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2022年07月

アンジュ・ジアール 15年 ウイスキーカスクフィニッシュ for モルトヤマ 59.1%

カテゴリ:
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ANGE GIARD 
CALVADOS 
Aged 15 years old 
Malt Whisky Cask Finish (8 month)  
Bottled 2021 
For Maltyama 
700ml 59.1% 

香り:カスクストレングス&ハイプルーフらしくはっきりと強く、その中に独特のこもったような甘酸っぱさ。シロップ漬けの杏や赤リンゴ、徐々にカルヴァドスとは異なる甘味と香ばしさ、キャラメルやバニラ系の樽香が顔を出す。

味:口当たりはコクがあってパワフル、ややドライだが林檎の蜜の甘みと、梅酒を思わせる粘性、ほのかな渋み。じわじわとほろ苦くウッディで、煎餅のような香ばしいフレーバーが混ざってくる。
余韻はハイトーンな刺激の中に熟成林檎酢の香りが鼻腔に抜けた後、ビターな中に蜂蜜を思わせる甘みが残る長いフィニッシュ。

カルヴァドスとしては中短熟という熟成年数で、単体としては若さというか奥行きにかける部分があるものの。カルヴァドスらしさにモルトの厚みと樽感が合わさった、リッチな仕上がりが特徴的な1本。林檎と麦、それぞれが出し得るフレーバーで、お互いに足りない部分を補うペアとしての強みが感じられる。
今の時期はストレートよりソーダ割がおすすめ。さっぱりとしてそれでいて飲みごたえがあり、通常のカルヴァドスソーダに比べて満足感も高い。

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ウイスキー専門店、モルトヤマが昨年リリースしたカルヴァドスのPB。
蒸留所(ブランド)はアンジュ・ジアールで、ここは自社蒸留ではなく、他の生産者や農家が作った原酒を買い付けて熟成してリリースしている、カルヴァドスのボトラーズと言えるメーカー。
モルトヤマからはこれまで2種類のカルヴァドスPBがリリースされており、今回のリリースは14年以上熟成させたカルヴァドスを、モルトウイスキーを熟成していた空き樽で8ヶ月間フィニッシュした、ボトラーズらしいリリースであると言えます。

樽の素性は明らかになっていませんが、比較的樽感とモルトの香味が強いこと。シェリー系の香味は感じられないことから、樽感が強く出るフレンチオーク系の新樽で熟成していた、若い原酒を払い出した後のものではないかと予想します。フランス国内には蒸留所が約80ヶ所あるそうですから、そのあたりのものが使われていても違和感はありません。
また、ボトリング本数533本から払い出し時の欠損を1割と考えると、原酒の量は約400リットル。8ヶ月の追熟ですからエンジェルシェアはほぼないでしょう。ホグスヘッド以上、バット未満と中途半端なサイズとなるため、バレルサイズでの2樽バッティングの可能性もあります。

このようにユーザー側からすれば謎の残るスペックですが、1本丸っと飲んだ感想として、その品質は間違いのないものと言えます。
元々ベースとなるカルヴァドスが、多少癖強めの酒質にカスクストレングス。パワフルでドライな男性的な味わいであるところ。そのままだと通好みな1本となっていたものが、モルトウイスキーカスクのフィニッシュでいい塩梅に繋ぎとなる樽感増し、そして厚みのあるモルティーでねっとりとしたフレーバーが付与されており、前述のドライさが軽減。樽感強めで甘みと“らしい”フレーバーが両立した、遠目で見ると疑似的なオールドカルヴァドスとも言える仕上がりになっていると言えます。

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味にうるさい自分の知人に仕様を伏せて飲ませてみたところ、「あーこれ美味しい時代のカルヴァドスの味がする」といってグビグビ飲んでいたので、モルトウイスキーの個性は言わなきゃわからないくらいに融合しているなと(逆に意識すると、とても解る)。
ただ、このリリースは度数59.1%と中々に強敵です。熟成年数も決して長熟ではないので、ハイプルーフを飲み慣れない人にいきなりどうぞと言っても難しく。まして万年嫁募集中のモルトヤマさんよろしく、レディーキラーに使おうというのも無理な話ですが、そこは常に獲物を狙う男、おすすめはソニックだそうです。

