2004年秋に行われた服役中の犯罪者に対する大規模調査をもとに外国人犯罪者の犯罪意識や行動などを分析した本。
分析については特に鋭いというわけでもないですし、「驚くべき実態が明らかに!」というようなものでもないのですが、日本人の受刑者も含めたこの大規模調査自体が非常に興味深いです。
日本人女子の殺人犯の被害者の53%が家族であり、「被害者に謝りたい」、自分の行為を「非常に悪い」とする割合も日本人女子の受刑者が一番高いこと。逆に「被害者に謝りたい」気持は日本人男子が最も低く、全体的に日本人男子の受刑者はニヒリズム的な考えが強いことなど(「努力すれば報われる」と考える割合は日本人男子が最も低い)、本のタイトルは「外国人犯罪者」ですが、日本人受刑者に対する調査としても貴重なもので「当世刑務所事情」といった面もあります。
また、例えば「日本の刑務所は待遇がよいから外国人犯罪者にとって天国だ」というような言説がありますが、それにたいしても食事・衛生・収入(刑務所での作業によるもの)などの項目のアンケートがあり、「天国」はもちろん言い過ぎとしても、外国人女子などではこうした項目から逆に本国での生活の厳しさがうかがえます。(あとOECD加盟国でもある韓国人受刑者が「本国よりも(刑務所が)よい」と答える割合がけっこう高いのにも驚きます)
外国人犯罪をどう防ぐかといった提言はそれほど分量があるわけでもありませんし、著者も専門ではないためいくつかの指摘にとどまっているのですが、とにかくこの調査自体が非常に面白く、読み応えがあります。
外国人犯罪者―彼らは何を考えているのか (中公新書 1911)
岩男 寿美子

分析については特に鋭いというわけでもないですし、「驚くべき実態が明らかに!」というようなものでもないのですが、日本人の受刑者も含めたこの大規模調査自体が非常に興味深いです。
日本人女子の殺人犯の被害者の53%が家族であり、「被害者に謝りたい」、自分の行為を「非常に悪い」とする割合も日本人女子の受刑者が一番高いこと。逆に「被害者に謝りたい」気持は日本人男子が最も低く、全体的に日本人男子の受刑者はニヒリズム的な考えが強いことなど(「努力すれば報われる」と考える割合は日本人男子が最も低い)、本のタイトルは「外国人犯罪者」ですが、日本人受刑者に対する調査としても貴重なもので「当世刑務所事情」といった面もあります。
また、例えば「日本の刑務所は待遇がよいから外国人犯罪者にとって天国だ」というような言説がありますが、それにたいしても食事・衛生・収入(刑務所での作業によるもの)などの項目のアンケートがあり、「天国」はもちろん言い過ぎとしても、外国人女子などではこうした項目から逆に本国での生活の厳しさがうかがえます。(あとOECD加盟国でもある韓国人受刑者が「本国よりも(刑務所が)よい」と答える割合がけっこう高いのにも驚きます)
外国人犯罪をどう防ぐかといった提言はそれほど分量があるわけでもありませんし、著者も専門ではないためいくつかの指摘にとどまっているのですが、とにかくこの調査自体が非常に面白く、読み応えがあります。
外国人犯罪者―彼らは何を考えているのか (中公新書 1911)
岩男 寿美子






