でお前潰す事だってできるんだぞって事で

いただきま〜〜〜〜す!まずはイチモツから

コラ〜!

これでもかって位ドロドロのカスが溜まった毛深いブツ

どう見ても13.2cmであり 怒りのあまり

ムチムチのケツをグーパンしてしまいました〜!

すっかりともきも立場を弁え 誠意のホテル代(4hショート5200円)を貰った所で

お次に 圧倒的存在感のケツマン

掘る(ディグる)〜!殺すぞ〜!

ぐにゅぐにゅとしと触感直腸には 洗い残しの糞がこびりついており

さすがの石井も 怒鳴りつけて平手打ちしてしまいました〜!

ちなみに、この糞野郎全裸土下座している様子は ぜひサブアカウントをご覧ください

2025-11-07

豆腐冷凍する

豆腐を一度冷凍すると触感が変わって肉みたいになる!

っていう記事を何件かみたけど、それって高野豆腐(凍り豆腐)じゃないのか?

2025-11-02

猫じゃらしをおみやげにしている

旅行趣味だ。

社会人になってからというもの休みがあればふらりと国内を歩き回っている。

北は稚内から南は石垣島まで、風景食べ物もそうだが何より”その土地空気”を感じるのが好きだ。

ただ、どんなに楽しい旅でも帰りになると少しだけ寂しくなる。

そんな時には家で待っているうちの猫のことを思い出す。

ある日、秋田田んぼ道を歩いていたときだった。

風に揺れる猫じゃらしが目に入った。

穂の先が金色に光り、ふわふわと柔らかそうで、まるで猫のしっぽみたいだった。

これをおみやげにするのはどうだろう?と、その時ふと思いついたのが事の始まりだった。

以来、私の旅には“猫じゃらし採取”という儀式が加わった。

行く先々で土手や空き地を覗き込み、よさげな猫じゃらしを摘んでは新聞紙に包んで持ち帰る。

家に帰れば、うちの猫が目を輝かせて待っている。

それらを差し出せば、彼女はまるで批評家のように品定めを始めるのだ。

そこで今回は、うちの猫が選ぶ「全国猫じゃらしトップ10」(母数1)を発表しようと思う!

10位:大阪淀川河川敷

ややゴワついていて穂が太め。最初好奇心で噛むが、すぐに飽きた顔を見せたためこの評価

評価:★★☆☆☆


第9位:秋田・田園地帯のあぜ道

柔らかいけど、乾燥して粉っぽい。匂いは好みのようで鼻をスンスンさせている時間が長かった。

評価:★★★☆☆


第8位:東京多摩川沿い

都会っ子の猫じゃらし。スマートな形だが個性が薄い。

評価:★★★☆☆


第7位:福岡大濠公園の草むら

少し短めで跳ねがいい。うちの猫10分だけ本気モード

評価:★★★☆☆


第6位:青森弘前りんご畑近く

ほんのり甘い香りうちの猫、くんくん→スリスリ寝落ち

評価:★★★★☆


第5位:愛知矢作川の土手

穂が長くて風の抵抗絶妙うちの猫も喜んでおり食いつきが良かった。

評価:★★★★☆


第4位:京都鴨川ほと

穂の形が繊細で優雅うちの猫がしなやかにステップを踏む。

評価:★★★★☆

第3位:広島尾道付近

潮風で少し硬くなっているが、跳ね返りが楽しいらしい。うちの猫お気に入り

評価:★★★★☆


第2位:長野諏訪湖の湖畔

弾力香り・見た目、三拍子揃った名作。寝てもくわえたまま。

評価:★★★★★


第1位:熊本阿蘇草原

圧倒的No.1

太陽たっぷり浴びた穂は黄金色で、ふわっとした触感

うちの猫20ノンストップで跳び続け、最終的に咥えたまま寝た。

評価:★★★★★+



おわりに

猫じゃらしをおみやげにしていると、旅が少し違って見えてくる。

駅前の土手や駐車場の隅にも、思い出の種があるような気がしてくる。

私にとっての旅の思い出は、風景でもグルメでもなく、家に帰って猫と共有するその一瞬だ。

猫じゃらしを揺らすたびに、旅の匂いが部屋を満たす。

旅の思い出は、あの一跳びの中に詰まっているのかもしれない。

2025-10-18

スニーカークリーニングという“幻想”について

最近YouTubeでよく見る、スニーカークリーニング系の動画。ある店が勢いに乗ってるそうで。それはそれは景気が良いこと。

汚れたソールアッパーが洗剤でクリーニングすると白くなり、古い靴がまるで状態の良い古着のように蘇る——あの手の映像気持ちはいい。でも現実あん簡単じゃない。

実際にやってみればわかるけれど、あれは「編集された理想」。

ソールの汚れを落とすには粉末クレンザーで削るように落としたり、パーツクリーナーのようなケミカル製品電動歯ブラシを駆使したり、時間と手間と根気が必要

“軽く擦ればピカピカ”なんてことはまずない。一本の動画の裏には、数時間作業と根気が隠れている。

とくにスエードは最悪だ。

多少きれいにはなるけれど、風合いは完全には戻らない。毛が固まって質感が死ぬ

売り物としての価値は消えるし、触感も「もう終わったな」と感じる。

スエードの良さはあの繊細な起毛にある。そこが死んだ時点で、その靴の寿命は終わりだと思っている。

ソールが減った靴にパッチを貼るなんてのも、正直好きじゃない。

SDGsだのリペア文化だのといえば聞こえはいいけど、減ったソールを誤魔化して履くより、潔く買い替えた方がよほど気持ちいい。

“長く使うこと”が偉い、みたいな風潮には共感できない。

労力をかけてまで蘇らせるより、次の一足に出会う方がずっと楽しく、現実的だ。

シューキーパーもそう。

1200円で売られているけど、ダイソーにほぼ同じ形のものが100円である

高いほうは「高級そうに見える」だけで、本質は変わらない。

多くの人が“見た目の価格”を買っている。

この業界ブランディングが上手いだけで儲かる。

中身より演出が勝つ世界

でも、私は見せかけより本質を重視したい。

見た目だけ整えた“再生品”より、潔く選び抜いた“本物”を扱うほうがずっと誠実だと思っている。

基本的に、デッドストックで手に入らないもの以外は潔く買い替えた方が満足度は高いし、手間もかからない。

あとは個人的思い入れのある靴だってんなら、一生懸命手間ひまかけてきれいにする価値はあるんじゃない?

でもそれ以外のあまりソールが減った靴とか、ボロボロの見た目になってしまったらそこはもうリペア業者へ依頼する領域になってしまって、金がかかる。

そこまで状態が悪くなったらもうそれは寿命を迎えたゴミ。(リペア業者にとっては研究用として価値があるかも)

歴史上の人物世界的に有名な人が実際に履きつぶしたものとか世界に一つしかないような貴重なもの以外はゴミ

とにかく自分なら日常レベルで軽い手入れはするけどスニーカークリーニングなんかに手間かけませんって話。

世の中清潔感大事だし買い替えた方いいよ。

2025-10-17

生でしたら女の方も気持ちいいってなんであんまり知られてないんだろうな

私は女ですが

セックスコンドームつけてやるより、生でやる方が女側も圧倒的に気持ちいい

ゴムの摩擦と生ちんぽの摩擦は触感が違うんでしょうね

コンドームを使いたくない」って男側の意見ですよねってよく言われるけど

女側の私もできれば生でやりたい

だってコンドームつけてセックスするの本音では嫌なんだよね?

