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カテゴリ:ハイランドクイーン

ハイランドクイーン 1970年代後期 特級表記 43%

カテゴリ:
HIGHLAND QUEEN
FINE OLD SCOTCH WHISKY
1970-1980's
760ml 43%

グラス:テイスティンググラス
時期:開封後1週間程度
評価:★★★★★★(5-6)

香り:ややドライで穀物感のあるアロマ。干草、バニラウェハース、微かに蜂蜜レモン、メンソールと奥には淡いスモーキーさを伴う。

味:香り同様ドライで若さ故の刺激のある口当たり。軽い穀物感や干草、ポン菓子の甘み、徐々に粘性を伴ってべっこう飴や薄めた麦芽糖。
余韻は麦芽風味主体で少しヒリヒリとした刺激、ほろ苦くドライで長く続く。

プレーンでやや若さもある、ハイランドタイプのブレンデッド。あまり多彩ではないが微かなピーティーさに時代を感じる。加水するとザラメのような甘みが開き、マイルドな味わいに。ハイボールがスッキリと飲めてかつ程よいコクもあってオススメ。


シングルモルトとしてしか流通しないとも言われる「グレンモーレンジ」が使われている(た?)銘柄。
同銘柄を販売していたマクドナルド・ミュアー社は、当時グレンモーレンジ蒸留所も所有しており、その関係は1925年から2004年(または2008年)まで続くもの。その後グレンモーレンジはディアジオに、ハイランドクイーンはフランスのピカード社に版権が移行したため、現行品ではアイラモルトがリリースされるなど、その傾向に変化が見られます。

今回のラベルは1970年代後半から1980年代前半のもので、上記マクドナルド・ミュアー社の時代。日本では国分が正規代理店となることから、表ラベルには直接ウイスキー特級表記が印字され、裏ラベルも上記写真のように1980年代後半から直接日本の取り扱いが印字されるようになります。

(ハイランドクイーン1970年代前半以前のラベル。1976年にラベルチェンジしたとする記録がある。プレーンで派手さがないところは変わらないが、この頃の方がモルティーさに厚みがあり、評価も高い。)

そんなわけで、このハイランドクイーンは、ラベルデザインの大きく異なる1970年代前半以前、今回の1970年代後半から80年代前半、そして1980年代後半からで、容量や表記を合わせて見ればまず流通時期を見間違えることはありません。
ただ海外向けに手を出すようでしたら、その時は写真3枚目に映るスクリューキャップの形状等も参考にして頂ければと思います。
コルクキャップ後から該当時期まではスクリューキャップの丈が短く、これはグレンモーレンジともだいたい同じ仕様です。

これまでの記事でも触れていた内容もありましたが、この銘柄の紹介は久々だったのと、ラベル判別的には1960年代以降のまとめの意味もあって、前置きが長くなりました(汗)。とりあえず日本に流通していたスタンダード品だとこの辺りでコンプリート。
今回の流通時期のものはプレーンで若い原酒の刺激も伴っており、量産に入った事がうかがえる構成。ですが決して完成度が低いわけではなく、素性の良さは感じられると思います。
1杯目に使いたいボトルですね。

ハイランドクイーン マジェスティ 23年 アイラシングルモルト 40%

カテゴリ:
HIGHLAND QUEEN
MAJESTY
ISLAY SINGLE MALT
Aged 23 years
Distilled 1989
Bottled 2013
700ml 40%

グラス:テイスティンググラス
場所:萌木の村 BAR Perch 
時期:不明
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:オーキーで華やか、やや軽やかな香り立ち。ドライオレンジピール、ヨードやアイラ的な海藻のようなニュアンスが混じるスモーキーさ、フローラルなアクセントも感じる。

味:スパイシーでオーキーな強いニュアンス。麦芽風味とナッティな香ばしさを伴う口当たり。平坦気味だが徐々にオイリーな質感を伴い、余韻にかけてグレープフルーツのワタに通じるほろ苦いピーティーさ。
余韻はウッディでドライ、スモーキー。ほのかにヨード香を伴い、染み込むよう。

