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T&T TOYAMA ザ・バルク Vol.2 オーバークロック 45%

カテゴリ:
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T&T TOYAMA
THE BULK Vol.2 
BLENDED WHISKY OVER CLOCK 
Speyside Malt Whisky 12yo & Blended Scotch Whisky 5yo
Oloroso Spanish Oak Cask Finish
Selected by T&T with kuririn
One of 900 Bottles
500ml 45%

評価:★★★★★★(6)

香り:複雑でウッディなトップノート。複数のダークフルーツやカカオチョコレートを思わせる豊かなアロマ。色濃く濃厚な甘さの奥には焼き栗や焦げた木材、微かに樹液の要素が混じる。

味わい:まろやかで濃厚な口当たり。香り同様にダークフルーツ、ドライプルーンやブルーベリージャムを思わせる甘さと角の取れた酸味から、徐々にどっしりとしたウッディネス。ビターで煮だした紅茶、微かな刺激を伴う長いフィニッシュへと繋がる。

ベースとなるウイスキー、THE BULK Vol.1が持っていた熟成感とシェリー樽由来の要素に、後熟したスパニッシュオークのフレーバー、シーズニングのシェリー感が加わって一層濃厚で甘酸っぱく、複雑な香味へと仕上がっている。
後熟期間も合わせてほぼ13年熟成シングルモルトと言えるブレンデッドウイスキーだが、この樽感を受け止められる酒質のキャパは流石というところか。開封直後は後熟に用いた樽感が若干浮ついて感じられるかもしれないが、時間経過で馴染み、某M蒸留所のリリースに求めたいリッチな味わいを楽しませてくれる。

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当方が関わらせてもらっている、T&T TOYAMAのTHE BULKシリーズから、第2弾となるVol.2 オーバークロックが2023年12月5日より発売されます。
本リリースは、メーカー間で主にブレンド用の原酒として取引されているバルクウイスキーの中でも、高品質なもの、面白い個性やメッセージ性のあるもの、そして手頃な価格で楽しめるものを個人向けにバラ売りする。いわばパソコン部品のバルク品から着想を得たリリースです。

前作Vol.1は、ほぼ●ッカランとされるバルクブレンデッドスコッチウイスキー。
スペイサイド地域のシェリー樽熟成で有名な某M蒸留所の、シェリー樽で12年間熟成されたシングルモルトウイスキーに、なんらかの事情によって5年熟成表記相当のブレンデッドウイスキーがごく僅かに混入してしまったもの。
表記上はブレンデッドウイスキーとなりますが、その香味はバランスの良いシェリー樽由来の要素と、シングルモルトとしか思えないほどはっきりとした個性があり、まずはそのままボトリングしました。※Vol.1の記事はこちら

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THE BULK Vol.1は、エピソードの面白さや、近年高騰を続けるシェリー樽熟成ウイスキーを手軽に楽しめるという位置付けもあって、愛好家の皆様からは想像以上の好評を頂いたところ。
THE BULK Vol.2 オーバークロックは、Vol.1でリリースしたバルクウイスキーを、スパニッシュオークのオロロソシーズニングカスクに詰めて、三郎丸蒸留所の熟成庫で約1年間後熟した、濃厚仕様のリリースです。

1年間の追熟とはいえ、明らかに濃く、やや赤みがかった色合いの変化から、外観の情報だけでも違いを感じて頂けると思います。
度数は1%落ちましたが、香味は濃厚なものとなっており、Vol.1で感じた以上のダークフルーツやカカオチョコレート、煮出した紅茶、ほのかに焦げた木材。。。といった、スパニッシュオーク由来のフレーバーがマシマシです。
ですが濃厚さと引き換えに多少ウッディさも強くなり、Vol.1と比較してアンバランスであるのも本リリースの特徴となっています。

これは本リリースのサブタイトルが“オーバークロック(Over Clock)”とあるように、ラベルデザインにもなっているパソコン部品のCPUで、安定性を犠牲にする可能性があるものの、本来の定格以上の性能を引き出す手法と掛けて表現しています。
Vol.1を企画した際、これはこれで美味しいのだけれど、ボトラーズリリースとしてはバランス寄りで、シェリー樽熟成には更なる濃厚さを求めるニーズもあるのではと感じており。全体のバランスを多少犠牲にしても、面白さや個性を強化したものをと、昨年から並行して仕込んでいたのがVol.2なのです。

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通常、フィニッシュで樽感を後付けしたウイスキーは、香味に多少のズレや違和感が生じることとなります。
今回のフィニッシュ用いた樽は、Vol.1の大多数を占めるわっからんなシングルモルトの熟成に用いられた樽と近い特性を持っていると思われるものを選んでいますが、熟成が途中でリセットされることで濃厚さに加えてウッディネス、渋みといった要素も新たに足されることとなり、リリースとして上手くまとまるかはチャレンジでもありました。

