副題に「診療報酬と政治」とあるように、中医協における医療費の決まり方について解説した本。武見会長時代の日本医師会をリアルタイムで知らないものとしては、その力と方針を解説した部分は面白かったですし、最近、歯医者がやたら丁寧に歯の状態について説明する理由もわかりました(かかりつけ歯科という制度が導入されその診療報酬がたかくなったこと、そして一般の医師に比べて歯科は過当競争であることが理由)。
 ただ、日歯連事件の記述についてはやや焦点が絞れていないし(民主党の海江田万里とか江田五月にインタビューしてるけど、ほぼ無意味)、最後の今後の医療費のあり方についての筆者の考え方も具体的なデータがないのでいまいち説得力がない。混合診療とかについてはもうちょっと踏み込んだ分析が欲しかったです。

結城康博『医療の値段―診療報酬と政治』