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2019年2月21日 (木)

ベネズエラ石油戦争について語られていないこと

2019年2月17日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 これまでのところ、一体何がトランプ政権を奇異なベネズエラ介入に追いやっているのかに関する議論の多くが、ジョン・ボルトン国家安全保障担当補佐官の石油が狙いだと主張する発言に集中している。前回の分析で、我々はいくつかの定義で、世界最大の石油埋蔵量を誇ると言われた巨大なチャベス盆状構造、かつてのオリノコ盆状構造の概要を検討した。今この事実上の戦争が、ベネズエラのチャベス盆地の重油支配より、遥かに多くのことにまつわることが、一層明確になっている。

 最初に、どの石油会社が、地域の石油の様々な権利を既に主張しているかをよく見るのが重要だ。ベネズエラでは、中国石油天然気集団公司と中国政府に指揮された中国石油企業がチャベス時代から重要な役割を果たしてきた。実際、その役割は、ベネズエラ政府が中国に約610億ドル借りるほどになっている。マドゥロ政権の財政問題のため、中国は石油の形で債務返済を受けてきた。2010年から、ロシア国営石油会社ロスネフチが、主にオリノコ/チャベス・ベルトで、ベネズエラ国営PDVSAとの合同プロジェクトに関係してきた。数年前、ロスネフチが、同じく石油で返済される、約60億ドルのベネズエラへの融資を行った。ロスネフチの最近の声明では、今年の終わりまでに、23億ドル支払わなければならない。ロスネフチは、5つの石油プロジェクトに参加し、ガス・プロジェクトでは、100パーセントを保有している。CNPCとロスネフチ、フランスのTotal SAの他、ノルウェーのEquinorと、アメリカのシェブロンのすべてが、ベネズエラ・プロジェクトの少数株を保有しており、大半が政治的危機にもかかわらず留まると誓っている。そこで彼らは、ベネズエラ重質石油について、文書化されたもの以上に何を知っているのかという疑問が湧く。

 

本当の掘り出し物?

 これら強力な国際石油業界大手が注目している本当の掘り出し物は、おそらく彼らが今活動しているオリノコ重質石油平原の東に横たわっている。本当の掘り出し物は、石油産業において最も堅く守られた秘密の一つ、ベネズエラ、ガイアナとブラジルにまたがる係争地域の巨大な石油埋蔵に対する究極の支配だ。地域はグアヤナ・エセキバと呼ばれている。一部の地質学者は、エセキバ地域と、その沖合に世界最大の石油埋蔵、ベネズエラの重いオリノコ原油より遥かに質が高い石油があると考えている。問題はベネズエラとガイアナ間の数十年にわたる論争のおかげで、石油の本当の品質がまだ分かっていないことだ。

 歴史的に、ベネズエラと、旧イギリス植民地ガイアナの両国がエセキバに対する権利を主張している。1983年に、いわゆるポートオブスペイン・プロトコルが、ベネズエラとガイアナ政府間の平和的解決に時間を当てるため、ベネズエラによるエセキバ埋め立ての12年停止を宣言した。その時以来、特別国連代表者が状況を凍結されている。いずれの当事者も地域で報告された巨大油層を探査しなかった。2018年1月、国連事務総長は、エセキバを、ハーグの国際司法裁判所の仲裁に付し、現在そのままの状態だ。

 今それは厄介な状態にある。2011年9月、ガイアナ政府は150海里以上に大陸棚を拡張するため、大陸棚限界まで、沖合の排他的経済水域の延長を国連委員会に申請した。国連許可を手に入れるため、グアヤナ・エセキバについての非常に活発なベネズエラの主張を無視して、彼らはその区域が領土問題の適用を受けないと宣言した。ベネズエラは強く抗議した。さらに状況を複雑にしているのが、ガイアナは帰属問題で係争中の海域で、国際的石油探検権を授与したことだ。

ガイアナのエクソン

 2015年にガイアナは、元アメリカ国務長官レックス・ティラーソンが、かつてトップだった企業エクソンモービルに石油探査権を与えた。間もなくエクソンは、来年生産が始まれば、ごく小さいガイアナ経済を変えるのに十分な、50億バレルと見積もれる油田を発見した。オリノコ/チャベスの重く、費用のかかる石油と異なり、ガイアナ沖合の石油は優秀で、軽いことに気が付いた。石油専門家は、業界平均の35%と比較して、辺境地域でのエクソン掘削の驚くべき82%の成功率を挙げている。ウッド・マッケンジーの専門家たちは、沖合地域は「次の10年までに、中南米で4番目の産油国に容易になれるし、先行諸国を凌げるだろうと言っている。もしベネズエラとメキシコが生産下落に対処し損ねれば、ガイアナは彼らを素早く上回り、ナンバー2になり得るだろう。」

