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2024-12-13

からあげクン東京を救う

その日、僕は仕事帰りに新宿駅西口ローソンに立ち寄った。湿度の高い夜で、街全体が汗ばんでいるように感じられた。何か小腹を満たすものが欲しかったが、食欲はそこまで強くなかった。僕はふと目に入ったホットスナックコーナーに足を止め、何気なくからあげクンの箱を手に取った。

いつもと同じパッケージだ。赤い箱に、小さく愛嬌のある目が描かれている。それを無造作レジへ持って行き、会計を済ませた後、袋を片手に店を出た。

外の空気はむっとしていて、思わず一歩後ずさりしそうになる。僕は駅前の人混みを避け、路地に入り、手軽な夕食を開けた。その瞬間だった。

「やあ。」

――声が聞こえた。

僕は一瞬、自分空耳を聞いたのだと思った。あたりを見回したが、誰もいない。路地は暗く、湿った風がビルの隙間を通り抜けているだけだ。

「こっちだよ。」

今度ははっきりと聞こえた。僕の手の中にあるからあげクンの箱からだ。

ちょっと待ってくれ。」僕は箱を凝視した。「今、喋ったのか?」

「そうさ、ぼくだよ。からあげクン。」箱の中からからあげクンが顔をのぞかせた。その姿は、パッケージに描かれているマスコットのものだ。小さな丸い唐揚げの体に、意外にも生き生きとした目。

「驚いたかい?」

「驚いたも何も、どうして唐揚げが喋るんだ?」

「それはぼくがただの唐揚げじゃないからさ。」からあげクンは小さく跳ねた。「ぼくはホットスナック界の守護者なんだ。今日は君に手伝ってほしいことがあって、こうして話しかけているんだよ。」

僕は呆然としながらもからあげクンの話を聞き始めた。

       ★

東京が、今、ある深い闇に呑まれかけているんだ」と、からあげクンは言った。その声は実に穏やかで、しかしどこか決定的な力をもっていた。「このままいくと、人々の心は冷たさに覆われ、都市は内部から崩れてしまうだろう。原因はサラダチ⚪︎ンだ。」

サラダチ⚪︎ンって、セブンイレブンで売っているあのパック入りの?」

「そう、あの冷たい繊維質の塊さ。彼は東京を凍らせようとしているんだよ。」

からあげクンは歩きながら、彼自身存在意義について話し始めた。

「ぼくらホットスナックは、文字通り人間に“温かさ”を届けるために存在しているんだ。カリッと揚がった衣とジューシーな中身。小さいけれど確かな幸せ。だけど、サラダチ⚪︎ンは違う。彼は冷たいまま人々の心を凍らせる。」

「いや、ただの健康志向象徴なんじゃないの? 脂っこいホットスナックよりもヘルシーだと言われているけど。」

からあげクンは首を振った。「いや、健康に見えるだけなんだ。本当は選択余地を奪っていくんだよ。サラダチ⚪︎ンを選ぶ人は、何かを妥協している。味を、温かさを、そして喜びを。それが積み重なると、東京は本当に冷たくなってしまうんだ。」

       ★

その夜、僕たちはサラダチ⚪︎ンが潜んでいるという噂のセブンイレブンを目指した。からあげクンの話では、彼は冷蔵ケースの奥深くに眠りながら、自らの存在を拡大しているらしい。冷蔵庫が冷たければ冷たいほど、彼の力は増していくのだという。

セブンイレブンに到着すると、店内には妙な静けさが広がっていた。冷蔵ケースから冷たい風が漏れ出し、まるで見えない霧が漂っているようだった。棚の商品はどこか青白く、無機質に見える。

「ここにいるね。」からあげクンは静かに言った。突然、冷蔵ケースの奥から低い音が響いた。それはただの機械音ではなく、何か生き物が潜むような、不気味な音だった。

「来たな、からあげクン。」冷たい声が空気を切り裂くように響いた。

僕は思わず体が震えるのを感じた。冷たい空気が肌を刺すようだった。冷蔵ケースの奥深くからゆっくりサラダチ⚪︎ンが姿を現した。その光沢のあるパッケージと、完璧に整ったフォルムは、一見すると美しかった。だが、その目には底知れない闇が宿っていた。

「君はまだ温かさなどという時代遅れ幻想にすがっているのか。」サラダチ⚪︎ンは冷たく笑った。「この街必要なのは選択肢ではない。合理性だ。冷たく、計算された満足。それが私の力だ。」

「冷たさは心を動かさない。人間には温かさが必要なんだよ。」からあげクン毅然と答えた。「君の合理性は、喜びを奪い、人々を空虚にしてしまう。」

       ★

からあげクンは一歩前に出た。その小さなからは、じわりと温かい光が漏れ始めていた。それはまるでホットスナック特有の、揚げたての熱そのもののようだった。

トルストイはこう言っているよ。『幸福な家庭はみな似ているが、不幸な家庭はそれぞれに不幸である』ってね。君が作り出す冷たさは、不幸すらも均一化するんだよ。でも、人間には不完全で温かい何かが必要なんだ。それが本当の幸福を生むんだから。」

サラダチ⚪︎ンは冷笑を浮かべた。「詩的だが無意味だな。さあ、冷たい闇に飲み込まれるがいい。」

その瞬間、店内の温度が急激に下がった。冷たい霧が広がり、僕の視界がぼやけた。だが、その中で、からあげクンの光はますます輝きを増していった。

「この冷たさを温めて、消してみせる!」からあげクン叫び、全身を光の塊に変えた。

無駄だ!」サラダチ⚪︎ンが叫ぶ。「冷たさこそが正義だ。この街必要なのは理性と計算だ。お前の光など、その脂ぎった熱など、ただのノイズにすぎない!」

しかし、つややかなパッケージじわじわと膨らみ始め、内部のチキンが熱によって変化していくのが見て取れた。冷たく白かったその表面が、次第に黄金色に変わり、薄くパリッとした衣が彼の体を覆い始めた。

