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2020年01月

グレンエルグ 12年 ピュアモルト1990年代流通 43%

カテゴリ:
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GLEN ELG 
AGED 12 YEARS 
Pure Malt Scotch Whisky 
1990's 
750ml 43% 

グラス:国際規格テイスティング
時期:不明
場所:お酒の美術館 神田店
評価:★★★★★(5)

香り:ややドライでハイトーン。バニラや洋梨を思わせる麦芽の甘さに、カシューナッツ、青竹のような植物っぽさを伴うウッディさ。単調気味だが嫌みな要素は少ない。

味:香り同様にドライな麦芽風味。軽いスパイシーさとこちらも若竹のような青みがかったニュアンス。
余韻はクルミの薄皮を思わせるようなほろ苦さに、ウッディで微かにオーキーな華やかさが感じられる。

樽感はあまり強くなく、プレーンでやや癖のある麦芽風味が主体のピュアモルト。ディーンストンメインと言われても違和感はない。またそこに中性的なハイランド(あるいはスペイサイド)モルトを加えたような構成。決して悪くはないが、麦芽風味主体のなかでそれが分厚いわけでもない、ちょっと中途半端なボトル。ストレート以外にハイボールなどで。

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1990年、ディーンストン蒸留所を買収したバーンスチュワート社がリリースしたピュアモルト。先日紹介したグレンエルグ17年のスタンダードグレードに辺り、こちらは比較的多くのボトルがリユース市場で見られます。

構成原酒については不明ですが、まずこの風味、癖のある麦芽感はディーンストンでしょう。(あるいはタリバーディンとかそういうマイナーどころですが、繋がりがない。)
ディーンストン蒸留所は1982年に閉鎖されており、上記買収にともなって1年後に再稼働するわけですが。時期的には閉鎖前1980年前後の原酒を使い、そこに他社から調達した内陸の癖の少ないモルトを加えたものと推察
大半がブレンド用のモルトなのか、サードフィル以降のプレーンな樽で熟成していたのかと思えるくらいに樽感は淡く、プレーンオークで感じられるやや青みがかったようなニュアンスがドライな香味の中に備わっています。

数が多いことと中身が不明なこと、味も特別ななにかがあるわけではないため、プチオールドなジャンルに入るピュアモルトでありながら、そこまで価格が高等していないのも本リリースの特徴。まあ確かにこの辺買うならグレンフィディック12年の90年代とか買いますね(汗)。。。
特別悪くはないが、良くもない。結果特別選らばれる要素もない・・・不遇な子。ああ、こういう個性なんだと経験値にするか。
17年にあったような武器(シェリー感)が無いのが、辛いところですね。

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(グレンエルグ 17年 ピュアモルト。こちらも麦芽風味に癖があるというか、ひっかかりのある味わいだが、シェリー感がオールド好きの琴線に触れる要素を備えており、この点が強みである。レビューはこちら



シーバスリーガル 18年 ミズナラカスクフィニッシュ 43%

カテゴリ:
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CHIVAS REGAL 
AGED 18 YEARS 
MIZUNARA CASK FINISH 
BLENDED SCOTCH WHISKY 
700ml 43% 

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1ヶ月程度
場所:新宿ウイスキーサロン
評価:★★★★★★(6)

香り:華やかだがウッディさを強く感じるややドライな香り立ち。熟成したスペイサイドモルトを思わせる、林檎の蜜や洋梨などのオーキーなフルーティーさに加え、カステラの茶色い部分、クローブやニッキのような若干のスパイス香がアクセント。

味:スムーズな口当たり。含み香に若干の若いミズナラっぽいスパイシーさと干し草、オーキーな華やかさが感じられた後、キャラメルのようなクリーミーさと甘味がビターなウッディネスと共に舌の上に広がる。
余韻は渋味とオークの華やかさが主体。程よくドライで染み込むように長く続く。

フィニッシュの影響もあってか、ウッディでオーキーな仕上がり。ベース部分には従来のシーバスリーガル18年にもある、アメリカンオーク系統の黄色をイメージさせるフルーティーさ、素直なブレンド。そこに焦がした木材のエキスを思わせるような色濃い要素、若干のスパイス香が合わさっている。
12年よりもリッチで分かりやすい味わいで、ロック等の飲み方も悪くなさそう。ただしあくまでもシーバスリーガルである。恐らく愛好家の思い描くミズナラ感は少ない。