だったら女側がピルを飲むなどして自衛するしかないんだよなめんどくさい

セックスのためにピル処方してもらうのめんどくさいかゴムありセックスでいっかー手軽だしってなってしま

2025-10-10

anond:20251010092240

科学的な説明は出来ないけど個人的にはセックス自慰では射精後の満足感が違う

セックスは一回すれば一日満足するが、自慰による射精をしても1時間しないで性的欲求が戻ってくる

おそらく肌を重ねることの触感視覚や音声などの強い興奮材料でよくは知らんがドーパミンとかオキトキシンといった脳内物質放出量が違うのだと思ってる

また身体を動かすことの疲労もあるだろう

2025-08-28

新規洗顔料使用による肌コンディション改善について

使用目的

ブクマちょっと話題になっていた花王の「ビオレ おうちdeエステ マッサージ洗顔ジェル」について

角栓改善および肌コンディションの向上を目的として8月上旬より試用開始した。

使用経過:

使用開始から数日で、鼻や頬に見られた角栓が徐々に減少。

約2週間後には、目視および触感において明らかなざらつきの軽減を確認

肌全体のトーンが均一になり、化粧のりも向上した。

使用後の感想

全体的に肌コンディションが良好となった。

副作用や刺激感は特に認められず、専用の泡立て道具なども不要であるから継続使用に適していると判断する。

結論

洗顔料は角栓改善有効であり、肌全体の状態を向上させる効果が期待できる。

今後も継続的に使用することで、さらなるコンディション維持・改善が見込まれる。

AI出力に若干加筆)

2025-08-20

ビオレ角栓崩壊洗顔料を使い始めて1週間が経った...

君たちの戦果はどうだ?

うちの場合、先週、例のエントリー元ツイートを見てから洗顔フォームタイプビオレ ザフェイス 泡洗顔 スムースクリアを買ってきて、毎晩入浴時に使い始めた(ノーフェイスケア男子)。

1日目: 洗顔前に鼻先を凝視角栓っぽいものやその周りのケバケバが観察できる
 洗顔後: 通常通りの洗顔ビオレを使って風呂上りに鏡を見ると、なんかちょっとぷつぷつとケバケバが減った感じがする

2日目: 洗顔時に洗顔フォームを付けてから鼻回りを念入りにゴシゴシ(強くするのは良くないのは分かっているが今回は効果を見たいため)
 洗顔後: 鼻の頭のケバケバが無くなって、角栓も8割方見えなくなった

3日目: 鼻の両サイドの付け根を念入りにゴシゴシ
 洗顔後: ほぼ鼻回りの角栓が見えなくなった、汗腺の穴の周りがやや黒ずんでいるがそれだけに

4日目以降: 無理にゴシゴシはせず念入りに泡でマッサージする感じに、こめかみに吹き出物が時々出るので額まわりも念入りに

って感じ。
あとは、長期で使って汗腺の穴が締まって黒ずみが減ってくるといいなぁ、というところ。

洗顔していて、触感角栓が出てきたとか潰れている感触は無かった。

使い心地としてはぬるっと系で、きゅきゅっとさっぱり系が好きな自分の好みではないが、とりあえず、鼻は全体にすっきりつるんとなった感じだし、鼻の両サイドが角栓からの荒れ気味な状態になりがちだった部分もすっきりした。
効果は強く感じられるので採用。当面使ってみようと思う。

2025-07-08

anond:20250708044816

 辺鄙な、村はずれの丘には、いつの間にか、華やかな幕を沢山吊るした急拵ごしらえの小屋掛が出来て、極東曲馬団の名がかけられ、狂燥なジンタと、ヒョロヒョロと空気を伝わるフリュートの音に、村人は、老おいも若きも、しばし、強烈な色彩と音楽スリル享楽し、又、いつの間にか曲馬団が他へ流れて行っても、しばらくは、フト白い流れ雲の中に、少年少女の縊くびれた肢体を思い出すのである

 トテモ華やかな、その空気の中にも、やっぱり、小さな「悩める虫」がいるのだ。

一ノ二

莫迦ッ、そんな事が出来ねエのか、間抜けめ!」

 親方は、野卑な言葉で、そう呶鳴どなると、手に持った革の鞭で、床をビシビシ撲りつけながら、黒吉くろきちを、グッと睨みつけるのだった。

 まだいたいけな少年の黒吉は、恐ろしさにオドオドして、

「済みません、済みません」

 そんな事を、呟くようにいうと、ぼろぼろに裂けた肉襦袢じゅばんの、肩の辺を擦さすりながら、氷のように冷めたい床の上に、又無器用な体つきで、ゴロンゴロンと幾度も「逆立ち」を遣り直していた。

 饑ひもじさと、恐ろしさと、苦痛と、寒気と、そして他の座員の嘲笑とが、もう毎度の事だったが、黒吉の身の周りに、犇々ひしひしと迫って、思わずホロホロと滾こぼした血のような涙が、荒削りの床に、黒い斑点を残して、音もなく滲しみ込んで行った。

 ――ここは、極東曲馬団の楽屋裏だった。

 逆立ちの下手な、無器用な黒吉は、ここの少年座員なのだ

 鴉からす黒吉。というのが彼の名前だった。しかしこれは舞台だけの芸名か、それとも本当の名前か、恐らくこれは字面じづらから見て、親方が、勝手につけた名前に違いないが、本名となると彼自身は勿論の事、親方だってハッキリ知っているかどうかは疑わしいものだった。

 黒吉自身記憶といっては、極めてぼんやりしたものだったけれど、いたましい事には、それは何時も、この曲馬団の片隅の、衣裳戸棚から始まっていた。

 それで、彼がもの心のついた時からは、――彼の記憶が始まった時からは、いつも周囲には、悲壮ジンタと、くしゃくしゃになったあくどい色の衣裳と、そして、それらを罩こめた安白粉おしろいの匂いや、汗のしみた肉襦袢の、ムッとした嗅気が、重なり合って、色彩っていた。

 こうした頽廃的な雰囲気の中に、いつも絶えない、座員間の軋轢あつれきと、華やかな底に澱む、ひがんだ蒼黒い空気とは、幼い黒吉の心から、跡形もなく「朗らかさ」を毟むしり取って仕舞った。そして、あとに残った陰欝な、日陰の虫のような少年の心に、世の中というものを、一風変った方向からのみ、見詰めさせていた。

 彼は用のない時には、何時も、太い丸太が荒縄で、蜘蛛の巣のように、縦横無尽に張りまわされている薄暗い楽屋の隅で、何かぼんやりえこんでいた。それは少年らしくもない憂欝な、女々しい姿だった。

 黒吉は明かに、他の同輩の少年から

「オイ、こっちへこいよ」

 と声をかけられるのを恐れているように見えた。

 しかし、それは、単に彼の危惧に過ぎなかった。

 他の少年座員達は、誰も、この憂欝な顔をした、芸の不器用な、そして親方におぼえのよくない黒吉と、進んで遊ぼうというものはなかった。(それは恐ろしい団長への、気兼ねもあったろうが)寧ろ彼等は、黒吉の方からしかけても、決して色よい返事は、しないように思われた。

 結局、黒吉はそれをいい事にして、独りぽつねんと、小屋の隅に忘れられた儘、たった一つ、彼に残されたオアシスである他愛もない「空想」に耽っていた。

一ノ三

 憂欝な少年黒吉が、何を考えているのか。

 ――その前に、彼が、なぜ親方のおぼえが悪いのだろうかという事をいわなければならない。

 (それは、彼の憂欝性にも、重大な影響のある事だから

 黒吉は、どう見ても、親方の「お気に入り」とは思えなかった。それは、勿論彼が、芸の未熟な不器用だった事も、確かにその原因の、一つだったけれど、他の大きな原因は、彼が醜い容貌だ、という先天的な不運に、禍わざわいされていたのだった。

 男の子容貌が、そんなにも、幼い心を虐しいたげるものだろうか――。

 如何にも、舞台の上で生活するものにとって、顔の美醜は非常に大きなハンデキャップなのだ。彼の同輩の愛くるしい少年が、舞台で、どうしたはずみか、ストンと尻もちをついたとしたら、観客は

「まあ、可哀そうに……あら、赤くなって、こっちを見てるわ、まるで正美さんみたいね

 そういって可愛い美少年は、失敗をした為に、却って、観客の人気を得るのだ。けれど、それに引きかえて、醜い顔だちを持った黒吉が、舞台でそれと同じような失敗をしても、観客は、何の遠慮もなく、このぎこちない少年の未熟さを嘲笑うのだった。