揚げ油の香ばしい匂いが店内に広がり、僕の鼻を刺激した。パッケージが破れ、中から現れたのは、ジューシーで脂ぎった揚げ鶏だった。

       ★

気がつくと、僕たちはローソンの前に戻っていた。近くのセブンイレブンは何事もなかったように営業を続けているが、あの冷たさは消えていた。

東京は救われたのか?」僕はからあげクンに尋ねた。

「少しだけね。でも、冷たい闇はまた現れるかもしれない。そのときはまたぼくが戦うよ。」

彼は静かにローソン自動ドアの中へ戻っていった。その背中は小さなホットスナックのものだったが、そこには何かしら大きな希望が宿っているように見えた。

東京の夜は、再び少しだけ温かさを取り戻していた。

マッチングアプリにいるアレな女性

マッチングアプリ止めてすぐいわゆる普通出会い彼女ができたんで

負け惜しみと煽られることもないだろうから書いてみる

こっちは30代後半で相手は30代半ばから40代前半くらい

主な類型は二つ

不機嫌女

これは本当に多い

自分意思でその場にいるんだろうに何が気に入らないのか知らないがずっと不機嫌な女

うっすらこちらに対する敵意すら感じることもある、初対面なのに

自分プロフィールに一切嘘は書いてないし、写真普段通りの姿を友達に撮ってもらったもの

盛りも加工もしてなかったから実物みてどうこうってのもないだろうに

会話も全部ぶった切られるから取り付くしまもないし本当に時間無駄

マッチングアプリで男が病むのは大体不機嫌女のせいだと思う

自分も人を不快にする要素があるのかと思い悩んだりしたが今になって思えばあいつらがおかしかっただけだった

受け身

これも多い

不機嫌女のような不愉快な要素はないけど疲れるし困る

コミュニケーション能力に関しては男側もあまり偉そうなことは言えないが物には限度があるだろう

メッセージのやり取り、予定決め、会話全部一から十までこっちが主導しないといけないし

ご飯食べにいってもメニュー一つ選んでくれない

時間をかければそのうち打ち解けるのかもしれないけどそれまでのことを考えると心が折れる


この二つの類型がとにかく多くマッチングアプリ疲れの主原因だろう

他に遭遇した個別事例としては

割り勘豹変

会話も弾んでライン交換も向こうから言ってきてわりといい感じだったんだが

支払いの時相手が出してきたお金何気なく受け取ったら態度が一気に豹変

店を出るなり挨拶もそこそこに早足で去って行って姿が見えなくなったら即アプリラインブロックされてた

こっちは全部支払うムーブをしてたんだからブチギレるほど払いたくないならお金を出さず素直にごちそうさま言うとけ

40歳ぶりっ子

明らかに年齢と見た目に不相応なゆるふわ服装一人称自分名前だった40女

声の大きさは立派なおばちゃんだったため周囲の目線がきつかった

写真詐欺デブ

明らかに加工っぽい写真ははじいてたが非常に巧妙な写真の加工をしていたらしい

写真の時点でややぽっちゃりくらいだったがそれの大盛2倍くらいのが現れた

悪びれる様子もなく明るく飲み食いしてそれなりに楽しい女性だったが

さすがに写真比2倍はあかんやろ

2024-12-08

anond:20241208011420

元増田じゃないけど、散髪屋で学校のこと聞かれてからもう行きたくなくなった思い出

それ以来心を許さない限り正直には話さなくなった

何気なく聞いてくるからな〜

2024-11-28

何気なくYoutubeで見てたけど

バグパイプって吹いて鳴らすのに音が途切れないし4本鳴らしてるしすごいな。

2024-11-15

焼酎漬けの柿を子供に食べさせる

自分の親が小学生の子供に柿を出した

何気なく食べてたけど焼酎漬けだと知ってゾッとした

食べた感じ酒感は抜けてたしなんともなかったけど、あまり食べさせたくない

ふざけてビール飲まそうとしてくるジイさんもいるし、嫌いだー。会いたくない。

2024-11-14

リマインド」をやめろ

私はリマインドを好かない。

私は、誰にもリマインドをしたくないし、誰かにリマインドされるのも極力避けたい。

ひと足先に社会人になった友人たちが、軽い飲みの約束ときですら進んで前日のリマインドをしたがり、またリマインドされたがっているが、その気持ちを全く理解できない。

本当に大事だと思っている約束ならば、リマインドなどしなくとも、その約束通りに身体は動くはずだ。忘れてしまったならば、その程度の約束だったというだけの話だ。

それでも、リマインドをすれば確かに約束を忘れるリスクは減るし、有益なところもあるかもしれない。しかし、それ以上に私は、私の人生SNSカレンダーアプリ機械的な通知による横槍が入るのが心底嫌で仕方がない。例えば、音楽や本に夢中になっている休日夕方に、旅行の最終日に感傷に浸っているときに、あるいはいものように何気なく散歩でもしているときには、その時々の心の動きに身を任せることが最も幸せで贅沢なのではないかと思う。

リマインドはその幸福をことごとく破壊する。おまえ如きが、私の心の自由横槍を入れていいはずがない。そして同様に、私自身も、誰かの心の自由横槍を入れる権利など持つはずがない。

リマインドされれば、いついかなるときもその用事通りに身体を動かせてしまえるというのは、恐ろしいことではないのか。そのときおまえの心は、実のところ全く動いてはいないのではないか

「忘れてしまえばその程度の約束」と書いたが、リマインドに慣れきってしまったときリマインドされたすべての約束はもはや、「その程度の約束未満」に成り下がっているのではないか

忘れることのできる約束けが幸福の種でありうる。

わかったら今すぐリマインドをやめろ。

2024-11-11

カーネーション」を何気なく見ていてびっくり

あれ?昔の朝ドラってこんなに演技や演出ちゃんとしていたっけ?普通に見ていてストレスなく面白いんだけど。


最近の「らんまん」「ヴギウギ」「虎に翼」そして「おむすび」と、正直5分と見続けられないレベルでひどいと思うんだけど、昔はちゃんとしてたんだなあ。なんでこうなった・・・

