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カテゴリ:オススメウイスキー価格別

2016年に飲んだボトルで高評価&印象に残ったものを振り返る(下)

カテゴリ:
前回に引き続き、2016年に飲んだウイスキーを振り返る特集記事。今回は、オフィシャルリリースでエントリーグレードとなる5000~6000円クラスまでを上限として、ニューリリースの中でコスパが良いモノや、これまでと比較して味わいに良い変化が見られたボトルなどを"Interesting Release Category"としてリストアップします。

ニューリリースはともかく、これまでと比較して・・・というのは何を意味するかというと、ウイスキーは同じ味に作られているようで、ロットで結構味が変わったりします。
このブログを閲覧されている方なら、何を今更という前置きかもしれませんが、ラベルチェンジなどを挟んだ場合はほぼ確実に変わりますし、そうでなくても突然変化することもしばしば・・・。
それはいい方向にも悪い方向にも変化することが起こり得るのですが、ここ最近はいい方向に変化しているボトルが増えてきたように思います。
私を含め、ある程度突っ込んでウイスキーを飲んでいると、オフィシャルスタンダードは中々手が出なかったりしますが、1年に1度くらいそうしたボトルをチェックすると、また新しい発見が見つかるかもしれません。
今回はそんなボトルも含めて紹介していきます。


【Interesting Release Category】
【アイラモルト】

・ボウモア 12年 43%

あえて1本上げるならいつの間にか美味しくなっていたボウモア12年、らしい柑橘とグレープフルーツを思わせるフルーティーな味わいが2〜3年前のロットと比べてはっきりと感じられました。
またそれ以外にも、ここ1〜2年間のアイラモルトの品質向上は著しいと感じます。
去年はカリラ12年が美味しくなったと話題を呼び、今年は今年でアードベッグTEN、ラガヴーリン16年も良くなっていると感じました。この2銘柄は、中途半端な旧ボトルなら、好み次第で充分対抗出来るクオリティがあります。
またラフロイグ10年は向けで結構味が変わっているような気がしますが、相変わらずの安定感。特にドイツ向けの評判が良かったようです。


【アイランズモルト】
・アラン 12年 カスクストレングス

アイランズのスタンダード全体を見ると、アイラと異なりやや厳しい1年だったように思います。
ニューリリースでは、タリスカーはNAとなるスカイが展開され始めましたが、これはハイボールには使いやすいものの、ストレートは少々苦しい。スキャパのスキレンは年始に流通したバッチ1こそ好調だったものの、バッチを重ねるごとに熟成感がライトに・・・。
既存リリースを見ても、ハイパやジュラは良くも悪くも安定していますが、目立った変化はなかったように思います。
そんな中、エントリーグレードから全般的に安定したリリースで気を吐くアイルオブアラン。1本を選ぶならラベルチェンジした10年か、バッチ的には2015になりますが12年カスクストレングス。アメリカンオーク由来のバニラやドライフルーツの香味がしっかり感じられ、もっと評価されるべき1本をだと思います。


【キャンベルタウンモルト】
・キルケラン(グレンガイル) 12年 46%

スタンダードクラスの中で、今年のベストリリースを選ぶなら、このキルケラン12年は間違いなく候補となる1本です。
ちょうどキャンベルタウンモルトを基礎から勉強し直すかと、色々飲んでいた中で、手元に届いたWIP終了を告げる完成品。しっかりとした麦芽風味、後半に広がるピートフレーバー。兄貴分であるスプリングバンクの特徴を備えつつ、スタンダードではそれ以上の出来栄えでした。
蒸留所限定品の複数年バッティングを飲む限り今年1年限りの味わいではなさそうですし、来年以降も期待しています。