 これまで、このエセキバ地域全体と沖合が、両国の合意により、石油探査に対しては、立ち入り禁止だったことに留意願いたい。エクソンのガイアナでの発見が、エセキバ地域に膨大な石油があるという考えを裏付けた。

 ここで、ベネズエラのマドゥロ政権と、野党のフアン・グアイド国民議会会長の奇異な合法的大統領という公表の複雑な事態が加わる。もし我々がエセキバの未利用の巨大な潜在的埋蔵にオリノコベルト石油の先を見るなら、今展開している悲劇的ドラマ全体が、より良く理解することが可能になる。

 2015年のエクソンによる発見以来、ベネズエラはガイアナに対する訴えを開始し、時々エクソンの石油探査船を停止させている。マドゥロ体制にとって、状況を複雑にしているのは係争水域のガイアナ沖合のエクソン・パートナーが、マドゥロの最大債権国の石油会社、中国のCNOOCだという事実だ。

 マドゥロ政権が、外国の石油利権にベネズエラを再度開放し、国営PDVSAを再び民有化する自由市場のグアイドに置き換えられるシナリオを想像願いたい。そうなれば、グアイドは、様々な国際的な彼の友人の手助けで、エセキバに対するベネズエラの権利を積極的に主張するだろ。イギリスとフランスとスペインは全て地域に主要石油会社があり、アメリカがグアイドを暫定大統領として認めるのに加わった。ベネズエラが、マドゥロによって支配されている限り、エセキバ沖合油井におけるガイアナの正当性を認めるのはワシントンやエクソンや彼らの後援者に合っている。グアイドが権力を握れば、それは容易に変わり、もろいガイアナに圧力をかけて、ベネズエラの利益になるよう、エセキバ問題を解決することができるはずだ。

 今我々は、中露に公式に支持されたマドゥロが、ワシントン、ロンドン、フランス、(やはりエセキバ地域に隣接している)ブラジルや他の国々に公式に支持されるグアイドによる抵抗を目にしている。地域の危険な地政学カクテルに、更に拍車を掛けているのは、中国が、一帯一路構想にガイアナを公式に取りこみ、北ブラジルのマナウスからガイアナまでのハイウェーリンクを構築して、航路に対して何千マイルも短縮して、ブラジルがパナマ運河に一層効率的にアクセス可能にしている事実だ。大西洋と太平洋との中核的交差点パナマにおける中国の取り組みが顕著だ。2016年、中国のランドブリッジ・グループが、運河の大西洋側にパナマのマルガリータ島港、最大の港を購入し、中国企業に世界で最も重要な商品流通センターの一つへの直接アクセスを可能にした。

 ベネズエラ危機における地政学的危険が、正当性や民主的な選挙の問題や、ベネズエラ国境を遥かに超えているのを悟るのに大量の想像力は必要ない。石油の問題に過ぎないのだ。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。彼はプリンストン大学の政治学位を所有する石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/02/17/what-s-not-being-said-about-the-venezuela-oil-war/

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 国会中継、野党質問のみ音声を出しているが、北方領土問題にからめて、ロシアのクリミア併合を非難するゆ党政治家質問も聞いてしまったのは失敗。欧米が不当な併合に対して制裁を課しているのに、日本は破って良いのか?と。ウクライナで、違法なクーデターを推進した宗主国は責めない。彼はハーバード大学留学中、通商代表部トップと同室だったのが自慢のTPP推進派。

 与党幹部も高級官僚も質問されていないことを延々語って時間を浪費するウソツキばかり。大本営広報部は、統計偽装より、みみずく問題で忙しい。

 植草一秀の『知られざる真実』
統計の 不正で作る 好景気 発覚したら 部下のせい

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コメント

ガイアナと聞くと思い出すのが、ウォルター・ロドニー。
西洋諸国がいかにアフリカを低開発してきたかを世に問うた学者。彼の著者は新刊で入手できず、当時のアマゾンで古書として購入して読みました。

出所は、金沢大学の図書館の蔵書、でした。印がありました。手にした時、仄かに哀しく感じたのを思い出します。

ロドニーも暗殺されたんですよね、多分に漏れず。

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