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2016年12月17日 (土)

全体主義の匂いが偉く漂い始めたが、ロシアのことを言っているわけではない

2016年12月13日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

ここ数カ月、NATO加盟諸国が進めている方向全体、特にアメリカ合州国と欧州連合の悪臭をしっかり嗅げば、ものが、我々の基本的な人間の自由に対して、静かに押しつけられつつある、全体主義的支配、またはファシズムと呼べるものの悪臭がわかる。最近のいくつかの例が、世界が一体どこへ漂って行くのを許しているのかを熟考する機会になるだろう。

12月7日の、誹謗中傷ニュースと呼ぶものを、“食糞という病”と呼ぶものにたとえたローマ・カトリック教会のフランシスコ・ローマ教皇のベルギー新聞での実に不気味、奇怪な、インタビューから始めよう。彼はこう述べた。

質問 - 最後の質問です。ローマ教皇、マスコミについてです。マスコミについてのお考えは…

ローマ教皇 - マスコミには極めて大きな責任があります…我々は全員罪人なのですから、マスコミも…有害になり得るのは明らかです… 中傷に惑わされかねません、それで特に政治の世界で、中傷し、人々を傷つけるのに使われるのです。マスコミは名誉棄損の手段として利用されかねません。あらゆる人々が良い評判を享受する権利がありますが、おそらく前世、あるいは十年前、司法上で問題があったり、家庭生活に問題があったりするでしょう。これを暴き出すのは深刻で、有害です。これは罪で有害です。情報メディアに大変な損害を与えるものは、偽情報です。つまり、何らかの状況を前にして、真実の一部だけを語って、それ以外を語らないことです。これが偽情報です。…偽情報は、おそらくメディアがなし得る最大の損害です。真実の他の部分を無視して、意見が一方向に導かれるのですから。マスコミは… この言い方を悪く思わないで頂きたいのですが - 常にスキャンダルを伝えたがる嗜糞症という病の餌食となってはならないと思います…そして、人には食糞という病に向かう傾向がありますから、大変なをなし得るのです。

嗜糞症は、メリアム-ウェブスター辞書では、“糞便に対する著しい関心、特に糞や汚物を、性的興奮のために利用すること”と定義されている。食糞というのは、人糞を食すること、文字通り食糞だ。

ローマ教皇の言った、“人々が食糞という病に向かう傾向”とは正確には一体何だろう? これは人類の支配的な病なのだろうか? もしそうでなければ、一体なぜ、食糞と、政治家と政治家の悪事について読む人々、あるいは、そういうものを報じるマスコミとの不快きわまる類似を持ち出したのだろう? 政治家の過去の事実という、事実の上で正しいことを流布するのは意味があるのか、あるいは、有権者が彼らの性格を判断する助けにはならないという判断は、一体だれがするべきなのだろう? この発言は、彼が非難しているふりをしているものの完璧な例だ。

これが、宗教界の人物による、孤立したとっさの発言であれば、1870年7月18日のバチカンI世によるローマ教皇の無謬性宣言のような主張同様、放置しておけるだろう。ところが、特に西ヨーロッパ、アメリカ合州国や中南米の国々における、まさにこのようなローマ・カトリック教会と教皇の信条や影響力ゆえに、こうした曖昧で危険な発言は、人々の言論の自由に、今後一体何が待ち受けているかの兆しとして、深刻に受け取るべきだ。

“偽ニュース”

食糞とジャーナリズムに関するローマ教皇発言は、アメリカ・マスコミで、ヒラリー・クリントンについて、現在言われているように、ある種の代替メディアによって、ロシアが“偽ニュース”を仕組んでいるという非難がアメリカとEU内において爆発するさなかに行われた。ヒラリー・クリントンのロビー・ムーク元選挙活動委員長はこう述べた。“偽ニュース”は今回の選挙で選挙運動が直面した“大問題”だった。“ロシアによって、ここで何が起きたのか捜査すべきだと私はまだ考えている。外国侵略者がここアメリカの選挙に干渉するのは許せない。ロシアは、フェースブックや他のサイト経由で偽ニュースを広めていたが、アメリカには、このような話題を広めていることで悪名が高いブライトバート・ニュースのようなものもある。”

