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カテゴリ:コニャック

カミュ XO ボルドリー 40%

カテゴリ:
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CAMUS 
COGNAC 
Borderies XO
700ml 40% 

グラス:リーデルコニャック
時期:開封後1ヶ月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:微かに溶剤を思わせるアルコールのアタックはあるが、ベースは甘やかでキャラメルや紅茶、熟した杏子、オーク由来のマスカットを思わせる華やかさもあり、ベタ甘いだけのコニャックとは異なる上質さを感じさせる。

味:柔らかくスウィートな口当たり。軽い粘性とコクのある甘さが舌に絡み、薄めたオレンジママレードやケーキシロップ、ほのかに甘栗。鼻腔には華やかさと同時に少し土っぽさに通じる熟成香を運んでくる。
余韻にかけて徐々にウッディでビター。軽くピリピリとした刺激とあわせ、香り同様に華やかなフルーティーさも感じられる。

一口目は物足りなさを感じるが、徐々に甘みとウッディさが蓄積し、口に含む毎に満足感が増す。負担なく飲み進められるバランスの整った仕上がり。まさに癒し系。ウイスキー好きの琴線で言えば、アクセントになっているオーキーなフルーティーさも魅力で、秋口に飲むには丁度良い。
なおコニャックソーダにすると、品の良い甘い香りと共に、薄いけど薄くないような、不思議な飲み口の食中酒へと変貌する。

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コニャック特有とも言える派手な外装が目を引く、カミュのシングル・クリュ・コニャック。同社がボルドリーに所有する畑でのみ取れた葡萄を使って仕込まれ、リムーザンやフレンチオークの樽で20年程度の熟成を経てリリースされているそうです。
大手銘柄らしくカラメルやウッドチップでの調整と加水を経ており、華やかでフルーティーというよりは、それらを内包しつつも甘口で主張の穏やかな仕上がりです。

先日、マーテル・コルドンブルーのレビューを書いた時に触れましたが、我が家にある癒し系なボトルはこれ。定価は15000円弱とそれなりですが、リユース市場では送料入れても半額以下のケースがほとんどで。。。一時期5000円を下回る時もあって、それは流石に安すぎだろって感じでした。ただ現在の相場だと、ボトルの装飾代を除外して純粋に中身の価格としては妥当だなと感じています。
おそらくギフトでもらって飲まずに流出というパターンなのでしょう。死蔵するような酒でもなく、ありがたく頂いております。

さて、ウイスキーとは異なり、コニャックは土壌等の違いから6つの生産地域で格付けが存在していて、ボルドリーは第3位にあたります。
それよりも上位は、プティット・シャンパーニュ、そして最上位のグランシャンパーニュ。勿論生産者や葡萄品種による作りの差もあって、グランシャンパーニュだから必ずしも良いコニャックになるというわけではありませんが、個人的にはボルドリーまでが単一で楽しめるクオリティの生産者がいる印象。今回のボトルで面白いのは、それを大手メーカーがリリースしているという点にあります。(カミュは生産規模的に中堅メーカーである、というツッコミはさておき)

量産品であるためカラメル等での調整、誤差補正はそれなりに行われていますが、舌を包み込むようなコクが杯を重ねる程に適度な重みを感じさせ、熟成由来の華やかなフルーティーさも感じることが出来る。ボルドリー地域特有の「スミレの香り」は、この重さのある熟成香のことなのか。。。?
この辺はよくわからないのですが、上述の甘やかな味わいのなかでウッディさが強く主張せず、大手メーカーらしいバランスでクイクイ飲めてしまうのも癒し系らしい魅力だと思います。

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以下余談。甘味の強いコニャックあるあるが、どうしても折れてしまうコルク。
っていうかカミュ・ボルドリーは2000年の誕生で、日本流通はそこからさらに近年となるため、そんなに古いボトルはないから大丈夫と油断してました(汗)

口径の大きなカミュはシャンパンコルクがジャストフィット。ですが見た目も大事なので、折れたコルクを取り除いて、シャンパンコルクの中をくりぬいて接着剤と共に装着。
無事にリペア出来ました。
先日のブラントンもそうですが、シャンパンコルクのストックはウイスキー飲み必須のアイテムですね。

マーテル コルドンブルー 1990年代流通 40%

カテゴリ:
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MARTELL 
CORDON BLEU 
OLD LIQUEUR COGNAC 
1990's 
700ml 40% 

グラス:
時期:開封後半年程度 
場所:お酒の美術館 神田店 
参考評価:★★★★★★(6)

