山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

ここブログでは新書を10点満点で採点しています。

2005年11月

小島寛之『使える!確率的思考』(ちくま新書) 7点

 集英社新書の『サイバー経済学』が面白かった著者の本。『サイバー経済学』では、リスクの推定の仕方などがベイズ推定などの理論を使って分析されていたのですが、この本ではそのベイズ推定をはじめとする様々な確率による思考の方法が紹介されています。
 ベイズ推定をはじめとする確率の理論の紹介とともに、統計データの見方についての確率もあり、一種のデータ・リテラシーを学べる内容にもなっています。また、意志決定について興味がある人なんかにもお勧めです。

小島寛之『使える!確率的思考』

稲葉振一郎『「資本」論』(ちくま新書) 7点

 新書なんだけど、ヴォリュームたっぷり、というか北田暁大の『責任と正義』にあるような議論を新書でやろうとした、ある意味無謀な試み。社会契約論について論じた「所有」論から、「市場」論→「資本」論と進む議論は、新書なので(注)がつかず、(注)にまわすべき事柄が本文に埋め込まれていて文章としてはけっこう読みにくいですが、第4章の「人的資本」論は面白いです。
 労働者が、アガンベンが指摘する「剥き出しの生」として扱われないように、労働者を「労働力=人的資本」という財産を持つ財産主体として位置づける試みは説得力があり、アンングロサクソン的な資本主義がますます加速する中で、理論的な立脚点としては使えそうな気がします。
 だから新書ということを考えると、まず「剥き出しの生」に対抗するための「労働力=人的資本」論を早い段階で打ち出し、それを歴史的に肉付けした上で現代の社会状況においてみるほうが議論としてはわかりやすかったでしょう。新書としてはちょっと「教養」を詰め込み過ぎ。

稲葉振一郎『「資本」論』

滝川一廣『「こころ」の本質とは何か』(ちくま新書) 8点

 講義を本にまとめたものですが、中身は非常に濃い本だと思います。青年期の病理に詳しい精神科医の著者が統合失調症、精神遅滞、自閉症、不登校といった問題について述べたもので、特に統合失調症と自閉症についての記述は興味深いです。病気の現象面を丁寧に説明しながら、一般の人にも納得でき、なおかつきちんと考えられた病因論が語られています。
 「統合失調症とは何か?」ということを知りたい人にもいいと思います。

滝川一廣『「こころ」の本質とは何か』
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