2024-11-08

知り合いに全然貯金していないと嘘をつかれた

信じていた親友言葉

高校時代から親友という存在自分のことも、相手のこともすべて知っている…そう信じていました。久しぶりに会って、何気なく貯金の話になったとき、彼は笑いながら「貯金なんて全然ないよ。将来は野垂れ死にかもな」と言いました。その言葉に一瞬胸が痛むほど驚き、そして心配になりました。あんなに真面目で努力家だった彼が、まさか本当に「野垂れ死に」を覚悟しているなんて思いもよらなかったのです。

親が見抜いた“嘘”

親友言葉が頭に残り、家に帰ってから母にこのことを話しました。「彼、貯金がまったくないって言うんだよ。将来が心配だ」と話すと、母は少し笑いながら「そんなわけないでしょ。彼はしっかりしてる子なんだから」と言うんです。その言葉が妙に引っかかり、今まで抱えていなかった疑いが胸に広がっていきました。もしや、彼は嘘をついていたのかもしれない…。

調べてわかった真実

彼の言葉を信じたい気持ちと、どうしても納得できない疑念との間で揺れながらも、ついに親友内緒で少し調べてみることにしました。共通の知人に聞いてみたところ、親友は実はしっかり貯蓄していて、将来に備えて堅実にやっているという情報が入ってきました。貯金が全くないどころか、自分よりもずっと計画的に生きている彼の姿を知り、心にぽっかりと穴が空いたようでした。どうして、自分にだけそんな嘘をついたのでしょうか。

終わりに

34歳年収700万の貧困弱者男性として、貯金は3000万しかない自分にとって、親友の「野垂れ死に発言人ごとではありませんでした。それなのに、自分親友を少し見下していたことに気づき、胸が苦しくなります親友だと信じていた相手が、嘘をついていたなんて、裏切りと感じるのは自分勝手でしょうか。確かに、僕も少し見栄を張って嘘をついたことがありましたが、それでも、彼が僕にだけ嘘をついていたのがどうしても許せないのです。信じていた友が遠ざかっていく虚しさが、今も心に重くのしかかっています

2024-11-07

創造破壊による経済的敗者

生成AIの登場で、イラストレーターの友人が苦しんでいる。

彼は数年前に「自分の絵で食べていくんだ!」と意気込んで、サラリーマン生活を捨て、好きだったイラストに全てを賭けて独立した。

もともと真面目で、地道に絵を描き続けていたけど、子供もできて家計も大変だったはず。

そんな彼が人生をかけて打ち込んできたイラスト世界が、いままさに生成AIという波に呑まれつつある。

AIの台頭によって、彼の仕事が厳しい状況に追い込まれているのを、間近で見てきた。

最初は「AI(笑)」ぐらいの態度だったんだけど、いつの間にかその態度は影を潜め、最近AI話題に触れること自体地雷になってしまった。

以前、何気なくAIイラストのことを話題に出したら、彼は怒りで顔を真っ赤にして、ほぼ半狂乱になって「あんなのは絵じゃない!」と叫んで、暴れ出したとがある。

それ以来、彼の前では生成AI話題NGだ。

先日、彼の家を久しぶりに訪ねた。

部屋の隅には空の缶(発泡酒)が山積みになり、生活の苦労がそのまま形になっている感じだった。

彼の奥さんも目が合うと気まずそうに微笑みを返してくれるけど、その表情には、少し疲れたものが滲んでいた。

お互いに黙りがちな空気が重苦しくて、どうも居心地が悪い。

彼は家族を養うために頑張ってきた。でも、好きなイラスト仕事が徐々に少なくなっていることに対する不安と、将来に対する焦りが入り混じっているんだろう。

彼の夢は生成AIという存在の前に、徐々に壊されつつある。

彼にとって、生成AIはただの技術革新以上の脅威で、イラスト業界の敗者として取り残されていく感覚が耐え難いものなのだろう。

何かできることがあればと思うけど、こんな状況で何かを口にすることも難しく、ただ見守るしかない自分の無力さを痛感してしまう。

2024-11-03

「女がトイレ行くのは奢られ待ち」みたいなの教えてほしい

今日帰ってきて部屋着に着替えようとしたらところで、首の後ろのボタンを留め忘れてたことに気付いた。

そしてふとタイトルの件を思い出し、もし「女が首の後ろのボタンを開けていたら誘い待ち」みたいな暗黙の了解があったら、とんだ痴女じゃんと思ってしまった。

会計の前に女がトイレに行くのは奢られ待ち」ってのも知らんかったし、性別性差が関わる暗黙の了解もっと知りたい。

知らん間に巻き込まれたら敵わん。

「魔導具師ダリヤうつむかない」で主人公何気なく発した表現が実は貴族言い回しでは……むたいなシーン何度かあったけど、それみたいだ

2024-11-02

遊戯王やってるって人、覚えるのは得意だけど公式批判されるの嫌いらしいね

ちょっと前に遊んでいた人が遊戯王に詳しかったんだけど、その縁で俺も数年ぶりにやったのね

エクシーズデッキだった

そんでその詳しい人って攻略wikiとか公式裁定ってのを滅茶苦茶暗記しているらしく、とにかく「ここはこういう処理をして、この動きだとすぐ相手にアド取られるからやめたほうがいい」みたいにアドバイスしてくれるんだ

