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2022年04月

長濱ウイスキーラボ ブレンディングセミナーで楽しむブレンドウイスキーの魅力

カテゴリ:

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長濱浪漫ビール(長濱蒸溜所)から、ゴールデンウイーク5月3日~5日の企画として、AZAI FACTORYでのブレンディング体験教室が告知されています。

先日紹介した発刻、祥瑞、グレンマッスル各種、そして現在進行形のいくつかの企画…。長濱蒸溜所関係者を除けば、長濱蒸溜所でのブレンドに最も関わっているのが自分です(たぶん)。
その経験から断言すると、ウイスキー愛好家がシングルカスクでオリジナルボトルを選定するのは浪漫である一方、ブレンドで自分だけのウイスキーを造るのは、浪漫以上に楽しさがある、最高の贅沢の1つ。はっきり言って、めっちゃ楽しいですよ。


長濱蒸溜所 AZAI FACTORY ブレンディング体験教室
5月3日:https://shop.romanbeer.com/view/item/000000000127
5月4日:https://shop.romanbeer.com/view/item/000000000128
5月5日:https://shop.romanbeer.com/view/item/000000000129

◇スケジュール
13時  長浜浪漫ビール集合
14時  ブレンディングセミナー開始
15時半 終了・小学校セラー見学
16時  長濱浪漫ビール着・懇親会


今回のブレンドセミナーは、滋賀県・長浜にある旧七尾小学校(廃校)を活用したAZAI FACTORYで行われます。
この設備は、校舎をウイスキーの熟成スペースに活用しつつ、理科室でブレンドセミナーを行う等、長濱蒸溜所の分室的な位置づけで2021年から整備が進められているもの。蒸留所からはkm単位で離れた場所にあることもあって通常は見学コースに含まれていないため、同蒸留所の熟成環境を見学できる機会でもありますね。

また、蒸留所に戻ってからの懇親会も、長濱蒸溜所見学における魅力の一つと言えるイベントであり、激しくお薦めです(笑)。
スケジュールとしては13時蒸留所集合、懇親会を経て19時ごろ解散であるとしても、東京から日帰りで参加出来るのもポイントです。

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※長濱蒸溜所 AZAI FACTORY 内部。どこか馴染みのある小学校の各種設備の中で熟成中のウイスキー。自分の小学校時代を思い出す懐かしさだけでない、ウイスキーに対する興味や高揚感、言葉で表せない不思議な感覚が湧き上がってくる。

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※AZAI FACTORYでの見学、ブレンド後は、長濱蒸溜所の見学と併設レストランでの食事。小規模であるため見学自体は小一時間で終了するが、食事は出来立て地ビールや長濱ハイボールと近江牛等を使った地元メニューで、通常訪問時でもついつい長居してしまう。


■長濱ブレンディングセミナーについて
これまで長濱蒸溜所は、現地以外に東京やオンラインでもブレンドセミナーを開催してきました。

なぜ長濱がブレンドかというと、同社のブレンデッドモルトウイスキーのAMAHAGANは、元々ブレンドの技術やノウハウを得るためにと位置付けられて発売されたところ。
様々なブレンドにトライし、リリースを重ねるうちに世界的なコンペでも評価され、まさに看板商品にもなったわけですが、そうした経緯からブレンドの可能性や面白さをもっと知ってほしい、そのためには実際に経験してもらうのが一番と考えたからなんですよね。

今回の記事はむしろこちらがメイン。過去のブレンディングセミナーの様子をまとめ、セミナーがどんなイメージで行われるのか、そしてどのようなウイスキーが出来るのかを紹介していきます。

※ご参考:自分のウイスキー仲間2名も、長濱ブレンドセミナーの記事や動画をUPしています。
ブログ:長濱蒸溜所のブレンド体験セミナーへ参加してきました @K67
https://k67malts.wordpress.com/2022/01/24/nagahama_blend_semi/

動画:ウイスキーのブレンド体験してきた【長濱ウイスキーラボ】@ランプちゃん
https://youtu.be/KlUGlm9WfEY

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長浜ウイスキーラボでのブレンディングセミナーは、同蒸留所の屋久ブレンダーが講師となって、蒸留所側で用意した6種類の原酒を使ったブレンドを実体験するだけでなく、作成したブレンドはお土産として持ち帰って楽しむことが出来ます。