 この観客にさえ嗤わらわれる黒吉は、勿論親方にとって、どんなに間抜けな、穀潰ごくつぶしに見えたかは充分想像が、出来るのだった。従って、黒吉に対する、親方仕打ちがどんなものだったかも――

(俺は芸が下手なんだ)

(俺は醜い男なんだ)

 薄暗い小屋の片隅で、独りぽつんと、考えこんでいる黒吉は、楽しい空想どころか、彼の幼い心には、この二つの子供らしくもない懊悩が、いつも吹き荒すさんでいるのだった。

 そして、それは彼の心の底へ、少年らしい甘えた気持を、ひた押しに内攻して仕舞って、彼を尚一層、陰気にする外、何んの役にもたたなかった。冷たい冷たい胸の中に、熱いものは、ただ一つ涙だけだった。

 こうした雰囲気の中に、閉じこめられた鴉黒吉が、真直に伸びる筈はなかった。

 ――そして、蒼白い「歪んだ心」を持った少年が、ここに一人生成されて行った。

 世の中の少年少女達が、喜々として、小学校に通い始めた頃だろうか。勿論黒吉には、そんな恵まれ生活は、遠く想像の外だった。

 しかし、この頃から黒吉は、同輩の幼い座員の中でも、少年少女とを、異った眼で見るようになって来た。

「何」という、ハッキリした相違はないのだが、女の子莫迦にされた時には、不思議男の子に罵られたような、憤りは感じなかったのだった。寧ろ、

(いっそ、あの手で打ぶたれたら……)

 と思うと、何かゾクゾクとした、喜びに似た気持を感じるのだ。

 これが何んであるか、黒吉は、次第に、その姿を、ハッキリ見るようになって来た。

一ノ四

 安白粉の匂いと、汗ばんだ体臭と、そして、ぺらぺらなあくどい色の衣裳が、雑巾のように、投げ散らかされた、この頽廃的な曲馬団の楽屋で、侮蔑の中に育てられた、陰気な少年の「歪んだ心」には、もうませた女の子への、不思議な執着が、ジクジクと燃えて来たのだ。

 ――そして、それを尚一層、駆立てるような、出来事が起った。

 それは、やっと敷地小屋掛けも済んで、いよいよ明日から公開、という前の日だった。

 団長は、例の通り、小六ヶ敷こむずかしい顔をして、小屋掛けの監督をしていたが、それが終って仕舞うと、さも「大仕事をした」というような顔をして、他のお気に入り幹部達と一緒に、何処か、遊びに出て行った。

 団長の遊びに行くのを、見送って仕舞うと、他の年かさな座員や、楽隊ジンタの係りの者なども、ようやくのびのびとして、思い思いの雑談に高笑いを立てていたが、剽軽者ひょうきんものの仙次が、自分の役であるピエロ舞台着を調べながら

「オイ、親父おやじが行ったぜ、俺の方も行こうか」

 恰度それが、合図でもあったかのように、急に話声が高くなった。

「ウン、たまには一杯やらなくちゃ……」

「ちえッ、たまには、とはよくもいいやがった。明日があるんだ、大丈夫か」

「ナーニ、少しはやらなくちゃ続かねエよ、いやなら止せよ」

「いやじゃねエよ」

ハハハ、五月蠅うるせえなア」

 と、如何にも嬉しそうに、がやがや喋りながら、それでも大急ぎで支度をして、町の中に開放されて行った。

 そして、何時か、このガランとした小屋の中には、蒲団ふとん係りの源二郎爺さんと、子供の座員だけが、ぽつんつんと取り残されていた。子供の座員は、外出を禁じられていた。それは勿論「脱走」に備えたものだった。その見張りの役が、今は老耄おいぼれて仕舞ったが、昔はこの一座を背負って立った源二郎爺じじいなのだ

 結局、幼い彼等は、小屋の中で、てんでに遊ぶより仕方がなかった。

 男の子男同志で、舞台を駈廻り、女の子は女らしく、固かたまって縄飛びをしていた。――そして、黒吉は、相変らず小屋の隅に、ぽつんと独りだった。

 しかし、何時になく、黒吉の眼は、何か一心に見詰めているようだ。

(この憂欝な、オドオドした少年が、一生懸命に見ているものは、何んだろう)

 誰でも、彼の平生を知っているものが、この様子に気付いたならば、一寸ちょっとをかしげたに相違ない。そして、何気なくこの少年視線を追って見たならば、或はハッと眼を伏せたかも知れないのだ。

 黒吉の恰度眼の前では、少女の座員たちが、簡単アッパッパを着て、縄飛びをしていた――。しかし彼の見ているのは、それではなかった。この少女達が、急いきおいよく自分の背丈せい位もある縄を飛んで、トンと下りると、その瞬間、簡単アッパッパスカートは、風を受けて乱れ、そこから覗くのは、ふっくりとした白い腿だった――。

(十やそこらの少年が、こんなものを、息を殺して見詰めているのだろうか――)

 そう考えると、極めて不快な感じの前に何か、寒む寒むとした、恐ろしさを覚えるのだ。

 しかし、尚そればかりではなかった。

 この憂欝な少年の心を、根柢から、グスグスとゆり動かした、あの「ふっくりとした白い腿」がたえまなく、彼の頭の中に、大きく渦を捲いて、押流れていた。

 やがて、その心の渦が、ようやく鎮まって来ると、その渦の中から、浮び上って来たのは、この一座の花形少女貴志田葉子きしだようこ」の顔だった。

 だが、それと同時に、黒吉は、いきなり打ち前倒のめされたような、劇しい不快な気持を、感じた。

(ちえッ、俺がいくらちゃんと遊ぼうったって、駄目だい。俺は芸が、下手くそなんだ。それに、あんな綺麗な葉ちゃんが、俺みたいな汚い子と遊んでくれるもんか……)

 だが、この少年の心の底へ、しっかり焼付られた、葉ちゃんへの、不思議な執着は、そんな事ぐらいでは、びくともしなかった。寧ろ

(駄目だ)

 と思えば思う程、余計に、いきなり大声で呶鳴ってみたいような焦燥を、いやが上にも煽立あおりたてているのだ。

 ――この頃から、彼のそぶりは、少しずつ変って来たようだった。それはよく気をつけて見たならば、相変らず小屋の片隅に、独りぽっちでいる黒吉の眼が、妙な光を持って来たのに、気がついたろう。そして、その時は彼の視線の先きに必ず幼い花形の、葉子が、愛くるしい姿をして飛廻っていたのだ。

 葉子は、まだ黒吉と同じように、十とう位だったが、顔は綺麗だし、芸は上手いし、自由小鳥のように朗らかで、あの気六ヶ敷い団長にすら、この上もなく可愛がられていたから、この陰惨な曲馬団の中でも、彼女だけは、充分幸福なように見えた。

 そして、勿論、この陰気な、醜い黒吉が、自分一挙一動を、舐めるように、見詰めているとは気づかなかったろう。

 黒吉自身は、彼女が、自分の事など、気にもかけていない、という事が「痛しかゆし」の気持だった。無論彼女

「こっちへいらっしゃいよ」

 とでも、声を掛けられたら、どんなに嬉しい事だろう。――しかし、その半面

「だらしがないのねエ、あんたなんか、大嫌いよ」

 といわれはしまいか、と思うと、彼女に話かけるどころか葉子が、何気なくこっちを見てさえ、

(俺を嗤うんじゃないか

 こうした感じが、脈管の中を、火のように逆流するのだ。それで、つと眼を伏せて仕舞う彼だった。

 黒吉は、自分でさえ、このひねくれた気持を知りながら、尚葉子への愛慕と伴に、どうしても、脱ぎ去る事が、出来なかった。

       ×

 思い出したように、賑やかなジンタが、「敷島マーチ」を一通り済ますと、続いて「カチウシャ」を始めた。フリュートの音が、ひょろひょろと蒼穹あおぞらに消えると、その合間合間に、乾からびた木戸番の「呼び込み」が、座員の心をも、何かそわそわさせるように、響いて来た。