本品開封直後は多少その香味のズレが感じられるかもしれませんが、時間経過でまとまり、複雑さや良い部分が増していく印象。
実はカスクサンプル時点では「あれ?」と思う要素が強かったのですが、ボトリングしてみたら甘みと果実味が強くなって想像以上にいい具合。8月くらいにリリースしようかと話していましたが、引っ張って正解だったかもしれません。
やっと寒さの増してきた2023年年末。家でゆったり飲む1本にちょうどいいリリースだと思いますし、Vol.1が手元にある方は飲み比べてフィニッシュによる違い、オーバークロックによる進化を楽しんで貰えたら幸いです。

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T&T TOYAMA ザ・バルク Vol.1 46% リリースとスペース配信告知

カテゴリ:
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T&T TOYAMA 
THE BULK Vol.1
BLENDED WHISKY 
Speyside Malt Whisky 12yo & Blended Scotch Whisky 5yo
Selected by T&T with kuririn
One of 1000 Bottles
500ml 46% 

評価:★★★★★★(5ー6)

香り:スパニッシュオークの色濃いウッディネス。ドライブルーンやシロップ漬けチェリー、アーモンドヌガーを思わせる甘さ。奥にはウッドチップ、微かにハーブのアクセント。

味:口当たりはまろやかで、チョコレートやドライフルーツの甘酸っぱさ、紅茶を思わせる含み香。フレーバーは骨格がしっかりとしており、余韻も長い。果実味の残滓からややビターなウッディネス、干し草、じんじんと軽やかな刺激が口内を引き締める。

香味ともシェリー樽由来の要素がしっかりと感じられる。突き抜けたウイスキーではないが、蒸留所の個性に加え、酒質と機感、全体のバランスが良いシングルモルト・・ではなく、ブレンデッドウイスキーである。ストレートやロック、またはオリジナルブレンドのベース としてなど、自由に楽しんで欲しい。
ラベルモチーフは、バルクパーツと掛けてPCパーツのCPU。え、どこかで見たことがある?…勘のいい読者は嫌いだよ…。

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先日のグラスに次いで、今度はT&T TOYAMAさんとのコラボリリースとなる1本。7月20日から、ALC、モルトヤマ、そして関連酒販店さんで発売予定。価格は4980円+税です。
裏ラベルにも記載の通り、本リリースにかかるウイスキーの選定者の一人として、協力させて貰っています。(勿論、いつものように売上や協力料等の報酬は受け取っておりません。)

THE BULKのコンセプトを端的に紹介すると、ブレンド用に調達してきた輸入ウイスキー(バルクウイスキー)の中から、そのままリリースして全く問題ないクオリティのものを一般向けにリリースすることで、ウイスキーの価格高騰の中でも、手軽に良質なウイスキーを楽しんでもらおうというものです。Vol.1とあるように、シリーズものであり、今後も継続したリリースを予定がされています。

また、副次的な狙いとしては、バルクウイスキー=粗悪なウイスキーという誤った認識に対して、実際のところどうなのかを示していく狙いもあります。
日本に限らず、世界のウイスキー産業を支えているのがバルクウイスキーです。日本においては、ウイスキー産業の黎明期から現代に至るまで、原酒の幅を補って、品質の向上にも寄与してきたことは暗黙の了解的に知られていますが、それは他のウイスキー大国であっても同様であり、メーカー間で盛んにブレンド用原酒がやりとりされ、縁の下の力持ち的に多くの銘柄に用いられてきたのです。

しかし現代の日本においては、安価なバルクウイスキーを使ってあたかも高価なジャパニーズウイスキーのように販売する、ロンダリング的な使われ方をした経緯から、人によってはその品質を疑問視する声もあります。
またバルクウイスキーなので素性が明かせない、あるいは素性不明なものがほとんどで、なんだかわからないものを買うのはちょっと…という不安もあるかと思います。そこでその品質は、本リリースに選定者として関わる、ウイスキーの造り手、ウイスキーの売り手、そしてウイスキーの愛好家、それぞれの視点で問題なしと担保したもののみをリリースしていきます。

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第一弾は、販促情報にある通り、スコットランドはスペイサイドの、シェリー樽熟成で有名な某蒸留所Mの12年熟成シングルモルトウイスキーに、ほんの少しブレンデッドウイスキーが混入してしまったもの。混入したブレンドは“とても有名なモノ”だとのことですが、香味からはそのブレンドやグレーンの特徴を感じることは…まず不可能です。

基本的にはスパニッシュオークのオロロソシェリーカスク由来の香味が主体にあり、ボディも適度に感じられる。某シングルモルト12年シェリーオークを濃くした味わいですね(加水比率が少なく、フィルタリングが最低限であるためと予想)。自分の感覚では98%、あるいは99%はモルトウイスキーではないかと予想しています。