セミナーでの基本的な原酒構成は、
・ハイランドモルト5年(ノンピート)
・ハイランドモルト8年(ノンピート)
・ハイランドモルト8年(ピーテッド)
・スコッチグレーン
ここに、長濱蒸溜所のモルト原酒(ワイン樽やシェリー樽など)と、その日のスペシャルウイスキーが1つ加わって、6種類の原酒が準備されています。
スペシャルウイスキーは何が出てくるのかわかりませんが、自分の時は約30年熟成のスコッチウイスキー。他には1982年蒸留のグレーンウイスキー等もあったようです。


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ブレンドするためには、そしてどんなレシピを作るかを考えるには、まず各原酒の個性を知らなければなりません。
セミナーの初めは、屋久ブレンダーからの説明を聞きつつ、用意されている各原酒をテイスティングするところから始まります。少量といっても6種類ありますので、この時点で飲みすぎないように注意です。なぜなら、この後ブレンドが始まると、試作品の確認としてさらに飲むことになるからです(笑)。

一通り試飲が終わったら、配られているスポイトを使ってグラスから原酒を吸い取って、自分のイメージするブレンドを作っていきます。(足りなくなった原酒は、その都度足してもらえます)
ウイスキー原酒には、混ざりやすい原酒、混ざりにくい原酒、その個性によって様々なタイプがあります。長濱蒸溜所が用意している原酒は比較的混ざりやすいモノが多く、難易度としては入門向けに抑えられていると言えますが、それでも基本は抑えないと取っ散らかったブレンドが出来てしまいます。

その基本はセミナーで屋久ブレンダーから説明があると思いますので、ここでは省略しますが、他にも味に深みや奥行きを出すためには、同じ方向の香味の原酒だけではなく、あえて真逆の香味のモノを少量使ってみるとか、グレーンウイスキーについてもその熟成感と香味に応じて使う量を調整したりとか。。。

例えば、ピートが苦手だからと、フルーティー系の原酒だけで仕上げようとするより、ほんの少しだけピート原酒を加えたほうが、フルーティーさが引き立ったり。モルティーなウイスキーを作ろうとする場合でも、100%モルトにするより、5~10%はグレーンを使ったほうが、口当たりの滑らかさと香味の膨らみがギャップとなって、逆に味わい深いウイスキーに仕上がるのです。

6種類の原酒でのブレンドでも、組み合わせはとてつもない数となります。きっと夢中になって作って飲んでを繰り返した結果、ウイスキーが出来上がるのが先か、自分が出来上がるのが先か、そんな状況になるんじゃないかと思います。

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冒頭書いたように、ブレンディングセミナーの最後は、作成した自分のレシピでお土産用のブレンドを作ってもらうことが出来ます。
ブレンドしたばかりのウイスキーは完全には馴染んでおらず、日を置いて飲んでみると、また違った表情を見せてくれるのがブレンドの奥深さであり、難しさでもあります。そこまで経験して、セミナーが完了するとも言えますね。

そして過去には、セミナーで参加者が作ったレシピをベースにしたウェビナーエディションがAMAHAGANからリリースさたりもしましたが、作成したウイスキーを参加者同士で交換してみると更に面白さが広がります。

私も上述の知人2名と、自分の作品を交換してテイスティングしてみました。
K67さんはモルティーでバランス寄りのブレンドだけど、ピートの扱いに苦労したんだろうなーとか。ランプさんはマイルドでメロー、随分グレーン寄りのブレンドにしたんだなとか。単に味わいだけでなく、原酒や工程を知っているからこそイメージできる景色があります。
イベント参加にあたっては小瓶を用意しておいて、懇親会で知り合った方々とブレンド交換をしてみるのも良いかもしれません。

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今回の記事は、別に長濱蒸溜所から依頼を受けて書ているわけではなく、純粋にこの企画が楽しいと感じての紹介になります。
最近は各種シングルモルトのリリースに加え、キリンの陸など、ブレンドに必要なハイプルーフの原酒が手に入りやすくなりました。ウイスキーの楽しみ方はもっと自由であっていいと、度々ブログやツイッターで発信してきた自分としては追い風を感じる状況ですが、その楽しみ方の1つ、ブレンドについて学べるセミナーは貴重な機会です。

今回のイベントでは、日々進化を続ける長濱蒸溜所について知ることが出来るのは勿論、ウイスキーそのものについても、ブレンドの奥深さを経験して新しい楽しみ方を見つけることが出来ると期待しています。
視野が広がるというと大げさかもしれませんが、きっとウイスキーライフの充実に一役買ってくれると思いますよ!