ブランデーの類ってストレート以外でどう飲んでいいかわからないという声を聞きますが、お湯割、ソーダ割、そしてソニックと、実は結構自由にアレンジして良いものなのです。
かつてスコッチウイスキーにショットグラスというイメージがあったように。前時代的なブランデーグラスで、ペルシャ猫膝に乗せてバスローブ姿でくるくるというイメージが先行しちゃってる影響ですね。(下の画像のような…)
個人的に、このジャンルでのソーダ割りは甘いは美味い、そして適度な酸味を好む日本人の趣向にマッチしており、ウイスキーハイボールを越えるポテンシャルを秘めていると感じています。
実際、今回のボトルも6月以降ソーダ割が進む進む。。。気がついたら先日天に還っておりました。

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近年、熟成したウイスキーの高騰から、特に1万円前後という愛好家が手を出しやすい価格帯において良質なリリースを実現しようと、ウイスキーだけではなくラムやコニャック、そしてカルヴァドスなど様々な酒類への横展開が行われています。
長期熟成ウイスキーにあった熟成感や、かつてのウイスキーにあったフルーティーさ、類似の個性を、なるべく手頃な価格帯で実現しようという視点からの試みで、それこそスコッチモルトウイスキーソサイエティからラムやジンがでる時代。今やこうしたリリースは珍しくなったと言えます。

その中で、モルト専門店のチョイスしたカルヴァドス。やはり我々に対して「こういうの」というメッセージを感じるものです。本数の多さからまだ購入出来るようですが、家に一本あって困らない、チビチビ、ぐいぐい飲んでいける。価格的にも内容的にも良いリリースだと感じました。ご馳走様でした!

バルヴェニー 8年 1970年代流通 43% 

カテゴリ:
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BALVENIE 
PURE MALT WHISKY 
Over 8 Years 
1970’s 
750ml 43% 

評価:★★★★★★(6)

【ブラインドテイスティング】
蒸留所:グレンアラヒー、グレンフィディック
年数:12年程度
樽:アメリカンオーク系のプレーンカスク
度数:43%
その他:1970〜1980年代流通あたりのオフィシャルオールドボトル

香り:穏やかな香り立ち。モルティで土っぽさを伴う古典的麦芽香から、微かに林檎や柑橘(オレンジというよりは文旦、ジャクソンフルーツ系)。薄めた蜂蜜。少し若い原酒なのか、ピリピリと鼻腔を刺激するアタックもある。

味:使い古したアメリカンオーク樽での熟成と思しきプレーンな甘さと程よい華やかさ。加水で整えられた柔らかく素朴な麦芽風味は、ホットケーキや洋梨の果肉のような白い甘さ、柑橘系のフルーティーさがあり、余韻にかけては香り同様の刺激に加えてほのかにピーティー、土っぽい要素とほろ苦さが全体を引き締める。

幾らでも飲めそうな、しみじみうまい、癒し系のオフィシャル加水のオールドボトル。麦芽由来の甘さに厚みがあり、ピート香と合わせて地酒的というか田舎的というか、古き良き時代のハイランドモルト。こういうボトルを飲むと、下のラベルに書かれたような景色がイメージされて、ふと郷愁に駆られてしまう。

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今回のブラインドボトルは、以前、関内のBAR Old⇔Craft の米本マスターから出題いただいたものです。自分が所有していた5リットルのミニ樽を貸した際のお礼、ということで。飲み残しがあったのでレビューがてらサクッと掲載します。

バルヴェニー蒸留所はグレンフィディックと共に、ウィリアムグランツ(WG)社傘下の蒸留所。グレンフィディックに隣接する場所に建設され、第二蒸留所という位置付けながら、モルティング設備や大規模な熟成庫、ウイスキーの需要増と共にポットスチルも8基まで増設するなど、ウィリアムグランツ社におけるウイスキー生産の中核的な機能を有する重要な蒸留所となっています。

長らくグレンフィディックがシングルモルトを中心にリリースし、バルヴェニーはグランツなどのブレンデッド向けという位置付けでしたが、1973年にシングルモルトを初リリース。
最近はシングルモルトの需要増でバルヴェニーの人気も増えはじめてブランドを確立しており、結果、WG社ははブレンド向け蒸留所としてアイルサベイを建設・稼働することとなり、ますますシングルモルトリリースに比重が増えているという傾向があります。