それはいいんだよ

ただ、一度だけ滅茶苦茶怒らせたことがあってさ

俺が「このチェーンってよくあるけどさ、なんでこんなヘンテコなルールなの?」って何気なく聞いたんだ

それで色々サイト漁って教えてくれるけど、こっちはそういうルールがどうしてあるんだろうって2回くらいいったんだよ

そしたらいきなり、いきなりだよ

デッキを近くのシンクに投げ捨てて「お前は二度とやるな」って騒ぎだしたんだ

なんか俺それから冷めちゃんたんだよね

別に遊戯王嫌いなわけじゃないし、むしろルールが色々あって覚えるの面白そうだなって考えていたからさ

あとになって別の人に聞いたら「YP(遊戯王プレイヤーのこと)は公式裁定理由があるなんて思ってない」

ルールは一応あるけど基本的に全部後付けご都合主義から考えるだけ無駄

「次々にカード裁定が出てくるから覚えるだけでも一苦労だし、真面目にルール勉強してる人なんていない」

「怒らせたのはその人が単なる暗記魔で意味を深く考えていなかったからだろうね」

「(よい言い方をすれば)理由もわから公式仕様を受け入れる信者

的なことを言われた

なんとなく符合した

公式を受け入れられないなら辞めちまえ的なことも言ってた気がするよ、なんだかんだいって公式が言ったことに従ってるだけなのかも

そんでそれに疑問を持っちゃいけないのかも

遊戯王は大変だね

2024-11-01

虫の話注意

具体的には言わないけど、エアコンのドレンホースの防虫キャップ入れ替えてるとき何気なく古い方(入れ替え前の方)のホース見たらまじで防虫キャップつけておいてよかった事案が発生してた

この夏、アパートの1階なのに家で虫をほぼ見なかったのは防虫キャップのお陰だったのか...一生愛用します。

2024-10-26

anond:20241026215031

ハロウィンが近づくと、どうしてもあの夜のことを思い出してしまうんだ。静かな秋の夜に、ふと胸の奥にあの日空気が蘇る。

すべての始まりは、今の嫁との出会いだった。大学ハロウィンパーティーで、何気なくその場にいた俺は、浮かれた気持ち仮装している周りの学生たちに少し距離を置いていたんだ。ただ、友達に誘われて参加しただけで、特に期待もしていなかった。

しかし、その時——あの瞬間、俺の目に彼女が映り込んできた。彼女は黒いドレスに包まれ吸血鬼のような装いをしていた。夜の闇に浮かび上がる彼女は、まるで森の中に迷い込んだ魔女のようで、静かで強い光を放っていた。彼女の肌は白く、赤い唇が闇に映える姿は、何かこの世のものでないものを感じさせたんだ。秋の風が彼女の髪を揺らし、そのたびにまるで小さな木の葉たちが囁きあうような音が聞こえる気がした。

心臓が強く高鳴り、足が勝手彼女へ向かっていた。俺が彼女の前に立つと、彼女ゆっくりと振り向き、目を細めて微笑んだ。その瞬間、彼女はただの人間ではない、まるで精霊のように思えた。俺は気がつくと跪き、言葉自然に口をついて出たんだ。

眷属にしてください…」

その瞬間だった。

「オラもまぜて〜!」という大きな声が響いたかと思ったら、どこからともなくクレヨンしんちゃんが現れた。あの小さな坊主が、ニヤニヤしながら俺と彼女の間に割り込んできたのだ。

「おいおい、何してるゾ〜?眷属って何だゾ?かっこつけすぎじゃないか〜?」しんちゃんはそう言いながら、勝手彼女ドレスの裾をいじり始めた。

俺はあまりのことに呆然としてしまったが、しんちゃんさら調子に乗り、「ねぇねぇ、お姉さん、オラもその眷属ってやつにしてくれない?」と彼女に向かってお願いし始めた。

彼女は、最初は驚きつつも苦笑いし、しんちゃんに何かを言おうとしたが、その間にしんちゃんは「ねぇ、眷属って具体的に何するの?」とズバズバ質問を浴びせ始めた。

「えーと…それは…」と彼女が答えようとした瞬間、しんちゃんはお尻を突き出して、「じゃあ、オラの眷属ダンスを見てくれ〜!」と勝手に踊り始めた。

その光景に会場全体が爆笑の渦に包まれロマンチックだったはずの夜が一気にバラエティ番組のようなカオスな状況に。彼女も俺も、もう笑いをこらえることができず、しんちゃんに巻き込まれる形でその場に崩れ落ちた。

そう、あの日ハロウィンは、感動の夜になるはずが、いつの間にかしんちゃんによって台無しにされてしまったのだ。それでも、あの出来事きっかけで彼女とは結ばれた。だから今では、しんちゃんの「乱入劇」も含めて、俺にとってかけがえのない思い出になっているんだ。

2024-10-21

アプリ惨敗女だけど婚約した

元彼を忘れられずアプリに打ち込むことはや3年

遂に婚約した、自分でも今だに信じられないが。

そこでブス女なりに気づいた事を話したいと思う

28歳一生一重のそこら辺にいるただの人間である

1 とにかく素を出す

当たり前だが取り繕うと続かない

メッセージでも会った時も自然体でいるのが一番

そりゃ多少見た目は綺麗にはしていくが

見た目で刺さるような人間ではない事は痛いほどわかっているので、個性で売るしかない、というか自分個性が刺さる人を見つけるしかない

意外と何気なくした話で盛り上がったりするぜ!

盛り上がらなければ縁がなかっただけ、諦めよう

2 話は(つまらなくても)楽しそうに聞こう

全てにおいて自信がない私だが、喜怒哀楽感情表現笑顔だけには定評がある(気がする)

盛り上がるかどうかは、楽しそうに話を聞けるかにかかっているといっても過言ではない

とりあえず最初は楽しそうにしとこう!相手も緊張している場合が大半なんだから初っ端から面白い話なんてできるわけないのだ

お互い歩み寄ろうとしないと共通点も見つから

3 ストライクゾーン(外見・性格)を広げよう

175cmいや180cmがいいとほざいていた私だが

結局身長が高いとモテるのでやめといた方がいい

外見も性格も「嫌じゃない」が一番だと思う

私の中での決め手は「気になる所がない」こと

あとは「素を出して相手が受け入れてくれるか」

この2つが長く一緒にいられるかの基準だと思う

ちなみにイケメン最初すっごく楽しいけど

よく見られたくて取り繕って疲れて重くなって

何一ついいことないよ!!!多分ね(適当

学生時代70キロ彼氏が出来ないことで友達まで失い街中を歩くカップルは目で殺してた私でもなんとか大丈夫だったのでこの世は全員大丈夫絶対

婚活苦しいけどとにかく素でいけば刺さる人間が必ずいるから数打ちゃ当たるで気楽に行こうぜ!