長崎 五島つばき蒸溜所 GOTOGIN 元大手酒類メーカー関係者が挑む 物語のあるクラフトジン

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突然ですが、自分は離島が好きです。
本土の港町や田舎とは違う、さらにゆったりと流れていく時間。周囲を海に囲まれていることで、隔離された空間が作る独特の雰囲気、景色。本土では望めない、ロマンに溢れた釣り場の数々。
大学時代はリゾートバイトで伊豆諸島に1ヶ月以上住み込みでバイトしたり、季節を問わず毎月1回は釣りにいったり、最終的には地元漁師の家に住み着いてもいました。

なので、「離島」というだけで親近感が湧く、パブロフの犬な心理を持っているのがくりりんです。
そして先日ブログ記事で紹介した飛騨高山蒸溜所の製造顧問、元キリンのチーフブレンダーである鬼頭英明さんとやりとりをしていた際に長崎・五島での計画を聞き、離島!蒸留所!!素晴らしい!!!と、離島愛が発動。
手始めに実施中のクラウドファンディングを勝手に応援させて頂くことにしました。

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世界遺産の島に蒸溜所を立ち上げ、クラフトジンづくりに挑戦!
https://readyfor.jp/projects/88266
※クラウドファンディング期間;2月28日〜4月25日11時まで


五島つばき蒸溜所は、酒類関連企業でお酒の製造販売・マーケティング等に関わってきた三人が、お酒本来の豊かさを持った「物語のあるお酒を作りたい」として設立中のクラフトジンの蒸留所です。
クラウドファンディングは既に終盤、目標金額を大きく越えた支援が集まっており、期待の大きさも伺えます。

場所は長崎県、五島市福江島、半泊(はんとまり)集落。
創業は2022年9月ごろ、製品出荷は同年12月ごろ。
設備はドイツ・アーノルドホルスタイン社製のジン専用蒸溜器。
造るジンはその蒸溜所名の通り、島の名産品である“つばき”をボタニカルの軸とし、島に湧き出る超軟水の湧水、ジュニパー、柑橘類などを使って仕上げられる予定です。

鬼頭ブレンダー曰く、正統派路線のジンだが、素材の個性を活かして膨らみと自然な濃縮感、飲み飽きることのないバランスのとれた美味しさ(ユニーク&ハーモニー)を目指すとのこと。
パッケージは同五島出身のアニメーション美術監督、山本二三氏が手掛けられ、内外ともこだわり抜いた個性を感じられる、まさに嗜好品たるクラフトジンが期待できます。

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五島つばき蒸溜所の代表である門田さん、ブレンダーである鬼頭さん、そしてマーケティング担当の小元さん。立ち上げを進めるキーマン3名は、実は全員がキリンビール社のOBです。約30年間同社に勤め、ウイスキー、ビール、酎ハイとさまざまなジャンルの酒類製造販売等に関わられてきた実績があります。

人生お酒一筋と言っても過言ではないリカーマンな方々ですが、なぜ少量生産のクラフトジンという、これまでの大量生産品とは真逆のお酒造りを選ばれたのか。
それは、大量生産大量消費の時代にあって、お酒が持つ物語や豊かさが失われてきているのではないかという意識から、自分達の手で“物語のあるお酒“を作り、それを通じて自分達が惹かれた場所の時間、空気、風景を共有したい。お酒にただ酔うのではなく、物語を含めて楽しんで欲しいと考えるようになり、今回のプロジェクトを立ち上げられたのだそうです。

