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2017年08月

ベイカーズ 7年 107proof ケンタッキーストレートバーボン

カテゴリ:
BAKER'S
Kentucky Straight Bourbon Whiskey
Aged 7 years
750ml 53.5%

グラス:SK2
場所:自宅
時期:開封後1週間以内
評価:★★★★★☆(6)

香り:焦げた木材のアロマ、甘く香ばしさのあるアーモンドナッツやキャラメル、トースト、微かにハーブの香気、酵母香。パワフルな香り立ち。

味:メープルシロップやチョコレートクッキーを思わせる甘み、コクがあってパワフルな口当たり。焦げた木材、ウッディなえぐみも奥に感じられる。
余韻にかけてドライでほろ苦く、スパイシーな刺激。シュガートーストのような甘みが口の中に揺蕩う。

ストレートではマイナス面も多少あるが、少量加水でえぐみや刺激が軽減されるだけでなく甘みも広がり、バランスがかなり良くなる。ロック、ハイボールは可もなく不可もなし、嫌なところは見当たらない。
葉巻との相性良く、普段使いからBARシーンまで幅広くこなすオールマイティな1本。


ジムビームがリリースするプレミアムバーボン4銘柄の一つ。熟成庫において上段、高い位置に配置された樽で熟7年以上熟成された原酒を使い、最終的に53.5%に加水調整してリリースした、パンチがありつつバランスが良いとされる1本です。
同社のブランドの中では、度数が60%以上と高いブッカーズやノブクリークについつい目が行きがちですが(実際、なんとなく飲んでしまうのはブッカーズ(笑))、このベイカーズも中々レベルの高い、ポジティブな要素が感じられます。

近年バーボン業界では長期熟成原酒や良質な樽材の枯渇、香味のライト化が進み、樽由来の艶のある甘み、ボディに乏しいブランドが増えいます。
特にハイプルーフバーボンは甘みが増すよりもウッディでドライなニュアンスのほうが強く出るものが多く、特に甘酸っぱい果実味を伴うタイプは絶滅危惧種。。。結果1990年代ごろまでに流通したハイプルーフタイプのリユース価格が高騰する一因にもなっています。

そんな中で、先日BAR飲みの際にシガーのアテとして久々にベイカーズを飲んでみたところ、確かに以前に比べて薄くはなっているのですが、加水調整が良い方向に作用しているのか、ハイプルーフらしくパワフルな飲み口の中にチャーオークの甘み、柔らかいコクが感じられ、それは少量加水によってさらに開く。
スタンダードバーボンから一歩抜け出る要素が備わっていて、フルボディなボリバー・ベリコソにもしっかりマッチしてくれました。


話は少し変わりますが、山方面でのアウトドア、BBQや釣り等でウイスキーを飲むならバーボンというある種のこだわりがあり、先週末、家族でキャンプに行った際はスキットルにベイカーズを詰めて持参。こういうスタンダードな銘柄の方がその場で調味料変わりに使えたり、気兼ねなくあおって飲めるので丁度良いんです。
子供が寝静まった後、焚き火を囲んで虫の声と沢の音を聞きながら一杯やるのは格別ですね。

ダグラスレイン スカリーワグ ブレンデッドモルト 46% ブラインド

カテゴリ:
SCALLYWAG
Spyside Blended Malt Scotch Whisky
Small Batch Release
700ml 46%

【ブラインドテイスティング解答】
区分:ブレンデッドモルト
地域:ハイランドモルト(スペイサイド)中心。
構成:スペイバーン、マッカラン、グレンロセスなど
熟成年数:10年前後主体でミドルエイジ含めて幅広く
樽:シェリー樽主体
度数:46%
暫定評価:★★★★★(5)

香り:若いモルティーさを伴うシェリー系の甘みとウッディーなニュアンス。
レモングラス、生木っぽさ、蜂蜜、蒸かした穀物やパン生地のような甘みから、ミントの爽やかさ。

味:ツンとした若さと柔らかいコクが同時に広がる。淡くミルクチョコレート、干し藁、乾いたウッディネス。スパニッシュ系のシェリーオークの甘みから、アメリカンオーク系のニュアンスが存在感を増してくる。
余韻はドライでウッディ、若さを感じるエッジの立った刺激、微かな乳酸。スパイシーで長く続く。

若さは多少あるが、それよりも複雑さのあるブレンデッドモルト。樽感の変化に加え、モルティーな味わいも、序盤はバルク系の混ざったような無表情さから、甘み、草っぽさ、スパイシーさといった構成原酒が持つキャラクターが見えてくる。
ストレート、加水、ロック、好きな飲み方で楽しめる。

毎月恒例、第三者選定によるブラインドテイスティング。
今回もミニボトルショップ、ドーノックから出題となるサンプルを調達して頂きました。
出題担当者には「難易度の高い問題を出してやる」なんて考えもあったようで、確かに今回の出題、一定の予想までは行けてもそこから先に壁がある、中々に難問でした。