香り:ふくよかで柔らかく広がる香り立ち。カラメルソースやチョコレート、熟した葡萄の甘いアロマ。奥にはウッディな要素と、仄かにオークの華やかさもあるが、基本的には色濃く甘やかなアロマが主体。

味:香り同様の構成。まろやかでスムーズな口当たりから、リッチな色濃い甘味が広がる。まるでカラメルで煮詰めた葡萄等のフルーツのよう。そこから角に主張しないきめ細かいタンニン、ウッディさがあり、序盤の甘味と共に口内で収束していく、引っ掛かりの少ないフィニッシュ。

こってりと甘口、カラメル系。フルーティータイプとは対極の、ある意味でコニャックらしいコニャック。濃厚で複雑さに欠ける部分はあるが、長期間の熟成を経た原酒がふんだんに使われたまろやかさ、重厚さ、引っ掛かりのないスウィートな味わいは、強い味わいのモルトを飲み疲れた時におすすめしたい。

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今日は珍しく、コニャック。それもいわゆる甘口系のコニャックです。
現存するコニャックメーカーのなかで創業300年以上ともっとも長い歴史を持つマーテル社。有名大手のレミー、ヘネシー、カミュらのリリースと比較しても、現行品だけでなくオールド市場で一つ高い評価を受けている印象があり、そして同社の象徴とも言えるブランドが今回のコルドンブルーです。

コルドンブルーの意味するところなどは、メーカーサイトや酒販のPRを参照いただくとして・・・後の話への繋ぎで、まずは全体論から。
コニャックにおいて、コルドンブルーが該当するXO相当クラスの商品は、甘口で引っ掛かりの無い重厚な方向性のものと、フルーティーで華やかな方向性のもの、乱暴に分類すると香味構成は2系統のどちらかとなります。(勿論そこまで重厚じゃなかったりその両方の特徴を持つものもありますが)
上に名前をあげた大手の通常ラインナップは前者のタイプが多く、複数の地域の原酒をブレンドしてカラメルか樽で整えるような仕上がり。一般にコニャック、ブランデーと認識されているのはこっちのタイプです。

後者のタイプは、原料由来の甘さやフルーティーさと、オークの華やかなウッディネスが効いた単一地域の少量生産品・・・代表的なブランドがポールジローやラニョーサボラン、ジャンフュー等。これらは長期熟成したスペイサイドモルトのようなフルーティーさから、近年ウイスキー好きにも認知されて愛好者が増えてきています。
一方、同じようにウイスキー側の視点で語ると、前者のタイプはモルトに比べて甘味メインで香味のメリハリに乏しいというか、緩くて飲みごたえに欠ける部分がネックとしてあり、特段評価されてこなかったと感じます。

とはいえ、そのものに魅力が無いわけではなく、前者のタイプをウイスキーで例えるならGM長熟の40%加水のような系統なんですよね。
そして近年のウイスキーから、シェリー系のマイルドでスウィートな加水タイプが減りつつあることを考えると、いよいよこのあたりのジャンルにも注目が集まって、その中でも香味のしっかりしてるタイプとか、重厚なタイプが見直されて来るのではないかと予想しています。


前置きが長くなりましたが、その筆頭と感じているのがマーテル・コルドンブルーです。ヘネシーも甘味濃厚なタイプですが、それがちとしつこい印象。
特にコルドンブルーのオールドは、コクのある濃厚な甘味がありつつも、柔らかい口当たりから余韻にかけてそれがまとまっていくような構成で、多少ウッディな感じもあり、濃厚さに反してべたつきが少ないように思います。
メインで使われている葡萄はボルドリーのものとのことで、同地区の葡萄はグランシャンパーニュほど突き抜けたフレーバーは出ないものの、その分甘味と重みがある印象から、なるほどという構成です。

オールドのざっくりとした時代判定は、1980年代流通のものはラベルが黒で、1990年代は白地に斜めに書かれたMatellが目印。さらに古い1970年代以前はラベルが白地ですが、ラベルが2分割されているものと、ボトルがグリーンカラーのものとがあるようです。
この手のタイプは家に何本も必要なく、1本あれば十分。近年主流のバーボンバレルや作為的ホグスヘッドのドライな香味のなかでは、癒しとも言える位置付けです。
季節は秋、そろそろ涼しくなって甘いお酒が美味しくなってくる時期ですから、XOクラスのものを1本家飲みローテーションに組み込んでみるのはいかがでしょうか。