これはあくまで個人的な推測ですが。
キリンビールで鬼頭さんが開発され、品質管理にも関わられていた大ヒット商品に”氷結“があります。
誰でも、手軽に、いつでも一定品質のお酒をの楽しめるというコンセプト。例えば、現代ではストロングゼロに代表されるように、純粋に効率よく「酔う」ことを目的とした安価なお酒は、それが悪いとは言いませんが、お酒そのものの背後にある物語は希薄だと言えます。
それこそ、原料の産地の話であるとか、造り手の想いとか、そういう景色が見えるかというと難しいでしょう。

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酒は嗜好品の部類ですが、嗜好品は効率じゃなく、こだわりの積み重ねだと思うんです。
私は直接お話を伺っていますが、クラウドファンディングのページを見るだけで、五島つばき蒸溜所に関わるメンバーが文字通りクラフトディスティラーとして、1本1本自分達のこだわりを込めたお酒を作りたい、という想いが伝わってきます。

では、「物語のあるお酒」としてどのようなジンを作ろうとしているのか。
それは長崎・五島にある「風景のアロマ」
・土地のアロマ(テロワール)
・素材のアロマ(個々のボタニカルの特徴)
・造り手のアロマ(ブレンダーの技術)
3つの要素をもって、飲む人にこの土地の魅力や、個性、お酒としてのおいしさを届けたいと言うこと。

具体的には、
五島の象徴といえる名産品の椿の種を炒って、挽いた上で蒸溜することで、深みのあるアロマとボディを生み出し。
水は現地の超軟水を用いて、その他ボタニカルについても素材毎に最適な蒸溜条件を見極め、個別に製法を切り替えることで、各個性を可能な限り引き出す。
それらを技術と実績のあるブレンダーが、個性を活かしながら調和させるブレンド行程を経て、物語のあるお酒へと昇華させていく。

五島の地には世界遺産に指定されるキリスト教祈りの地としての歴史があり、キーマン3名が惹かれた環境があります。
想いだけではなく、物語を育む魅力と歴史がその土地にあり、それらを紡ぐ確かな技術と実績があるからこそ目指せる、こだわりのクラフトジンづくりが今まさに始まろうとしているのです。

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日本では数年前にジンブームが到来し、酒造や焼酎等スピリッツメーカーが、クラフトジン市場に参入したという動きがありました。
その際、大半のメーカーでは和的な要素であるとか、個性的なスピリッツであるとか、あるいは地元の名物として植物のみならず動物的な何かまで、ジンという自由度の高いお酒にあって多種多様な原料を使った商品開発が行われたわけですが、個人的にはどこを向いているのかわからない商品も多数生み出された、という印象を持っています。

勿論、中には素晴らしいクラフトジンもありました。宮城の欅とか、西酒造の尽とか良かったですね。また、大手メーカーも参入し、日本のお酒市場に新しい選択肢が加わったのは事実です。
ですが、物事には守破離という考え方がある中で、何を守るかも定まらないうちから、なんとなく作れるからというような独創的なジンが造られ、一方でどう飲むのがオススメかと聞いても考えられていなかったり…。物語があるようで無い、造り手の好みなのか消費者の好みなのか、どこを向いて作っているのかわからないクラフトジンが、少なからずあったのも事実です。

その後、コロナ禍となりクラフトジンの領域では活発な動きが聞こえてこなくなっていましたが、今回、上述のように確かな造り手と深い想いによる、こだわりのジン生産計画を目にし、これは楽しみだと素直にワクワクしました。
冒頭述べたように離島愛がトリガーとなっていますが、それ以上に五島つばき蒸留所とキーマン3名が生み出すクラフトジンが楽しみでなりません。

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同蒸溜所におけるクラウドファンディングのリターンは、初回限定生産ジンのセット(10000円)から、蒸溜所に支援者のネームプレートを掲載するプラン、さらには100万円でオリジナルジンの生産というぶっ飛んだプランまであります。
流石に自分の財布から100万円は出せませんが、このブログの読者で自分だけのオリジナルジンに興味があるという方、支援しちゃっても良いんですヨ?

勝手に取り上げて勝手に応援しているだけの本記事ですが、自分にとってはこれもお酒が紡いでくれた縁の一つです。
いずれ福江島の海岸で、昼間はジンソーダを、夕暮れ時からはストレートやロックで、ゆるゆるやりながら1日を終える・・・そんな休暇を過ごしてみたいものです。
まあ、夕マヅメ時はグラスより釣り竿持ってる可能性が大ですけどね(笑)

クラウドファンディングのラストスパート、そしてそこから始まる蒸溜所創業に向けた準備、ジンづくり。是非ともこだわりの結実したお酒が出来上がりますよう、応援しております!