ボトラーズメーカーとして有名なダグラスレイン社ですが、古くはハウスオブピアーズやキングオブスコッツなどのブレンデッドウイスキーを中心に展開しており、ブレンデッドメーカーとしての歴史の方が長くあります。
近年では島モノで構成したロックオイスター、アイラ系のピートを強調したビックピート、ローランドモルトのエピキュリアンなど、コンセプトを決めて幅広いタイプのブレンデッドモルトも生産しているところ。
今回のアイテムであるスカリーワグ・スペイサイド・ブレンデッドは、上記ブレンデッドモルトのいちブランドにあたります。

その名の通りマッカラン、モートラック、グレンロセスらスペイサイドモルトで構成されており、今回出題された46%加水バージョンに加え、カスクストレングス、シェリー樽100%バージョンなど、いくつか異なるバリエーションもリリースされています。
この手のシリーズはほぼノーマークで、テイスティングしたことは勿論なく。正解を聞いて「ああ、そんなのあったなあ」と言うくらいの認識でしたが、こうしてブランドでテイスティングしてみても、確かにスペイサイドモルトで作られているとするキャラクターはわかりやすいですね。

樽構成は1st fillシェリー40%、1st fillバーボン30%、2nd fillバーボン30%で、特にシェリー感はスパニッシュオークのニュアンスが主体的。(自分は1stと2ndが混じったシェリーがスパニッシュとアメリカンホワイトオークで7割、バーボンが3割くらいと感じました。)
これがマッカランを思わせるシェリー感ともリンクして、逆に引っ掛け問題的に作用し、同じ問題にトライしたウイスキー仲間からはマッカランダブルカスクでは?とするコメントも。

他方モルティーな香味には若さ、マッカランとは異なるスパイシーさなど、バッテッドモルトを思わせる要素がいくつかあり、スペイサイドから先、どこまで掘り下げられるかは飲み手の力量が問われると感じました。
難しいですが、良い出題だったと思います。

フェイマスグラウス ヴィンテージモルト 1992-2004 40%

カテゴリ:
FAMOUS GROUSE
Vintage Malt Whisky
(Blended Malt Whisky)
Aged 12 years
Distilled 1992
Bottled 2004
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅テイスティング会
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:ややひね感のあるシェリー香、ピリピリとした麦芽風味、黒蜜、スパイシーでドライな香り立ち。オレンジピール、干し草のような植物感も徐々に感じられる。

味:バランス寄りのシェリー感、ドライな口当たり。黒砂糖、黒糖麩菓子のような甘み、ドライプルーン、麦芽風味、ピリピリとした刺激が盛り上がってくる。
余韻は土っぽいピートがじわじわと広がり、内陸系のスモーキーなフィニッシュ。

バランスの良いシェリー感の奥から、ピート、干し草、スパイシーなハイランド的なモルティーさが広がってくる。
加水するとまろやかさが増してシェリー系の甘みが主体、飲みやすくなる。


フェイマスグラウスのブレンデッドモルトシリーズ。ヴィンテージモルトは1987、1989、1992の3種類がリリースされており、全て12年モノの熟成。今回のボトルはその3番目ということになります。

シリーズに共通するのは、当時のハイランドパーク等のオフィシャルにもあるシェリー感とピートフレーバー。1992は1989に比べてシェリー感はさらにバランス寄り、ハイランド系のモルトの香味もアクセントになっています。
キーモルトなのですからあたり前と言えばそうなのかもしれませんが、その筋のボトルの高騰が続く昨今において、家飲みにちょうど良い一本と言えます。
ストレートだけでなく、ロックでまったり楽しむのも良いですね。

なんだか最近投稿が続いているフェイマスグラウス。
ノーマークなボトルも多数ありましたが、こうして色々飲める機会に恵まれてみると、ハイランドパーク、マッカラン、タムデュー、グレンロセス・・・使われている原酒の良さを感じる点が少なからずあります。
特に2000年代前後、この時期のボトル、他にも積極的に試していきたいです。

スプリングバンク 16年 ファウンダーズリザーブ ブラック 46%

カテゴリ:
SPRINGBANK
Founder's Reserve Black
Aged 16 years
700ml 46%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:不明
評価:★★★★★★(6)

香り:ドライアプリコットやチェリーの果実味を伴う品のいいシェリー香。時間経過で乾いたような麦芽香、スモーキーさも微かに感じられる。

味:軽やかなスパイスを伴う口当たり。蜜っぽい甘さ、アプリコットジャム、フルーティーで品のいいウッディネス、徐々に微かな内陸系のピートフレーバーが広がる。
余韻は淡いスモーキーさ、乾いた麦芽、染み込むようなタンニンを伴い長く続く。