突き抜けて素晴らしいウイスキーではないですが、標準以上のクオリティは間違いなくあるウイスキーです。価格的にも悪くない、いやむしろ手頃(金銭感覚崩壊)。
最近はシェリー系原酒が貴重ですし、下手するとこの事故エピソードを隠して某Mベースのブレンドとするか、何か美談的な(古くは某アイラモルトや某バーボンにもあった)エピソードを付け加えて、リリースされててもおかしくないと思います。

昨年、あるブレンドを企画中にこのバルクに出会い、え、これそのままリリースしたらいいんじゃとなって、今回の企画が動き出します。どうせならVol.2、Vol.3の見通しを立ててからリリースしようとT&Tの方で調整した結果、第一弾のリリースが夏場にずれ込んでしまいましたが。
クーラーの効いた部屋で、食後に軽く冷やしたシェリー系シングルモルトもオツなものです。またキャンプに持ち込んで、夜の空気と共に楽しまれるなんてのも良いですね。あるいはブレンドに使ってみるのも一案。自由に楽しんで貰えたらと思います。

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※ラベルはバルクウイスキーとバルクパーツをかけて、バルクCPUっぽいものに。ここはT&Tの二人の拘りで、QRコードからはブランドページにリンクします。ただ、なんだか狙いとは別に見た目が某社の某リリースっぽくなったような…フロム ザ バル…(おや、誰だこんな時間に

※スペース配信 告知※
日時:7月15日(土) 22:00〜
URL:https://twitter.com/i/spaces/1OdJrzzlMoVJX

本リリースをはじめ、最近何かと話題の多いT&T TOYAMAおよび三郎丸蒸留所。ゲストも交えて今回のリリースや今後の予定をトークします。
また、最近様々な商品が投入され、熱気を帯びるテイスティンググラス市場。今後発売されるオーツカ氏開発のテイスティンググラス第3弾(スティルグラス)や、静谷氏開発の咲グラス(蕾グラス)も使い勝手を先行レビューします!

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ザ ラストピース ワールドエディション Batch No,1 50% T&T TOYAMA

カテゴリ:
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THE LAST PIECE 
T&T TOYAMA 
BLENDED MALT WHISKY 
World Edition Batch No,1 
Blender: T&T TOYAMA(INAGAKI TAKAHIKO, SHIMONO TADAAKI),KURIRIN  
One of 800 Bottles 
700ml 50% 

評価:―(!)

香り:華やかでナッティな香り立ち。アプリコットジャムや熟した林檎を思わせるフルーティーな甘み。オーキーで程よいウディネス、ハーブのアクセント、ほのかにスモーキー。

味:フルーティーでしっとりと甘い口当たり。林檎の蜜、甘栗やカステラ、麦芽風味。香り同様に熟成感があり、一本芯の通った複雑な味わい。余韻にかけて香味の広がりを感じられ、微かにピーティーで華やかなオーク香が鼻腔に抜ける。

香味とも華やかでフルーティーだが、キラキラと派手なタイプではなく、しっとりとして色濃く奥ゆかしいタイプ。奥には黄色系フルーツ、麦芽風味、特徴的なピートなど、クラフト原酒由来の個性も感じさせる。
イメージとしては、THE LAST PIECEのジャパニーズエディションに熟成感を増して、完成度を追求したレシピ。日本とスコットランドの個性が織りなす、日本だからこそ作ることができるウイスキー。ストレート、少量加水、あるいはロックでじっくりと楽しんで欲しい。

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先日、T&T TOYAMAから発表された「THE LAST PIECE」のワールドブレンデッド版です。
先日レビューを更新したジャパニーズエディションは、国内5ヶ所のクラフト蒸留所原酒100%のジャパニーズウイスキー。ワールドエディションは、構成比率の過半数以上がクラフト産原酒で、そこに輸入原酒をブレンドしたブレンデッドモルトウイスキーとなります。

発売は若鶴酒造が運営する私と、ALC.を中心に、4月19日(火)から。
先行する形で、4月1日(金)から購入希望の抽選受付が開始されます。
「個性のジャパニーズ、完成度のワールド」、ブレンダーの一員として、その実現を目指したブレンドです。企画の背景、概要、販売方法に関する情報は以下をご参照ください。

公式プレスリリース:https://www.wakatsuru.co.jp/archives/3198
リリース告知記事:https://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1080141305.html


※私と、ALC.抽選販売受付:2022年4月1日12:30〜2022年4月11日23:59

https://wakatsuru.shop-pro.jp/?pid=167372090


改めて構成原酒を記載すると
・江井ヶ嶋蒸溜所 ライトリーピーテッド
・桜尾蒸溜所 ノンピートモルト
・三郎丸蒸留所 ヘビーピーテッドモルト
・長濱蒸溜所 ノンピートモルト
・非公開蒸留所 ノンピートモルト
・スコッチモルト(国内追加熟成)