「さあ、葉ちゃんの出番だよ」

「あら、もうあたしなの、いそがしいわ」

「いそいで、いそいで」

 葉子は周章あわててお煎餅せんべい一口齧かじると、衣裳部屋を飛出して行った。

 恰度、通り合せた黒吉は、ちらりとそれを見ると、何を思ったのか、その喰たべかけの煎餅を、そっと、いかにも大事そうに持って行った。

二ノ二

 葉子が、喰いかけて、抛り出して行った煎餅を、そっと、拾って来た黒吉は、座員達が、こってりと白粉を塗った顔を上気させながら、忙しそうに話し合っている所を、知らん顔して通り抜けると小屋の片隅の、座蒲団が山のように積上げられてある陰へ来た。

 黒吉は、経験で、舞台が始まると、こんなところには、滅多に人が来ない事を知っていた。

 それでも、注意深く、あたりに人気のないのを見澄ますと、こそこそと体を跼かがめながら、いまにも崩れそうに積上げられた座蒲団の隙間へ、潜り込んで行った。

 その隙間は、如何にも窮屈だったが、妙にぬくぬくとした弾力があって、何かなつかしいもののようであった。黒吉はやっと※ほっ[#「口+息」、16-9]とした落着きを味わいながら、あの煎餅のかけらを持ち迭かえると、それがさも大切な宝石でもあるかのように、そーっと手の掌ひらに載せて見た。

(これが、葉ちゃんの喰いかけだな)

 そう思うと、つい頬のゆるむ、嬉しさを感じた。……大事大事にとって置きたいような、……ぎゅっと抱締めたいような――。

 黒吉は、充分幸福を味わって、もう一遍沁々と、薄い光の中で、それを見詰めた。こうしてよくよく見ると、気の所為いか、その一かけの煎餅は、幾らか湿っているように思えた。

気をつけて、触ってみると、確かに、喰いかけのところが一寸湿っていた。

(葉ちゃんの唾つばきかな)

 黒吉の、小さい心臓は、この思わぬ、めっけものにガクガクと顫えた。

 彼は、いくら少年とはいえ、無論こんな一っかけの煎餅を、喰べたいばかりに、拾って来たのではなかった。黒吉には「葉子の喰べかけ」というところに、この煎餅が、幾カラットもあるダイヤモンドにも見えたのだ。

 しかし、触って見ると、このかけらは湿っている……

(葉ちゃんの唾だな)

 その瞬間、黒吉の頭には、衣裳部屋で、葉子が忙しそうにこの煎餅を咥くわえていた光景と、それにつづいてクロオズアップされた、彼女の、あの可愛い紅唇くちとが、アリアリと浮んだ。

 それと一緒に、彼は、思わずゴクンと、固い唾を飲んだ。

 黒吉は、妖しく眼を光らせながら、あたりを偸ぬすみ見ると、やがて、意を決したように、その葉子の唾液つばきで湿ったに違いない煎餅のかけらを、そっと唇に近づけた……。

(鹹しょっぱい――な)

 これは、勿論塩煎餅の味だったろう。だが、黒吉の手は、何故かぶるぶると顫えた。

 彼の少年らしくもない、深い陰影かげを持った顔は、何時か熱っぽく上気し、激しく心臓から投出される、血潮は、顳※(「需+頁」、第3水準1-94-6)こめかみをひくひくと波打たせていた。

 そして、もう手の掌に、べとべとと溶けて仕舞った、煎餅のかけらから、尚も「葉子の匂い」を嗅ぎ出そうと、総てを忘れて、ペロペロと舐め続けていた……。

「こらっ。何をしてるんだ、黒公」

 ハッと気がつくと、蒲団の山の向うから、源二郎爺の、怒りを含んだ怪訝な顔が、覗いていた。

「出番じゃねエか。愚図愚図してると、又ひどいぞ」

「ウン」

 黒吉は、瞬間、親方の顔を思い出して、ピョコンと飛起きた。そして、ベタベタと粘る手の掌を肉襦袢にこすりこすり、周章あわてて楽屋の方へ駈けて行った。

二ノ三

 黒吉は、命ぜられた、色々の曲芸をしながらも、頭の中は、いつも葉子の事で一杯だった。

(一度でいいから葉ちゃんと、沁々話したい)

 これが、彼の歪められた心に発生わいて来た、たった一つの望みだった。

 彼がもっと朗らかな、普通の子供であったならば、いつも同じ小屋にいる葉子だもの、そんな事は、造作なく実現したに違いない。

 しかし、それにしては、黒吉は、余りに陰気な、ひねくれた少年だった。――というのも、彼の暗い周囲がそうさせたのだが――。

 そして、早熟ませた葉子への執着が、堰せき切れなくなった時に彼が見つけたのは、あの煎餅のかけらが産んだ、恐ろしい恍惚エクスタシーだった。

 一度こうした排はけ口を見つけた、彼の心が、その儘止まる筈はなかった――寧ろ、津浪のようにその排け口に向って殺到して行ったのだ。

 彼は、そっと、人のいないのを見すまして、衣裳部屋に潜り込み、葉子の小ちっちゃい肉襦袢に、醜悪な顔を、埋うずめていた事もあった。

 その白粉の匂いと、体臭のむんむんする臭いが、彼自身眩暈めまいをさえ伴った、陶酔感を与えるのだ。

 そして、ふと、その肉襦袢に、葉子のオカッパの髪が、二三本ついていたのを見つけると、その大発見に狂喜しながら、注意ぶかく抓つまみ上げて、白い紙につつむと、あり合せの鉛筆で、

「葉子チャンノカミノケ」

 そんな文句を、下手糞な字で、たどたどしく書きつけ、もう一度、上から擦さすって見てから、それを、肌身深く蔵しまいこんで仕舞った……。

 こうした彼の悪癖が、益々慕って行った事は、その後、葉子の持ち物が、ちょいちょい失なくなるようになった事でも、充分想像が出来た。

 失くなるといっても、勿論たいした品物を、曲馬団の少女が、持っている訳はなかったから、もうすり減った、真黒く脂肪あぶら足の跡が附いた、下駄の一方だとか、毛の抜けて仕舞った竹の歯楊子ようじだとか、そういった、極く下らないものだった。それで、

(盗られた)

 という気持を、葉子自身ですら感じなかったのは、彼にとっては、もっけの幸いだった。しかしこれらの「下らない紛失物」が、黒吉にとって、どんなに貴重なものだったかは、また容易に想像出来るのだ。

 ――ここまでは、黒吉少年の心に醗酵した、侘わびしい(しか執拗な)彼一人だけの、胸の中の恋だった。

 だが、ここに葉子が、暴風雨あらしを伴奏にして、颯爽と、現実舞台へ、登場しようとしている。

       ×

 極東曲馬団は、町から町、盛り場から盛り場を、人々の眼を楽しませながら、流れ移っていた。

 そして、ある田舎町に敷地を借り、ようやく小屋掛けも終ったと殆んど同時に、朝から頸を傾かしげさせていた空模様が、一時に頽くずれて、大粒の雨が、無気味な風を含んで、ぽたりぽたり落ちて来たかと思うと、もう篠つくような豪雨に変っていた。

 団長等は、早々に、宿屋に引上げて仕舞ったが、子供の座員や、下っぱの座員などは、経費の関係で、いつも、この小屋に泊る事を言渡されていた。子供等の方では、これは当然だと思っていたし、又団長がいないという事で、却って喜んでいたようでもあった。

 しかし、この急拵えの小屋が、この沛然はいぜんと降る豪雨に、無事な筈はなく、雨漏りをさけて遁げ廻った末、やっと楽屋の隅で、ひと凝固かたまりになって、横になる事が出来たのは、もう大分夜が更けてからだった。

 黒吉は、眼をつぶって、ようやく小降りになって来たらしい、雨の音を聴いていると、もう肩を並べた隣りからは、幽かな寝息さえ聴えて来た。

 それと同時に、黒吉は、何かドキンとしたものを感じた。

(隣りに寝ているのは、葉ちゃんじゃないか――)

二ノ四

 瞬間、黒吉は自分の頭が、シーンと澄み透って行くのを感じた。

(果して、隣りで寝ているのは、葉ちゃんだろうか)