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先日、日本への贈り物として新たにリリースされたシーバスリーガルの日本市場限定品。昨年から仕様違いの免税向けはありましたが、いよいよ一般市場向けとして発売されました。
シーバス・ミズナラといえば、2013年に発売された12年熟成のものがあります
しかしこれは、ブレンドを作る際のマリッジカスクの一部をミズナラ樽で行ったもので、ミズナラっぽさが感じられるか・・・というと、正直自分の味覚嗅覚では困難なレベル。
ただ品の良いオークフレーバーはあり、通常の12年より1ランク高いクオリティがあるブレンドでした。

そして、今回リリースされた18年。これは12年同様、日本の有明産業からミズナラ樽が調達されてフィニッシュに用いられているものだそうです。
100%ミズナラカスクでのフィニッシュなのかどうかは、詳しい話を聞いていないためわかりませんが(名古屋フェスとかでセミナー出た方、教えてください)、100%であっても1st fillのみではないというか、ウッディさのなかにこなれた印象もあり。。。
いずれにせよ、ベースのウイスキーの熟成年数もあって、樽要素そのものの比率の高さを感じる強めのウッディネスが備わった仕上がりとなっています。

ミズナラ樽はエキスの出が早く、ウッディななかにスパイシーさを伴う、独特な樽香が付与される傾向があります。一方で、全てがサントリーの山崎や響にあるようなオリエンタルなフルーティーさに仕上がるわけではないのも特徴で、特に短期間の熟成だとフルーティーさがでないものが多い。結果蒸留所によってはバランスをとるためミズナラヘッド(鏡板のみミズナラ、側面はアメリカンオーク。フルーティーさは後者由来を狙う)で熟成させるところも増えてきています。

今回はベースのブレンデッドが通常の18年とはそう大きく変わらない、スペイサイドモルト主体のオーキーなフルーティーさをシェリー樽で繋いだようなタイプと推察。ここに短期間ながらフィニッシュ(マリッジ)を行うことで、樽感は強く、しかしベース由来のフルーティーさを潰さない構成に作られているように思います。
全体の構成としては、若干グレーン由来の軽さ、フレーバーのなかの間延びしたような部分もありますが、口当たりは上乗せした樽感を上手く活かしてクリーミーさもある。
ミズナラらしさというと何をもってかは議論の余地はあると思いますが、大手メーカーらしい万人向けの安定感とチャレンジを両立した1本だと思います。

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今日のオマケ:グレンマッスル 2ndリリース

GLEN MUSCLE 
Blended Whisky 
2nd Release 
「No,2 Shiagatteruyo!!」
2nd fill bourbon finish #0706
700ml 55.1%

昨年5月、自分を含むウイスキー仲間でリリースに関わらせてもらった、オリジナルブランド「グレンマッスル」。
その第2弾が、滋賀県・長濱蒸留所からリリースされることになりました!(発売は2月17日、販売価格 は11,000円+税を予定。)

ブレンドを進める中で出会ったのが、最近のトレンドのひとつと言える印象的なフルーティーさを持つモルトウイスキーでした。あ、ここのこのヴィンテージでこういうフルーティーさが出るんだと。
そこにクラフトシーンでは貴重な19年熟成のグレーン。ボディと力強さを補う10年熟成の若いモルト。これら3種を軸に、複数の原酒を用いて試作を重ね、蒸留所が所有するバーボン樽でフィニッシュ。。。
所謂シングルカスク・ブレンデッドと呼ぶにふさわしい、はっきりとした個性と一体感、日本的なウッディネスを伴う味わいに仕上がりました。

ブレンドの系統を一言で言えば、フルーティーなタイプです。トロピカルフルーツというよりは、パイナップル果汁のような甘味と酸、ケミカルなピーチフレーバーにも似たフルーティーさを備えているのが特徴。とある経緯から熟成年数はAge Unknownと表記していますが、大半は18年以上熟成した原酒で構成されているため、決して若いブレンドではありません。モルティーで、熟成感も相応に感じられると思います。

現在は樽出し&ボトリング直後であることから、中身が馴染みきっていないことも考慮し、少し落ち着かせてから詳しくレビューしたいと思います。
前作同様に、このリリースも楽しんでもらえたら嬉しいですね。