クラフト原酒は全て3年熟成でバーボン樽熟成。スコッチモルトは熟成年数非公開ですが、バーボン樽以外に、シェリー樽、リフィル樽等での熟成品が用いられており、一部原酒は国内で追加熟成を行ったものが使われています。

追加熟成を経たスコッチモルトは、もともとあったスコッチモルトらしいまとまりのある穏やかな酒質に、日本的な樽感が加わって熟成感も増した仕上がり。こうした原酒の存在は、個性をまとめ上げる繋ぎとして有用である一方、その原酒に頼るだけではワールドの意味がありません。
国産原酒の個性を主として残しつつ、全体の完成度を高めるにはどうするべきか。正直、ジャパニーズのレシピ以上に悩ましく、かけた時間、試作数も多くなりました。
【補足】各原酒の個性はリリース告知記事の後半に記載→こちら

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しかしワールドブレンドというと、あまり良く無いイメージを持つ方もいらっしゃると思います。
それはブームに乗って利益を得るために、安価な輸入原酒で水増ししたリリース。つまりパッションやストーリーのない、嗜好品としての重要要素を満たさないリリース、というイメージに起因しているのでは無いでしょうか。

確かに、そうしたウイスキーの存在は否定できません。しかし本来スコッチウイスキーは美味しいものであり、日本では作り得ない原酒が数多くあります。(あるいは日本でも作れるかもしれないが、膨大なコストがかかるケース。)
例えば長期熟成原酒がそうです。
ワールドブレンドは、日本でしか作れない原酒と日本では作れない原酒、それらの良い点を引き出すことで、これまでにないウイスキーを作ることが出来る、可能性に満ちたジャンルでもあるのです。
活かすも殺すも、造り手次第というわけですね。

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THE LAST PIECEをリリースする、ボトラーズメーカー「T&T TOYAMA」は、日本のクラフト蒸溜所が、将来単独でリリースを行っていくのではなく、他の蒸留所と連携する可能性を見出せるよう、蒸留所間のハブとなることを目標の一つとしています。
一方で、同社はスコッチモルトも海外メーカーから買い付けてリリースしており、ニンフシリーズやワンダーオブスピリッツがその代表作です。つまり、日本、スコットランド、どちらにも繋がりを持つメーカーと言えます。

であるならば、THE LAST PIECEのワールドエディションは、ジャパニーズの個性感じさせつつ、スコッチウイスキーのいいところも活かした、T&T TOYAMAらしいリリースに仕上げたい。
2つのリリースを飲みくらべることで、なるほどこれが日本の個性か、これがスコッチモルトの熟成感かと、愛好家に伝わるような美味しいウイスキーに仕上げたい。
果たしてその狙いは達成されたのか、限られた条件の中で可能な限り高い点数を目指したワールドエディション。楽しんで頂けたら幸いです。

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以下:余談
4月1日から開始される、私と、ALC.での抽選販売受付は、稲垣代表の趣味趣向が色濃く反映された、激ムズクイズが用意されています。
私と、ALC.抽選販売受付ページ:

https://wakatsuru.shop-pro.jp/?pid=167372090


公開されている4蒸留所とT&T TOYAMAからそれぞれ1問、計5問が選択式で出題されます。
誤解のないように補足すると、正答率が高い人から抽選で選ばれるのではなく、正答率が高いと当たりやすくなる、当選確率がプラス補正されるものです。全問正解でもハズレる可能性があり、正答率が低くても当たる可能性があります。
そんなわけで、これはちょっとしたゲームです。各蒸留所について調べる機会だと捉えて頂き、ぜひ奮ってご参加いただければと存じます。(難しい問題と思うかもしれませんが、冷静に選択肢1つ1つを考えてみてくださいね。)

ザ ラストピース ジャパニーズエディション Batch No,1 50% T&T TOYAMA

カテゴリ:
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THE LAST PIECE 
T&T TOYAMA 
BLENDED MALT JAPANESE WHISKY 
Japanese Edition Batch No,1 
EIGASHIMA, SAKURAO, SABUROMARU, NAGAHAMA…and SECRET DISTILLERY 
Blender: T&T TOYAMA(INAGAKI TAKAHIKO, SHIMONO TADAAKI),KURIRIN  
Cask type Bourbon Barrel 
One of 300 Bottles 
700ml 50% 

評価:―(!)

