以前、同じ著者の『強権と不安の超大国・ロシア』(光文社新書)を紹介し、「面白い」と書きましたが、あまり時期をおかずに再び新書が出されました。
『強権と不安の超大国・ロシア』はコーカサス(カフカス)を専門とする著者が、そのコーカサス諸国やそれ以外の場所に点在するに未承認国家の実態や自身の様々な経験をもとに、旧ソ連諸国の現在の様子とロシアの姿を描いた作品でしたが、この『コーカサス 国際関係の十字路』は著者の専門であるコーカサス3国(グルジア・アゼルバイジャン・アルメニア)とロシア内の北コーカサス(チェチェン・北オセチアなど)の現在の政治情勢を紹介した本。
記述は教科書的なので、読み物としては『強権と不安の超大国・ロシア』のほうが面白いですが、この本も非常に多面的かつわかりやすくこの地域の情勢が述べられていて非常に面白い。
国内に2つの未承認国家を抱え、ロシアの圧力に対抗するために欧米への接近を目指すグルジア。豊富な天然資源によって安定した支配を確立しようとするアゼルバイジャン。そして、国は貧しいものの各国にいるアルメニア移民のネットワークによって欧米諸国に大きな影響力を持つアルメニア。
これら複雑な事情を持つ3国の姿、そしてロシアや欧米、さらには国境を接するイランやトルコがどのようなスタンスでこれらの国々と向き合おうとしているかがわかります。
特にアルメニア人がディアスポラの民として、ユダヤ人的な地位を築きつつある現状には、想像以上のものがありました。
また、カスピ海を「海」とするか「湖」とするかという天然資源を背景にした問題も、日本のマスコミはあまり報じない問題で面白かったです。
コーカサスの情勢を知るために有益な本だと思いますし、また、先日紹介した常岡浩介『ロシア 語られない戦争』のバックグラウンド知る上でもいい本ですね。
コーカサス国際関係の十字路 (集英社新書 452A) (集英社新書 452A)
廣瀬 陽子

『強権と不安の超大国・ロシア』はコーカサス(カフカス)を専門とする著者が、そのコーカサス諸国やそれ以外の場所に点在するに未承認国家の実態や自身の様々な経験をもとに、旧ソ連諸国の現在の様子とロシアの姿を描いた作品でしたが、この『コーカサス 国際関係の十字路』は著者の専門であるコーカサス3国(グルジア・アゼルバイジャン・アルメニア)とロシア内の北コーカサス(チェチェン・北オセチアなど)の現在の政治情勢を紹介した本。
記述は教科書的なので、読み物としては『強権と不安の超大国・ロシア』のほうが面白いですが、この本も非常に多面的かつわかりやすくこの地域の情勢が述べられていて非常に面白い。
国内に2つの未承認国家を抱え、ロシアの圧力に対抗するために欧米への接近を目指すグルジア。豊富な天然資源によって安定した支配を確立しようとするアゼルバイジャン。そして、国は貧しいものの各国にいるアルメニア移民のネットワークによって欧米諸国に大きな影響力を持つアルメニア。
これら複雑な事情を持つ3国の姿、そしてロシアや欧米、さらには国境を接するイランやトルコがどのようなスタンスでこれらの国々と向き合おうとしているかがわかります。
特にアルメニア人がディアスポラの民として、ユダヤ人的な地位を築きつつある現状には、想像以上のものがありました。
また、カスピ海を「海」とするか「湖」とするかという天然資源を背景にした問題も、日本のマスコミはあまり報じない問題で面白かったです。
コーカサスの情勢を知るために有益な本だと思いますし、また、先日紹介した常岡浩介『ロシア 語られない戦争』のバックグラウンド知る上でもいい本ですね。
コーカサス国際関係の十字路 (集英社新書 452A) (集英社新書 452A)
廣瀬 陽子
