ロックダウンにつけこんで危険な殺虫剤をこっそり導入するドイツ政府
2021年1月4日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook
最近のコロナウイルス対策ロックダウンを利用して、ドイツ農業大臣は、公開討論なしに、ネオニコチノイドとして知られる禁止された殺虫剤を復活させる秘密決定をした。ドイツの動きはフランスのマクロン政府による類似の動きに続いて、EUの食品安全管理全体を重大な危険にさらすものだ。皮肉にも、あるいはそうでないかも知れないが、この動きは、大半のグローバル食物連鎖を混乱させたCOVID一時封鎖の結果、食料安全保障が重大なストレスを受けている時期のものなのだ。
12月15日、ドイツの食料・農業大臣を務めているユリア・クレックナー(CDU)が「ネオニコチノイド」として知られる大いに物議をかもしている殺虫化学物質の「限定的」使用の「緊急」証明を承認した。この命令は、化学物質に対する現在の全EU禁止令の限定された緊急的な例外を装っているが、環境保護団体は、2013年に禁止された化学薬品の秘密再認可の始まりに過ぎないと主張している。
ミツバチ蜂群の崩壊
2012年、いくつかの科学研究が、ネオニコチノイド使用が、農業用水路や土地に広がって、残量していることを示した。研究は、この化学物質を、EU中のミツバチ群の死の劇的増加と関連づけた。2013年、EU機関の欧州食品安全機関(EFSA)は、正式検討後、ネオニコチノイドが、ミツバチにとっての容認できない高いリスクで、それをもとに、規制当局が安全だと主張した、バイエルやシンジェンタや他の農薬企業が資金提供した研究には欠陥があったと宣言した。それで、この化学物質の最初の全EU禁止令がだされた。
2018年、EFSAは、禁止令を撤廃させようとする農薬業界からの圧力増大に対し、ネオニコチノイドが、ミツバチへだけではなく、野生ミツバチへの重大な脅威だと言う新報告書を発表した。他の研究では、ネオニコチノイドで処理された一つの種が、鳴き鳥を殺すのに十分で、ネオニコチノイドが食物連鎖全体に影響を与える可能性があることを示した。環境に、しつこく残り、地下水に侵入し、無脊椎動物に累積的に、ほとんど不可逆的な影響を与えるのだ。
2018年、この殺虫剤の全ての屋外使用に対するEU規模の新禁止令が課された。これは今ドイツ政府がフランスに続いて「緊急の限定しよう」策略でくつがえしているものだ。
危機なのは、ミツバチの未来を超え、遥かに広い。この化学物質は、多数の作物で広範囲に使用されているので、それらがミツバチ以外のものも殺すことを証拠が示している。実際、あらゆる花粉媒介昆虫と、虫から栄養を摂取する鳥の多くの種を殺すように思われる。これは些細なことではない。
授粉媒介者
現代の都市社会では、我々はほとんど、ミツバチや他の花粉媒介昆虫の食物連鎖における肝要な役割に気付いていない。
ミツバチ、Apis melliferaは農作物の最も重要な授粉媒介者だ。ミツバチが世界の食物の90%を供給する100の農作物のうち70以上に授粉する。彼らはリンゴやオレンジ、イチゴ、玉ねぎやニンジンを含む大半の果物と野菜に授粉する。
だが、管理されたミツバチの数は、これまで50年にわたって増加しているが、ミツバチ群の数は多くのヨーロッパや北米諸国で際立って減少した。同時に、授粉で虫に依存する収穫が増加している。ミツバチが死ぬ現象は、それが限りなく多くの要因によって起こされ得ることを意味する、人をだますような用語、蜂群崩壊症候群(CCD)で知られている。だが重要な最近の科学研究は主要因を示している。新しい極めて有毒な浸透性殺虫剤、2004年頃から農業で広く使われるネオニコチノイドの使用だ。