ファーストフィルバーボンと、リフィルシェリーオークが混じったような樽感で、強い樽感を整えるために多少ボディと酒質由来の香味を犠牲にした加水仕上げであるように感じる。あるいは、整った飲み口を重視した仕上がりは、ブレンド銘柄ハイランドクイーンとしてのスタイルを意識したとのかもしれない。加水はせずにストレートで。


ブレンデッドブランド、ハイランドクイーンからリリースされた、シングルモルト表記の1本。
1989年蒸留、2013年のボトリングで、今から約5年前のリリースですが、日本には昨年ごろに並行品として入ってきたように記憶しています。
近年のミドルエイジ以上のアイラモルト高騰と、逆にポンド安が進んだ今なら買いだと、バイヤーが在庫をまとめて引いてきたのかもしれません。
結果、23年のアイラシングルモルトとしても同品の海外流通価格と比較しても、安価な設定になっているのが特徴です。

中身については、地域以外は不明とされていますが、飲んでみると魚介的な要素に、かすかにフローラルでグレープフルーツ的な要素を感じるあたり、ボウモアのような印象を受けます。
ハイランドクイーンはグレンモーレンジとグレンマレイをキーモルトとしたブレンドであり、そのバックホーンからグレンモーレンジ繋がりでアードベッグ・・・は仮に5年前でも市場価格と釣り合わないし、そもそも原酒が貴重すぎる。MHDにリンクしてブレンド用に調達していたカリラを使ったのかと予想していたため、まさかのこの蒸留所の系統と余計に驚きました。

1980年代のボウモアというと、パフューム香を警戒される方が多いと思います。しかし1989年のボウモアはそれが全開なビンテージというわけではなく、時に感じさせない原酒がある場合もあります。(例えば、ラトレーの1989)
ボウモアにサントリー資本が入ったのは1989年からであり、徐々に生産方法や樽について手を入れていったとされています。そのため、この時期はまだ安定しないものの、90年代ボウモアのキャラクターが出始めてもおかしくない時期と言えます。

それにしても、なぜハイランドクイーンでボウモアなのか。日本では同蒸留所を「アイラの女王」と例えることがあり、安易に考えれば女王繋がりとなるのですが、この2つ名、現地ではあまり一般的でないように思います。
それこそ、クイーンエリザベス2世が訪問した唯一の蒸留所という記録があるくらいで・・・。

と、ついボウモアであるという前提で話をしてしまいましたが、何れにせよ、1989年蒸留の特徴的なピーテッドアイラシングルモルトが1万円ちょっとで買えるのは、今の市場でのスペック的にはお得と言えるのではと思います。
シングルカスク&ハイプルーフのような突き抜けた味わいや個性はないので、BARでは1杯目、家飲みではまったりと肩の力を抜いて楽しむのが良さそうです。

ハイランドクイーン 1561 30年 40%

カテゴリ:
IMG_3536
HIGHLAND QUEEN 1561
Aged 30 years
Traditional Cask Maturation
700ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:30ml程度
場所:個人宅
時期:開封後1ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:華やかでオーキー、軽やかで品の良い香り立ち。ドライアップルやナッツ、ビスケットを思わせる甘みと香ばしさ。徐々にスパイスを思わせるアロマ、微かに乾いた草っぽさを含んだウッディネス。

味:香り同様に華やかでドライな口当たり。皮むきアーモンドナッツ、乾いた麦芽、薄めた蜂蜜や砂糖をまぶしたオレンジピール。舌をコーティングする柔らかい甘み、スモーキーでピーティーなフレーバーがじわじわと開いてくる。 
余韻はスパイスが軽やかに口内を刺激し、ほろ苦いピートを伴うオーキーで華やかなフィニッシュ。

モルティーで嫌味の少ない、バランスの良いブレンデッドウイスキー。30年熟成らしくドライでライト、香味の余計なところはそぎ落とされているが、グレーンが効いているためか、フレーバーの繋がりが良く、モルトウイスキーとして飲んでも遜色のない仕上がり。
加水するとボディが薄くなり、バランスが崩れてしまうのでストレートで。