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お酒の美術館 祥瑞 & 発刻 オリジナルブレンデッドウイスキーのリリース

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全国にBARチェーンを展開する”お酒の美術館”から、同社初となるプライベートボトル、ブレンデッドウイスキー祥瑞(しょうずい)発刻(はっこく)が、各200本限定でリリースされます。
ウイスキー原酒の提供、製造は長濱蒸溜所。ブレンダーはくりりんが務めさせて頂きました。
※いつものように、趣味の活動の一環としての協力であり、売り上げや監修料といった報酬は一切受け取っておりません。

どちらのウイスキーも、長濱蒸溜所のモルト原酒、同社が輸入したスコッチグレーン、スコッチモルトを用いたブレンデッドウイスキー。
祥瑞は入門向けのブレンドであり、軽やかでフルーティーな、わかりやすさを重視した味わい。
発刻は愛好家向けのレシピであり、どっしりとスモーキーでシェリー樽原酒の効いた濃厚かつ複雑な味わいが、それぞれ特徴となっています。

また、祥瑞は47%に加水調整して飲みやすさを重視し、ウイスキーに馴染みのない方でもロックやハイボールで気軽に楽しんで貰う確信とをイメージして、価格もその分控えめに。
一方で発刻は加水調整をしていない、58%とハイプルーフ仕様のブレンド。シェリー系でヘビーピートという愛好家が好む、ちょっと尖った仕上がりをイメージしてブレンドしました。

ラベルやブランド名についてはお酒の美術館側で作成されており、私は一切タッチしていませんが、ラベルには源氏物語絵巻が用いられ、日本的な雰囲気と共に複数枚で1つとなる構想が。祥瑞は吉兆を、発刻は始まりを意味する単語であり、お酒の美術館のPBシリーズがこれから始まる、その行く先が明るいものであることを期待したネーミングとなっています。

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企画が動き出したのは昨年末。。。そうなんです、動き出してから半年経ってないんです(笑)。自分も大概ですが、この会社のスピード感ヤバいですね。
制作にあたり「1本は入門向けで、1本は愛好家向け、価格は同店の提供価格帯から外れないもの」という指定は受けていました。そして「後はくりりんさんに任せます」とも。
いち愛好家にすぎない自分を信頼頂いた、とても光栄な申し出ではあるのですが、酒美常連として変なものは作れませんし、責任も重大です。

だってコロナ明けで昔のように気軽に夜出歩くようになった時、自分のブレンドがいつまでも減らずに残っていたらと思うと…ぞっとします。
ただ今回、原酒を提供いただくのは長濱蒸溜所です。勝手知ったるとは言いませんが、これまでPBで何度もお世話になっているので、企画の進め方や原酒の個性を掴みやすいのは有り難かったです。(長濱蒸溜所からも、自分の起用を推薦してくださったとも聞いています。)

ということで、連絡を頂いてから速攻で伊藤社長&屋久ブレンダーに連絡をとり、コンセプトに自分のイメージを加えて原酒のピックアップを依頼。
ここも早かったですね、1週間程度でモルト、グレーン、10種類の原酒が揃う長濱蒸溜所のスピード感。入門向けで3種、愛好家向けで3種、計6種のレシピを作成し、屋久ブレンダーとも相談しながら、加水やレシピの微調整を実施。
最終的にどれをリリースするか、そもそも企画を進めるかは、お酒の美術館にお任せしました。

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(今回のブレンドの原酒候補。ここにもう一つ加わって10種類のモルト・グレーンウイスキーからレシピの模索を行った。)

結果、選ばれたレシピのキーモルトとなっていたのが、どちらも写真右側の1本、ラインナップの中で異彩を放つ濃厚なシェリー樽熟成原酒(長濱蒸留モルト)です。
また左側にある色の薄いモルトウイスキーは、リフィル系の樽構成ながらフルーティーでモルティーな味わいが魅力的。ここに20年熟成のグレーンウイスキーを加えて、祥瑞と発刻の主要構成原酒となっています。