【ハイランドモルト】
・クライヌリッシュ14年 46%

ハイランドもニューリリース含め、中々良いボトルが複数ありましたが、1番驚きと変化があったのはこのクライヌリッシュの2015〜2016年近辺ロット。
これまでドライで ライトで・・・などと言われていたクライヌリッシュのスタンダードですが、ふと気がつけばリッチでコクのある、食前酒ではなく食後酒というキャラクターに。ハイボール向きではなくなったように思いますが、ボトラーズなどにもあるクライヌリッシュらしいワクシーで白粉を思わせる麦芽風味がしっかり感じられる、良いスタンダードボトルになったなと感じています。


【スペイサイドモルト】
・グレングラント12年 43% 2016's

アイラモルトが既存ラインナップなら、スペイサイドはニューリリースで光るボトルが多く見られた、収穫の多い1年間だったと思います。
その中で1本を選ぶなら、最近ようやく国内に流通し始めたグレングラントのニューリリース12年。ボディはライト寄りですが、華やかなオークフレーバーがしっかりと広がる、少なくとも終売になってしまった16年を惜しまなくても済みそうです。
また、この他にもグレンリベット12年ファーストフィル(写真)もグラント同様に華やかなタイプでいい出来ですし、ラインナップではミドルグレードながら価格的にエントリーに位置するノッカンドゥー15年、18年もナイスコストパフォーマンス。
また、グレンフィデック12年も今年のラベルチェンジで味が良くなったと評判です。


【ローランド付近のモルト】
・インチマリン(ロッホローモンド) 12年 46%

ロッホローモンドはハイランドとローランドの境界線付近にあるけど、厳密には南ハイランドだろうってそうですごめんなさい(笑)。
ただここでラインナップに入れないと、ローランド地方は該当なしどころか、あんまり飲んでないことがバレちゃう事態に。(オフィシャルはキンチーとアイルサベイくらいしか飲んでない可能性が・・・。)
というわけで、今年発売したニューボトルで一気にボトラーズリトルミルやアイリッシュ系統のキャッチーなフルーティーさを取り戻し、JIS向けシングルカスクで話題となったインチマリンの12年をリストアップ。これ、良く出来てると思いますよ。
ローランド地方の探求は、来年の宿題とさせてください(汗)。

【ジャパニーズモルト】
・余市NA 45%

2016年のジャパニーズのスタンダードクラスは中々寂しい感じでした。クラフトディスティラリー創業のニュースや、既存蒸留場からリリースされる限定品が時折市場を賑わしてくれましたが・・・。
ボトルではなく、ジャパニーズウイスキーの基準の話が盛り上がっちゃったりで、色々落ち着かない1年だったように思います。
そんなわけで「該当なし」でもよかったのですが、昨年リリースされてあまり評価されていなかった余市NAが、地味に味が変わって樽感が濃くなっていたので、リストアップです。
先日、イベントでのブースで試飲したところ、なんか濃くなったなと感じて営業の方にそう告げると、自分も飲んだ当時の試飲サンプルを持って来てくださり、一緒に比較テイスティング。「やっぱり濃くなってる」ということで、劇的な変化ではありませんが、ニッカも影で色々努力しているんだなと感じた出来事でした。


【ブレンデッドウイスキー(モルト含む)】
ブラックニッカ ブレンダーズスピリット 40%

はい、もうお約束です。多くを述べる必要はないですよね。ニッカブレンダー陣の気合いと本気を見た、ブレンダーズスピリットです。
この価格帯でスコッチまで見るとジョニーウォーカーグリーンが再販するなど、リリースはありましたが、個人的な好みやコスパではニッカに軍配です。
サンプルを頂いた後、自分も1本買って飲みましたが、ブラックニッカらしく飲むシーンを選ばない「普段飲み」というバランスに、決して安ウイスキーとは言わせない多彩なアロマ、余韻にかけて広がる余市10年を思わせるピートフレーバーとほのかな硫黄がなんとも懐かしい。来年以降も、定期的にこうしたリリースを出して欲しいです。
そういえば某BAR経由での情報によると、使われた1956年の余市原酒は1樽分だそうです。