なお、画竜点睛を欠くようで大変恐縮ですが、我が家では現在カミュXOボルドリーが癒しパートです(笑)

ギィピナール 2007-2019 フォルブランシュ 43% ドラス&信濃屋向け

カテゴリ:
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Guy PINARD & Fils 
FOLLE BLANCHE 
Distilled 2007 
Bottled 2019 
For BAR DORAS & SHINANOYA 
500ml 43% 

香り:ややドライで鼻腔を刺激するスパイス、微かに溶剤のようなニュアンス。奥には若い白葡萄や白桃、白系の果実の品の良いアロマもあるが、開いてくるのに時間がかかる。

味:少し水っぽさのあるスウィートな口当たり。香り同様の刺激があるが、後半から余韻にかけて黄桃や林檎のコンポート、そして熟したライチのような南国感と角のとれた酸味が、若い原酒の勢いそのままに広がる。余韻は非常に長く、スパイシーで張り付くような樽感を伴って長く続く。

加水されてなお適度な勢いを保った原酒の若さが、フルーティーな要素を後押しする余韻が最大の魅力。長期熟成コニャックだと余韻にかけて甘みがべたつくようなものもあるが、このボトルは勢いとフレッシュさを維持しており、アメリカンオークホグスヘッドで20年程度熟成したスペイサイドモルトのようでもある。
ネガを見ればきりがなく、良いところに注目したい1本。ハイボールが美味だが500mlをすぐに飲みきってしまうので注意が必要。

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スピリッツにおけるトロピカルフレーバーを分類すると、ウイスキーのみならずコニャックでも該当するフレーバーを感じられるものがあります。
ポールジロー、ジャンフュー、ラニョーサヴォランなど、特にグランシャンパーニュ地方の銘柄が代表的。ただ、それらは総じて長期熟成品に多く、若い原酒だと片鱗くらいは感じられるのですが、例えるならトロピカルのトぐらいのイメージ。10年前半の若い原酒だと難しいという印象でした。

そこにきて今回のリリースで驚かされたのは、香りはさておき味での余韻にかけてのフルーティーさ。
マンゴーというよりは、オーク要素由来の黄桃や加熱した林檎のような香味が主体ですが、合わせてライチなどの温暖な気候の中で熟した果実の香味が発散するような、ある種のフェロモンとも言うべきニュアンスも備えているのです。


このコニャックの原料には、絶滅危惧種とも言われる葡萄品種、フォルブランシュが使われています。フォルブランシュは1863年から始まったフィロキセラ大繁殖以前は主要葡萄品種だった、言わば古代種。その後フィロキセラの影響がない品種へ切り替わっていくなかで、一部蒸留所ではフォルブランシュを好み、ギィピナールでも少量復活させていました。

現在の品種と比べて何が良いかと言われても、正直コニャックの原料の違いに伴う香味の変化は経験不足でよくわからず。知人いわく濃厚な味わいを得やすいとのこと。
そこで指標になると感じているのが、2015年にリリースされた、同蒸留所2005年蒸留のフォルブランシュ。こちらも近い熟成年数でしたが、フルーティーというより酒質に勢いがあり、コニャックらしい葡萄由来の甘みと共に余韻は辛口な構成だったと覚えています。
今回のテイスティングでも、香りや味の序盤には相応に荒さも備え、所々で鼻腔や口内を小突いてくるような刺激もあり、この辺は若い原酒の共通点。熟成を続けていけば、角がとれて樽を受け止め、芳醇な香味に変わっていく要素だと思いますが。。。
ただ、大きな違いがフルーティーさです。熟成に使われた樽の影響でしょうか。例えば新樽で、強めに出た樽要素が原料由来の要素と融合し、該当する要素が感じられやすくなったのかもしれません。


今回のテイスティングアイテムは、”浅草の黒豹”あるいは”旅するバーテンダー”で知られる、BAR DORASの中森氏と、信濃屋の共同ボトリング。
ウイスキーに限らずコニャックでも長期熟成原酒が高騰するなかで、コストを押さえた若い原酒で、我々飲み手が好む要素をピンポイントで押さえて来た。自身が作ってきた蒸留所との繋がりはもちろん、日々お酒を提供するバーマンとしての確かな目利きが感じられる、グッドリリースだと思います。

以前は家が近かったので伺っていましたが、最近はご無沙汰な浅草DORAS。また機会をつくって伺いたいです。

ラフォンタン 1969 アルマニャック 1990年代流通 40%

カテゴリ:
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LAFONTAN - Armagnac 
Distilled 1969 
Release in 1990's 
700ml 40%