ワシントンD.C. のピザ・レストラン、コメット・ピンポンが、ヒラリー・クリントン候補とジョン・ポデスタ選対本部長によって、小児性愛のために使われたと主張するオンラインの話題、いわゆる“ピザゲート”スキャンダルは、現在インターネットやフェースブックや他のソーシャル・メディア検閲にむけた世論を喚起するのに利用されている。ニューヨーク・タイムズのディヴィッド・サンガー記者は、12月9日、匿名“政権幹部筋による”“ロシアは共和党委員会にも侵入したが、データを流さなかったとアメリカは結論”という見出しのあいまいな記事を書いた。我々が目にしているのは、まさにヒラリー・クリントンやローマ教皇が語っている類の偽ニュースだ。ただし、ペテンをやっているのは主流既成マスコミなのだ。

ペテンは、NATOや、主流マスコミの一般社員に、連中の虚報工作員を送り込んでいるCIAなどの諜報機関と結託して、主要マスコミの最高幹部レベルで画策されている。元CIA長官ウィリアム・コルビーは““主要マスコミ内の重要な連中全員、CIAの手の者だ”とかつて言ったとされる。代替メディアで小児性愛者集団に関する偽ニュースを読み、精神病質者が銃を持ってコメット・ピンポン・ビザ店に押し入り、無辜の客たちを銃撃したといった類の恐ろしい話題で、このキャンペーンは続くだろう。事件は起きたが、男は発砲していない。わずか数カ月前には想像もできなかった、インターネットや他の代替メディアに対する極端な検閲を受け入れるよう、国民はあやつられつつあるのだ。

時計仕掛けのように、“偽ニュース”キャンペーンは、欧州連合にも広がった。2017年、再度首相に立候補することを発表した後、アンゲラ・メルケルは、政府による自立した“ポピュリスト”(原文通り)メディアの検閲が必要かも知れないことを示唆する不吉な言葉を語った。“現在、自ら増殖し、特定のアルゴリズムで意見を強化する偽サイト、ボット、荒らしが存在している。我々は連中に対処する方法を学ぶ必要がある。”彼女はこう断言した“我々はこの現象に立ち向かわねばならず、もし必要であれば規制する…欧米民主主義において、ポピュリズムと過激派政治が増大しつつある” これはグーグルとフェースブックが、“偽”ニュース・サイトだと断定したものへの広告収入支払いを停止した後の彼女の発言だ。

EU、特にドイツで、ポピュリストという言葉は、暗黙のうちに否定的意味合い、あるいは、政党戦争難民に対するメルケルの開放政策に反対する“右翼ポピュリスト”や、あるいは、強硬な政府が推進するほとんどあらゆることに反対する連中という具合に、ファシスト的含意がある。

現金に対する戦争

残された自由なメディア、インターネットと関連するソーシャル・メディアに対する厳しい弾圧を受け入れさせる準備としての秘密のプロパガンダが我々に見え始めたとするなら、民間の、腐敗していることが多い銀行に、我々のお金に対する完全な支配を認めさせ、更には、我々が、どこで、何を買うかに対する政府機関の完全な支配を認めるよう、我々が紙幣を所有する権利をあきらめる考え方を受け入れさせるための考えを生み出す、同様に険悪な、実際、全体主義的な動きも見て取れる。

つまり、いわゆるキャッシュレス社会だ。推進されている主張は、現金を廃絶した方が消費者にとって、より便利だ、あるいは、課税を逃れる組織犯罪と闇経済を根絶するか、大いに減らすというものだ。EUでは、スウェーデンが既に事実上、現金を廃絶した。スウェーデン人の現在の現金購入は、ユーロ圏の9パーセントと、アメリカの7パーセントと比べると、国家経済のわずか3パーセントに低下している。公共バスは現金を受け取らない。スウェーデンの四大銀行のうち三行は、銀行支店での現金取り扱いを段階的に停止しつつある。ノルウェーも同じをたどりつつある。

