「食事」、「食卓」、「食材」をテーマにした西洋絵画に焦点を当て、その歴史を追った本なのですが、これがなかなか面白い!
パンやワインに象徴的意味をもたせるキリスト教文化の中で、いかに食事が描かれ、そこにいかなる意味がこめられていたのかという解説も面白いですし、そしてなによりもこの本で取り上げている食事風景の絵がどれも魅力的です。
著者自らも「B級グルメ」の人(なにせラーメン屋「二郎」にハマっていたとのことですから)のせいもあってか、ヴィンチェンツォ・カンピ「リコッタチーズを食べる人々」、アンニーバレ・カラッチ「豆を食べる男」など、本当に「食事」というものを見事に捉えた絵が紹介されています。
また、迫力のある構図のレンブラント「皮を剥がれた牛」、宗教的な静謐さをもつスルバランの静物画など、「食材」についての絵に関してもすばらしいものを数多く取り上げていると思います。
カラーの口絵も豊富で、絵の魅力が十分に伝わる造本になっていると思いますし、ダ・ヴィンチからウォーホールまで、「食べること」に焦点を絞りつつも、かなり見通しのよい美術史になっている点も魅力的です。
ちなみに著者は長年の暴飲暴食がたたり、この本の執筆中に入院。この本は「奇しくも私の食道楽時代の遺書のようなものとなっていしまった」ということです。
宮下規久朗『食べる西洋美術史 「最後の晩餐」から読む』
パンやワインに象徴的意味をもたせるキリスト教文化の中で、いかに食事が描かれ、そこにいかなる意味がこめられていたのかという解説も面白いですし、そしてなによりもこの本で取り上げている食事風景の絵がどれも魅力的です。
著者自らも「B級グルメ」の人(なにせラーメン屋「二郎」にハマっていたとのことですから)のせいもあってか、ヴィンチェンツォ・カンピ「リコッタチーズを食べる人々」、アンニーバレ・カラッチ「豆を食べる男」など、本当に「食事」というものを見事に捉えた絵が紹介されています。
また、迫力のある構図のレンブラント「皮を剥がれた牛」、宗教的な静謐さをもつスルバランの静物画など、「食材」についての絵に関してもすばらしいものを数多く取り上げていると思います。
カラーの口絵も豊富で、絵の魅力が十分に伝わる造本になっていると思いますし、ダ・ヴィンチからウォーホールまで、「食べること」に焦点を絞りつつも、かなり見通しのよい美術史になっている点も魅力的です。
ちなみに著者は長年の暴飲暴食がたたり、この本の執筆中に入院。この本は「奇しくも私の食道楽時代の遺書のようなものとなっていしまった」ということです。
宮下規久朗『食べる西洋美術史 「最後の晩餐」から読む』