以上、長くなってしまいましたが、2016年の振り返りとして、飲んだ銘柄から高評価だったもの、印象に残ったものをいくつかの整理の中でまとめてみました。
今年は意識してオフィシャルを多めに飲みましたが、2000年代の蒸留は突き抜けて良いとは流石に言えないものの、酒質、樽の使い方、全体的なバランスなど、良くなっているなという将来の光明となる発見が結構ありました。

そうした発見のモトはありながら、今回の上下2編のまとめ記事ではボトラーズの主戦場である1〜2円台の価格帯リリースなど、設定条件の関係から触れることの出来なかったボトルも数多くあります。
また、将来への光明とはあまり関係はないですが、当ブログのウリとも言えるオールドブレンデッドも。。。
次は違う条件でまとめてみるかと反省しつつ、そして来年も新しい発見と喜びがある事を期待して、今回の記事の結びとします。

今飲んでおきたい、シングルモルト宮城峡好きに薦めるモルトウイスキー銘柄

カテゴリ:

 書いてる途中で力尽きてしまいましたので、宮城峡と余市を分けさせて頂きました。
まぁある程度書いてあったとは言え、12時過ぎに帰宅してトレーニングして1時半過ぎから記事を書くほうが社会人としてどうかしているわけです。

さて、これまで今飲んでおきたいウイスキーとして、入門向けというより、ある程度本格的に飲み始めた方々にオススメするスコッチモルトウイスキー銘柄をまとめてきました。
前編では特段指定ナシに5種類を。中編では終売の相次いだニッカウイスキーの余市を好まれている方々にオススメしたい銘柄3種類+αを。そして今回は宮城峡がターゲットです。

(前編)今飲んでおきたい、コアなウイスキーファンが薦めるモルトウイスキー銘柄
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1039104300.html
(中編)今飲んでおきたい、シングルモルト余市好きに薦めるモルトウイスキー銘柄
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1039415162.html

では、サクッと本編にいきましょう。
 
【宮城峡好きに薦める銘柄】
宮城峡蒸留所は一時期ローランドというキャッチフレーズがあてがわれていました。しかしローランド伝統の3回蒸留が行われているわけでもなく、実際はスペイサイドないしハイランド(時にアイランズ)寄りの個性を持っているように感じます。
スコットランドに比べて温暖な気候の関係か、樽は強く出ている印象がありますが、蒸留方法が広く普及しているスチーム加熱であることもあって、選択出来るボトルの幅は余市に比べてまだ広いと思います。
ベンリアック、グレンゴイン、クラガンモア、バルヴェニー、・・・華やかな麦芽風味をベースに考えれば、候補はかなりありました。
そこで今回は最も飲んでいる人が多いであろう、NAの2本と10年を中心に、オススメを選びます。
また注目の宮城峡シェリーカスクについてもオススメを選んで見ましたが、どのボトルと共通項があるかというより、現行スコッチでシェリー感が濃いのはどのボトル競争になってしまいました。それだけ宮城峡シェリーカスクのシェリー感は、現行品の中では突出して濃かったということでもあります。
まあ長いこと同じボトルを飲んでいると飽きますので、味覚の気分転換に使ってもらえたら幸いです。

なお、前提条件はこれまでと同様です。 
・2015年現在販売されている、スコッチのシングルモルト、オフィシャルボトル。 
・価格は1万円程度を上限。 

・グレンドロナック18年
価格:8000~10000円程度
比較対象:宮城峡シェリーカスク

オフィシャルで10000円程度という縛りで、濃厚なシェリー樽熟成のウイスキーというと、そもそも候補はだいぶ限られてしまいます。中でもオロロソ100%のドロナック18年か、シェリー100%の中にペドロヒメネスが入って甘口なドロナック21年が有力候補。その他では同じくシェリー100%のアベラワー・アブナックでしょうか。
が、しかしどちらも出始めの頃のロットに比べてずいぶんシェリー感はライトに、バランス型に振れてしまいました。今回記事を書くに当たり2015年のロットを飲みましたが、見違えるほど色が薄くなっていてびっくりしたところです。(出来は良かったですけど。)
グレンドロナックは開封直後より、暫く経ってから本領を発揮してくるタイプ。宮城峡シェリーカスクと同じ方向性のシェリーではありませんが、現行スコッチの代表的なシェリー樽熟成モルトとして今後の基準になりますし、気に入れば代替品としても使えると思います。これからのシーズンはシェリー系が旨い時期ですね。
 