この3種の原酒だけなら2つのレシピの香味はそう変わらないところ、ここがブレンドの面白さです。
これらをベースとして、長濱蒸溜所のヘビーピート原酒や、熟成輸入原酒など、他に使用した原酒の比率や個性で、味わい、熟成感、全く違うスタイルにが仕上がったのは記載の通り。軽やかでフルーティーな祥瑞、リッチでピーティーな発刻。是非、飲み比べもしていただけたら嬉しいです。

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THE SHOZUI 
BLENDED WHISKY 
“Sherry & Fruity”
Malt 90 : Grain 10
Blender Kuririn
Bottled by Nagahama Distillery
700ml 47%


乾いた麦芽香にケミカルなフルーツ。洋梨、シトラス、パイン飴。軽やかなフルーティーさが香味の主体で、奥にはホームパイのような香ばしいモルティーな甘さも感じられる。
余韻は軽いスパイシーさとメローな甘み、染み込むようなフィニッシュ。
飲み方はなんでも。個人的にはスターターな1杯。ハイボールで気軽に飲んでほしい。

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THE HAKKOKU
BLENDED WHISKY
“Sherry & Peaty” 
Malt 90 : Grain 10
Blender Kuririn
Bottled by Nagahama Distillery
700ml 58%


燻製チップ、ベーコン、BBQソースを思わせる、スモーキーで香ばしく甘いアロマと、ピーティーでリッチなシェリー感を伴う口当たり。ドライプルーンや濃くいれた麦茶、奥にはエステリーな要素もほのかに混じる。
余韻はスパイシーでビター。どっしりとしたスモーキーフレーバーが長く続く。
飲み方はストレートか少量加水で。

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記事のまとめとして、お酒の美術館の近況について。
同BARはリサイクル業等いくつかのビジネスを行っていた、株式会社のぶちゃんマンが運営する事業の一つです。
同社はバブル期や第一次洋酒ブームで輸入されたウイスキー、つまりリユースのオールドボトルを使ったBAR事業に注目し、2017年に京都に1号店(三条烏丸本店)を開店。その後2018年には神田店を、さらには日本各地にフランチャイズ店を展開し、2022年4月1日には銀座店(写真上)も出店されています。

1コインから手軽にウイスキーが飲めるというコンセプトや、駅地下商店街、コンビニ等と提携し、独自の経営システムを構築することで、現在は日本全国で約40店舗と、とてつもないスピードで成長を続けています。
その独自システムの1例がフード提供です。同BARは大半の店舗で「持ち込み自由」であり、中には3月に開店した関内マリナード店のように、近隣飲食店のメニューが置かれて注文が取れる店舗や、「ファミチキ専用ハイボール」なんてメニューがある店舗まで。
下町の個人経営の飲食店とかだとたまに見るシステムですが、全国チェーンでってのは珍しいですよね。

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一方で、急拡大するお酒の美術館には、スタッフのバーマンとしてのスキルが未熟であるとか、オールドボトルの状態良し悪しの見分けがつかないとか、人材的な問題点を指摘する声もあります。
勿論同社として研修は行っているようですが、ただでさえ人材の乏しい業界で、これだけの急拡大。速成教育の弊害というか、既存のオーセンティックBARに比べたら、いわゆる安かろう悪かろうに見えてのことだと思います。

ですが、中にはしっかりとしたスキルを持たれている方も居ます。元神田店の店長で、現在銀座店でカウンターに立つ上野さんはその代表。ウイスキーの状態判断はもちろん、カクテルも銀座にあって恥ずかしくないレベルのものを提供されています。

じゃあその上野さんも神田店開店の3年前はどうだったかというと、同BARの強みであるオールドボトルの知識は走りながら学ばれてきたというのが嘘偽りないところだと思います。現在は銀座店でワインやシャンパンも多く扱うようになったので「勉強しないと…。」と悩まれていましたが、これもすぐに立ち上がるんじゃないでしょうか。
他の店舗でも、20歳ちょっとで入ってきた若手が、1年後には範囲こそ限定的ながらバリバリにオールドブレンドを語れるくらいに成長していたり。同店から別なBARに転職し、その知識を使って看板的な立ち位置を掴んでる人も。
無茶振りってのもある程度までは有効で、環境は人を育てるんだなと感じます。