以上この世のクズからでした(雑)

2024-10-20

幼いなと思う人の特徴。

過去自分言動反省して人に話すことができない。

あの頃はあんなこと言って馬鹿だったな恥ずかしかったな、みたいな会話ができない。バツが悪くなるとスルーしたり歴史改変何気なくする。

若い頃は若さゆえと思ってたけど、いい年してこれはなぁ…

2024-10-01

竹の割りばしの手にもつほうで何気なく掃除をした

湿ってるタイプから耳垢とれねえんだよな

カサカサタイプがうらやましいわ

くっさ

[]

テイルズ系に飽きたっつか一通りカタログプレイできるのやり終わったのと、

その次のサイコブレイクのつまらなさにゲンナリしてゲーム自体ちょっと嫌になりかけてたけど

ノーモアヒーローズ3を何気なく始めたら気楽に楽しめてよかった

もちろんダメなとこもあるけどサクサクできていい

2024-09-30

縁切った友達とめちゃくちゃ遭遇する

前にちょっと色々恋愛沙汰のゴタゴタの結果、最終的に縁切った友達がいるんだけど、共通の友人を介してめちゃくちゃ見かける。

どちらかといえば私が悪いんで加害者として関わらないようにしてるんだけど、さぎょわとかにそいつがいるとそこに入れないのが何気なくつらい。共有の友人とは私はめちゃくちゃ仲良くて、結構絡みたいんだけどそいつがいるとあんま関われなくて結構ストレス