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※グレンマッスルとは
近年、”安価で良質な原酒の枯渇”という特にボトラーズ受難の状況の中で、美味しく手軽に楽しめる、ちょっと尖った魅力のあるウイスキーが減りつつあります。
そうしたウイスキーを作ることはできないか。主に国内蒸留所が保有する原酒から、国産・輸入原酒を問わず用いて、ウイスキー好きが”求める味”だけでなく、その際のエピソードを含めて楽しんでもらえるようなウイスキーを作る。
愛好家による愛好家のためのウイスキーが、グレンマッスルです。

具体的にはウイスキーメーカー協力のもと、メンバーがブレンドやリリースの監修・テイスターとなるものですが、説明を変えると、こういうリリースがほしいとメーカー側に踏み込んで交渉しているとも言えます。

なお本グレンマッスルシリーズは、主に愛好家グループ内で消費されることを前提としたプライベートリリースですが、メーカーを通じて一部一般向けの販売も行われます。
その製造・販売に当たっては、前作同様チームメンバーが監修料等の報酬、または売り上げを受け取ることはありません。
ボトルについてもリリースされた際は、各自必要本数をメーカーから購入しております。
ブームに乗じて一儲けしようなどの考えはなく、ウイスキーを楽しむことの延長線上にある活動ということを、ご理解頂ければと思います。

ヴァージン バーボン 21年 2000年代流通 50.5%

カテゴリ:
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VIRGIN BOURBON 
(HEAVEN HILL) 
AGED 21YEARS 
KENTUCKY STRAIGHT BOURBON 
2000's 
750ml 50.5% 

グラス:不明
場所:BAR Twice-UP
時期:不明
評価:★★★★★★★(7)

香り:芳醇で艶やかな甘さに、ビターなウッディさの混じるアロマ。新樽由来のエキスが溶け込んだリッチで艶やかな甘さは、チェリーシロップとオレンジママレード、焼き菓子やカラメルソースのようなほろ苦さ、香ばしさも感じられる。

味:リッチでメローかつパワフル。メープルシロップのように濃厚でとろりとした甘味のある口当たり。オレンジピール、カカオチョコレートに濃く入れた紅茶、徐々にビターなフレーバーがあり、微かにスパイシー。余韻はウッディで焦げたキャラメルを思わせるほろ苦いフィニッシュが長く続く。

こってりと新樽系のエキスの溶け込んだバーボンだが、ウッディでえぐみや渋味の強いタイプではなく、オールドバーボン特有のメローで艶やかな甘味を備えたリッチな香味構成。高い度数が強い樽感をギリギリ支えており、違和感はあまりないが、果実味よりは甘味優位。余韻のウッディさがやや強い。


以前から一度飲んで見たいと思っていた銘柄、ヴァージン・バーボン21年に出会うことが出来ました。バックバーで見つけて即注文です。
ヴァージンはヘブンヒル蒸留所が製造していたバーボン銘柄で、ラインナップは21年のほかに7年、10年、15年があり、どれも101プルーフのBIB仕様が特徴。後述の3種は、総じてコスパが良いと評判であったことに加え、バーボンブームを経験した愛好家にとっては馴染み深く、近年のヘブンヒル関連銘柄の大幅整理の中で消えていった、惜別の銘柄でもあります。

一方で、今回の21年は調べた限りブランドの初期からリリースされていたものではなく、2000年代に短期間だけリリースされた銘柄のようです。
他のグレードと異なり、メーカーズマークのように蝋封されたハンドクラフト仕様。それまでのハイエンドである15年のややくすんだゴールドカラーではなく、メタリックなシルバーというのが目を引きます。
マッシュビルは不明。ただしライ系のスパイシーさはあまりないので、コーン比率高めのレシピであると考えられます。
チャコールフィルターを透したニューメイクを新樽で21年間以上熟成し、マイルドでキャラメルのような芳醇な甘味と濃い紅茶を思わせるタンニン、ウッディネス。リッチで旨いバーボンに仕上がっています。