既に2012年1月、アメリカ農務省は農務省ミツバチ研究所のジェフリー・ペティス指揮下の科学者報告を発表している。研究は、ドイツの科学雑誌、Naturwissenschaftenで発表され、「群レベルでのイミダクロプリド(訳注 バイエル社のガウチョ)への亜致死的曝露と、個々のミツバチの消化器官寄生虫ノゼマ原虫の胞子生産と相互作用」があったと結論した。さらに研究にはこうある。「我々の結果は、殺虫剤の害の可能性を評価するために使われる現在の方法は不十分であり、我々は、殺虫剤と、ここで示されたような病原体間の微妙な相互作用が、世界中でのミツバチ群死亡率増加の主要因であり得ることを示唆している。」
有名なオランダ人毒物学者ヘンク・テンネケス博士が、同じ年の2012年、バイエルや他のネオニコチノイド製造企業主張と異なり、有毒な殺虫剤を噴霧されたトウモロコシ畑近くに住むミツバチは、全栽培期間を通じて、ネオニコチノイドにさらされ、毒素は、バイエルのラウンドアップのグリホサートがそうなのと同様、累積すると報告している。テンネケスが指摘した「ミツバチは、これら化合物や他のいくつかの農業用殺虫剤に、いくつかの形で、採餌期間中ずっと曝露されている。春には、処理されたトウモロコシの種を植えに種まき機械排ガスで、極めて高レベルのクロチアニジンとチアメトキサムが発見された。未栽培畑を含め、サンプルを採取した、それぞれの畑の土壌でネオニコチノイドを見いだした。」(強調は筆者)
人の脳に対する影響?
ネオニコチノイドへの曝露が、鳥やミツバチと同様、人にも影響を与える証拠は、全ての中でも、最も憂慮すべきだ。テンネケス教授は影響をこう説明している。「今日アメリカで、子供たちが直面している主要な病気には、様々な心理社会的、行動の状態がある。学習障害、難読症、精神薄弱、注意欠陥障害や自閉症を含め、神経発達異常の発生は、これまで考えられていたより蔓延しており、毎年、アメリカで生まれる400万人の子供たちの5パーセントから10パーセントに悪影響を及ぼしており、胎児期や子供時代の殺虫剤曝露は、脳構造と健康に対する影響で、後年、神経病の危険を増やしかねないことを説明する重要なリスク要因になっている。」
ネオニコチノイドを噴霧された植物への持続的な曝露は、小児自閉症症例の最近の急増を含め、人の脳の損傷原因になり得ることを示唆する証拠も増大している。
ネズミへのネオニコチノイドの様々な曝露影響の最近の研究に言及して、テンネケスは指摘している。「蓄積する証拠が、ニコチンへの慢性曝露が、子供の通常の発達に、多くの副作用を起こすことを示唆している。ニコチンへの胎児期曝露は乳幼児突然死症候群や、低い新生児体重の幼児や、注意不足/多動性障害の周知のリスク要因だ。そのため、ネオニコチノイドはヒトの健康、特に成長中の脳に悪影響を与えかねない。」
テンネケスは、バイエルや、シンジェンタ、BASFや他農薬メーカーのネオニコチノイドの危険を、バイエルが、早くも1991年に、ハエに対するネオニコチノイドの致命的影響を研究していた証拠を含め、彼が画期的に暴露したことに対して、毒物学コンサルタントとして、ブラックリストに載せられて、彼の全ての顧客を失うという報いを受けた。それにもかかわらず、彼は、ミツバチや鳥だけでなく、ヒトの健康にまで損害を与えるのに、無視されている脅威、2013年、最終的にEU禁止令で認識されたネオニコチノイドの危険、公表し続けた。
F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/01/04/german-government-uses-lockdown-to-sneak-deadly-pesticide/
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今日のモーニングショー、コロナ対策提言された大隅良典氏、大村智氏、本庶佑氏、山中伸弥氏のノーベル賞受賞者四氏のうち、大隅、本庶のお二人がリモート出演され「PCR検査能力の大幅な拡充と無症候感染者の隔離を強化する」など説明された。 五項目。