こういう時どうするべきかな...個人的には仲直りしたいんだけど相手絶対そんなつもりなくてウケてる。

 三四郎はじっとその横顔をながめていたが、突然コップにある葡萄酒を飲み干して、表へ飛び出した。そうして図書館に帰った。  その日は葡萄酒の景気と、一種精神作用とで、例になくおもしろ勉強ができたので、三四郎は大いにうれしく思った。二時間ほど読書三昧に入ったのち、ようやく気がついて、そろそろ帰るしたくをしながら、いっしょに借りた書物のうち、まだあけてみなかった最後の一冊を何気なく引っぺがしてみると、本の見返しのあいた所に、乱暴にも、鉛筆でいっぱい何か書いてある。 「ヘーゲルベルリン大学哲学を講じたる時、ヘーゲルに毫も哲学を売るの意なし。彼の講義は真を説くの講義にあらず、真を体せる人の講義なり。舌の講義にあらず、心の講義なり。真と人と合して醇化一致せる時、その説くところ、言うところは、講義のための講義にあらずして、道のための講義となる。哲学講義はここに至ってはじめて聞くべし。いたずらに真を舌頭に転ずるものは、死したる墨をもって、死したる紙の上に、むなしき筆記を残すにすぎず。なんの意義かこれあらん。……余今試験のため、すなわちパンのために、恨みをのみ涙をのんでこの書を読む。岑々たる頭をおさえて未来永劫に試験制度呪詛することを記憶せよ」  とある署名はむろんない。三四郎は覚えず微笑した。けれどもどこか啓発されたような気がした。哲学ばかりじゃない、文学もこのとおりだろうと考えながら、ページをはぐると、まだある。「ヘーゲルの……」よほどヘーゲルの好きな男とみえる。 「ヘーゲル講義を聞かんとして、四方よりベルリンに集まれ学生は、この講義を衣食の資に利用せんとの野心をもって集まれるにあらず。ただ哲人ヘーゲルなるものありて、講壇の上に、無上普遍の真を伝うると聞いて、向上求道の念に切なるがため、壇下に、わが不穏底の疑義解釈せんと欲したる清浄心の発現にほかならず。このゆえに彼らはヘーゲルを聞いて、彼らの未来を決定しえたり。自己運命を改造しえたり。のっぺらぼうに講義を聞いて、のっぺらぼうに卒業し去る公ら日本大学生と同じ事と思うは、天下の己惚れなり。公らはタイプライターにすぎず。しかも欲張ったるタイプライターなり。公らのなすところ、思うところ、言うところ、ついに切実なる社会の活気運に関せず。死に至るまでのっぺらぼうなるかな。死に至るまでのっぺらぼうなるかな」  と、のっぺらぼうを二へん繰り返している。三四郎は黙然として考え込んでいた。すると、うしろからちょいと肩をたたいた者がある。例の与次郎であった。与次郎図書館で見かけるのは珍しい。彼は講義はだめだが、図書館は大切だと主張する男である。けれども主張どおりにはいることも少ない男である。 「おい、野々宮宗八さんが、君を捜していた」と言う。与次郎が野々宮君を知ろうとは思いがけなかったから、念のため理科大学の野々宮さんかと聞き直すと、うんという答を得た。さっそく本を置いて入口新聞を閲覧する所まで出て行ったが、野々宮君がいない。玄関まで出てみたがやっぱりいない。石段を降りて、首を延ばしてその辺を見回したが影も形も見えない。やむを得ず引き返した。もとの席へ来てみると、与次郎が、例のヘーゲル論をさして、小さな声で、 「だいぶ振ってる。昔の卒業生に違いない。昔のやつは乱暴だが、どこかおもしろいところがある。実際このとおりだ」とにやにやしている。だいぶ気に入ったらしい。三四郎は 「野々宮さんはおらんぜ」と言う。 「さっき入口にいたがな」 「何か用があるようだったか」 「あるようでもあった」  二人はいっしょに図書館を出た。その時与次郎が話した。――野々宮君は自分の寄寓している広田先生の、もとの弟子でよく来る。たいへんな学問好きで、研究もだいぶある。その道の人なら、西洋人でもみんな野々宮君の名を知っている。  三四郎はまた、野々宮君の先生で、昔正門内で馬に苦しめられた人の話を思い出して、あるいはそれが広田先生ではなかろうかと考えだした。与次郎にその事を話すと、与次郎は、ことによると、うちの先生だ、そんなことをやりかねない人だと言って笑っていた。  その翌日はちょうど日曜なので、学校では野々宮君に会うわけにゆかない。しかしきのう自分を捜していたことが気がかりになる。さいわいまだ新宅を訪問したことがないから、こっちから行って用事を聞いてきようという気になった。  思い立ったのは朝であったが、新聞を読んでぐずぐずしているうちに昼になる。昼飯を食べたから、出かけようとすると、久しぶりに熊本出の友人が来る。ようやくそれを帰したのはかれこれ四時過ぎである。ちとおそくなったが、予定のとおり出た。  野々宮の家はすこぶる遠い。四、五日前大久保へ越した。しか電車を利用すれば、すぐに行かれる。なんでも停車場の近辺と聞いているから、捜すに不便はない。実をいうと三四郎はかの平野家行き以来とんだ失敗をしている。神田高等商業学校へ行くつもりで、本郷四丁目から乗ったところが、乗り越して九段まで来て、ついでに飯田橋まで持ってゆかれて、そこでようやく外濠線へ乗り換えて、御茶の水から神田橋へ出て、まだ悟らずに鎌倉河岸数寄屋橋の方へ向いて急いで行ったことがある。それより以来電車はとかくぶっそうな感じがしてならないのだが、甲武線は一筋だと、かねて聞いているか安心して乗った。  大久保停車場を降りて、仲百人の通りを戸山学校の方へ行かずに、踏切からすぐ横へ折れると、ほとんど三尺ばかりの細い道になる。それを爪先上がりにだらだらと上がると、まばらな孟宗藪がある。その藪の手前と先に一軒ずつ人が住んでいる。野々宮の家はその手前の分であった。小さな門が道の向きにまるで関係のないような位置に筋かいに立っていた。はいると、家がまた見当違いの所にあった。門も入口もまったくあとからつけたものらしい。  台所のわきにりっぱな生垣があって、庭の方にはかえって仕切りもなんにもない。ただ大きな萩が人の背より高く延びて、座敷の椽側を少し隠しているばかりである。野々宮君はこの椽側に椅子を持ち出して、それへ腰を掛けて西洋雑誌を読んでいた。三四郎はいって来たのを見て、 「こっちへ」と言った。まるで理科大学の穴倉の中と同じ挨拶である。庭からはいるべきのか、玄関から回るべきのか、三四郎は少しく躊躇していた。するとまた 「こっちへ」と催促するので、思い切って庭から上がることにした。座敷はすなわち書斎で、広さは八畳で、わりあい西洋書物がたくさんある。野々宮君は椅子を離れてすわった。三四郎は閑静な所だとか、わりあいに御茶の水まで早く出られるとか、望遠鏡試験はどうなりましたとか、――締まりのない当座の話をやったあと、 「きのう私を捜しておいでだったそうですが、何か御用ですか」と聞いた。すると野々宮君は、少し気の毒そうな顔をして、 「なにじつはなんでもないですよ」と言った。三四郎はただ「はあ」と言った。 「それでわざわざ来てくれたんですか」 「なに、そういうわけでもありません」 「じつはお国のおっかさんがね、せがれがいろいろお世話になるからと言って、結構ものを送ってくださったから、ちょっとあなたにもお礼を言おうと思って……」 「はあ、そうですか。何か送ってきましたか」 「ええ赤い魚の粕漬なんですがね」 「じゃひめいちでしょう」  三四郎はつまらものを送ったものだと思った。しかし野々宮君はかのひめいちについていろいろな事を質問した。三四郎特に食う時の心得を説明した。粕ごと焼いて、いざ皿へうつすという時に、粕を取らないと味が抜けると言って教えてやった。  二人がひめいちについて問答をしているうちに、日が暮れた。三四郎はもう帰ろうと思って挨拶しかけるところへ、どこから電報が来た。野々宮君は封を切って、電報を読んだが、口のうちで、「困ったな」と言った。  