先日の持ち寄りブラインド大会で、「くりりんさんにはガチで飲んでもらいたいボトルがありますから」と、全ての回答が終わった後で、Jさんから出題されたエクストラステージ。 飲んでもらいたいボトルがあるって、本当に光栄です。
これは完全なブランドというより、キーモルトは何か→銘柄は何か、という流れで回答していたっため、最初の段階でブレンデッド系であることが指定されており、完全にブラインドというワケではありませんでした。
ただ、結果的には正解しているので、味わって感じたことと、中身のブレはあまりないものと思います。

まずノージングで思い浮かんだ銘柄がハイランドモルト、グレンモーレンジの18年。一口飲むと同18年ほど硬さが無く長期熟成の印象。余韻はピートフレーバーがじわじわと出てきて、これは良くできたウイスキーだなーと感じていたところにキーモルトを指定する最初のクエッション。
これがグレンモーレンジで正解なら銘柄はおのずと限られてきて、長期熟成をリリースしている銘柄となるとマジェスティ30年のあるハイランドクイーンになるわけです。
つい先日、ブラックな酒屋さんが、平行で入ってきた30年モノを「コスパ良好!」としてPRしていたので、後は邪推で銘柄までたどり着くことが出来ました(笑)。


ハイランドクイーン1561シリーズは、同銘柄のプレミア品であり、30年は同銘柄120周年(1893年に製造元が創業)を記念してリリースされた限定品とのこと。メーカー情報では、1982年蒸留のモルトウイスキーと、1978年、1979年蒸留のグレーンウイスキーが、モルト75%、グレーン25%でブレンドされ、シェリー樽で6ヶ月間のマリッジを経ているそうです。 
シェリー感はそれほど強くなく、アメリカンオークのフレーバーが強い構成で、ダンカンテイラーのロナックシリーズやハートブラザーズの長熟度数落ち系統のフレーバー。
1982年蒸留のモルト原酒にグレンモーレンジか含まれているかはメーカー情報からはわかりませんが、類似の特徴が感じられます。

通常、現行品のブレンデッドウイスキーはグレーンが6、モルトが4という構成が一般的であるところ、75%は相当リッチであり、クラシックな造りです。そのモルティーな構成は香味からも充分感じることが出来る一方、飲み疲れないブレンドらしいバランスの良さも魅力。
30年以上のモルト原酒のフレーバーを楽しめつつ、価格がミドルエイジクラスに収まっているのも嬉しい、ナイスリリースだと思います。

ハイランドクイーン 15年

カテゴリ:

HIGHLAND QUEEN
"Grand 15"
Aged 15 Years
1960's
760ml 43%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
量:50ml(サンプル@愛知のSさん)
場所:自宅
時期:開封後4ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★★(7)

香り:オレンジママレード、鼈甲飴を思わせる甘く厚みのあるモルティーさ。徐々にオールブラン、ローストした麦芽を思わせる香ばしさと、軽くナッティーで、存在感のあるスモーキーフレーバーが開く。全体的には古酒感に加え微かにヨードのようなアロマも。。。

味:まろやかな口当たり、クラッカーを思わせる乾いた麦芽風味、砂糖漬けオレンジピール。徐々に土っぽく、存在感のあるピートフレーバーが開く。
余韻はスパイシーでドライ、しっかりとスモーキー。序盤のフレーバーと混ざり合って、ピートが張り付くように長く残る。

オールドの魅力、古典的ハイランドスタイルを、そのまま体現したようなブレンデッド。
状態が良いボトルであるだけでなく、強いピートフレーバーが時代を感じさせる。これはストレートで楽しみたい。


ハイランドクイーンのキーモルトは、グレンマレイ、そしてグレンモーレンジを含む複数の蒸留所。1970年代、洋酒輸入自由化後の日本市場では、グレンモーレンジの正規輸入元である野澤組繋がりで、比較的流通の多かったと推察されるブレンデッドです。

現在のリユース市場では、プラスクリューキャップ時代の1970年代から、トレードマークが変わった1980年代後半まで見られることも多く、オールドボトルファンであればまず知らない人は居ないのではと思うところ。
一方でコルクキャップが採用される1970年代より古いボトルは、他の銘柄同様に国内流通量が少なく。トレードマークである馬上の女王、メアリー・スチュワートの周りに扇形の集中線が入る1950年代以前流通は、国内市場ではまずお目にかかれません。 
今回のボトルは1960年代イタリア流通品、ウイスキー仲間とのサンプル交換で頂きました。