香り:トップノートは黄色系のフルーティーさ。注ぎたてはドライだが徐々にお香の煙のように柔らかく香る。パイナップルや柑橘、ハーブ、パンケーキを思わせる甘さと軽い香ばしさ。フルーティーさとモルティーな甘みにスモーキーなアロマがまじり、複層的なアロマを形成する。

味:膨らみがあってモルティーな口当たり。熟したパイナップルを思わせる甘み。合わせてほろ苦い麦芽風味とウッディネス、軽いスパイスと微かに干草。じわじわと存在感のあるピートフレーバーが顔を出し、スモーキーでビターなフィニッシュが長く続く。

熟成年数以上にまとまりがあり、若さを感じさせないフルーティーでスモーキーな構成。バーボン樽のオーキーなフレーバーと、各蒸留所の個性がパズルのピースのように組み合わさり、それぞれが主張しながらも1つにまとまっている。わずか3年熟成の原酒だけで、これだけのウイスキーを作ることができる、クラフトジャパニーズの将来に可能性を感じる1杯。テイスティンググラスでストレート、または少量加水をじっくりと楽しんでほしい。

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先日、T&T TOYAMAからリリースが発表された「THE LAST PIECE」。
世界初となる日本国内5か所のクラフト蒸留所の原酒を用いたブレンデッドモルトウイスキーで、ジャパニーズ仕様とスコッチモルトを加えたワールド仕様、2つのリリースが予定されています。
本リリースは、2022年4月1日(月)から購入希望者の抽選受付を開始し、2022年4月19日(火)発売予定となります。企画の背景、概要、販売方法に関する情報は以下をご参照ください。

公式プレスリリース:https://www.wakatsuru.co.jp/archives/3198
リリース告知記事:https://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1080141305.html


※私と、ALC.抽選販売受付:2022年4月1日12:30〜2022年4月11日23:59

https://wakatsuru.shop-pro.jp/?pid=167372090



日本国内の蒸留所の数は、建設が予定されているものを合わせると50か所、60か所と増え続けている一方で、単独で様々なウイスキーをつくるのは限界があります。
スコットランドでは、ブレンドメーカーやボトラーズメーカーが多数存在し、原酒のやり取りが当たり前にあり、中にはブレンド向け蒸留所として位置付けられている蒸留所もあります。それらが一般的ではない日本においては、今まさにその可能性が模索されている状況にあり、今回のリリースは日本のウイスキー産業に新しい事例、選択肢を作ることが出来たと言えます。

また、T&T TOYAMAはこちらも世界初であるジャパニーズウイスキーボトラーズであり、現在富山県内にウェアハウスの建設と、各蒸留所からの原酒の調達を進めています。
そのT&T TOYAMAとして初めてリリースされるジャパニーズウイスキーが「THE LAST PIECE」であり、まさにどちらも先駆者、世界初尽くしのリリースとなっています。

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今回、そんな記念すべきリリースにおいて、ブレンダーという大役を頂きました。
私はあくまで趣味としてウイスキーを楽しんでいる愛好家でしかありません。ならば、今回のブレンドはT&T TOYAMAの2名が生産者、販売者なら、自分は愛好家という立ち位置から求めている味わいを提案していこうと、原酒選定やレシピ構築のテイスティグ、ディスカッションに参加しています。

しかしこれまでブレンドレシピ構築は10リリース以上関わっていますが、今回はとにかく難しかったですね。
まず全ての原酒がバーボン樽熟成で、そしてどれも3年以上ながら短期間の熟成であったということ。
ブレンドにおいては、グレーン、あるいはシェリーやワインのような甘く濃い樽感など、モルト原酒の強い風味の間を繋ぐ要素の有無がポイントになります。
例えるなら、蕎麦打ちで言うところの小麦粉のような存在。今回はそれらの要素が一切無いなかで、バランスをとっていかなければなりませんでした。

また、今回使用した原酒と蒸溜所は
・江井ヶ嶋蒸溜所 ライトリーピーテッドモルト
・桜尾蒸留所 ノンピートモルト
・三郎丸蒸留所 ヘビリーピーテッドモルト
・長濱蒸溜所 ノンピートモルト
・非公開蒸留所 ノンピートモルト
という組み合わせ。
若い原酒であることも後押しして、それぞれがはっきりとした個性を持っていることも、各蒸留所においては強みである一方、ブレンドにおいては難しさに繋がりました。

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三郎丸のヘビーピートモルトのような、強い個性を主体としてブレンドを構築するのは解決策の一つなのですが、これはピートフレーバーで他の蒸溜所の個性を圧殺する構成であり、せっかく5か所の蒸留所の原酒をブレンドする意味がなくなってしまいます。
従って三郎丸蒸留所の原酒をガッツリ使うわけにはいかず、そうなると先に書いたようにバランスの問題が出てしまう…。

そうして調整を繰り返して仕上がったのが、今回のブレンドとなります。
三郎丸蒸留所のオイリーでどっしりとした酒質、ピートフレーバーを底支えにして、江井ヶ嶋蒸溜所の軽やかなスモーキーさ、桜尾蒸留所のフルーティーさ、長濱蒸溜所の柔らかいモルティーさ、そこに非公開蒸留所の個性と酒質がエッセンスとなったレシピ。

自分が”ジャパニーズブレンドらしさ”として考える、「十二単」のような艶やかで雅な雰囲気…とまではいかないものの、各蒸留所の個性が重なり合い、共演しつつも、まとまりのある味わい。パズルで最後のピースがはまり、一枚の絵画として新しい世界が広がった瞬間。まさに「THE LAST PIECE」の銘に相応しいリリースに仕上がったと感じています。