なお、同じヘブンヒル系列からの長期熟成バーボンで知られるエヴァンウィリアムズ23年は、新樽由来の甘味とウッディネスに赤系のベリー感。このヴァージンは系統としてはキャラメルやメープルシロップ系の甘味がメインにあり、ウッディーでメロー。マッシュビルの違いか、熟成を経て艶やかな甘さを備えるなかで、方向性が異なるように感じられました。
贅沢なことを言えば、多少ボディが樽に負けているというか、甘味に対してウッディさが強い。まあ見事に葉巻が欲しくなりました(笑)。

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今日のオマケ:ジョン デュヴァル ワインズ エンティティ シラーズ 2015

オーストラリアのシラーズ。ということで先日記事にもしたトルブレック等の芳醇な果実味、色濃いベリー感を期待して同じ地区の葡萄が使われているものを購入したのですが・・・新世界感はあまりなく、仏ボルドーのカベルネを思わせるような味わいに驚かされました。
ただそれは決して悪い意味ではなく、意外だっただけで味そのもののレベルは高いですね。

ヴィンテージのわりに落ち着きがあり、早飲みからイケる懐深い香味構成。滑らかな口当たりから黒系果実のフルーティーさは、ブルーベリーやカシス、葡萄の皮、こなれたタンニンが全体を後押しするリッチな味わい。全体の1/3が新樽で16ヶ月熟成。樹齢100年を越える古樹も含まれているということで、この落ち着いたリッチな味わいとタンニンはその要素からきてるのかなーと推察。
新世界シラーズとして飲むと「あれ?」という感じですが、カベルネをイメージして飲むと普通に美味しいワインだと思います。

グレンリーブン モルト 5年 1980年代流通 43%

カテゴリ:
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GLEN LEVEN 
MALT Scotch Whisky 
YEARS 5 OLD 
John Haig 
1980's
750ml 43% 

グラス:リーデル
時期:開封後半年程度
場所:BAR Regalo AKASAKA
評価:★★★★★★(6)

香り:柔らかいが厚みのある香り立ち。リンゴのカラメル煮や紅茶、薄めたみたらし。古酒っぽさはあるが、モルティーなフルーティーさと甘さが感じられる好ましいアロマ。

味:少しざらつくような質感はあるが、コクと膨らみのある口当たり。キャラメルコーティングしたオールブラン、あるいは麦チョコ。モルティーな甘味と香ばしさの中に、程よい甘味のアクセントがある。余韻にかけてビターで軽くスパイシー。染み込むようなピーティーさがあり、序盤の甘さを引き締めるように長く続く。

当たり前だが、ヘイグやディンプルに共通点がある香味構成。短熟故に複雑さはあまりないが、モルティーな要素は上記ブレンドの好ましい部分を強めたような、良いとこどりの味わいである。ヘイグ好きのオールドラヴァーには是非おすすめしたい。

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ヘイグやピンチ(あるいはディンプル)で知られる、ジョン・ヘイグ社がリリースしていたブレンデッドモルト。
日本市場ではヘイグに比べて遥かに流通が少なく、レアなボトルのひとつと言えますが、やっと出会うことができました。(ボトルが今回のBARにあることは知っていましたが、なんとなく開封注文しづらかったというのもあり・・・。)

グレンリーブン銘柄としては1960年代からリリースされたようで、初期のものは8年または12年熟成表記、クリアボトルに白地のラベルでした。それがヘイグのラベルチェンジと合わせてか、1970年代から今回テイスティングしたものと同様のグリーンなデザインに。また、5年熟成はこのラベルチェンジ後に誕生したグレードのようで、代わりに8年がリユース市場に見当たらないことから、その後継品ではないかとも考えられます。

ハイランドモルト表記のあるボトルが同じグリーンラベル時代に見られること。何よりそのコクがあってモルティーな味わいから、構成原酒はヘイグがキーモルトとするグレンロッシーが主体と推察。実際はDCL傘下の蒸留所から様々な原酒が融通されていたとは考えられますが、なんでも経年変化でこうなるとは思えません。
5年モノとは思えない柔らかさ、そして麦芽風味と当時のハイランドタイプの染み込むようなピーティーさは、元々がこういうタイプでなければ、ここまで仕上がらないと感じます。古き時代のモルトの力、魅力を感じられるグッドボトルだと思います。