 
・グレンキンチー ダブルマチュアード
価格:6000円程度
比較対象:宮城峡NA旧ボトル

宮城峡はローランドというよりハイランドあるいはスペイサイド(キリッ、と言っておきながらローランドです大変申し訳ございません(汗。
宮城峡NAの旧ボトルは若さのある味わいはさておき、麦芽風味とドライフルーツ系の酸味、微かにピートとスパイシーさもあり、グレンキンチーの特徴に近いかなと感じます。
であれば冒険の意味も兼ねて、今年飲んで中々レベル高いと感じたダブルマチュアードをオススメ。
アモンティリチャードシェリー樽での後熟を経て、麦芽風味にシェリーのフレーバーがプラス。比較対象として良い経験になるのではないかと思います。
 
・アラン12年 カスクストレングス
価格:5000〜6000円程度
比較対象:宮城峡NA新ボトル

アランのバーボンバレルタイプなら正直カスクストレングスである必要は無く、16年、17年等入手しやすいあたりでも良いと思います。9月1日に発売された宮城峡NA、通称"新宮城峡"は、オーク樽由来のフルーツ感が中間以降に出ており、そうした特徴がさらにわかりやすいモルトというと、現行品の筆頭はアランです。
他の蒸留所にもこうしたキャラクターのボトルは結構あり、中でもスキャパ16年なんかぴったりなんですが、終売が決まっているので除外。
アランは最近の人気からか価格が上がりつつあり、今飲んだ方が良いのかなと。麦芽風味から華やかなオーク香、乾いた木のウッディネス。新宮城峡に比べて若い風味も無く、アルコールがきつければ少量加水してもいい。わかりやすい味で楽しめると思います。


・グレンカダム15年 46%
価格:7000~8000円程度
比較対象:宮城峡10年

グレンカダムはバランタインの原酒ですが、どうにも知名度は低め。しかし現行品のグレンカダム15年46%は、クリーミーな麦芽風味にオーク系の華やかさがマッチした、レベルの高い1本です。 
宮城峡10年はフルーティーで煮たリンゴのようなコクのある甘さと麦芽風味。近い系統にあるグレンカダム15年はすんなりと入っていけそうです。
バランタインは多くのドリンカーが飲む銘柄ですし、経験値しておいて損はないかなと。
林檎を思わせるフルーティーなモルトと言えば本命はグレンリベットなのですが、 ここはちょっと冒険してみましょう。


今回、記載の無かった宮城峡12年、15年についてはざっくりと。
12年はハイランドパーク18年との共通点があるということを、以前記事中に記載しておりました。
ただハイランドパーク18年は・・・今なんか凄く値上がりしてしまって、軽く1万円を越えています。
これじゃあオススメできないと。なので適度なシェリー感とオーク系のフルーティーさ、そしてスモーキーさのあるボトルを現在捜索中です。ベンリアック20年なんか良いかと思ったんですが、どうもロット差激しいようでオススメできるだけの経験値が稼げていません。これはそのうち。
また、15年はシェリー&スモーキーとして、例えばハイランドパーク・ダークオリジンズなんて良いかもしれません。ダークオリジンズのシェリーは硫黄香が無いので宮城峡15年とはシェリーの方向性が違いますが、今年リリースの中ではシェリーの入りから後半のスモーキーさが強く、純粋に良くできてるオフィシャルボトルです。