現在、フランスでは、適切な書類手続き無しの1,000ユーロ以上の現金取引は違法だ。フランスのミシェル・サパン財務大臣は、シャルリー・エブド攻撃のすぐ後、テロ攻撃者が“危険物を現金で購入”できたせいだと非難した。エブド攻撃後間もなく、“フランス経済における現金と匿名性の利用と戦う”ため、現金支払いの上限を、3,000ユーロから1,000ユーロに引き下げることを含む資本の管理を発表した。インフレが激しいユーロ圏において、1,000ユーロは大金ではない。

保守的なドイツでさえ、メルケル連合の主要メンバーが、500ユーロ紙幣を廃止し、あらゆる現金取引の上限を5,000ユーロにするよう提案した。数週間後、マイナス金利が当たり前のことになっている欧州中央銀行は、この紙幣が犯罪人やテロリストの活動を余りに容易にしていると主張して、500ユーロ紙幣の発行を、2018年12月までに終わらせると発表した。

アメリカ合州国でも、懐疑的な国民にキャッシュレス・デジタル銀行支払いを売り込むキャンぺーンが強化されており、アメリカ最大かつ、最も犯罪的な銀行の一つJPモルガン・チェースは特定市場における現金の使用を制限する政策をとっている。この銀行は、クレジット・カード、住宅ローンと、自動車ローンに対する現金支払いを禁じている。銀行は貸金庫に“いかなる現金や貨幣”を保管することも禁じている。だから、万一希少な金貨コレクションを持っている場合には、マットレスに隠すしかない…

マイナス金利とキャッシュレス国民

自国通貨の紙幣と貨幣が経済の基盤である限り、アメリカとEUや日本の中央銀行は、現在、ECBと日本銀行がもて遊んでいるより大幅な過酷なマイナス金利政策を押しつけることができない。もし中央銀行金利が酷いマイナスになれば、銀行は、現金を銀行に預金しつづけるためには、途方もない手数料を預金者に支払わせるようになるだろう。当然、人々は反感を抱き、現金を引き出し、金や他の有形の貴重品に投資するだろう。

ハーバードの経済学者で、連邦準備金制度理事会の経済諮問委員会メンバーで、“現金に対する戦争”の主張者であるケネス・ロゴフは、現金の存在が“名目金利に対するゼロ限界というものを作り出している。”2016年の著書『The Curse of Cash』で、ロゴフは、インドで、モディ首相が行ったのと同様に、100ドル紙幣、次に50ドル紙幣、更に20ドル紙幣と段階的に廃止し、低い額面の紙幣だけを流通させるようにするよう連邦準備金制度理事会に強く促した。

2008年9月の金融危機以来、世界経済、特にヨーロッパのNATO加盟諸国と北アメリカの経済を本気で見ている人なら、銀行と金融市場を支えるための現金が廃絶されない限り、現状のゼロ、あるいはマイナス中央銀行金利は維持不能であることを理解しているに違いない。

1933年4月5日、フランクリンD. ルーズベルト大統領は“アメリカ合州国内における金貨や金塊や金証券の退蔵を禁じる”行政命令6102号に署名した。多くの人々が、これは即座に、私的に所有している金に対する政府によるあからさまな盗み、没収だと非難した。

もはや金が支配していない通貨体制においても、1933年に、ルーズベルト大統領が行ったような過激な対策が、ウオール街やロンドンのシティーの主要銀行家にとって、明らかにより魅力的なものになっている。国民の金を没収するのではなく、現代は「金の神様連中」は、国民の現金を盗む方法を見つけ出さねばならないのだ。連中の“キャッシュレス”バンキングに移行し、現金を引き出せる金額を制限し、スウェーデンの銀行がしているように次に現金を完全に廃絶すれば、あらゆる国民のお金の使用に対して、税務当局が完璧な全体主義的支配をすることが可能になる。更に政府は、FDRがしたように、国家的な緊急事態宣言か何かの下で、一定の水準以上の現金には税金をかけると布告することも可能だろう。

そのような大胆で過激な動きが進んでも、これらの犯罪的金融機関とつながっているCNNやニューヨーク・タイムズやフィナンシャル・タイムズや他の主流マスコミに声高に攻撃されることはもちろんなく、攻撃は代替メディアが行うだろう。無批判なニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストが、2003年のイラクに対する宣戦布告をもたらした偽ニュース、つまり、サダム・フセインはワシントンを狙った大量破壊兵器を保有しているというものを無批判に広めたことに留意願いたい。あの戦争は想像できない規模の死と破壊を広めたのだ。偽ニュースに関して、当時誰も文句を言わなかった。