グラス:木村硝子テイスティンググラス
場所:自宅
時期:開封後1周間程度
評価:★★★★★★(6)

香り:クリームチーズのような少し発酵したような酸と、合わせてレーズンやダークフルーツのを思わせる甘いアロマ。古い木造倉庫のような土や埃っぽさを伴う落ち着いたウッディネス。メンソールのようなスッとするニュアンスを伴う。

味:粘性を伴うマイルドな口当たり。酸味を伴う葡萄、紅茶キャンディー。ほのかに果実の皮のような苦味と渋味、樽由来の香味か乾いた植物っぽさも伴う。中間以降の広がりがもたつくというか、平坦で単調。余韻はウッディで、キャラメルの甘みを思わせる少々ベタつく質感が口のなかに残る。

アルマニャックらしい甘味と発酵したような酸味、土っぽさとウッディネス。熟成感はそれなりに備わっているが、ベース部分には荒さも残っており、もう10年くらい熟成させたら。。。とも感じた。ただし経年変化で後追いで整えられつつある要素も感じられ、時間が形作る香味の一端を味わえる。
全体を加水やカラメル添加で整えているのか、フレーバーの起伏と広がりは序盤の勢いほどはない。この手のタイプはシガーと共に。

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ラフォンタンと言えば、200mlサイズでヴィンテージが1年毎に揃っているアルマニャック地方のブランデー銘柄。
ブランデーのみならず蒸留酒で、1年毎に区切られたリリースがあるというのは非常に珍しく。製品の特性上、誕生日、退職記念、あるいは還暦祝いなど、主に個人に由来する年に関連した、プレゼントとして活用されることが多い銘柄といえます。

一方で、ウイスキーを主として扱うBARでは、ポールジローやラニョーサボランなどのコニャックが勧められることはあっても、謎の多いアルマニャック地方産で、しかも200mlのラフォンタンが勧められるのは稀。味について触れられることも少ないように思います。
ただ現在の日本で多く流通する200ml規格以外に、XOやVSOPなどの通常のブランデーの規格やヴィンテージ入り700mlでリリースも行われており、1990年代には日本市場にも輸入されていました。
今回のテイスティングアイテムは、そのうちのひとつである1969年蒸留の1本。熟成年数は恐らく25年前後といったところになります。


ラフォンタンを日本の酒関連サイトで調べると、4代目となる作り手が伝統的な製法で原酒を作り、手作業でボトリングするということから独立した生産者であるように感じます。
ところがブランドを調べていくと、ラフォンタンは生産者というよりボトラーズのようなものであり、フランス・ノガロにある生産者貯蔵庫共同機構(CPR:Cave des Producteurs Reunis)が所有する原酒を使ってリリースされていたものであることがわかります。※現在はCPR Les HDM(Hauts De Montrouge)という組織名称に変わった模様。

フランス・ノガロは人口2000人に満たない小さな街です。そのなかでCPRは農家から葡萄を買い取って蒸留し、あるいは蒸留設備を持っている会社からは原酒を買取り、ひとまとめにして貯蔵し、製品化する。小規模集落で行うビジネスとしては、適切かつ合理的な取り組みの中で発展してきたようです。
現在、同機構の生産拠点の周辺には広大な葡萄畑が広がり、蒸留のみならず多くの契約農家が様々な品種の栽培を行っていることがWEB上でも触れられていました。

しかしこのようなケースでは、製品に使われる原酒の出自ははっきりしなくなります。
葡萄品種についても、現在はコロンバール、フォルブラン、ユニブランのようですが、このラフォンタン1969に何が使われたのか(味から察するに伝統的なものでしょうけれど)、そこからしてよくわかりませんでした。
同機構からはバルク的に原酒を販売しているケースもあるようで、アルマニャックの生産に謎が多い一因となっているとも感じました。

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(フランス・ノガロ郊外にあるCPR Les HDM の生産拠点。同地域のアルマニャック生産者全てが関わっている模様。ラフォンタンのラベルに書かれた生産者住所、32110 Nogaro France はノガロ市までのもので、Google先生の力で調べても街中の古びた建物しか出てこない。)