ちなみに、スコッチモルトを用いたワールド仕様のレビューも後日実施する予定ですが、そちらは純粋な美味しさ、ブレンドとしての完成度を見て貰えたらと思います。これも、様々な原酒を使うことが出来る日本のウイスキーだからできる、ウイスキー造りの方向性の1つです。
本リリースがジャパニーズウイスキーの将来に向け、新しい可能性に繋がることを期待しています。
→ワールドエディション Batch No,1のリリースレビューはこちら

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ザ ラストピース ブレンデッドモルトのリリースとスペース放送告知(4/1~ 抽選受付)

カテゴリ:
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ジャパニーズウイスキーボトラーズT&T TOYAMAから、世界初となる国内5箇所のクラフトウイスキー蒸留所の原酒を用いたブレンデッドモルトウイスキー「THE LAST PIECE」がリリースされます。

THE LAST PIECE 
BLENDED MALT WHISKY 
Japanese Edition Batch No,1 700ml 50% (限定300本)
World Edition Batch No,1 700ml 50% (限定800本)

Blender: TAKAHIKO INAGAKI, TADAAKI SHIMONO, KURIRIN 
Bottled By T&T TOYAMA 
発売時期:2022年4月19日(火)予定

※公式ニュースリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000031708.html

※リリース記念スペース放送
3月28日(月)21:00〜
配信URL:https://twitter.com/i/spaces/1lPKqmZeDanKb
スピーカー:T&T TOYAMA(稲垣貴彦、下野孔明)、くりりん
参考資料:本記事後半に記載

・江井ヶ嶋蒸溜所
・桜尾蒸溜所
・三郎丸蒸留所
・長濱蒸溜所
・非公開の国産蒸留所
世界初となる計5蒸留所の原酒を用いた、ブレンデッドモルト ジャパニーズウイスキーです。
また、これらの原酒に国内で追加熟成したスコッチモルトを加えた、ワールドブレンドも同時にリリースされます。販売は若鶴酒造のALCで、抽選販売(4月1日12:30受付開始、クイズ有り)を中心に行われる予定です。

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※3月25日に行なわれた記者会見風景。ニュース動画はこちら

公式発表にもありますように、くりりんがブレンダーの一員として参加させていただきました。(これまで同様に、監修料や販売にかかる利益等報酬は受け取っておりません。)
計画自体は1年以上前からT&Tの2名を中心に動いており、それこそ交換する原酒の選定などにも関わらせて頂いたところです。
ブレンダーとしての参加は、自分のテイスティング能力とこれまでのリリース実績等を評価いただいたとのことですが、本当に凄い経験をさせて貰いました。

リリースにあたっては、タイトルにもあるようにT&T TOYAMAの2名と当方でスペース放送を実施して、改めて企画の説明や狙い、そして裏話等をさせて頂きます。
例えば、ブランド名であるTHE LAST PIECEの由来にもなっている、ブレンドのトライ&エラーです。

今回の原酒は全て光るものがあり、今後の成長も見込めるものでした。しかしそれはあくまでシングルモルト、シングルカスクとしてリリースする場合であり、今回のようにブレンドするとなると、豊かな個性は必ずしもプラスにならない場合があります。
しかもジャパニーズエディションの構成原酒は、全て3年熟成でバーボン樽原酒です。シェリー樽の濃厚な香味でバランスをとるような事も出来ません。かといって、ピートを強くしすぎると他の原酒の個性が死んでしまう。とにかくバランスをとるのが難しかったですね。

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(ブレンド風景。ジャパニーズ、ワールドとも日本のクラフト蒸留所のポテンシャルを感じる事ができるレシピに仕上がった。)

THE LAST PIECEは、各蒸留所の個性をパズルのピースに例え、パズルが1枚の絵画となる瞬間、全く新しい魅力をもったウイスキーが誕生することをイメージしています。
各蒸留所の原酒の個性、混ぜ合わせたときの表情、ブレンドにおける最後の1ピースはどこにあるのか…。リリースを楽しみにしてもらえるようなエピソードを、スペースやブログ記事を通じて紹介していきたいと思います。

なお、本日3月25日はリリースに向けての記者発表が行われたわけですが。3月26日、27日のウイスキーフェスティバルでは、ブレンド直後のサンプルをT&T TOYAMAブースで同プレミアム会員のみに試飲提供するそうです。
気になる方は、ピンバッチをお忘れなく!

