山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

ここブログでは新書を10点満点で採点しています。

2005年10月

佐藤卓己『八月十五日の神話』(ちくま新書) 9点

 終戦記念日といえば誰もが8月15日と答えるけれど、ポツダム宣言の受諾は8月14日、降伏文書の調印は9月2日。そんな中で、なぜ玉音放送のあった8月15日が特権化されたのかということを解き明かした本。
 玉音放送の時の写真やその当時の状況をノンフィクション的に解き明かす第1章から始まり、55年体制の成立とともに8月15日の「終戦記念日」がクローズアップされてきた歴史、そしてお盆との絡みや「八・一五革命」説の影響など、様々な観点から9月2日が忘れ去られ、8月15日がクローズアップされていく様が記述されています。ちょっと著者の強引な解釈がないわけではないけど、読んで面白く、、また考えさせられる本だと思います。

佐藤卓己『八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学 』

青木保『異文化理解』(岩波新書) 4点

 必要があって読んだ本だったのですが正直いまいちでした。だいたい文化人類学の本って、「境界」とか「儀礼」とかいう概念を持ち出すだけで、なんにも言っていないことが多いんだけど、この本もそれ。「ディアスポラ」とか、それっぽいキーワードが出てきますが、たいした中身はない。タイでの著者が実際にそうになったときの体験など、個々の例ではおもしろいものもあるのですが、理論的には物足りないですね。

青木保『異文化理解』

増田弘『自衛隊の誕生』(中公新書) 7点

 陸上・海上・航空の3自衛隊の成立について詳述した本。陸上自衛隊が完全にアメリカ主導で作られたのに対し、海上自衛隊がY委員会を中心とした旧日本海軍の人間が中心となって作られたということや、アメリカ側の度重なる兵員の増員要求に対して日本側がねばり強く抵抗している点など、一筋縄ではいかない自衛隊の成り立ちというのがわかります。特に日本側の抵抗はかなり頑強だったらしく、アメリカでは「日本政府に兵力増強を呑ませるには在日米軍の撤退しかない」という意見を言った人もいるそうです。
 また、もともと筆者がパージの問題の研究からこの問題に取り組んだこともあって、自衛隊の誕生とパージの問題の絡みもかいま見えて興味深いです。
 やや細かい数字が多く読みにくいところもありますが、戦後史を知る上でおもしろい本だと思います。
 
自衛隊の誕生―日本の再軍備とアメリカ
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通勤途中に新書を読んでいる社会科の教員です。
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