三四郎はすましているわけにもゆかず、といってむやみに立ち入った事を聞く気にもならなかったので、ただ、 「何かできましたか」と棒のように聞いた。すると野々宮君は、 「なにたいしたことでもないのです」と言って、手に持った電報を、三四郎に見せてくれた。すぐ来てくれとある。 「どこかへおいでになるのですか」 「ええ、妹がこのあいから病気をして、大学病院はいっているんですが、そいつがすぐ来てくれと言うんです」といっこう騒ぐ気色もない。三四郎のほうはかえって驚いた。野々宮君の妹と、妹の病気と、大学病院をいっしょにまとめて、それに池の周囲で会った女を加えて、それを一どきにかき回して、驚いている。 「じゃ、よほどお悪いんですな」 「なにそうじゃないんでしょう。じつは母が看病に行ってるんですが、――もし病気のためなら、電車へ乗って駆けて来たほうが早いわけですからね。――なに妹のいたずらでしょう。ばかだから、よくこんなまねをします。ここへ越してからまだ一ぺんも行かないものから、きょうの日曜には来ると思って待ってでもいたのでしょう、それで」と言って首を横に曲げて考えた。 「しかしおいでになったほうがいいでしょう。もし悪いといけません」 「さよう。四、五日行かないうちにそう急に変るわけもなさそうですが、まあ行ってみるか」 「おいでになるにしくはないでしょう」  野々宮は行くことにした。行くときめたについては、三四郎に頼みがあると言いだした。万一病気のための電報とすると、今夜は帰れない。すると留守が下女一人になる。下女が非常に臆病で、近所がことのほかぶっそうである。来合わせたのがちょうど幸いだから、あすの課業にさしつかえがなければ泊ってくれまいかもっともただの電報ならばすぐ帰ってくる。まえからわかっていれば、例の佐々木でも頼むはずだったが、今からではとても間に合わない。たった一晩のことではあるし、病院へ泊るか、泊らないか、まだわからないさきから関係もない人に、迷惑をかけるのはわがまますぎて、しいてとは言いかねるが、――むろん野々宮はこう流暢には頼まなかったが、相手三四郎が、そう流暢に頼まれ必要のない男だから、すぐ承知してしまった。  下女御飯はというのを、「食わない」と言ったまま、三四郎に「失敬だが、君一人で、あとで食ってください」と夕飯まで置き去りにして、出ていった。行ったと思ったら暗い萩の間から大きな声を出して、 「ぼくの書斎にある本はなんでも読んでいいです。別におもしろものもないが、何か御覧なさい。小説も少しはある」  と言ったまま消えてなくなった。椽側まで見送って三四郎が礼を述べた時は、三坪ほどな孟宗藪の竹が、まばらなだけに一本ずつまだ見えた。  まもなく三四郎は八畳敷の書斎のまん中で小さい膳を控えて、晩飯を食った。膳の上を見ると、主人の言葉にたがわず、かのひめいちがついている。久しぶりで故郷の香をかいだようでうれしかったが、飯はそのわりにうまくなかった。お給仕に出た下女の顔を見ると、これも主人の言ったとおり、臆病にできた目鼻であった。  飯が済むと下女台所へ下がる。三四郎は一人になる。一人になっておちつくと、野々宮君の妹の事が急に心配になってきた。危篤なような気がする。野々宮君の駆けつけ方がおそいような気がする。そうして妹がこのあいだ見た女のような気がしてたまらない。三四郎はもう一ぺん、女の顔つきと目つきと、服装とを、あの時あのままに、繰り返して、それを病院の寝台の上に乗せて、そのそばに野々宮君を立たして、二、三の会話をさせたが、兄ではもの足らないので、いつのまにか、自分代理になって、いろいろ親切に介抱していた。ところへ汽車がごうと鳴って孟宗藪のすぐ下を通った。根太のぐあいか、土質のせいか座敷が少し震えるようである。  三四郎は看病をやめて、座敷を見回した。いかさま古い建物と思われて、柱に寂がある。その代り唐紙の立てつけが悪い。天井はまっ黒だ。ランプばかりが当世に光っている。野々宮君のような新式の学者が、もの好きにこんな家を借りて、封建時代の孟宗藪を見て暮らすのと同格であるもの好きならば当人随意だが、もし必要にせまられて、郊外にみずからを放逐したとすると、はなはだ気の毒である。聞くところによると、あれだけの学者で、月にたった五十五円しか大学からもらっていないそうだ。だからやむをえず私立学校へ教えにゆくのだろう。それで妹に入院されてはたまるまい。大久保へ越したのも、あるいはそんな経済上のつごうかもしれない。……  宵の口ではあるが、場所場所だけにしんとしている。庭の先で虫の音がする。ひとりですわっていると、さみしい秋の初めである。その時遠い所でだれか、 「ああああ、もう少しの間だ」  と言う声がした。方角は家の裏手のようにも思えるが、遠いのでしっかりとはわからなかった。また方角を聞き分ける暇もないうちに済んでしまった。けれども三四郎の耳には明らかにこの一句が、すべてに捨てられた人の、すべてから返事を予期しない、真実独白と聞こえた。三四郎は気味が悪くなった。ところへまた汽車が遠くから響いて来た。その音が次第に近づいて孟宗藪の下を通る時には、前の列車よりも倍も高い音を立てて過ぎ去った。座敷の微震がやむまでは茫然としていた三四郎は、石火のごとく、さっきの嘆声と今の列車の響きとを、一種因果で結びつけた。そうして、ぎくんと飛び上がった。その因果は恐るべきものである。  三四郎はこの時じっと座に着いていることのきわめて困難なのを発見した。背筋から足の裏までが疑惧の刺激でむずむずする。立って便所に行った。窓から外をのぞくと、一面の星月夜で、土手下の汽車道は死んだように静かである。それでも竹格子のあいから鼻を出すくらいにして、暗い所をながめていた。  すると停車場の方から提灯をつけた男がレールの上を伝ってこっちへ来る。話し声で判じると三、四人らしい。提灯の影は踏切から土手下へ隠れて、孟宗藪の下を通る時は、話し声だけになった。けれども、その言葉は手に取るように聞こえた。 「もう少し先だ」  足音は向こうへ遠のいて行く。三四郎は庭先へ回って下駄を突っ掛けたまま孟宗藪の所から、一間余の土手を這い降りて、提灯のあとを追っかけて行った。  五、六間行くか行かないうちに、また一人土手から飛び降りた者がある。―― 「轢死じゃないですか」  三四郎は何か答えようとしたが、ちょっと声が出なかった。そのうち黒い男は行き過ぎた。これは野々宮君の奥に住んでいる家の主人だろうと、後をつけながら考えた。半町ほどくると提灯が留まっている。人も留まっている。人は灯をかざしたまま黙っている。三四郎は無言で灯の下を見た。下には死骸が半分ある。汽車は右の肩から乳の下を腰の上までみごとに引きちぎって、斜掛けの胴を置き去りにして行ったのである。顔は無傷である若い女だ。  三四郎はその時の心持ちをいまだに覚えている。すぐ帰ろうとして、踵をめぐらしかけたが、足がすくんでほとんど動けなかった。土手を這い上がって、座敷へもどったら、動悸が打ち出した。水をもらおうと思って、下女を呼ぶと、下女はさいわいになんにも知らないらしい。しばらくすると、奥の家で、なんだか騒ぎ出した。三四郎は主人が帰ったんだなと覚った。やがて土手の下ががやがやする。それが済むとまた静かになる。ほとんど堪え難いほどの静かさであった。  三四郎の目の前には、ありありとさっきの女の顔が見える。その顔と「ああああ……」と言った力のない声と、その二つの奥に潜んでおるべきはずの無残な運命とを、継ぎ合わして考えてみると、人生という丈夫そうな命の根が、知らぬまに、ゆるんで、いつでも暗闇へ浮き出してゆきそうに思われる。三四郎は欲も得もいらないほどこわかった。ただごうという一瞬間である。そのまえまではたしかに生きていたに違いない。