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お酒の美術館は気軽にお酒を楽しめる分、足りないものはお客が補うくらいでちょうどいいと、私は考えています。
そしてお客がもたらす知識や情報を、現場のスタッフが吸収して、気がつけばお店として独自の空気、スタイル、魅力を身に纏っている。お店としては開店時点でタネが植えられているような状態で、何がどう育つかは環境次第という、そんなイメージがあります。

その意味で、今回リリースされたお酒の美術館初のオリジナルウイスキー「祥瑞」と「発刻」は、経験こそあれどアマチュアであるお客の1人にブレンドを任せるというのが、お酒の美術館らしい企画と言えるのかもしれません。
であれば、私もこのウイスキーのブレンダーとして、皆様からいろいろ意見・感想を伺いたい。そして、お酒の美術館だけでなく、あるかもしれない次の企画に向けて、実績の一つとしたい。
そう、気がつけば今年は既にT&T TOYAMAのTHE LAST PIECEとで、4種類のブレンドに関わっているんですよね。愛好家兼フリーのブレンダー、新しいじゃないですか(笑)。

改めまして、貴重な機会を頂き感謝の念に耐えません。このリリースが、お酒の美術館にとっても、私にとっても、吉兆であり、将来に向けて動き出す後押しとなることを祈念して、本記事の結びとします。

飛騨高山蒸溜所 ロゴとプロジェクト体制を発表 クラファンはネクストゴールへ

カテゴリ:
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2022年3月25日、クラウドファンディングの立ち上げと共に、廃校を活用したウイスキー蒸留計画を本格的に始動させた岐阜県、舩坂酒造・飛騨高山蒸溜所。
クラウドファンディングは1日経たずに目標金額を達成し、約1週間で2000万円以上を集めなお支援が集まり続けている状況。そんな中、蒸留所予定地である旧高根小学校で、蒸留所のロゴの発表とプロジェクトチームメンバーによる記者会見が行われ、更に話題となっています。

※記者会見の様子はこちら(Youtube Live配信のアーカイブ)
https://www.youtube.com/watch?v=_Geu9vUb4SM

記者会見にはプロジェクトメンバーに加え、高山市長、旧高根小学校の校長先生ら学校関係者も参加されており、特に校長先生の気持ちがこもったお話は、LIVEで聞いていて思わず込み上げてくるものがありました。
会見の様子は上記URL先でアーカイブを視聴することが出来ますので、本記事で興味を持たれた方は是非ご参照ください。




■蒸留所のロゴについて
蒸留所のロゴは、東京オリンピック・パラリンピック2020のロゴを作成した野老朝雄氏が手掛け、注目を集めました。
ロゴデザインは、飛騨の”飛”をベースに、地元や世界との繋がりをイメージされたとのこと。また、将棋の駒である飛車としての意味もあり、縦横に動く駒による”繋がり”、勢いのある様や、将来的には竜と成って世界に羽ばたいてほしい、そんな意味も込められているそうです。

蒸留所のロゴはまさに蒸留所の顔です。
しっかりとコンセプトを込めて作る必要があるのはわかりますが、それにしてもすごい人に依頼したなと思ったのは私だけではないと思います。
有巣社長曰く、「たまたま知り合いだった」とのことですが、後述するプロジェクトメンバーにしても、はいよろしくと組める人達ではありません。それだけ、このプロジェクトが時間をかけて組成され、綿密な計画の元で動いていることがわかります。

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■飛騨高山蒸溜所プロジェクトメンバー


・プロジェクト実行者:有巣弘城(舩坂酒造)

・ロゴデザイン担当:野老朝雄

・製造顧問:鬼頭英明(元富士御殿場蒸留所チーフブレンダー、現五島つばき蒸溜所)

・総合アドバイザー:稲垣貴彦(若鶴酒造、三郎丸蒸留所)

・海外及びデジタル戦略(EC):中山雄介(元Amazon、楽天、現合同会社オープンゲートCEO)

・蒸溜所設計兼クリエイティブディレクター:平本知樹(株式会社woo 代表、空間デザイン専門家)