同時期のヘイグと比べ、まちがいなく旨い銘柄であるのですが・・・1990年代に終売した模様。
この銘柄に限らず、例えばストラスコノン等ブレンデッドモルトは一部市場で試験的に投入されていましたが、ウイスキー冬の時代とその後のトレンドがシングルモルトに移行したため、広くPRされなかったという経緯があるのかなと思います。
いいものが必ずしも選ばれるとは限らない。無情な世界です。






スモークヘッド シェリーボム アイラシングルモルト 48%

カテゴリ:
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SMOKEHEAD 
SHERRY BOMB 
ISLAY SINGLE MALT 
IAN MACLEOD 
700ml 48% 

グラス:リーデル
場所:BAR ROYAL MILE 
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:アイラ要素のあるスモーキーさと同時にダークフルーツ、ドライプルーンの色濃い甘さ。そこに焦げた木材やタール、シャープな金属感がアクセントになって若さを主張する。

味:オイリーでとろりとした口当たり。シェリー樽由来のニュアンスはバランス良く、そこから香り同様に若く強いピーティーなフレーバー。余韻はスモーキーでウッディ、やや粗い刺激。デーツを練り込んだチョコレート、焦げた木材の苦味に微かな薬品香を伴って甘くビターなフィニッシュが長く続く。

若く主張のはっきりしたシェリー系アイラモルト。本来はギスギスした口当たりになりそうなところを、シェリー樽由来のとろりとした甘味がオブラートのように包み込んでいる。また、加水もの効き具合もほどよく、酒質由来のフレーバーを潰さない。突出しているわけではないが、作り手の経験値を感じさせる仕上がりの1本。

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今日のレビューアイテムは、大阪のロイヤルマイルにて最近のリリースでオススメ、面白いと感じたボトルをリクエストした際の1本。
スモークヘッドは2006年からリリースされている蒸留所不明のアイラモルトブランド。通常のものはリフィルバーボン等、あまり樽香が主張しない構成ですが、このシェリーボムは原酒の50%がオロロソシェリー樽の熟成という複数樽バッティング。平均熟成年数は5~6年というスペックのシングルモルトです。

蒸留所はアードベッグ説が強いブランドでしたが、テイスティングした感じでは香味のオイリーさやシャープなピーティーさから、ラガヴーリンかな?と感じたところ。
何より、程よいシェリー樽由来のフレーバーと、若いピートフレーバーのバランスが思いの外良いのです。
ヤングアイラと近年シェリー、個人的にあまり好みでないジャンルなのですが、これは普通に楽しめました。

作り手であるイアン・マクロード社は、アイルオブスカイ等のブレンデッドや、ダンベーガンなどのボトラーズブランドをリリースする一方で、2003年にはグレンゴインを、2009年にはタムデューを傘下とし、オフィシャルメーカーとしても活動するメーカー。
そうしたなかでの在庫、設備、あるいはウイスキー作りの経験値を活かしたリリースということなのでしょうか。
このスモークヘッドはリリース全般評判が良く、上記のバランスの良い仕上がりも納得の経歴と言えます。

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マスターとの会話は、このボトルに関するところから派生し、今の愛好家(特にスタンダード系のボトルを飲み始めたような)にオススメしたいボトルはなにか、という話題になりました。
同店のストックは大阪のウイスキーBARのなかでもかなりのレベルであるわけで、メジャーなオールドとか、ちょっと前の長期熟成ボトラーズとか、どんなものが出てくるかと思いきや・・・意外にもチョイスは上の写真にあるショートエイジの渋いところでした。

マスター「この辺がちょうど良いね、味も良いし」
くり「樽に邪魔されない、酒質を味わうってやつですか」
マスター「そうやね、ブレアソールとかトーモアとかなんて素朴でええやんか」
くり「確かに、素朴で麦系なボトルでしたね。」

という具合。このブログでも度々書いているように、最近のボトルは麦芽風味やボディがライトになる一方で、樽味主体になっているものが少なくありません。
例えばグレングラントやグレンモーレンジとか、決して悪くないし美味しいのですが、酒質部分の味はかなり軽くなりました。そういう傾向が全体的にあるんですよね。
だからこそ、ウイスキーの原点とも言える麦感を味わっておいて欲しい。その視点で今回のボトルを見直すと、若い原酒を整えているため、樽味だけではないベース部分のフレーバーがある事にも気づく。
マスターの視点がほんの少し見えたような。。。そんな気がした1杯でした。

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