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※以下、スペース放送用参考資料※
THE LAST PIECE の紹介と、構成原酒を提供頂いた蒸留所に関する所感を以下の通りまとめます。
共通しているのが、若い原酒ながら熟成年数以上にまとまりがあり、どれもレベルが高いということです。
「またまた、忖度してるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、厳しめに見たとしても、どの蒸溜所の原酒もスコッチウイスキーで言うところの10~15年熟成程度のクオリティはあるものと感じています。

放送では、それぞれの原酒に感じた印象、ブレンドに使ってみた際の変化等も伺ってみたいと思います。そのため、原酒調達にあたって各蒸留所を回られたT&T TOYAMAの2人に私が色々質問をして、話を聞いていくような流れをイメージしています。


■THE LAST PIECEについて
ブランドネーミングの由来は上記の通りですが、少し異なる視点の話を記載します。
2021年にジャパニーズウイスキーボトラーズ事業を始めたT&T TOYAMAは、日本のウイスキー産業においてハブとなる存在を目指すという目標を持っています。
ジャパニーズウイスキー約100年の歴史(山崎の創業を起点とした場合)のなかで、日本には作り手がおり、蒸留所があり、それをリリースする酒販店も充実しています。しかし、スコットランドのように各蒸留所と繋がりのあるブレンドメーカー、ボトラーズメーカーが存在せず、また法律的な制限もあって、それらは非常に縦割り的で、組織を越えた横の繋がりは殆どありません。

これまでの時代であれば大手3社を中心に様々なウイスキーがリリースされ、少数のクラフトメーカーが尖ったリリースで愛好家を賑わす、そんなビジネスモデルが成立したところ。しかし今やそのウイスキーメーカーの数は創業予定のものを含めると60社を超える状況です。

如何に複雑な香味を持つウイスキーと言えど、そこまで多様性のあるものは出来ませんし、商品の製造だけでなく販売、広報にかかるコストは馬鹿になりません。
共存共栄を図って日本のウイスキー産業を更に大きなものとしていくためには、各社の間を繋ぎ、リリースを通じたPRも行う”ハブとなるメーカー”、つまりブレンドメーカーやボトラーズメーカーが業界におけるラストピースとなっています。

T&T TOYAMAには4月上旬完成予定の熟成庫があり、ここで原酒の熟成は行われていきます。
そして各クラフト蒸留所と連携し、交換、調達した熟成原酒を用いたリリースの第一歩が、「THE LAST PIECE」。彼らが目指す日本のウイスキー産業に込められた想いが結実した、ブレンデッドウイスキーであると言えるのです。

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Japanese Edition Batch No,1 700ml 50% (限定300本)
各クラフト蒸留所、3年以上熟成原酒をバッティング。

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World Edition Batch No,1 700ml 50% (限定800本)
各クラフト蒸留所の原酒を構成比率で半分以上使用。スコッチモルトは日本国内で追熟したものをブレンド。

■ラベルデザインについて
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ラベルデザインは、各蒸留所の個性がつながり、調和することをイメージして、日本の伝統工芸の一つである組子(くみこ)をモチーフに使用しています。
また、その組子の配置は細胞やDNAをイメージさせるようでもあり、これもまた繋がりと、そしてその繋がりが増えていくことで、新しい日本のウイスキーを形成することも意味として込められているそうです。

最初はパズルのピースでラベル案を作ったんですが、気がついたらめちゃくちゃスタイリッシュでカッコ良くなってました。やはりプロの技術は凄いですね。
組子は様々なデザインがあるので、今後リリースが続く場合はラベルは色違いだけでなく、異なる組子のデザインを用いていくそうです。

■構成原酒と蒸留所について
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①江井ヶ嶋蒸溜所
蒸留時期:2018年6月
度数:62.8%
系統:ライトリーピーテッド
樽:バーボンバレル

軽やかな麦芽風味にピリッとした舌への刺激、柑橘系のフルーティーさ、オークフレーバー、そしてじわじわと土っぽくピーティーな余韻。
同蒸留所の特徴として、ヘビーでフレーバーの力強い原酒とは対極にある、ライトで柔らかく、それでいて適度なコクのある原酒という印象。かつてはコシのないペラくて雑味の強い蒸留所という印象が、こうして単品で飲んでみるとその変化に改めて驚かされました。
先日リリースされた、三郎丸蒸留所とのコラボリリースFAR EAST OF PEATでも同様の役回りでしたが、今回のブレンドにおいても全体の繋ぎ、底支えとしていい仕事をしていると思います。


②桜尾蒸溜所
蒸留時期:2018年8月
度数:60.8%
系統:ノンピート
樽:バーボンバレル

ブレンドに向けてテイスティングをした際、いい意味で一番驚きがあったのがこの原酒でした。
個人的に桜尾蒸留所の原酒は、例えるならスコットランドのグレンマレイのように、プレーンで軽やか、しかし樽感を受け止めてフルーティーに仕上がる近年のスペイサイドモルトのようだと感じています。正直、もっと評価されていい蒸留所ですね。
今回の原酒はしっかりとオーキーなアロマ。軽やかでフルーティーかつナッティーな広がり。余韻がウッディでドライ寄りでもあったので、使う量には注意しなければなりませんでしたが、ジャパニーズ、ワールドともフルーティーな香味を形成する役割を担っています。