今回の出題ボトルは、その1973年にリリースされた、同蒸留所における初期リリース時代のラベルとなります。
ボトルも当時のグレンフィディックと同じものが流用されており、ラベルはシンプルで・・・というかWG社が当時リリースしていた各ブランドから比較すると明らかに間に合わせ感のあるもので。フィディックが人気だからとりあえず出してみよう、また、仕上がり(樽使い)も独自路線でなくフィディック系統で良いだろう。だからグランツ向けのプレーンオーク熟成のものからバッティング・加水して出しておけ、そんな空気感すら漂ってくるようです。

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(同時期流通のグレンフィディック10年 JAPAN TAX付き(右)と、今回のバルヴェニー8年。飲み比べが面白そうに見えるが、当時にフィディックは闇落ち時代、1960年代前半の原酒を使っており激しくパフューミーであるため注意が必要。)

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(バルヴェニー シングルモルトリリースのラベル系譜。右の初期リリースから、1980年代のファウンダーズリザーブ、10年、そして1990年代には現在に通じる形状のデザインとなる。1970年代だけ明らかにやる気が…というのは気のせいだろうか。)

バルヴェニーのオールドというと、個人的に1980年代リリースからシェリー系の印象が非常に強く。今回のブラインドではオールドのオフィシャルで、酒質が麦系暑く甘め、ほのかなピートの当時らしい内陸系という整理からでは、悔しいかな正解まで導くことができませんでした。
むしろ、パフューム時代を抜けたグレンフィディックの1970年代後期、1980年代流通あたりのボトルに通じるところが多く、このあたりは同じ傘下の蒸留所と考えたら納得できるところですが、ラベルもハウススタイルも、キャラクターが定まっていない時代ゆえのリリースと言えるのかもしれません。

一方で、バルヴェニーは何もブレンド向けのプレーンな原種ばかりを作っていたのではなく、この1970年代あたりからシングルモルトを意識した樽使いを始めるのか、後のリミテッドリリース、TUN1401といった長期熟成原酒各種で非常に良質なリリースを重ねて、ブランドとしても確立していくこととなります。
とするならば、このシングルモルト8年は、現代のバルヴェニーへと通じるターニングポイントにして、始まりの1本。日本市場でもなかなか見かけないボトルであり、貴重なものをテイスティングさせていただき感謝ですね。
ただでさえ、米本マスターからはちょっとアレなブラインドを出題されることが多かったので(笑)

ジョニーウォーカー 15年 グリーンラベル 43% 2021年以降流通品

カテゴリ:
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JOHNNIE WALKER 
GREEN LABEL 
Aged 15 years 
Blended Malt Scotch Whisky 
Talisker-Linkwood-Cragganmore-Caolila 
700ml 43% 

評価:★★★★★★(6)

香り:華やかなオーク香に、蜂蜜やバニラ、ほのかに洋梨を思わせる甘い麦芽香が混ざるリッチなアロマ。微かにスモーキーな要素も感じられるが、香りでは味以上にアメリカンオークと麦芽感が主体。

味:口当たりはマイルドで、甘い麦芽風味と合わせてスパイシーなオークフレーバー、微かに青みがかったニュアンス。徐々にほのかなピートフレーバーが後を追うように現れ、まず鼻腔にピートスモークと焦げたような香りが届き、その後余韻を引き締めるようなほろ苦さ、ウッディネスがバランス良く感じられる。

しっかりオーキーでモルティー。近年のトレンドと言える華やかでフルーティーな香味の中に、ほのかなスモーキーさを伴うバランスの取れた構成。モルト100%は伊達じゃなく、ストレートでも飲みごたえがあり、ブレンデッドにありがちな使い古された樽のえぐみ、枯れ感もなく、純粋に熟成した原酒の複雑さも楽しめる。これで4000円前後というのは、下手に同価格で12年熟成のシングルモルトを買うより良い買い物ではないだろうか。
ハイボールにすると各原酒の個性がばらけ、特にピートフレーバーを感じやすくなる。ステアしながら柔らかく立ち上るオーク香とスモーキーさが、お疲れ様の1杯への期待を膨らませてくれる。

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気がついたらラベルチェンジしていた、ジョニーウォーカーシリーズ。2020年ごろですかね。今回のレビューアイテムであるグリーンは旧ラベルを下に貼っておきますが、白地を加えたことで程よくスタイリッシュになったというか、個人的には前のラベルよりも好みです。

