山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

ここブログでは新書を10点満点で採点しています。

2005年07月

森真一『日本はなぜ諍いの多い国になったのか』(中公新書ラクレ) 9点

 『自己コントロールの檻』が非常に面白かった社会学者・森真一の本。内容は現代文化論で、マナーの問題からケータイ・コミュニケーション、キャラ的人間、荒れる成人式、ひきこもり、と現代の様々な現象が取り上げられています。
 この本の特徴は「動物化」とか「シニシズム」といった最近よく使われる分析用語を使っていない点で、世間の一般的な見方を懐疑しながら、比較的昔からある社会学の知見を使って現代の風潮を分析しています。
 全体的な分析もなかなか鋭いと思うのですが、この本の中で特筆すべきなのは第7章の”キレる「お客様」”の章。「『お客様』として生まれ、『お客様』として死ぬ」現代社会において、個人の欲望が「聖なる欲望」まで高められ、その「神聖な欲望」を傷つけられた「お客様」がキレる、という著者の仮説はなかなか説得力のあるもので、面白いです。他の部分を削っても、この章をもっと膨らましてほしかった気もしますが、それは次の著作に期待ということで。

 森真一『日本はなぜ諍いの多い国になったのか - 「マナー神経症」の時代』

高嶋克義『営業改革のビジョン』(光文社新書) 6点

 データベースの活用、チーム営業、プロセス管理などここ最近話題になっている営業改革の手法について、その利点と導入における問題点などを論じた本。失敗例などをふんだんに紹介していることで理論ばかりという面はないけど、事例をもう少し具体的に紹介してほしいです。あと、失敗例に注目することで営業改革を進める上での注意点というものは見えてくるけど、逆に営業改革の利点というものは若干わかりにくくなっている気がします
 高嶋克義『営業改革のビジョン 失敗例から導く成功へのカギ』
 

久米郁男『労働政治』(中公新書) 8点

 90年代前半の政治改革の時代には改革の中心勢力として脚光を浴びた労働組合の「連合」が、00年代に抵抗勢力のように位置づけられたのはなぜか?ということを分析した本。興味のない人は興味がないかもしれませんが、上に上げた疑問を少しでも感じたことがある人ならぜひ読むべき本です。労働組合と政党(特に自民党)との関係の変化、民間セクターと公共セクターの考えの違いなど、示唆にとんだ分析がなされています。第3部の戦後の労働組合史はやや細かすぎる気がしますが、第1部と2部だけでも十分読む価値があると言えるでしょう。
 久米郁男『労働政治ー戦後政治のなかの労働組合』
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名前:山下ゆ
通勤途中に新書を読んでいる社会科の教員です。
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