- 医療支援の拡充、コロナ専門病院設立
- PCR検査の大幅拡充、無症状者の隔離
- ワクチンの緊急承認
- ワクチンや治療薬の開発を推進する産学連携支援
- 科学者の勧告を政策に反映させる長期的展望に立った制度の確立
ネットを見ると賛成の声が多いが、案の定、感染症専門でない老人がたわごとを言っているという、厚生破壊省の回し者のような感染症専門ではないだろう素人連中の意見も多々ある。
今日の孫崎氏のメルマガ題名
下院でのトランプ大統領弾劾への動き等トランプ氏の政治基盤を奪う動き活発。「白人至上主義」はトランプが作ったのでなく、存在するものをトランプが利用。トランプの政治基盤消滅でも「白人至上主義」は存在し過激化。バイデン就任に向け、全米に不穏な動き
日刊ゲンダイDIGITAL が、とんでもない棄民政策を指摘している。
下記の『売り渡される食の安全』の内容から類推すると、「ショック・ドクトリン」で意図的に医療崩壊を起こした後、アメリカ医療機関、薬品企業、医療保険企業に、不沈空母丸ごとさしだす予定ではないかと妄想が湧いてくる。
昨年末、食事を楽しませて頂いたレストランで、友人と「種子法」の話をしていた所、お店の方から「今種子法の話をされていましたが、もっと知るにはどうすれば良いのでしょう」と尋ねられた。それで山田正彦元農相の著書『売り渡される食の安全』を再読した。一度目は何気なく読んでいたのだが、二度目で大変なことに気がついた。概要以下の通り。
46ページに、規制改革に関係して、宮内義彦と竹中平蔵の名前が出ている。やはり。
56ページには、あの黒川検事長を、強引に検事総長にしようとした画策の原型が書かれている。こちらは、残念ながら成功例。事実上の、農林水産省解体を推進するための人事だ。内閣人事局を悪用しての奥原事務次官だ。本文の一部を引用しよう。
JA全中がもつ巨大な権限を、地域農協への指導権や監査権を廃止させることで弱体化させるなど、農林水産省きっての農協解体派として、官邸のなかでも特に菅義偉内閣官房長官の覚えがめでたかった。
57ページ こうした動きに反対した二人の幹部が、「それほど反対するなら農林水産省をやめたらどうだ」といわれて、すぐ辞表を提出したことが書かれている。
122ページ DARK法案 国民の知る権利を完全に葬り去ってしまう法案(Deny Americans the Right to Know act)を提出した人物、あのマイク・ポンペオ。自国民であれ、外国国民であれ、金のためなら、いくら犠牲にしてもかまわないという、大資本の走狗。
166ページ 食品の安全を推進する市民団体、マムズ・アクロス・アメリカの創設者の子供の一人だけ精神不安定などの症状を示した。調べると、その子だけ高いグリホサートが検出された。グルテン・アレルギーがないので、普通の小麦を利用したパンやパスタを食べていたのだ。その結果、腸の粘膜に穴があくリーキガット症候群を起こしていたのだ。オーガニック材料に切り換えた後、すっかりよくなったという。
192ページ ネオニコチノイドへの懸念という小見出しがある。日本では当然、緩和されている。
207ページ 私のもとには霞が関の各省庁の総意として、「農産物は思い切ってアメリカに譲渡するしかない」という声がしきりに聞こえてくる。とある。そういうことだ。トヨタのため日本人は食料でもアメリカ・モルモットになる。
とは言え、当然多くの県から反対する動きが出ている。筆者は長期的には楽観的だ。
IWJには山田正彦元農水相の様々なインタビューがある。たとえば下記。大本営広報部が隠蔽する内容。
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