で、ラベルが変わったということは味も変わっています。
大きくはテイスティングの通り、従来のモルティーな甘みと味わいはそのまま、バーボン樽(あるいはアメリカンオーク樽)の香味が増して、わかりやすく華やかになったこと。さらにジョニーウォーカーというと、タリスカーやカリラという印象が強く、旧ラベルのグリーンはプレーンな原酒に由来する古い樽のえぐみや、タリスカー系の個性が主張していましたが、このブレンドは一層内陸&バーボン樽メインな構成へと変化しており、旧ラベルよりもバランスが良くなっていると感じます。

ラベルに書かれた4蒸留所からレシピを予想するなら、アメリカンオーク樽熟成のリンクウッドやクラガンモアが8〜9で、そこにタリスカーとカリラを合わせて1〜2といったところ。
軽くなった近年の内陸原酒では複雑さを出しにくいところ、強すぎると他の原酒を喰ってしまうピーティーな個性をバランスよく加え、複雑な味わいとして感じさせてくれるのは、流石大手のブレンデッドモルトという完成度。下手なシングルモルトより満足感の高い1本に仕上がっています。

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(旧ラベル、2016年に終売から復活したグリーン15年。この頃はジョニーウォーカーシリーズに共通してえぐみのような癖があり、個人的には好きになれない要素だった。)

以前Twitterかどこかで、白州が買えない人はジョニーウォーカーグリーンが代替品になるなんて話を見たことがあり。
いやいや流石にそれは厳しいでしょと、香味の傾向が違いすぎると思っていたのですが、バーボン感増し&内陸主体個性の新ラベルを飲んで見ると、わからなくもないなと。
元々白州はバーボン樽熟成のハイランドモルト系の香味に近い個性をしているので、NASや12年あたりの代替と考えるなら、価格的にも悪いチョイスじゃないかもしれません。

ただ、ここまで評価してきてハシゴを外すようで申し訳ないですが、悩ましい点がないわけではありません。
それはバランスが取れているといっても、やはりブレンデッドモルトであること。10割蕎麦と二八蕎麦では繋ぎの入った二八蕎麦のほうが喉越しが良いように、ジョニーウォーカーでは同じ価格帯で販売されているブレンデッドのゴールドラベルのほうが、全体としての一体感は高く。特にロックやハイボールにするならブレンデッドの方に強みがあります。
また、個性と飲みごたえ重視でストレートで飲んでいくにしても、愛好家勢は家飲み用に5000円以上で一層熟成感や個性のあるシングルモルト、ボトラーズを買ってしまうでしょうから、実はちょっと半端なグレードになってしまっているのかも。。。

旧グリーン→新グリーンの比較では、新グリーンの方が良くなってると言えますし、トレンドも押さえた良いブレンデッドモルトだと思うので飲めば面白い一本ですが、シリーズや市場全体を見た場合どうしたものか。
ああ、帯に短し襷に長し…

アマハガン✖️まどろみバーメイド コラボボトル 第2弾&第3弾

カテゴリ:
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NAGAHAMA DISTILLERY  
AMAHAGAN ✖️ まどろみバーメイド 
2nd 伊吹騎帆 World Malt Whisky 47%
3rd 陽乃崎日代子 World Spirtis 43%


昨日に続いて、今日もAMAHAGANです。
6月にリリースされた、まどろみバーメイドとのコラボボトル2種。まどろみバーメイドについては、今の時点では読んだことがある人には説明不要でしょうし、読まれたことがない方には、カクテルメインのバーテンダー漫画(女性なのでバーメイド)とだけ、理解して次に進んでもらえれば良いかなと。
そう、このブログの主役はお酒。サンプル頂いてテイスティングしてみたら、正統派&自由奔放でなかなか面白い構成だったのです。

漫画やアニメとのコラボは賛否両論あるモノですが、大前提として確立したブレンド技術の上で、それでいてジャパニーズウイスキーとして売るようなことさえしなければ、これもまた日本だからこそ作ることが出来る新しいお酒の形なのかなと考えています。(今やどちらもCOOL JAPANですし。)
今年2月、先立って第1弾としてリリースされたまどろみバーメイドコラボウイスキー「月川雪」も味的に悪くなく、何よりこのシリーズには共通してリリースとラベル(登場人物)に関連するレシピや背景情報があり、そこが納得感にも繋がっているのです。

今日はその辺りも踏まえて各リリースを紹介しつつ、第2弾と第3弾が同時に出た意図として、原作でも度々テーマとなるアレンジ(ツイスト)にも触れていきたいと思います。

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(コラボシリーズ第1弾としてリリースされた、主人公・月川雪をラベルに採用したAMAHAGAN。ワイン樽原酒2種類を使い、ふくよかに仕上げられたブレンデッドモルト。)