以下、蛇足駄文。
酒、料理、あるいはその他嗜好品についてスキルアップを目指すとき、共通する大切なことは、少しでも良いモノをより多く経験することだと思います。そうすることでしか見えない世界があり、作る事が出来ない基準があります。
同じボトルだけ飲んでいても、得られる経験値には限界があります。ジョニ黒100本飲んでもジョニ青の事はわかりません。ましてシーバスリーガルのことなんて絶対わからない。つーか飽きる(笑)。
酸いも甘いも、良いも悪いも経験して、初めて手元にあるウイスキーの良い部分を認識できるようになってくる。劣化したウイスキーを飲んで初めて、ボトルの中にあるオフフレーバーがわかってくる。百聞は一飲にしかずということですね。
 
ウイスキーの飲み手にはプロもアマも無いと思いますが、2者の違いがあるとすれば、それは「どれだけ多くの経験をしてきたか」という事なのだと思います。その点私の経験値はまだまだのレベルであり、修行を兼ねてブログなぞやっているワケです。
また今回はボトルを中心にまとめましたが、グラス選びや環境的な要素も大切です。その辺は追って機会があればまとめていきます。

今飲んでおきたい、シングルモルト余市好きに薦めるモルトウイスキー銘柄

カテゴリ:

今回はニッカの余市、宮城峡を好まれている方にオススメなスコッチモルトウイスキーを紹介していきます。
(前編、コアなウイスキーファンが薦める モルトウイスキー銘柄はこちら。 )

「10年を愛飲していたけれど、終売になってしまったので近い味のウイスキーは無いか。」
「新製品を飲んでいるがシングルモルトに興味が出て来た、オススメはなにか。」
こうした質問に、自分だったらどう回答するかという内容になります。
BARや酒屋ではよくある質問のひとつですね。

今回のチョイスは代替品というよりは、似ている要素や違いを探す、ちょっとした冒険を兼ねた方向で選定しています。
ニッカのモルトはかなり個性的なので、前提条件の中ではそういう選定しか出来なかったというのもありますが…。それ以上に、似てる要素を探して比較することは、感じ取れるフレーバーの枠やウイスキーの世界観を広げることに繋がります。様々なフレーバーを経験して、またスタート地点のボトルに帰ってくると、今までとは違ったフレーバーが感じられることに気が付くはずです。

よって下記のチョイスは同じような樽構成とか、スモーキーさが強烈とか、私が感じた範囲での一部のフレーバーで切り抜いているため、トータルで見ると全然味が似てない、という感想もあると思います。(その場合は、ここに掲載したウイスキーもまた一定レベル以上にあるモノですので、割り切って楽しんで頂ければと思います。)
むしろこの銘柄のほうが似てる!共通点あるぜ!という意見がありましたら、後日トライしてきますので、コメント頂けますと幸いです。


 【余市好きに薦める銘柄】
余市蒸留所は、アイラモルトとハイランドモルトの中間的な特性を持っています。
その点で、アイランズに分類されるハイランドパーク、タリスカー、ジュラは上記条件に合致する蒸留所であると感じますし、その個性はシングルモルトを飲み進めて行く上で避けては通れないものであることからも、オススメしたいものです。
また、原酒によってはアイラ的特性を強く持つものもあり、ブナハーブンを除くピーティーなアイラ7蒸留所の中では、ラガヴーリンが近い要素を持つように感じます。
一方、余市蒸留所の酒質は麦芽風味が厚くトースティーであり、この点は蒸留方式によるところか代替が効きにくい要素です。その点、下記オススメは余市に比べて飲みやすいと感じるかもしれません。

なお、ボトル選定にあたっての前提条件は前回と同様です。
・2015年現在販売されている、スコッチのシングルモルト、オフィシャルボトル。
・価格は1万円程度を上限。 
 

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・タリスカー18年 45.8%
 比較対象:余市全般
価格:9000~10000円程度

