『ラブホテル』

先号のキネマ旬報で成田尚哉プロデューサーの追悼記事が大きくページを割かれていました。
読んでみると金子修介監督や廣木隆一監督を世に送り出し、そのフィルモグラフィを眺めてると、
観ている作品がたくさんあったものの、
本当に恥ずかしながら成田プロデューサーのことはこの追悼記事で初めて知りました。
中でも劇画家だった石井隆先生を映画界に引きずりこんだ功績が大きいようで、
日活ロマンポルノの頃に代表作の『天使のはらわた』シリーズを続けてプロデュースして映画化、
そしていわゆる異業種監督がいなかった頃に周囲の反対を押し切って監督として石井隆を抜擢、
桂木麻也子、竹中直人主演『天使のはらわた 赤い眩暈』を完成、
高く評価されて以後、『死んでもいい』『ヌードの夜』『GONIN』と映画界にその名を刻んでいくことに。
キネ旬には石井隆監督渾身と言っていい読みごたえと感動的な追悼記事が掲載されていました。
ところで担当者が世代でなかったので、たくさん観てないとはいえ
一番好きな日活ロマンポルノが相米慎二監督、石井隆脚本の『ラブホテル』
無論、絡みがあって速水典子の裸体の眩しさと「あたしはね天使なんだよ」のセリフと
あの長回しの電話の独白が忘れられず、
未だにあの映画以上の男と女の“情愛”を描いた作品は世に出てないように思っています。
挿入歌が山口百恵の「夜へ」、エンディング曲がもんた&ブラザーズの「赤いアンブレラ」というセンスも特筆。
『ラブホテル』は成田尚哉プロデューサーは製作でなく企画としてクレジット。
実際はどうなのか知る由もありませんが、日活ロマンポルノで助監督として修業してた相米監督を当然、成田プロデューサーは知ってたと想像するので石井隆監督と引き合わせて完成したのが、かの『ラブホテル』なのかと今知ることとなりました。
そして日活ロマンポルノでは多くの作品に企画として世に出した成田プロデューサーの1作が『トルコ110番 悶絶くらげ』
主演の星野暁一さんはその後に東京を離れて殿町の居酒屋かちんこのご主人だった方。
残念ながら亡くなりましたが大杉漣さんとの交流といい、存命の頃にたくさん話を聞けばよかったと後悔ばかりだと。
たぶん『トルコ110番 悶絶くらげ』の脚本を書き、その後も成田プロデューサーの『海を感じる時』を手掛けた荒井先生編集長の「映画芸術」で特集が組まれるでしょうから、待ちたいと思います。
しかし最近、シネ・ウインドはティモシー・シャラメのオールナイトが盛況だったと聞きましたが、
石井隆監督の“村木と名美”オールナイトをやってたと思うと隔世の感が、
でも昨日書いた『全身小説家』の田中代表ほどではないかもしれませんが、
この時にヒリヒリしながら観た『ラブホテル』が映画の嗜好を決定づけた1作のように思い返してます。
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