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AMAHAGAN✖️まどろみバーメイド
第2弾 伊吹騎帆 World Malt Whisky
700ml 47%


冒頭、2種類のリリースを正統派&自由奔放と書きましたが、この第2弾は正統派路線のブレンデッドモルトウイスキー。
AMAHAGANらしいケミカルなフルーティーさと乾いた麦芽風味、そこにシェリー樽由来のコクが繋ぎになって、決して比率は多くないでしょうが全体のバランスを整えています。

余韻はクリアでモルティーな香ばしさと甘みが残る感じですが、従来のアマハガンのPBだと黄色系のフルーツ、パイナップルといった感じの味わいが強調されるものが多いところ、これはほのかにビターなピートのアクセントと、モルティーな感じが強調されているように思います。
ひょっとすると、いくつかの原酒はこれまでのAMAHAGANに使われているものとは違う原酒を用いているのかもしれません。

ラベルに描かれているのは、まどろみバーメイドの主要登場人物3人のうちの1人、伊吹騎帆はホテルのBARで働くしっかりキッチリタイプのバーテンダー。公式コメントでは、面倒見の良い姉御肌の性格で、包み込むような優しさとシェリー樽の個性が...と解説されていますが、個人的には第1弾の月川雪の時のようなワイン樽原酒ではなく、後述する第3弾の陽乃崎日代子のスピリッツブレンドでもなく、あえて王道的なスコッチスタイルの樽構成、原酒構成で造るところに、その雰囲気、キャラクターが現れているようにも感じています。
そして根っからのオーセンティックBAR & ウイスキー愛好家の自分にとっては、この構成こそが逆に心落ち着く味わいでもあったりします。

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AMAHAGAN✖️まどろみバーメイド
第3弾 陽乃崎日代子 World Spirits 
700ml 43%


続いて第3弾が自由奔放なブレンドスピリッツ、陽乃崎日代子です。
なぜ香味の印象が自由奔放なのかというと、表記でSpiritsとあるように、これはAMAHAGANに使われる輸入原酒を含むウイスキーに、沖縄・新里酒造の熟成泡盛ベースのリキュール(ステンレスタンク3年の後、アメリカンオーク樽で7年以上熟成した泡盛に還元水飴を添加してリキュールとしたもの)をブレンドした、ウイスキーという枠に囚われていないお酒であるためです。

香りからして通常のAMAHAGANとは明らかに異なる構成。濃縮したオーキーさ、華やかさと泡盛系の個性を感じて、ウイスキーを思ってノージングすると「!?」となることは間違いないのですが、味わいはさらに奔放。
プレーンなモルティーさ。そこにのっぺりとした黄色系シロップの甘さと泡盛の癖、オーク感が混ざり、口当たりや質感はリキュールに近いというもの。
以前、新里酒造やヘリオス酒造がリリースした泡盛とウイスキー原酒のブレンドはもっと泡盛していて、これはなんか泡盛だねって素直に思えたのですが、今回のは言わばカクテルの原液であり、これをアマハガンブランドで作ってしまう自由さ、味わいからくる奔放さ、まさに自由奔放なお酒であるのです。

なお、これが原作にどう絡むかというと、同著の主要登場人物の1人、陽乃崎日代子は、パフォーマンスを行いながらカクテルを作るフレアバーテンダーを職業としており、公式コメントでは天真爛漫な性格と既存の枠に当てはまらないアイディア等からという位置付けがされています。
このレシピと登場人物の掛け合わせに違和感はないのですが、既存の枠に当てはまらないお酒のアレンジと言えば、主人公である月川雪の代名詞「ツイスト」であるところ。
陽乃崎日代子は設定上名家の出身で、そのしがらみから飛び出して自分の生き方を模索していたり。カクテルの技術は原作中でダメ出しされるところはあるものの、あざとく自分の個性をアピールするところなんかも、ああこのレシピはコイツだわと思えるポイントなのかもしれません。

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さて、最後に今回のリリースが2種類同時に出た狙いについて。
ことの発端は長濱蒸溜所社長が、新里酒造から泡盛を調達したところから始まります。コンセプトが決まって漫画著者・早川パオ氏にラベルを依頼したものの、それ以上にブレンドで苦労することになったのが「アレンジ」でした。