雑感にも書きましたが、余市ヘビリーピーテッドは飲んでいてタリスカー25年、 あるいはその長熟モノとの共通点を感じました。ピーティーさといよりは、序盤の微かなベリー感を伴うフルーツ、麦芽風味の部分です。その他、余市のスモーキーさはタリスカーに似ているなと感じたことが何度かあります。
オススメは25年といきたいところですが、25年は一時期1万5000円前後だったものの、今や2万オーバーで・・・。しかしこのタリスカー18年もまた、らしさがあり高いレベルでまとまった1本であることは、飲み手の皆様には今更何をレベルの話かと思います。
値上げ値上げでこのランクの銘柄が続々と1万を越えているなか、まだ現状を維持してくれている。しかしいつ値上げしてもおかしくない、まさに今飲んでおくべきボトルです。
(このほか、ダークストームや、ディスティラリーエディションも良く出来ています。この2本は余市12年との比較が面白いかも…

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・ジュラ16年 40%
比較対象銘柄:余市10年、余市NA
価格:5000円程度

余市の若いグレードは、麦芽風味がしっかりあり、そこからピートに繋がっていく構成。
特に余市10年はトースティーで豊かな麦芽風味が魅力、硫黄は若干ありましたが、変な若さも無くて良い味わいでした。
このジュラ16年もまた、麦芽風味から穏やかなピートに繋がる構成。やや荒さと酸味を感じる部分はありますが、余市の若いグレードに近いフレーバーの流れだなと感じています。
ちなみに新余市はピーティーな個性が強化された分、麦芽感が奥に回って中間の広がりは控えめであることからも、新から入った方は特に抵抗なく飲めるのではないかと思います。

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・ラガヴーリン ダブルマチュアード 43%
比較対象:余市15年
価格:10000~12000円程度
当ブログのレビュー:http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1023943127.html

説明不要なアイラの巨人。そのマスターディスティラー監修で、毎年限定でリリースされるボトルがダブルマチュアードシリーズです。日本にも並行、正規輸入がされており、結構な数のボトルが今も市場にあります。
アイラの中で最もヘビーでパワフルといわれるラガヴーリンですが、このダブルマチュアードはペドロヒメネスシェリー樽での後熟に加え、43%加水で甘口かつ複雑さを備えた仕上がり。
せめてこれが46%だったら…という願望はさておき、ヨードや海藻を思わせる海の要素に、レーズンなどのダークフルーツを感じさせるシェリーの奥から湧き出るピーティーさ、噛み応えのある余韻。飲みやすいながらその風味はまだまだ個性に満ちています。
このボトルは、同じくシェリーのニュアンスがあってスモーキーな、余市15年と比較すると面白そうです。
なお、今回のチョイスはラガヴーリン16年とで悩みました。16年はシェリー樽をほとんど使っていないということもあってダブルマチュアードにしていますが、パンチを求めるならラガ16年でもいいかもしれません。


さて、本来はここで宮城峡の特集を書いて終わるところですが・・・。すいません、力尽きました。
ちょうどイベントの立ち上げなど色々やっていたところ、仕事のほうでも思った以上に時間をとられてしまい。

とりあえず区切りもいいので、今回はここで筆を置きます。次回は宮城峡についてまとめていきます。

宮城峡編はこちらから。

今飲んでおきたい、コアなウイスキーファンが薦めるモルトウイスキー銘柄

カテゴリ:

昨今のウイスキーブームを受けてシングルモルトに興味を持たれた方もいるでしょうし、9月1日の余市、宮城峡シングルモルト4種のニューリリースから、似た傾向があるボトルとか、他のお勧めボトルは無いかと探される方もいらっしゃると思います。
以前「今飲んでおくべきボトルや、これは良かったというボトルは何がありますか」という旨の質問を頂いておりましたし、今回の更新では個人的にオススメするボトルを、前編、後編に分けて紹介します。

前編では特段縛り無く、自分なりにお勧めだと思う、スコッチシングルモルトを紹介します。
入門レベルではなく、ウイスキーをある程度飲み慣れてきた方にオススメしたい、中級者向けラインナップになります。
後編では9月1日にリリース・終売となった余市・宮城峡各種を基準とした、お勧めボトルを紹介していきます。