ややドライ気味だが、シェリー感と原酒由来の香味のバランスに品の良さを感じる1本。あまりピートは強くない。余韻にかけての広がりにらしさを感じる部分がある。ストレートで。


ロッホデール社のファウンダーズリザーブ4部作、2008年、その3番目にリリースされたのが今回のブラックファウンダーズです。
原酒はシェリー樽とバーボン樽のバッティング。系統としてはアメリカンホワイトオークのリフィルホグスヘッド樽あたりを思わせる、淡いシェリー感とオークフレーバーが酒質と合わさって、好ましいフルーティーさが余韻にかけて麦感と混ざり合って長く残る。
4作の中で一番わかりやすく美味しいボトルではないかと感じます。

実際、周囲の評価でもバンクらしい味わいはともかく、このブラックファウンダーズを推す人は多いですね。
樽由来のウッディネスは適度に整って、加水の妙を感じる仕上がりである一方、しいて言えば、このフルーティーさ、蜜っぽい甘みがもう一つ強ければ。。。というところでしょうか。
ロッホデール社のファウンダーズシリーズは、使っている原酒の種類がオフィシャルに比べて少ないためか、加水調整で良くなってる部分と効き過ぎている部分とが混在して感じられる傾向があるのもポイントです。
例えば赤ラベルとか、バンクらしい味わいで美味しいんですが、ちょっと水っぽさが。。。

というわけで、今更ながらファウンダーズリザーブ4部作紹介。今回のブラックでラストです。(ボトルを提供頂いたマッスルKさん、感謝です!)
60年代、黄金時代のバンクの再現を掲げたコンセプトには少なからずワクワクしましたし、正直あまり美味しい時代だったと思えない密造時代とか再現(?)されるより、その気になれば比較も出来て、それでいて普通に美味しさもあるボトルは面白みも実用性も充分。
今の時代おいそれと出来ないでしょうが、こういうチャレンジは今後もあってほしいです。


ストラスアイラ 57年 1953-2010 GM 43%

カテゴリ:
STRATHISLA
Gordon & Macphail
(Aged 56-57 years)
Distilled 1953
Bottled 2010
700ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:個人宅テイスティング会
時期:開封後1ヶ月以内
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:甘く濃厚で艶のある香り立ち。カラメルシロップを思わせる甘みのあるシェリー感。華やかに香るレーズンやデラウェアの葡萄香、微かにハーブ。時間経過でビターチョコのようなほろ苦さとドライなニュアンス。

味:まろやかでコクのある甘みのある口当たり。ミルクチョコ、ぶどうの皮、枝付きレーズン、徐々に染み込むようにドライなタンニン、ウッディネス。中間あたりで少し水っぽさも感じる。
余韻は華やかなウッディネス、カラメルソースの甘みとほろ苦さ、ドライベリーのアクセントが長く残る。

GM系のシェリー感に葡萄や微かにベリーを思わせる華やかさも伴う。くすんだ味わいはなく、加水調整で樽感とのバランスも良好な部類。他方時間経過でややドライさ、ウッディネスが前に出て、甘みの後退がみられる。ストレートで楽しみたい。


GMが数多くリリースしていた、ストラスアイラの長期熟成シングルモルト。このシリーズは同一ビンテージの複数樽をバッティングし、加水など各種調整を行なった上でリリースされていたため、共通してシングルカスクのような突き抜けた個性や樽感はなく、まったりと穏やかで、甘みの強いリリースがあれば、フルーティーなリリースもあるという、ある種安定感に優れたシングルモルトです。

特にシェリー感という点では、GMシェリーとも例えられるカラメルソースのようなまったりとした甘みが印象的。
1980年代後半あたりの蒸留頃まで、これでもかというくらい共通のニュアンスが存在していましたが、ところが最近は不思議なことにすっかりナチュラルカラー路線に・・・。今でもGMシェリー系のリリースは一部続いているようなので、過去形にしてしまうのは表現として適切ではないかもしれませんが、それらは総じて60年代頃のビンテージ、10万を超えた値付けが当たり前になってきてもう手が出ません。

今回のボトルはというと、やはり安定のGM系シェリーに、近年のスパニッシュオークでは決して出ないであろう、1960年代オールドシェリー系の華やかさと果実味が調和。50年の熟成を超えてなおくすまない甘みと、決して強すぎない樽感、この辺はバッティングもさることながら加水調整がうまく効いているようです。
今回のようなボトルを飲むと、ああGMだなあと、ある種安心感のようなものさえ感じてしまいます。

っていうか、まだウイスキーブームが本格的に到来していない2010年頃とはいえ、50年オーバーの原酒でそれも加水調整に耐える度数のあるものが多数存在していたということになります。しかも他にリザーブラベルやケルティックシリーズなど、別シリーズでもリリースしていたわけで・・・考えれば考えるほど、とてつもないボトラーズメーカーです。

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