③三郎丸蒸留所
蒸留時期:2018年7月、8月
度数:63.1%、62.3%
系統:ヘビーピーテッド
樽:バーボンバレル

今回、三郎丸からは2種類の原酒が用意されていました。
どちらも三郎丸らしくどっしりとした重みのあるフレーバー構成は共通で、
63.1%のほうはモルティーで香ばしく、そして焦げたような強いスモーキーさ。
62.3%のほうはオイリーで微かにハーバル、スモーキーさの中に癖を残したような構成。
ピートフレーバーは前者のほうが素直で、一層際立っているのですが、今回のブレンドでは、後者62.3%の原酒をどう使いこなすかがポイントだったように思います。
三郎丸の原酒はとにかく強いので、使いすぎると全てのフレーバーを圧殺してしまいます。しかし、大黒柱となる存在が無いとブレンドは成り立たず、それぞれの個性が分解してしまいます。
いかにしてバランスをとっていくか…造り手に似てじゃじゃ馬です(笑)。

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④長濱蒸溜所
蒸溜時期:2018年7月
度数:59.9%
系統:ノンピート
樽:バーボンバレル

長濱蒸溜所の個性がしっかり出ていると言える原酒です。
香りはモルティーで微かにモロミの香り、穏やかな酸味とオーク香。味わいも柔らかくコクがある麦芽風味を主体として、余韻はほろ苦く軽い香ばしさが混じる。
バーボンバレル特有の華やかさはまだそれほど強くないため、5蒸留所の原酒の中では最も中立的なキャラクターと言えるかもしれません。まさに各蒸留所の繋ぎ役ですね。
今回はバーボン樽原酒ですが、くりりんは個人的に別リリース関連でワイン樽やシェリー樽原酒を使ったところ、どれも非常にいい仕事をしていました。


⑤非公開の国産蒸留所X
蒸留時期:2018年
度数:非公開
系統:ノンピート
樽:バーボンバレル

蒸留所側の希望により、完全非公開となります。私も一切コメントできません。
ただ、この蒸留所の原酒なくして、今回のブレンドレシピは成り立ちませんでした。
蒸留所の個性としてはジャパニーズ、ワールド、どちらのブレンドからでも感じることが出来ると思います。テイスティングに当たっては、各蒸留所の個性を紐解きつつ、どこの蒸留所かを予想しながら楽しんで貰えたらと思います。


⑥スコッチモルト各種
熟成年数:非公開
系統:ノンピート、ピーテッド
樽:シェリー樽、バーボン樽、ウイスキー樽

ワールド仕様のレシピに使われた、輸入スコッチ原酒です。(同仕様では、構成比率51%以上がジャパニーズ原酒です。)
国内で追加熟成された原酒が用いられ、かなりこなれているもの、日本的な個性・樽感が付与されているものがあり、ジャパニーズという枠を超えて可能性を感じるものでした。
今回のリリースでは、各蒸留所の個性と将来性を感じられるリリースがジャパニーズだとすれば、ワールドは日本だからこそ作ることが出来るウイスキーとしての可能性を感じられると思います。

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最後に、本リリースに関わったブレンダーの一人としての感想を。
日本のウイスキーはスコットランドをルーツにしていますが、現代においてはそれを完全に再現するのではなく、蒸留所毎に発酵や蒸留、そして熟成等で工夫し、各地の環境にアジャストして独自の個性を生み出しています。

例えば、温暖な日本においては樽感が強く出るため、基本的には熟成期間を短く設定しなければなりませんが、その分、長期熟成では失われてしまう原酒の個性が強く残ります。
結果、シングルモルトではそうした個性が強みとなり、現在進行形で評価を高めているわけですが。規模の限られるクラフト蒸留所単体で作る事が出来る原酒の種類、香味の幅には限界があります。
T&T TOYAMAが進めている各種プロジェクトは、まさに日本のウイスキー産業の将来を見据えたものと言えるわけです。

ただ…記事中にも書いたとおり、個性豊かなクラフト原酒のブレンドは、想像以上に難しかったですね(笑)。
これはリリースコンセプトというより、自分個人の想いとなりますが、今回のブレンドで表現したかったジャパニーズウイスキー観は「十二単」です。熟成を経たことで得られる重厚なウッディさと個性、これらが重なり合うことで生まれるウイスキーを、雅で艶やかな日本の着物独特の雰囲気に重ねています。

結果、十二単というよりは、単に着物の重ね着のような感じかもしれませんが、それぞれの原酒の個性が色彩となり、重なりあうことでこれまでにない味わいに仕上がったと思います。
最初の1杯は、是非テイスティンググラスでじっくりと、各蒸留所に思いを馳せながら楽しんでいただけたら幸いです。

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