後編はこちら。
・今飲んでおきたい、シングルモルト余市好きに薦めるスコッチモルトウイスキー
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1039415162.html
・今飲んでおきたい、シングルモルト宮城峡好きに薦めるスコッチモルトウイスキー
http://whiskywarehouse.blog.jp/archives/1039600651.html

共通する条件は、
「2015年時点でオフィシャルからリリースされているボトル」
(言い換えれば、今でも買えるボトル)
「値段は1万円程度まで」。

前編と後編では重複が無いようにチョイスしていますが、どれも一定以上のクオリティがあるボトルであることは間違いありません。
しかしオフィシャルから選びますので、本格的に飲まれている方からすれば、意外性の無いリストかもしれません。また「この銘柄を忘れてないか」「これがお勧めだよ」というご意見がありましたら、コメント頂けますと幸いです。


【コアなウイスキーファンがお勧めするシングルモルト5銘柄】


・グレンモーレンジ トゥサイル 46%
価格:11000円程度
当ブログでのレビューはこちら

古代大麦をフロアモルティングで仕込んで作った、モーレンジの2015年ニューリリース。
元々ハイランドモルトとして安定した品質を誇るのがモーレンジですが、このトゥサイルはかつてのモーレンジ10年を思わせる麦芽風味で、満足感の高いボトルです。
また、麦芽を原料とする全てのウイスキーにおいて、評価基準の一つにもなると思います。
ワインのように、買って10年単位で育ててみるのも面白そうです

ちなみに、よりフルーティーなモルトが好みであれば、 グレンモーレンジ18年は43% 加水で柔らかい味わいながらフルーティーさと麦芽風味のバランス が良く、1本を通して楽しめる完成度の高いボトルでこちらもオススメです。


・ラフロイグ18年 48%
価格:10000円~13000円程度

200周年を迎えて精力的なリリースが続くラフロイグ。
この蒸留所の素晴らしいところは、10年などのスタンダードからハイエンドまで、あるいはボトラーズを含めてもフレーバーのブレ幅が少ないところだと感じます。
「ラフロイグだなぁ」と思わせる個性があり、それがハイエンドになるに従って洗練されていく。この18年はその中でも価格と味わいのバランスがとれていると感じる、レベルの高い1本です。
9月現在、価格改定前の定価(9千円強)で販売しているお店もまだあり、なにより終売の噂もありますから今のうちに飲んでおきたいところです。


・ボウモア テンペスト Batch5 55%
価格:7000~8000円程度
当ブログでのレビューはこちら

これはボウモア蒸留所の最後の輝きなのではないかと感じさせる1本。
1990年代に入り脱パフュームを果たして、一部のパフュームラバーを除いて多くのドリンカーから歓迎されるボウモア。しかし2000年代に入ると紙っぽさを思わせるフレーバーが目立ちはじめ、コクも薄くなってきています。テンペストではBatch3~4はフルーティーですがだいぶ軽さ、荒さが目立ったところ。
そんな中リリースされたテンペストのバッチ5は90年代、あるいは60年代(であれば1969年)のボウモアを思わせるフレーバーもある、評価の高い1本です。
ここから復活するのか、はたまた蝋燭の火の消える直前か。出来れば前者であって欲しい。
なお、テンペスト以外では、ウイスキーショップWのボウモア15年は完成度の高い1本です。リリース時期から推察するに、1995年あたりの原酒がメインではないかと思います。
(売り切れても何度か在庫が復活しており、まだ買えます。こちらもオススメです。)


・エドラダワー10年 40%
価格:4000円~5000円程度
当ブログでのレビューはこちら

ここ最近リリースされたボトルに限るものの、非常に驚かされた1本。
コアなファンであればあるほど、ソーピーフレーバーから脱却し、かつてのエドラダワーと共通する純粋なクリーミーさを取り戻した味わいには、驚かされるはず。
バランスのいいシェリー感に独特なクリーミーさが後を引く味わい。全シングルモルトの中でもエドラダワーのみが持つその風味は、純粋な味わいとしてはもとより、飲み続けていく経験値としても1飲の価値ありです。
また、変わり種ですがエドラダワーがリリースするピーテッドモルト、バレッヒェン10年は、ラフロイグを思わせる味わいで面白い1本です。