さて、ウイスキー愛好家の間では1960年代というとウイスキーの黄金世代として特別な意味があり、ついつい他の酒類でも特別ななにかを期待してしまいます。
確かに生産量の関係か、樽の関係か、美味しいものは多くなるように思いますが、全てが素晴らしいわけではなく。ことアルマニャックの場合、熟成年数によっては近年と大差ないレベルのものや、逆に落ちるものもあります。(バルク買いした原酒をろくに熟成もさせないで、ナポレオン表記でリリースした。かつての日本では多いに売れていたモノとか。)
そのため、蒸留時期よりも原酒に対して熟成期間がどれだけ適切に確保されているのか、という方が重要なのではとも感じます。

他方で、このラフォンタンの1969年というと今から50年前。熟成期間プラス経年での変化がもたらす落ち着いた味わいは、近年の原酒とは異なる仕上がりでもあります。
現在の技術でこれを擬似的に再現する方法はなく、何より目からの情報という説得力のある要素がもたらす特別感は得難いもの。
近年、長期熟成の原酒の確保がより一層困難となるなか、まだ手に入る60年代としてオールド・アルマニャックに目を向けてみるのも良いかもしれません。

補足:アルマニャック生産者には謎が多く、本件も調べきれてない情報や誤認もあると考えます。新たな情報がありましたら、是非教えていただけますと幸いです。

ジャンフィユー レゼルヴ ファミリアル 40%

カテゴリ:
jean-filloux-reserve-familiale-tasting
JEAN FILLIOUX
Reserve Familiale
Tres Vielle Grande Champagne
700ml 40%

グラス:リーデルコニャック
場所:自宅
時期:開封後2ヶ月程度
参考評価:★★★★★★★★(8)

香り:華やかでオーキー、アプリコットやマンゴーなどのドライフルーツ、白葡萄、林檎などの甘酸っぱさと共に、ほのかに甘栗を思わせる香ばしさ。注いだ瞬間はドライ気味だが、周囲に拡散する素晴らしい香り立ち。

味:濃縮感に加え角の取れたウッディな口当たり。合わせてピーチ、林檎のカラメル煮、熟した甘酸っぱい果実風味が樽由来のタンニンと共に広がる。粘性のある舌当たりだが、徐々にドライな刺激を感じる。
余韻はドライで華やか、強い熟成感を伴う実に長いフィニッシュ。

濃厚にして繊細。うっとりするような艶のある熟成香、樽感、長期熟成のボトラーズスペイサイドモルトにあるようなフルーティーさが広がる。大振りのグラスに注ぐとグラスの中にそれらが凝縮し、より芳醇なアロマを堪能できる。じっくりと時間をかけて楽しみたい。


コニャックの中でも最高峰の格付けを受けるグランシャンパーニュ地方。その中でもポールジローやラニョーサボランなどとともに、近年ウイスキー好きに認知され始めている作り手がジャンフィユーです。

ジャンフィユー社の商品には様々な熟成のレンジがあり、今回のレゼルヴ・ファミリアルはブランド通常ラインナップ最上位に位置する長期熟成品。使われている原酒の熟成期間は50年以上で、リムーザンオーク由来の華やかさと、多彩さを含む熟成香が魅力である一方。香味には熟成由来のウッディネス、ドライさも感じられるわけですが、それはギリギリ自然な範囲に収まっており、時間をかけて温めながら飲んでいくと香味の蕾が開くように、あるいは煮込み料理で材料が柔らかくなっていくように、グラスの中で好ましい変化が得られていきます。

ぶっちゃけ、近年のモルト。。。特にスペイサイド系はどんどん若さやボディの軽さが目立つ状態にあるわけですが、かつてのモルト(ピアレスの60年代のグレングラントとかストラスアイラとか)にあった熟成感に近いニュアンスを備えているのは、樽材の種類は違えどオーク由来の香味と熟成がもたらすものに共通項があるからでしょう。それなりに値段のするボトルではありますが、飲む価値はあると思います。

なお、このコニャックをはじめカルヴァドスなど熟成したブラウンスピリッツは、お湯割りとの相性が素晴らしいのです。(上の写真の紅茶っぽい構図、あれはお湯割りですw)
50〜60度くらいの温度で割ってやると、香りは柔らかく芳醇に、口に含む味わいはドライさがこなれて、華やかさとジャムのような果実味、体の隅々に染み込むような美味しさ。。。ただしこれ、初見のBAR等で注文する場合はマークされる危険を伴う諸刃の剣、素人にはオススメ出来ない。
また飲みやすさから杯が進み、気がつけば記憶をなくすという副作用も報告されているので、合わせて注意が必要です。

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