 それは勿論、第六感とでもいうのか、極く曖昧ものだった。が、あの騒ぎで、皆んな、ごたごたに寝て仕舞ったのだから全然あり得ない事でもないのだ。

 そう思うと、隣りと接した、肩の辺が、熱っぽく、暑苦しいようにさえ感じた。そして、心臓はその鼓動と伴に、胸の中、一杯に拡がって行った。

 黒吉は、思い切って、起上り、顔を覗き見たい衝動を感じた。あたりは真暗だが、よく気をつけて覗きこめば、顔の判別がつかぬ、という程でもないように思われた。

 彼は、そーっと、薄い蒲団の縁へりへ、手をかけた。だが――

(まてまて。葉ちゃんならば、こんなに素晴らしい事はない。けれども、こんなにぎっしり寝ている処で、ごそごそ起きたら、どうかすると、彼女は眼を覚ますかも知れない。

 それだけならいいが、眼を覚まして、俺が覗きこんでいた事を知ったら、きっと葉ちゃんは、真赤になって、この醜い俺を罵り、どこか遠くへ寝床をかえて仕舞うに違いないんだ。

 ――そんな莫迦な事をするより、例え短かくとも、夜が明けるまで、こうして葉ちゃんの、ふくよかな肩の感触を恣ほしいままにした方が、どれ程気が利いていることか……)

 黒吉の心の中の、内気な半面が、こう囁いた。

 彼は、蒲団にかけた手を、又静かに戻して仕舞うと、今度は、全身の注意を、細かに砕いて、彼女の方へぴったり、摺り寄って行った。そして、温もりに混った、彼女の穏やかな心臓の響きを、肩の辺に聴いていた……。

 フト、冷めたい風を感じて、何時の間にかつぶっていた眼を明けて見ると、あたりには極くうっすらと、光が射しているのに、気がついた。

(もう夜明けかな――いつの間に寝て仕舞ったんだろう)

 それと一緒に、思わずガクンと体の顫えるような、口惜くやしさに似た後悔を感じた。

(葉ちゃんは……)

 黒吉は、先ずそれが心懸りだったので、ぐっと頸を廻して隣りを確めようとした。

(おや……)

 彼の眼に這入ったのは、葉子より先きに、キンと澄み切った、尖った月の半分だった。

 急拵えの小屋天幕は、夕方の大暴風雨あらしに吹きまくられてぽっかり夜空に口を開け、恰度そこから、のり出すように月が覗き込み、地底のようにシンと澱んだ小屋の中に白々とした、絹糸のような、光を撒いているのだ。暴風雨あらしの後の月は物凄いまでに、冴え冴えとしていた。

(まだ夜中だ)

 黒吉は※ほ[#「口+息」、22-9]っと心配を排はき棄てた。

 彼の隣りには、葉子が、いかにも寝苦しそうに寝ていた。先刻さっきは、確かに葉子だ、とは断言出来なかったが、いまでは極く淡い光ではあったが、その中でも、段々眼の馴れるに従って、黒吉には、ハッキリ葉子の姿が、写って来た。

 黒吉は、意を決したように、半身を蒲団から抜出し、月の光を遮らないように――、音のしないように、そっと彼女の顔を覗きこんだ。

 眼の下には、月の光を受けて、いつもより蒼白く見える葉子の、幼い顔が、少しばかり口さえ開け、寝入っていた。もう少し月の光が強かったら、この房々としたオカッパの頭髪かみのけが黄金のように光るだろう――と思えた。

 又、襟足の洗いおとした白粉が、この幼い葉子の寝姿を少年の心にも、一入ひとしお可憐いじらしく見せていた。

 暫く、ぼんやりと、その夢のように霞んだ、葉子の顔を、見詰めていた黒吉は、ゴクンと固い唾を咽喉へ通すと、その薄く開かれた唇から、寝息でも聴こうとするのか、顔を次第次第に近附けて行った。

 何故か、彼の唇は、ガザガザに乾いていた。

 やがて、この弱々しい月光の下で、二つのさな頭の影が、一つになって仕舞うと、彼は、葉子の頬についている、小さい愛嬌黒子ぼくろが、自分の頬をも、凹へこますのを感じた。

二ノ五

 黒吉の、唇に感じた、葉子の唇の感触は、ぬくぬくとして弾力に富んだはんぺんのようだった。妙な連想だけれど、事実彼の経験では、これが一番よく似ていたのだ。

 唯、違った所――それは非常に違ったところがあるのだが――残念ながら、それをいい表わす言葉を知らなかった。

 彼は、そーっと腕の力を抜こうとした。途端に、肘の下の羽目板が、鈍い音を立てた。造作の悪い掛小屋なので、一寸した重みの加減でも、板が軋むのだ。シンとした周囲あたりと、針のように尖った、彼の神経に、それが幾層倍にも、拡大されて響き渡った。

 黒吉の心臓は、瞬間、ドキンと音がして止ったようだった。

「ク……」

 周章あわてて顔を上げた彼の眼の下で、葉子は、悪い夢でも見たのか、咽喉を鳴らすと、寝返りを打って、向うを向いて仕舞った。

(眼を覚ましたかな)

 黒吉は、思いきり息を深くしながら、葉子の墨のような、後向きの寝姿を、見守った。(いや、大丈夫だ)

 寝返りをした葉子は、幸い、眼を覚まさなかったと見えて、直ぐ又かすかな、寝息が、聴えて来た。

 彼は、ようやく※ほ[#「口+息」、24-4]っと、熱

anond:20250708044816

 辺鄙な、村はずれの丘には、いつの間にか、華やかな幕を沢山吊るした急拵ごしらえの小屋掛が出来て、極東曲馬団の名がかけられ、狂燥なジンタと、ヒョロヒョロと空気を伝わるフリュートの音に、村人は、老おいも若きも、しばし、強烈な色彩と音楽スリル享楽し、又、いつの間にか曲馬団が他へ流れて行っても、しばらくは、フト白い流れ雲の中に、少年少女の縊くびれた肢体を思い出すのである

 トテモ華やかな、その空気の中にも、やっぱり、小さな「悩める虫」がいるのだ。

一ノ二

莫迦ッ、そんな事が出来ねエのか、間抜けめ!」

 親方は、野卑な言葉で、そう呶鳴どなると、手に持った革の鞭で、床をビシビシ撲りつけながら、黒吉くろきちを、グッと睨みつけるのだった。

 まだいたいけな少年の黒吉は、恐ろしさにオドオドして、

「済みません、済みません」

 そんな事を、呟くようにいうと、ぼろぼろに裂けた肉襦袢じゅばんの、肩の辺を擦さすりながら、氷のように冷めたい床の上に、又無器用な体つきで、ゴロンゴロンと幾度も「逆立ち」を遣り直していた。

 饑ひもじさと、恐ろしさと、苦痛と、寒気と、そして他の座員の嘲笑とが、もう毎度の事だったが、黒吉の身の周りに、犇々ひしひしと迫って、思わずホロホロと滾こぼした血のような涙が、荒削りの床に、黒い斑点を残して、音もなく滲しみ込んで行った。

 ――ここは、極東曲馬団の楽屋裏だった。

 逆立ちの下手な、無器用な黒吉は、ここの少年座員なのだ

 鴉からす黒吉。というのが彼の名前だった。しかしこれは舞台だけの芸名か、それとも本当の名前か、恐らくこれは字面じづらから見て、親方が、勝手につけた名前に違いないが、本名となると彼自身は勿論の事、親方だってハッキリ知っているかどうかは疑わしいものだった。

 黒吉自身記憶といっては、極めてぼんやりしたものだったけれど、いたましい事には、それは何時も、この曲馬団の片隅の、衣裳戸棚から始まっていた。

 それで、彼がもの心のついた時からは、――彼の記憶が始まった時からは、いつも周囲には、悲壮ジンタと、くしゃくしゃになったあくどい色の衣裳と、そして、それらを罩こめた安白粉おしろいの匂いや、汗のしみた肉襦袢の、ムッとした嗅気が、重なり合って、色彩っていた。