今回のリリース2種は、それぞれを混ぜてユーザーが「アレンジ」を楽しめるようにブレンドレシピが調整されています。
上の画像のようにラベルまたは箱を2つ合わせると、伊吹騎帆がサーブしたブレンデッドモルトに、陽乃崎日代子がワールドスピリッツを加えている構図になるわけですが、著者に長濱蒸溜所から出たお題は「単体でも成立し、混ぜても飲めることが一目でわかるもの」というざっくりしたもので。
その後、長濱蒸溜所の伊藤社長曰く「想像以上の作品が出てきて焦った。めちゃくちゃ気合い入ってた」というのが今回のラベル画像となります。で、泡盛とウイスキーです。しかも異なる2種類のレシピとのブレンドを想定するのですから、屋久さん、大変だったろうなぁ…(遠い目

ただ、この2種に感じた口当たりから余韻までの変化を形で表すと、第2弾が凸、第3弾が凹という感じで。案外喧嘩しないんじゃないかなとは思っていました。
実際ブレンドしてみると、第3弾のワールドスピリッツにあったのっぺりとした甘さが、第2弾にあるシャープな麦感とフルーティーさに合わさってくる。泡盛リキュールにあったであろう濃いめのオークフレーバーや癖もアクセント程度となって、これは確かに面白いかもしれないなと。原作を思い起こしつつ、2粒で3度美味しい、そんな味わいを素直に楽しませてもらいました。


余談:新里酒造がなぜ大量の泡盛リキュールを持っていたかというと、以前リリースした新里ウイスキー(泡盛と輸入原酒のブレンド)用に仕込んでいたものと思われます。
このリリース、コロナの影響もあったと思いますが、自分の記憶では初動以降はあまり話題にならなかったというか、店頭で見かけなかった印象があり。。。
ウイスキーは熱意があれば作ることができる。しかし問題は売ることが出来るかだ。という言葉が思い起こされました。
アレンジも大事ですが、それはやはり守破離の守。カクテル同様に基本となる技術があって、そしてそれが対外的に評価されてから、ですね。

アマハガン ハンドフィル 蒸溜所限定品 62% ”Recommend for Highball”

カテゴリ:
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AMAHAGAN 
World Blended 
Edition Hand-filled 
”Recommend for Highball”
Cask type Sherry 
Bottled 2022 
500ml 62% 

評価:★★★★★(5)

香り:ツンとして鼻腔に強い刺激を伴うクリアなトップノート。薄めたキャラメル、焦げたオーク、ほのかにドライプルーンのような甘さも感じられる。

味:香り同様にピリピリとした刺激が口内にありつつ、味はしっかりと樽由来の甘み、ケミカルな要素があり、焦げたキャラメルのほろ苦さ、ほのかにグラッシーでニッキのようなスパイシーさが余韻に繋がる。

蒸留所限定ブレンドの一つ。ブレンドの主体は5年程度と思われる若い内陸原酒で、香味とも刺激は残るが、それ以外に樽や原料由来の甘さ、ウッデイネス、各種フレーバーはそう悪いものではなく、未熟香もほぼ感じられない。そのため、推奨されているハイボールにするときれいに伸びて、軽やかな飲み口からチャーした樽の風味をアクセントに、余韻にかけてドライフルーツの甘みが程よく感じられる。
何より購入までの行程で楽しめる、エンターテイメントとしての魅力が素晴らしい。各クラフトもこうした取り組みをもっと実施してほしい。

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長濱蒸溜所で販売されている、蒸留所来訪者向けのオリジナルAMAHAGAN(アマハガン)。
アマハガンについての説明は不要かと思いますので割愛しますが、既製品のそれと異なるレシピでブレンドしたものをオクタブサイズのカスクに詰め、蒸留所内で追加熟成している商品です。
今回、ウイスキー仲間からお土産としていただいたのでレビューを掲載します。

ロットや原酒の切り替わりで名称も変わっていますが、今回のは”Recommend for Highball”
ベースとなるブレンドは、比較的若い輸入モルト原酒に長濱のモルトをバッティングし、プレーンでアタックが強く、それでいて品の良いフルーティーさを感じる構成。ストレートだとアタックが多少強く感じられますが、ロックやハイボールなら、そうした刺激が落ち着いて穏やかに楽しめるというレシピとなっています。