・オールドプルトニー21年 46%
価格:10000円~13000円程度

実は今回の5銘柄、最後の1本として選んだのがプルトニー21年でした。
ここに何を入れるかは凄い悩んだのですが、純粋に評価が高く、またプルトニー蒸留所のラインナップの中でこれ以上の熟成となると個性が弱くなり、旨いけどコレジャナイ感が強くなる。一番熟成と個性のバランスが取れていると感じる1本だったのが決め手になりました。
最近インポーター側の仕入れ価格の関係で値上げがありましたので、値上げ前のボトルが見つかればラッキーです。
オイリーな口当たりから麦芽風味にドライフルーツ、そして穏やかなピートという、プルトニーらしさとハイランドモルトらしさのある特徴を備えています。



以上です。
一貫性の見えない選定になってしまいましたが、ハイエンドとの共通点や、評価の高いオールドボトルとリンクする要素を持ち合わせていることが、選定基準の一つになっています。
また、直接ヒアリングはしていませんが、ウイスキー仲間と普段やりとりをしている中で、これは良い出来だよねと言う話題に上がってくるボトルでもあると思います。
最終的には自分が旨いと思っただけという、勝手な評価でもあるんですが( 笑)。

こうしてお勧めを選んでみると、ハイランドモルトは実力伯仲というか、一定レベル達しているボトルが結構あり、スペイサイドに比べてコスパも良いように感じました。
キャンベルタウンが入らなかったのは、現行品1万円台までで感じるものが無かったためです。
中でもスプリングバンクの酒質は、長期熟成でより輝くのではと考えており、30年クラスの登場が楽しみです。値段は怖いですが・・・いくらになるのかなぁ・・・
え?ローランド? グレンキンチーとか悪くないんですけどね・・・。

なお、自分は酒業界の人間ではありませんし、アフィリエイトもしておりません。ポイント稼ごうとか、直接的に利益が絡む裏は一切ありません。
皆様のボトル選びの参考になりましたら幸いです。

3000円以内でオススメのシェリー樽熟成ウイスキー 〜ネイキッド・グラウス〜

カテゴリ:
昨今のウイスキーでシェリー樽熟成系、それもしっかりその香味がついたものを買おうと思ったら、5000円以上は欲しいところでした。
マッカラン、グレンドロナック、ベンリアック、グレンファークラス、ダルモア…
まあ3000円以内じゃまずムリだよなーと思ったら、ありました。この値段でこのシェリー感は素晴らしいの一言です。

THE NAKED GROUSE
700ml 40%
"リッチな近年系シェリー香、ドライチェリー、イチジク、生木のニュアンス、エグミも少々。
香り同様の濃さがありつつ甘く滑らかな口当たり。ドライプルーン、樽香、微かな麦芽、注いですぐは平坦気味だが時間でピート、スモーキーさも顔を出す。"

ネイキッドグラウスは、フェイマスグラウスのオフィシャル通常販売品ラインナップの1つ。
正直、3000円で買えるウイスキーとしては、よくこの値段で出してるなというワンランク上のしっかりシェリーな構成です。
予算がある方は他に選択肢もありますが、家飲みは手軽に…という方にはぜひ。それこそヘタにマッカラン12年現行品なんて買うくらいなら、このボトルがオススメです。

ハイランドパークとマッカランというシェリー樽に馴染みのある原酒をキーモルトとして、1stフィルシェリー樽でマリッジ。
ブレンドだろ?と思うかもしれませんが、香味はしっかりモルティーでモルト比率は高めだと感じます。時間とともにハイパ系のニュアンスが出て来るのも好印象。

やるなあフェイマスグラウス!
3000円予算内、最高のシェリー樽熟成系の1本としてプッシュいたします。

参照:ネイキッド・グラウス(信濃屋)

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