「21世紀はアジアの世紀」と言われる中で、これはぜひ読むべき本。
アジア地域における想像を超える高齢化と、そのアジアの奇跡的な経済成長を支えた「人口ボーナス」という現象について知ることができます。
韓国の日本を下回るような出生率、中国の一人っ子政策などから、韓国や中語で日本を上回るような高齢化社会が到来するのではないか?という考えはもっていたのですが、この本ではその両国だけでなく、ASEANの中心的な国であるタイやインドネシア、さらには中国に代わる労働集約産業の拠点として期待されるベトナムでさえ、かなりのペースで少子化が進行していることが示されます。
これらの国では日本を上回るペースで高齢化が進み、この高齢者を誰が養うのか?というのが大きな問題として浮かび上がってくるのです。
さらに、この本は「人口ボーナス」という考えによって「アジアの奇跡」と呼ばれる経済成長を説明してくれます。
これはベビーブームとその後の出生率の低下によって、生産人口の増大と年少人口の減少が同時に起こり(働き盛りが増え、子どもは減少)、この動きが労働投入量の増大、そして子どもの減少にともなう貯蓄率の増加につながり、経済成長をもたらすというものです。
これはクルーグマンの名を一躍知らしめた論文「まぼろしのアジア経済」を裏付ける理論でもあり、アジアの経済成長の要因を説明するとともに、将来のアジア経済が必ずしも楽観できるものではないことを示唆するものです。
そして、「人口ボーナス」が終わった時にやってくる、生産人口の減少と高齢者の増大という「ポスト人口ボーナス」の衝撃、さらには高齢化を支えるにはあまりに脆弱なアジアの社会保障の状態など、長いスパンで政治や経済を考える上で非常に重要な知見が述べられている本だと思います。
「21世紀はアジアの世紀」と無批判に言う前にぜひ一読をお勧めします。
老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるとき (中公新書 1914)
大泉 啓一郎

アジア地域における想像を超える高齢化と、そのアジアの奇跡的な経済成長を支えた「人口ボーナス」という現象について知ることができます。
韓国の日本を下回るような出生率、中国の一人っ子政策などから、韓国や中語で日本を上回るような高齢化社会が到来するのではないか?という考えはもっていたのですが、この本ではその両国だけでなく、ASEANの中心的な国であるタイやインドネシア、さらには中国に代わる労働集約産業の拠点として期待されるベトナムでさえ、かなりのペースで少子化が進行していることが示されます。
これらの国では日本を上回るペースで高齢化が進み、この高齢者を誰が養うのか?というのが大きな問題として浮かび上がってくるのです。
さらに、この本は「人口ボーナス」という考えによって「アジアの奇跡」と呼ばれる経済成長を説明してくれます。
これはベビーブームとその後の出生率の低下によって、生産人口の増大と年少人口の減少が同時に起こり(働き盛りが増え、子どもは減少)、この動きが労働投入量の増大、そして子どもの減少にともなう貯蓄率の増加につながり、経済成長をもたらすというものです。
これはクルーグマンの名を一躍知らしめた論文「まぼろしのアジア経済」を裏付ける理論でもあり、アジアの経済成長の要因を説明するとともに、将来のアジア経済が必ずしも楽観できるものではないことを示唆するものです。
そして、「人口ボーナス」が終わった時にやってくる、生産人口の減少と高齢者の増大という「ポスト人口ボーナス」の衝撃、さらには高齢化を支えるにはあまりに脆弱なアジアの社会保障の状態など、長いスパンで政治や経済を考える上で非常に重要な知見が述べられている本だと思います。
「21世紀はアジアの世紀」と無批判に言う前にぜひ一読をお勧めします。
老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるとき (中公新書 1914)
大泉 啓一郎