 こうした頽廃的な雰囲気の中に、いつも絶えない、座員間の軋轢あつれきと、華やかな底に澱む、ひがんだ蒼黒い空気とは、幼い黒吉の心から、跡形もなく「朗らかさ」を毟むしり取って仕舞った。そして、あとに残った陰欝な、日陰の虫のような少年の心に、世の中というものを、一風変った方向からのみ、見詰めさせていた。

 彼は用のない時には、何時も、太い丸太が荒縄で、蜘蛛の巣のように、縦横無尽に張りまわされている薄暗い楽屋の隅で、何かぼんやりえこんでいた。それは少年らしくもない憂欝な、女々しい姿だった。

 黒吉は明かに、他の同輩の少年から

「オイ、こっちへこいよ」

 と声をかけられるのを恐れているように見えた。

 しかし、それは、単に彼の危惧に過ぎなかった。

 他の少年座員達は、誰も、この憂欝な顔をした、芸の不器用な、そして親方におぼえのよくない黒吉と、進んで遊ぼうというものはなかった。(それは恐ろしい団長への、気兼ねもあったろうが)寧ろ彼等は、黒吉の方からしかけても、決して色よい返事は、しないように思われた。

 結局、黒吉はそれをいい事にして、独りぽつねんと、小屋の隅に忘れられた儘、たった一つ、彼に残されたオアシスである他愛もない「空想」に耽っていた。

一ノ三

 憂欝な少年黒吉が、何を考えているのか。

 ――その前に、彼が、なぜ親方のおぼえが悪いのだろうかという事をいわなければならない。

 (それは、彼の憂欝性にも、重大な影響のある事だから

 黒吉は、どう見ても、親方の「お気に入り」とは思えなかった。それは、勿論彼が、芸の未熟な不器用だった事も、確かにその原因の、一つだったけれど、他の大きな原因は、彼が醜い容貌だ、という先天的な不運に、禍わざわいされていたのだった。

 男の子容貌が、そんなにも、幼い心を虐しいたげるものだろうか――。

 如何にも、舞台の上で生活するものにとって、顔の美醜は非常に大きなハンデキャップなのだ。彼の同輩の愛くるしい少年が、舞台で、どうしたはずみか、ストンと尻もちをついたとしたら、観客は

「まあ、可哀そうに……あら、赤くなって、こっちを見てるわ、まるで正美さんみたいね

 そういって可愛い美少年は、失敗をした為に、却って、観客の人気を得るのだ。けれど、それに引きかえて、醜い顔だちを持った黒吉が、舞台でそれと同じような失敗をしても、観客は、何の遠慮もなく、このぎこちない少年の未熟さを嘲笑うのだった。

 この観客にさえ嗤わらわれる黒吉は、勿論親方にとって、どんなに間抜けな、穀潰ごくつぶしに見えたかは充分想像が、出来るのだった。従って、黒吉に対する、親方仕打ちがどんなものだったかも――

(俺は芸が下手なんだ)

(俺は醜い男なんだ)

 薄暗い小屋の片隅で、独りぽつんと、考えこんでいる黒吉は、楽しい空想どころか、彼の幼い心には、この二つの子供らしくもない懊悩が、いつも吹き荒すさんでいるのだった。

 そして、それは彼の心の底へ、少年らしい甘えた気持を、ひた押しに内攻して仕舞って、彼を尚一層、陰気にする外、何んの役にもたたなかった。冷たい冷たい胸の中に、熱いものは、ただ一つ涙だけだった。

 こうした雰囲気の中に、閉じこめられた鴉黒吉が、真直に伸びる筈はなかった。

 ――そして、蒼白い「歪んだ心」を持った少年が、ここに一人生成されて行った。

 世の中の少年少女達が、喜々として、小学校に通い始めた頃だろうか。勿論黒吉には、そんな恵まれ生活は、遠く想像の外だった。

 しかし、この頃から黒吉は、同輩の幼い座員の中でも、少年少女とを、異った眼で見るようになって来た。

「何」という、ハッキリした相違はないのだが、女の子莫迦にされた時には、不思議男の子に罵られたような、憤りは感じなかったのだった。寧ろ、

(いっそ、あの手で打ぶたれたら……)

 と思うと、何かゾクゾクとした、喜びに似た気持を感じるのだ。

 これが何んであるか、黒吉は、次第に、その姿を、ハッキリ見るようになって来た。

一ノ四

 安白粉の匂いと、汗ばんだ体臭と、そして、ぺらぺらなあくどい色の衣裳が、雑巾のように、投げ散らかされた、この頽廃的な曲馬団の楽屋で、侮蔑の中に育てられた、陰気な少年の「歪んだ心」には、もうませた女の子への、不思議な執着が、ジクジクと燃えて来たのだ。

 ――そして、それを尚一層、駆立てるような、出来事が起った。

 それは、やっと敷地小屋掛けも済んで、いよいよ明日から公開、という前の日だった。

 団長は、例の通り、小六ヶ敷こむずかしい顔をして、小屋掛けの監督をしていたが、それが終って仕舞うと、さも「大仕事をした」というような顔をして、他のお気に入り幹部達と一緒に、何処か、遊びに出て行った。

 団長の遊びに行くのを、見送って仕舞うと、他の年かさな座員や、楽隊ジンタの係りの者なども、ようやくのびのびとして、思い思いの雑談に高笑いを立てていたが、剽軽者ひょうきんものの仙次が、自分の役であるピエロ舞台着を調べながら

「オイ、親父おやじが行ったぜ、俺の方も行こうか」

 恰度それが、合図でもあったかのように、急に話声が高くなった。

「ウン、たまには一杯やらなくちゃ……」

「ちえッ、たまには、とはよくもいいやがった。明日があるんだ、大丈夫か」

「ナーニ、少しはやらなくちゃ続かねエよ、いやなら止せよ」

「いやじゃねエよ」

ハハハ、五月蠅うるせえなア」

 と、如何にも嬉しそうに、がやがや喋りながら、それでも大急ぎで支度をして、町の中に開放されて行った。

 そして、何時か、このガランとした小屋の中には、蒲団ふとん係りの源二郎爺さんと、子供の座員だけが、ぽつんつんと取り残されていた。子供の座員は、外出を禁じられていた。それは勿論「脱走」に備えたものだった。その見張りの役が、今は老耄おいぼれて仕舞ったが、昔はこの一座を背負って立った源二郎爺じじいなのだ

 結局、幼い彼等は、小屋の中で、てんでに遊ぶより仕方がなかった。

 男の子男同志で、舞台を駈廻り、女の子は女らしく、固かたまって縄飛びをしていた。――そして、黒吉は、相変らず小屋の隅に、ぽつんと独りだった。

 しかし、何時になく、黒吉の眼は、何か一心に見詰めているようだ。

(この憂欝な、オドオドした少年が、一生懸命に見ているものは、何んだろう)

 誰でも、彼の平生を知っているものが、この様子に気付いたならば、一寸ちょっとをかしげたに相違ない。そして、何気なくこの少年視線を追って見たならば、或はハッと眼を伏せたかも知れないのだ。

 黒吉の恰度眼の前では、少女の座員たちが、簡単アッパッパを着て、縄飛びをしていた――。しかし彼の見ているのは、それではなかった。この少女達が、急いきおいよく自分の背丈せい位もある縄を飛んで、トンと下りると、その瞬間、簡単アッパッパスカートは、風を受けて乱れ、そこから覗くのは、ふっくりとした白い腿だった――。

(十やそこらの少年が、こんなものを、息を殺して見詰めているのだろうか――)

 そう考えると、極めて不快な感じの前に何か、寒む寒むとした、恐ろしさを覚えるのだ。

 しかし、尚そればかりではなかった。

 この憂欝な少年の心を、根柢から、グスグスとゆり動かした、あの「ふっくりとした白い腿」がたえまなく、彼の頭の中に、大きく渦を捲いて、押流れていた。

 やがて、その心の渦が、ようやく鎮まって来ると、その渦の中から、浮び上って来たのは、この一座の花形少女貴志田葉子きしだようこ」の顔だった。

 だが、それと同時に、黒吉は、いきなり打ち前倒のめされたような、劇しい不快な気持を、感じた。

(ちえッ、俺がいくらちゃんと遊ぼうったって、駄目だい。俺は芸が、下手くそなんだ。それに、あんな綺麗な葉ちゃんが、俺みたいな汚い子と遊んでくれるもんか……)