anond:20240930173941

2024-09-27

anond:20240927105033

何気なく言ったつもりのことでも相手はずっと覚えてるよ

ずっと覚えてるから

2024-09-22

[]こわ・・・

あたまボーズにしてんだけどさっき何気なくあたまのてっぺんさわったらなんかひっかかりを感じた

おっ1週間シャワーあびてないフケのカタマリか?w

でも食器用洗剤で金曜に洗ったヨナと思いつつ取ってみたら、カサブタだった・・・

しかも数ミリとかじゃなくて5cmくらいにわたって細長いカサブタができてる・・・

えっ別に頭ぶつけたりした記憶ないけど・・・でも結構カサブタもできてるし痛みと出血そこそこあったんじゃねーのこれって感じ

こうやって知らない傷とか病気自分死ぬんだろうな 

でもまあ過敏より鈍くていつのまにかぽっくり死ぬ方がいいちゃいいか

2024-09-19

anond:20240913011757

繊細さんの行動原理を読んで、とある職場の同僚についての理解が少しできた。

きっと彼女もこうした行動原理があったのだろうと思った。

 

公平性を踏み越えてでも自分不快排除しようとする。

>繊細さんは自らが弱者であるという強い信念を持っている。

とあるトラブルで話し合いの際、他のチームメンバー見解に対し「自分はそう思わない、私はこう思う。逆の立場になって考えてみたら同じように思うのか」と言っていた。

チームメンバーとは入社歴も待遇も同じで、立場による差はない。

自身相手見解同意しないのは自由であるが、自身の主張は相手理解を求める。

事あるごとに傷付き、すごく辛くて、もう嫌なのだと言う。

彼女けが状況が特別悪いということはない。

なぜなのかと思ったが、“自身弱者である”という認識が強いのだと考えると、腑に落ちたところがあった。

配慮されることは特別扱いなのではなく、生存のための大前提なのだ

>だから常に配慮されている「べき」で、それが無いということは加害されているのと同義である

彼女にとって、何もしないということは加害と一緒なのだ。とんでもないな。

 

生存のための武器として、態度や間接的な言葉他人コントロールする術に長けている。

>罪の意識も無ければ、相手自由を奪っているということに気付くこともない。

彼女は「自分は人より出来る」「人の相談を受け、感謝されている」というような話を自ら伝えてくる。

事実、話しの中で矛盾が大いにあるが、彼女はおしゃべりで弁が立つ方だと思う。

その思考平等観点なら良いのだが、突き詰めると自身の主張を通すことが主題であったりする。

共同業務の中で効率的なやり方を提案した際、彼女ポリシーとは違ったようで、威圧的言動提案内容を詰めて来た。

別に提案しただけなので、彼女のやりたいようにして良いと思い身を引いたが、「私に理解できるように説明して、言ってくれれば良い」と大声で返してきた。

これは彼女とまだ知り合って間もなかった時であったので、私は萎縮してしまった。

結局私の提案は無かったことにして、彼女リーダー作業を終えたが、彼女は嫌な思いをしたようだった。

彼女人一倍できると豪語しており、私はまだ経験が浅かったので彼女を立てたのだが、どうするのが円滑であったのか分からなかった。何気なく提案してしまった自身言動を後悔した。

私自身、彼女に聞かれたことを教えたり、教える際も私も横で実践しながら親身にしていたのだが、こういった積み重ねというか、彼女は持ちつもたれつの考えが無いように思えた。

罪の意識相手自由を奪っていることも気付かないという認識ならば、理解できる。

 

>我々はもうすでに、あの人が恐ろしくなっている。

コミュニティに繊細さんが入ってきたとき自分が善人でいたいなら、そのコミュニティのことは諦めろ。

恐ろしく感じる感覚同意する。

私は現在もう彼女に完全に嫌われているので詰んだのだが、職場の同僚であるため、完全に関係を断てない。

過去チームメンバー間でトラブルがあり、その際に上司彼女特性について認識している。

一度お互いが円滑に仕事をするため、上司含む同僚全員と話しをする場を設けようとしたが、彼女は固辞した。するならば私抜きでと。

そのため、彼女気持ちが落ち着くまで一旦話し合いの場は延期になったが、その場がいつになるのかは未定である

 

彼女と一緒に居ると大変ストレスを感じる。彼女も居心地は良くないと思うのだが、仕事を辞めたくはないらしい。この職場はもう終わりだ。

2024-09-07

レジが混んでいた

商店街一角にあるスーパーセルフレジがなく、レジの数自体が少ないのですぐに渋滞になってしまう。

増田も列に並ぶとなかなか進まず、まあ仕方ないかなと思って待っていると後ろに一人加わった。

何気なくチラッと振り返ると後ろには綺麗な女性がいた。歳は二十代半ばほどだろうか。白いシャツタイトな黒のミニスカート。すらりと白くて長い脚が目に入った。

そしてカゴの中にスーパーカップがあるのを目にすると、俺は思い切って声をかけた。

「あ、あの!もしよかったら先にどうぞ!」

女性最初「えっ?」と困惑した表情を見せた。

しかしすぐに続けて「アイスあるから…先にどうぞ」と言うと彼女自分のカゴを見て「ああ」と納得した。

それから順番を譲り、「ありがとうございます」という笑みと共に感謝された。

最近また暑くなってきたけど、このときばかりは胸がほっこりしたよ。

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