山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

ここブログでは新書を10点満点で採点しています。

2005年06月

安達智彦『株価の読み方』(ちくま新書) 5点

 1997年出版とちょっと古い本。そのせいか金融ビックバンが大きく取り上げられているなど、内容的にはやや古い。また、デリバティブなどの説明なども入れたため、PERやROE、EVAなどの株価を読むための指標の説明が簡潔すぎてわかりにくい。もうちょっと丁寧な説明がほしいですね。
 安達智彦『株価の読み方』

山田真哉『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社新書) 7点

 最近話題の新書ですが、確かに読み物として非常に面白いです。会計学の入門書としては物足りない気もしますが、とにかく使われている例が身近で、会計とかに興味がなくても、ちょっとした企業経営入門的な読み物として十分に楽しめます。中身が薄いという面もないことはないですが、ここまで読みやすいのであれば、この本の狙いとしては十分なのでしょう。そして、なによりこのタイトルがヒットの要因って気がします。
 山田真哉『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学』

中島義道『カントの人間学』(講談社現代新書) 6点

 けっこう前に読んでたんだけど、必要があって再読。新書なので「カント入門」のようなものを期待する人もいると思いますが、カントの思想の解説はほとんどなく、もっぱら「モラリスト」としてのカントの処世術や人間観、そしてカントという人そのものに焦点が当てられています。(もともと単行本の『モラリストとしてのカント』を再構成したのがこの本)
 ただ、「親切について」の部分などはカントの道徳哲学を理解する上で役に立つと思います。そして、よくも悪くも著者の考えがにじみ出ている本です。
中島義道『カントの人間学』

鈴木謙介『カーニヴァル化する社会』(講談社現代新書) 7点

 一種の若者論で、出だしのニート、フリーター論は文句なく面白い。単に事象を追うだけでなく、著者なりの分析も冴えていて、「親子のたかりあい」とか「ハイテンションな自己啓発」といった言葉も鋭い。ただ、第2章の監視社会論は東浩紀の言ってることを越えてはいないし、何より本書の中心となるはずのケータイコミュニケーションやカーニヴァル化を論じた部分がちょっと弱い。言っていることは、大きく間違っていないような気がするんだけど、理論に説得力を持たせる具体的な事件や現象への言及が足りなかったり、うまく紹介できていなかったりという感じ。このあたりは師匠の宮台真司のほうが断然うまい。
 鈴木謙介『カーニヴァル化する社会』

伊勢崎賢治『武装解除』(講談社現代新書) 7点

 東チモールやシエラレオネ、アフガニスタンなどで暫定統治や武装解除の仕事をしてきた著者による本。まず、こうしたことをやっている日本人がいるということに軽い驚きを覚えますし、PKOや援助の舞台裏や武装解除の進め方とその困難がわかります。
 著者の現場主義を強調する書き方や、自分語りの強さなどはやや好みが分かれるところでしょうが、日本のこれからの国際貢献などを考える上で、読む価値のある本だと思います。
伊勢崎賢治『武装解除 -紛争屋が見た世界』
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★★プロフィール★★
名前:山下ゆ
通勤途中に新書を読んでいる社会科の教員です。
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