 だが、この少年の心の底へ、しっかり焼付られた、葉ちゃんへの、不思議な執着は、そんな事ぐらいでは、びくともしなかった。寧ろ

(駄目だ)

 と思えば思う程、余計に、いきなり大声で呶鳴ってみたいような焦燥を、いやが上にも煽立あおりたてているのだ。

 ――この頃から、彼のそぶりは、少しずつ変って来たようだった。それはよく気をつけて見たならば、相変らず小屋の片隅に、独りぽっちでいる黒吉の眼が、妙な光を持って来たのに、気がついたろう。そして、その時は彼の視線の先きに必ず幼い花形の、葉子が、愛くるしい姿をして飛廻っていたのだ。

 葉子は、まだ黒吉と同じように、十とう位だったが、顔は綺麗だし、芸は上手いし、自由小鳥のように朗らかで、あの気六ヶ敷い団長にすら、この上もなく可愛がられていたから、この陰惨な曲馬団の中でも、彼女だけは、充分幸福なように見えた。

 そして、勿論、この陰気な、醜い黒吉が、自分一挙一動を、舐めるように、見詰めているとは気づかなかったろう。

 黒吉自身は、彼女が、自分の事など、気にもかけていない、という事が「痛しかゆし」の気持だった。無論彼女

「こっちへいらっしゃいよ」

 とでも、声を掛けられたら、どんなに嬉しい事だろう。――しかし、その半面

「だらしがないのねエ、あんたなんか、大嫌いよ」

 といわれはしまいか、と思うと、彼女に話かけるどころか葉子が、何気なくこっちを見てさえ、

(俺を嗤うんじゃないか

 こうした感じが、脈管の中を、火のように逆流するのだ。それで、つと眼を伏せて仕舞う彼だった。

 黒吉は、自分でさえ、このひねくれた気持を知りながら、尚葉子への愛慕と伴に、どうしても、脱ぎ去る事が、出来なかった。

       ×

 思い出したように、賑やかなジンタが、「敷島マーチ」を一通り済ますと、続いて「カチウシャ」を始めた。フリュートの音が、ひょろひょろと蒼穹あおぞらに消えると、その合間合間に、乾からびた木戸番の「呼び込み」が、座員の心をも、何かそわそわさせるように、響いて来た。

「さあ、葉ちゃんの出番だよ」

「あら、もうあたしなの、いそがしいわ」

「いそいで、いそいで」

 葉子は周章あわててお煎餅せんべい一口齧かじると、衣裳部屋を飛出して行った。

 恰度、通り合せた黒吉は、ちらりとそれを見ると、何を思ったのか、その喰たべかけの煎餅を、そっと、いかにも大事そうに持って行った。

二ノ二

 葉子が、喰いかけて、抛り出して行った煎餅を、そっと、拾って来た黒吉は、座員達が、こってりと白粉を塗った顔を上気させながら、忙しそうに話し合っている所を、知らん顔して通り抜けると小屋の片隅の、座蒲団が山のように積上げられてある陰へ来た。

 黒吉は、経験で、舞台が始まると、こんなところには、滅多に人が来ない事を知っていた。

 それでも、注意深く、あたりに人気のないのを見澄ますと、こそこそと体を跼かがめながら、いまにも崩れそうに積上げられた座蒲団の隙間へ、潜り込んで行った。

 その隙間は、如何にも窮屈だったが、妙にぬくぬくとした弾力があって、何かなつかしいもののようであった。黒吉はやっと※ほっ[#「口+息」、16-9]とした落着きを味わいながら、あの煎餅のかけらを持ち迭かえると、それがさも大切な宝石でもあるかのように、そーっと手の掌ひらに載せて見た。

(これが、葉ちゃんの喰いかけだな)

 そう思うと、つい頬のゆるむ、嬉しさを感じた。……大事大事にとって置きたいような、……ぎゅっと抱締めたいような――。

 黒吉は、充分幸福を味わって、もう一遍沁々と、薄い光の中で、それを見詰めた。こうしてよくよく見ると、気の所為いか、その一かけの煎餅は、幾らか湿っているように思えた。

気をつけて、触ってみると、確かに、喰いかけのところが一寸湿っていた。

(葉ちゃんの唾つばきかな)

 黒吉の、小さい心臓は、この思わぬ、めっけものにガクガクと顫えた。

 彼は、いくら少年とはいえ、無論こんな一っかけの煎餅を、喰べたいばかりに、拾って来たのではなかった。黒吉には「葉子の喰べかけ」というところに、この煎餅が、幾カラットもあるダイヤモンドにも見えたのだ。

 しかし、触って見ると、このかけらは湿っている……

(葉ちゃんの唾だな)

 その瞬間、黒吉の頭には、衣裳部屋で、葉子が忙しそうにこの煎餅を咥くわえていた光景と、それにつづいてクロオズアップされた、彼女の、あの可愛い紅唇くちとが、アリアリと浮んだ。

 それと一緒に、彼は、思わずゴクンと、固い唾を飲んだ。

 黒吉は、妖しく眼を光らせながら、あたりを偸ぬすみ見ると、やがて、意を決したように、その葉子の唾液つばきで湿ったに違いない煎餅のかけらを、そっと唇に近づけた……。

(鹹しょっぱい――な)

 これは、勿論塩煎餅の味だったろう。だが、黒吉の手は、何故かぶるぶると顫えた。

 彼の少年らしくもない、深い陰影かげを持った顔は、何時か熱っぽく上気し、激しく心臓から投出される、血潮は、顳※(「需+頁」、第3水準1-94-6)こめかみをひくひくと波打たせていた。

 そして、もう手の掌に、べとべとと溶けて仕舞った、煎餅のかけらから、尚も「葉子の匂い」を嗅ぎ出そうと、総てを忘れて、ペロペロと舐め続けていた……。

「こらっ。何をしてるんだ、黒公」

 ハッと気がつくと、蒲団の山の向うから、源二郎爺の、怒りを含んだ怪訝な顔が、覗いていた。

「出番じゃねエか。愚図愚図してると、又ひどいぞ」

「ウン」

 黒吉は、瞬間、親方の顔を思い出して、ピョコンと飛起きた。そして、ベタベタと粘る手の掌を肉襦袢にこすりこすり、周章あわてて楽屋の方へ駈けて行った。

二ノ三

 黒吉は、命ぜられた、色々の曲芸をしながらも、頭の中は、いつも葉子の事で一杯だった。

(一度でいいから葉ちゃんと、沁々話したい)

 これが、彼の歪められた心に発生わいて来た、たった一つの望みだった。

 彼がもっと朗らかな、普通の子供であったならば、いつも同じ小屋にいる葉子だもの、そんな事は、造作なく実現したに違いない。

 しかし、それにしては、黒吉は、余りに陰気な、ひねくれた少年だった。――というのも、彼の暗い周囲がそうさせたのだが――。

 そして、早熟ませた葉子への執着が、堰せき切れなくなった時に彼が見つけたのは、あの煎餅のかけらが産んだ、恐ろしい恍惚エクスタシーだった。

 一度こうした排はけ口を見つけた、彼の心が、その儘止まる筈はなかった――寧ろ、津浪のようにその排け口に向って殺到して行ったのだ。

 彼は、そっと、人のいないのを見すまして、衣裳部屋に潜り込み、葉子の小ちっちゃい肉襦袢に、醜悪な顔を、埋うずめていた事もあった。

 その白粉の匂いと、体臭のむんむんする臭いが、彼自身眩暈めまいをさえ伴った、陶酔感を与えるのだ。

 そして、ふと、その肉襦袢に、葉子のオカッパの髪が、二三本ついていたのを見つけると、その大発見に狂喜しながら、注意ぶかく抓つまみ上げて、白い紙につつむと、あり合せの鉛筆で、