キーモルトの話に戻ると、元々グレンマレイはブレンド向けの原酒として広く展開されていた反面、グレンモーレンジは他社への樽売りが行われなかった銘柄とされています。
そんなグレンモーレンジが使われているとあっては、現行品よりもモルト原酒の個性が強いオールドボトルが、ウイスキー愛好家の気を引くのは自然な流れと言えます。

(グレンモーレンジ蒸留所外観。グレンモーレンジは内陸のイメージが強いが、海辺に立つ蒸留所の一つ。写真奥にはドーノッホ湾が見える。photo by K67)

グレンモーレンジは今でこそほぼノンピートで華やか、ラグジュアリーを冠する垢抜けた味わいとなっていますが、かつては地酒よろしく麦の個性やピートも存在感のあるモルトウイスキー。
というか、スペイサイドを含むハイランド地方が全体的にそういう系統でした。

今回テイスティングしたボトルも、そうした原酒の影響を受けている構成で、全般的に土っぽいピートフレーバーが強い1950年代蒸留の原酒を彷彿とさせるキャラクターが充実しています。
まさに古きよき、いにしえの時代のハイランド。モルトウイスキーでは流通量、価格共に中々手が出ませんが、その特徴を感じられるブレンデッドは、今の時代にあって貴重な1本でした。

ハイランドクイーン 1970年代初頭流通 ”ウイスキー特級” JAPANTAX

カテゴリ:


HIGHLAND QUEEN
Queen of Scots
1970's
JAPANTAX
760ml 43%
構成原酒:グレンモーレンジ、グレンマレイ
評価:★★★★★★(6)

香り:品の良い麦芽香、オレンジママレードを思わせる苦味とほのかなカラメル風味。
紅茶、古酒感、コクのある香りでもある。

味:口の中で強く広がる甘くほろ苦い風味、後半にかけてスパイシー。
麦芽、みたらし、オレンジピール、ヒネ系の古酒感。噛み応えのある味わいだ。
ピートはあまり感じない、麦芽風味主体で余韻は染みこむように残る。
ハイボールはあっさりと飲み進められる。フレーバーが強くロックも悪くない。


グレンモーレンジが使われているというブレンド銘柄。
ハイランドクイーン自体は現在も販売されていますが、1990年代以降、グレンモーレンジをシングルモルトメインの方針にしたことを受けて、グレンマレイが中心のブレンデッドに変更されています。
まぁ、モーレンジとマレイなら、どちらも麦芽風味主体のあまりクセのない(時代によっては品のいいフルーティーさがある)、似た系統のモルトですし、使われていても使われていなくても、個人的にはあまり・・・な話だったりします。
今回のボトルでいえば、余韻で感じる主著の強いパリっとして麦芽風味がモーレンジ由来か。ライトというわけではないですが麦芽風味と古酒感のある普通に美味しいブレンデッドです。ピートが苦手だけど、オールドタイプのしっかりしたボトルを飲んでみたいという人には良いんじゃないでしょうか。


グレンモーレンジはブレンデッドやボトラーズに一切原酒をまわしていないというのが、一般的に広まっている情報です。
しかし近年はボトラーズからティースプーンモルトとしてそれらしいもののリリースがあるだけでなく、ブレンデッド大全ではハイランドクイーンにグレンモーレンジも使われているという記載があります。また最近も細々と販売が続く、モーレンジ社がリリースしているブレンデッド、ベイリーニコルジャービーに至っては、少量グレンモーレンジが使われているという話でもあって、つくづく広告情報というのはアテにならないなと感じてしまいます
 

ハイランドクイーンのオールドボトルは、比較的見分けやすい特徴があります。
1980年代はシンボルマークである悲劇の女王メアリースチュワートが大きく書かれたオーソドックスなデザインですが、1970年代以前はやたら派手なブロック文字のラベルが特徴。1960年代は1970年代とほぼ同じ系統のデザインのラベルにコルクキャップです。流通量は1980年代が圧倒的に多いですね。

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