国民の銀行預金を没収しようという動きに対する抗議は、Zero Hedgeや他の無数の代替自立メディアから起きるだろう。最近、アメリカ・マスコミは、メリマック大学のコミュニケーション助教、メリッサ・ジムダースが作成した“偽ニュース”ブログとウェブサイトとされるものリストを無批判に転載した。Zero Hedgeは、そのリストにあった。

これは特定の代替ブログやウェブサイトを支持したり、支持しなかったりという問題ではない。これは我々全員が、ありとあらゆる意見や分析を読み、判断できる本質的な自由、私が何を読んで良く、何を読んではいけないかを政府に決めさせないという問題だ。これは、私が何を買うかの選択に関するプライバシーを守り、銀行が税務当局や国土安全保障省やFBIに引き渡したり、消費者行動プロフィール作成用に売り飛ばしたりしかねない、デジタル痕跡を残さない自由の問題なのだ。公共の通信の支配と、個人のお金の支配は、完璧な全体主義国家創設に大いに役立つはずだ。良い考えではあるまいと思う。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2016/12/13/its-beginning-to-smell-a-lot-like-totalitarianism-and-i-dont-mean-russia/
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スノーデン、監視社会の恐怖を語る』小笠原みどり著、177ページに、「買い物で使うクレジット・カードから産み出されるデータが傍受されていると気づいた。こうしたデータが犯罪とは無関係な人たちの意に反して使われている。」とある。
彼氏がいっている、キャッシュレス社会の本当の狙いは、これだろう。
小笠原みどりという方、素晴らしいジャーナリスト、元新聞記者。会社の方向に納得できなくなった頃に、アメリカ留学の機会があり、苦渋の選択で会社を辞めた人だ。主筆の論説に耐えられなくなったというのが、良くわかる。同じ苦々しい思いで読んでいたので。もちろんもう購読は止めた。

たまたま、昨日夕方電気洗脳箱を見た。チャンネルどれを選んでも同じ大本営広報。

経済協力の話、先日訳したロシア人による記事とさほど違わないように素人には思える。

ロシア-日本経済協力の輝かしい展望

今日の孫崎享氏のメルマガ、一部を貼り付けさせていただこう。孫崎享氏は『日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土』という新書も書いておられる。
大本営広報部、紙媒体であれ、電気媒体であれ、この歴史的事実に明確に触れたもの、あるのだろうか? どれも、小生は、真面目に見ていないので、全くわからない。

ここで、領土問題が解決するにはどうあるべきかから考えて見たい。

 二つの歴史的事実を基礎とすることである。

 一つは一九五一年のサンフランシスコ講和条約。
 今一つは一九五六年の日ソ共同宣言。

 サンフランシスコ講和条約は、これを基礎に日本は国際社会に仲間入りし
た。この約束は国際的に極めて重い。ここで日本は千島列島を放棄し、吉田
首相は演説で、国後・択捉は南千島と明確に述べている。

他方一九五六年の日ソ共同宣言では1956年日ソ共同宣言で、「ソヴィ
エト社会主義共和国連邦は,日本国の要請にこたえかつ日本国の利益を考慮して,歯舞諸島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし,こ
れらの諸島は,日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が
締結された後に現実に引き渡されるものとする」とした。

この枠組みで今度の首脳会談を見てみたい。

共同記者会見は「安倍首相は北方四島が日本領だという日本の立場を“正
しいと確信している“として、サンフランシスコ条約の国後択捉放棄の事実を
踏まえてはいない姿勢を堅持している。日本では、ロシアに柔軟性がないと
しているが、ロシア側から見れば、日本には柔軟性が全くなかったこととな
る。

 他方一九五六年の日ソ共同宣言に関しては、プーチンは「一九五六年の日
ソ共同宣言には平和条約後に二つの島を引き渡すと書いてある」「私たちにと
って一番大事なのは平和条約締結だ」として、一九五六年の日ソ共同宣言を守る姿勢を示している。

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