「葉子チャンノカミノケ」

 そんな文句を、下手糞な字で、たどたどしく書きつけ、もう一度、上から擦さすって見てから、それを、肌身深く蔵しまいこんで仕舞った……。

 こうした彼の悪癖が、益々慕って行った事は、その後、葉子の持ち物が、ちょいちょい失なくなるようになった事でも、充分想像が出来た。

 失くなるといっても、勿論たいした品物を、曲馬団の少女が、持っている訳はなかったから、もうすり減った、真黒く脂肪あぶら足の跡が附いた、下駄の一方だとか、毛の抜けて仕舞った竹の歯楊子ようじだとか、そういった、極く下らないものだった。それで、

(盗られた)

 という気持を、葉子自身ですら感じなかったのは、彼にとっては、もっけの幸いだった。しかしこれらの「下らない紛失物」が、黒吉にとって、どんなに貴重なものだったかは、また容易に想像出来るのだ。

 ――ここまでは、黒吉少年の心に醗酵した、侘わびしい(しか執拗な)彼一人だけの、胸の中の恋だった。

 だが、ここに葉子が、暴風雨あらしを伴奏にして、颯爽と、現実舞台へ、登場しようとしている。

       ×

 極東曲馬団は、町から町、盛り場から盛り場を、人々の眼を楽しませながら、流れ移っていた。

 そして、ある田舎町に敷地を借り、ようやく小屋掛けも終ったと殆んど同時に、朝から頸を傾かしげさせていた空模様が、一時に頽くずれて、大粒の雨が、無気味な風を含んで、ぽたりぽたり落ちて来たかと思うと、もう篠つくような豪雨に変っていた。

 団長等は、早々に、宿屋に引上げて仕舞ったが、子供の座員や、下っぱの座員などは、経費の関係で、いつも、この小屋に泊る事を言渡されていた。子供等の方では、これは当然だと思っていたし、又団長がいないという事で、却って喜んでいたようでもあった。

 しかし、この急拵えの小屋が、この沛然はいぜんと降る豪雨に、無事な筈はなく、雨漏りをさけて遁げ廻った末、やっと楽屋の隅で、ひと凝固かたまりになって、横になる事が出来たのは、もう大分夜が更けてからだった。

 黒吉は、眼をつぶって、ようやく小降りになって来たらしい、雨の音を聴いていると、もう肩を並べた隣りからは、幽かな寝息さえ聴えて来た。

 それと同時に、黒吉は、何かドキンとしたものを感じた。

(隣りに寝ているのは、葉ちゃんじゃないか――)

二ノ四

 瞬間、黒吉は自分の頭が、シーンと澄み透って行くのを感じた。

(果して、隣りで寝ているのは、葉ちゃんだろうか)

 それは勿論、第六感とでもいうのか、極く曖昧ものだった。が、あの騒ぎで、皆んな、ごたごたに寝て仕舞ったのだから全然あり得ない事でもないのだ。

 そう思うと、隣りと接した、肩の辺が、熱っぽく、暑苦しいようにさえ感じた。そして、心臓はその鼓動と伴に、胸の中、一杯に拡がって行った。

 黒吉は、思い切って、起上り、顔を覗き見たい衝動を感じた。あたりは真暗だが、よく気をつけて覗きこめば、顔の判別がつかぬ、という程でもないように思われた。

 彼は、そーっと、薄い蒲団の縁へりへ、手をかけた。だが――

(まてまて。葉ちゃんならば、こんなに素晴らしい事はない。けれども、こんなにぎっしり寝ている処で、ごそごそ起きたら、どうかすると、彼女は眼を覚ますかも知れない。

 それだけならいいが、眼を覚まして、俺が覗きこんでいた事を知ったら、きっと葉ちゃんは、真赤になって、この醜い俺を罵り、どこか遠くへ寝床をかえて仕舞うに違いないんだ。

 ――そんな莫迦な事をするより、例え短かくとも、夜が明けるまで、こうして葉ちゃんの、ふくよかな肩の感触を恣ほしいままにした方が、どれ程気が利いていることか……)

 黒吉の心の中の、内気な半面が、こう囁いた。

 彼は、蒲団にかけた手を、又静かに戻して仕舞うと、今度は、全身の注意を、細かに砕いて、彼女の方へぴったり、摺り寄って行った。そして、温もりに混った、彼女の穏やかな心臓の響きを、肩の辺に聴いていた……。

 フト、冷めたい風を感じて、何時の間にかつぶっていた眼を明けて見ると、あたりには極くうっすらと、光が射しているのに、気がついた。

(もう夜明けかな――いつの間に寝て仕舞ったんだろう)

 それと一緒に、思わずガクンと体の顫えるような、口惜くやしさに似た後悔を感じた。

(葉ちゃんは……)

 黒吉は、先ずそれが心懸りだったので、ぐっと頸を廻して隣りを確めようとした。

(おや……)

 彼の眼に這入ったのは、葉子より先きに、キンと澄み切った、尖った月の半分だった。

 急拵えの小屋天幕は、夕方の大暴風雨あらしに吹きまくられてぽっかり夜空に口を開け、恰度そこから、のり出すように月が覗き込み、地底のようにシンと澱んだ小屋の中に白々とした、絹糸のような、光を撒いているのだ。暴風雨あらしの後の月は物凄いまでに、冴え冴えとしていた。

(まだ夜中だ)

 黒吉は※ほ[#「口+息」、22-9]っと心配を排はき棄てた。

 彼の隣りには、葉子が、いかにも寝苦しそうに寝ていた。先刻さっきは、確かに葉子だ、とは断言出来なかったが、いまでは極く淡い光ではあったが、その中でも、段々眼の馴れるに従って、黒吉には、ハッキリ葉子の姿が、写って来た。

 黒吉は、意を決したように、半身を蒲団から抜出し、月の光を遮らないように――、音のしないように、そっと彼女の顔を覗きこんだ。

 眼の下には、月の光を受けて、いつもより蒼白く見える葉子の、幼い顔が、少しばかり口さえ開け、寝入っていた。もう少し月の光が強かったら、この房々としたオカッパの頭髪かみのけが黄金のように光るだろう――と思えた。

 又、襟足の洗いおとした白粉が、この幼い葉子の寝姿を少年の心にも、一入ひとしお可憐いじらしく見せていた。

 暫く、ぼんやりと、その夢のように霞んだ、葉子の顔を、見詰めていた黒吉は、ゴクンと固い唾を咽喉へ通すと、その薄く開かれた唇から、寝息でも聴こうとするのか、顔を次第次第に近附けて行った。

 何故か、彼の唇は、ガザガザに乾いていた。

 やがて、この弱々しい月光の下で、二つのさな頭の影が、一つになって仕舞うと、彼は、葉子の頬についている、小さい愛嬌黒子ぼくろが、自分の頬をも、凹へこますのを感じた。

二ノ五

 黒吉の、唇に感じた、葉子の唇の感触は、ぬくぬくとして弾力に富んだはんぺんのようだった。妙な連想だけれど、事実彼の経験では、これが一番よく似ていたのだ。

 唯、違った所――それは非常に違ったところがあるのだが――残念ながら、それをいい表わす言葉を知らなかった。

 彼は、そーっと腕の力を抜こうとした。途端に、肘の下の羽目板が、鈍い音を立てた。造作の悪い掛小屋なので、一寸した重みの加減でも、板が軋むのだ。シンとした周囲あたりと、針のように尖った、彼の神経に、それが幾層倍にも、拡大されて響き渡った。

 黒吉の心臓は、瞬間、ドキンと音がして止ったようだった。

「ク……」

 周章あわてて顔を上げた彼の眼の下で、葉子は、悪い夢でも見たのか、咽喉を鳴らすと、寝返りを打って、向うを向いて仕舞った。

(眼を覚ましたかな)

 黒吉は、思いきり息を深くしながら、葉子の墨のような、後向きの寝姿を、見守った。(いや、大丈夫だ)

 寝返りをした葉子は、幸い、眼を覚まさなかったと見えて、直ぐ又かすかな、寝息が、聴えて来た。

 彼は、ようやく※ほ[#「口+息」、24-4]っと、熱

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