想田和弘監督 『選挙』

現在、ちょうど参院選の真っただ中ということで8月23日 五藤利弘監督『美しすぎる議員』上映会も選挙がらみで関心があるんじゃないかと思ったりします。
選挙映画といえば真っ先に思い出すのが想田和弘監督の観察映画第一弾『選挙』
2007年作の本作は東京大学時代の監督のクラスメートだったという愛称“山さん”が小泉政権下、自由民主党から縁もゆかりもない川崎選挙区の市議会議員の補欠選挙に落下傘候補として参戦。
それを知った想田監督が選挙活動に密着というか観察しながら撮りあげた一作。
ここで伺えるのは政策よりも顔を売るため山さんが地元の運動会、老人会、神社のお祭りにくまなくまわり、ひたすら握手を求めていくという日本の選挙運動の象徴かもしれないドブ板選挙。
東大卒とはいえコイン商を営んでた自由人の山さんは政治については全くのど素人。
それが小泉総理の大ファンという理由だけで立候補の白矢の矢を立てられ理不尽な選挙運動に突入。
それも自民党一流の選挙戦を熟知した参謀の言うなりのまま完全に操り人形と化していくのを見て、これは極端な話、体力と理不尽な仕打ちに耐えられるメンタルがあれば当選してしまうマニュアルがあるんじゃないかと。
あっ、でも旦那さんをよほど理解したできた奥さんがいないとちょっとムリかもと。
それはさておきこの初監督作の頃はドキュメンタリー映画界の泡沫監督の一人ではと失礼に思ってた想田監督はその後に『精神』『演劇』など観察映画というジャンルを確立し、世界から括目されてる大きな存在に、併せてツイッターでは論客として特に現政権に対して厳しい視線を浴びせ、担当者も多大な影響を受けたりしてると白状しますが、思えばこの『選挙』では自由民主党から撮影許可を取り付けており、今となってはよくそんなことが出来たものだと。
おかげで自民党特有なのか、日本独自のドブ板選挙をなぞってるのか裏も表も手の内を晒しており、たぶん自民党側はテレビの密着ものに毛の生えた程度としか思わず撮影を許可したのだろうと思いますが、やってきたカメラマン兼ディレクターがまさかその後、気鋭のドキュメンタリー作家になり、自民党政治に批判のまなざしを送るとは思ってもみなかったハズで出来上がった作品を観た自民党関係者は苦く思ったのではないかと容易に想像できますが、それ以上に政策も何もアピールせぬまま、ただドブ板選挙をやりきった山さんの選挙結果を目にして、多くの人が何か割り切れないものを感じたハズです。
そこを観客に感じさせるだけで初監督作から想田監督は勝利したのではないかと。
現在、想田監督のツイッターは山本太郎率いるれいわ新選組に熱いまなざしを送っており、テレビしか見ない人の知名度は皆無のこのれいわ新選組がネットでは台風の目として猛威を振るってる、この落差も併せて想田監督は観察してるように思います。
想田和弘監督ツイッター https://twitter.com/KazuhiroSoda
ちなみに『美しすぎる議員』の川上ゆきえサマ扮する田中愛議員はテレビタレントという知名度を存分に生かして当選しながら、決して胡坐をかかずに当選したからにはなお一層、困ってる人たちに尽くそうと東奔西走する様は見てて大変頼もしく感じました。
そこへ映像チームが密着取材を試みますが、彼女を前にディレクター自身も大きな葛藤を抱えていきます。
よくよく思えば山さんに密着取材した想田監督のようなことをしてるんだなぁ、と気づきました。はたして『選挙』のような作品に仕上げることが出来るかは観てのお楽しみということで。
しかし自由民主党の憲法改憲草案を読むと自由も民主も押さえこもうとしてるようなんで、
まさしく朝鮮民主主義人民共和国が民主主義でも人民共和国でもないのとなんか共通するものが。
参院選は『選挙』を見て投票先を考えるのもご一考かと。
『選挙』公式HP http://www.laboratoryx.us/campaignjp/
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*『美しすぎる議員』長岡上映会日時 8月23日(金)①19時20分~
上映後、五藤利弘監督トーク
会場 アオーレ長岡市民交流ホールA
主催 長岡アジア映画祭実行委員会!
電話 09045204222 e-mail [email protected]
HP http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/
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