また、そのブレンドをオクタブのシェリーカスクで追加熟成。シェリーカスクというと色合いの濃さと香味への強い影響を予想されるかもしれませんが、樽事態はそれなりに使い古されているので、リチャーした樽材由来の香ばしく焦げたようなウッディさがある反面、シェリー樽でイメージする感じは前面に出ない、程よく付与された仕上がりとなっています。

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このシリーズの面白いところは、単に蒸留所限定品というだけではなく、その購入方法、手順にあります。

元々スコットランドの蒸溜所では、ハンドフィル、またの名をバリンチとして、蒸留所のビジターセンターで購入者が樽から直接ボトリングし、蒸留所限定のウイスキーを購入できるシステムがあります。
そのシステムを、日本の酒税法下でできる範囲で踏襲したのが、このAMAHAGAN Hand Filledになります。
写真付きで購入までの流れを紹介していきます。

handfill_note
①購入希望者は蒸溜所側の購入履歴ノート、ラベルにその日の日付、購入者の名前等を記載。

amahagan_bottling
②500mlのボトルに樽から直接ウイスキーを詰める。

amahaga_label
③最後に、ラベルを貼って、キャップに封をして、お買い上げ。

というのが一連の流れ。
既に課税した限定ウイスキーが樽に詰められていて、それを量り売りで販売しているということではあるのですが、記帳、ラベルサイン、ボトリングという本来済ませておける作業、実施する必要のない管理(記帳)を、あえて購入時にお客さんの手で行うことで、特別感が得られるのです。
だって、蒸留所を見学しにきて、そこのオリジナルウイスキーがあるだけでも嬉しいのに、一連の流れを経験したなんて、普通に楽しすぎるでしょう。まさにエンターテイメントです。

なお、樽の中身は完全に払い出さず、少量残った状態で次のロットやレシピに加えている、所謂ソレラシステム的な運用がされており、ウナギのたれのように徐々に味わいが複雑に、奥行きを持っていくことも期待できます。
長濱蒸留所でハンドフィルの販売が始まったのは2020年あたりから。そこから何度もロットが切り替わる息の長い企画となっており、その成長や限定レシピの登場がファンの間では蒸留所訪問時の楽しみの一つとなっています。
中には成熟したハンドフィルを買うために、定期的に蒸留所を訪れる猛者もいるそうです。

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(ブレンドの熟成状態を確認する屋久ブレンダー。今回のロットが終わりそうなので、次のブレンドをどうしようか…とレシピを模索されている。Photo by C)

現在、日本各地にウイスキー蒸留所が創業し、その数は将来60カ所を超えるとも言われています。
そんな中で、大きくはピートの有無、樽感の違いでしか味わいに変化をつけることが出来ないウイスキーは、香味だけで60種類も明確な違いや注目されるブランドを作れるかと言ったら、それはかなり難しいと考えます。

勿論そうした努力は必要で、高品質でこだわりのウイスキーを作るという1点でブランドを確立できれば良いですが。
例えば地域観光と結びつけるローカル色や、体験型のエンターテイメント色、あるいは横のつながりで他のメーカーとの連携など、ウイスキーの味以外で愛好家を惹きつける取り組みが今後一層必要になってくるのではないかと思います。
値段と香味は大体同じだったら、あるいは多少高くても、買うのは思い入れがあるところ。となるのが人(オタ)の心情というものです。

その点、長濱蒸留所は本当にそこを上手く掴んでくるんですよね。
社長がアイディアマンで、良いと思ったものはガンガン取り込む、意思決定から実行までがめちゃくちゃ早いというのもあります。このハンドフィルだけでなく、先日の長濱フェスもまさにその一例です。あれの企画って動き出したの。。。(ry
現場はめちゃくちゃ大変だと思いますが、でもそれは間違いなくファン獲得につながって、ブランド向上につながって、5年後、10年後の自分達を後押しする原動力になるのです。
長濱蒸留所だけでなく、多くのクラフト蒸留所でウイスキー以外の要素も含めて様々なアイデアが実行されて、愛好家を増やしてくれれば良いなと思います。

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オマケ:7月17日(日)、社長の企画思いつきで開催された長濱ウイスキーフェスでは、蒸留所前でひたすら焼き鳥を焼く同氏の姿があり。イベント後は各社との繋がりや原酒調達のため、スコットランドに旅立ったという。改めて記載すると、同氏は長濱浪漫ビールの社長であり、全国規模の酒販店リカーマウンテンの社長でもある。

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