・販売兼マーケティングアドバイザー:下野孔明(T&T TOYAMA、モルトヤマ)

・蒸溜器製造:老子祥平(老子製作所)

※製造スタッフは、有巣さんを中心とした舩坂酒造のメンバーが担当します。

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いやぁ、どうですかこれ。
経験者や人材の限られたウイスキー業界において、ここまでスペシャリストを集めた立ち上げは前例がないと思います。
また、ここに記載されていない協力者も複数あります。地元の繋がりで言えば、例えばクラウドファンディングで木桶発酵槽のネーミングライツを購入した某地元企業など、更に広がります。その期待は、クラファンのリターンで実績のある三郎丸原酒のカスクオーナーより、まだ設備もない飛騨高山蒸溜所のほうに応募が集まったことからも明らかです。

ウイスキーは製造にかかるノウハウがある程度公開されており、外注した設備の導入が行われれば原酒を造ることは出来る状況にあります(勿論その出来の良し悪しはありますが)。しかし問題はそこから先で、それを管理し、ブレンドし、製品として国内外に販売していかなければなりません。

おそらく今後、多くのクラフト蒸留所で製造→販売→消費に至るまでの間にある”死の谷”を越えられるかが課題になってくるわけですが、それは現時点で事業化計画としてどれだけ明確なプランを打ち出せているか。具体的な体制が作れているかが重要になります。
その点、飛騨高山蒸溜所の体制は他のクラフトに比べて強力過ぎて、記者会見を見なければ現実味が無いとも思えてしまうほどです。改めて、有巣社長の人脈というか、繋がりの強さを感じた記者会見となりました。

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記者会見中は関連する質問が無く、どのようなウイスキーを目指すのかという点が深堀りされませんでした。個人的に伺ったところ、ZEMONの特徴を活かした、ふくよかでフルーティーなウイスキーを造っていきたいとのこと。
また、自分自身の力だけでなく、地元やプロジェクトメンバーの力を合わせて、飛騨高山から世界へ発信していけるようなウイスキーを造れればと、語られていたのが印象的でした。

飛騨高山蒸溜所は、その強力な体制に反して将来的に目指すウイスキーのビジョンが、他のクラフト蒸留所に比べると控えめなのかもしれません。例えば、三郎丸蒸留所のようにアードベッグ1974を目指すとか、厚岸蒸溜所のアイラモルト、あるいは嘉之助蒸留所の焼酎樽を用いた独自の個性とかですね。

ですが蒸留所予定地となっている旧高根小学校周辺の緑豊かな土地と、豊富で綺麗な水、秘境という言葉がしっくりくる場所は、熟成環境としても適しているように感じます。
何より、舩坂酒造の醸造に関する技術に加え、製造、ブレンド、販売において実績のある方々が加わったこの蒸留所が造るウイスキーは、間違いないだろうと確信すら覚えます。
じっくり焦らず、ウイスキーが熟成するのを待つように、この蒸留所が稼働し、原酒が生み出され、それと共にブランドが育っていくのも一つの形なのかなと思えてきます。

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※飛騨高山蒸溜所のクラウドファンディングが発表された3月25日は、15年前に旧高根小学校が閉校した翌日だった。止まっていた時間が動き出す、その一助となれたことがとても誇らしい。


■クラウドファンディングのネクストゴール
以上のように、蒸留所としての体制を発表した飛騨高山蒸溜所ですが、合わせてクラウドファンディングにおけるネクストゴール(3500万円で達成)を発表されています。
それが、同校庭(蒸溜所敷地内)に、桜並木を復活させるというものです。

※飛騨高山蒸溜所 クラウドファンディングページ
https://www.makuake.com/project/whisky-hida/

蒸留所となる旧高根小学校敷地内にはかつては多くの桜が植えられており、春になると満開の桜が子供たちを迎えていたそうです。現在その桜は学校前にかかる橋の建て替え工事に伴って無くなってしまっており、資料として写真が残されているのみ。これをもう一度復活させたいという、なんともクラファンらしい取り組みが計画されています。

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そんなのウイスキーと関係ないやん、と思われるかもしれませんが、飛騨高山蒸溜所ではウイスキーの蒸留だけでなく、校庭を活用したキャンプやアウトドア等、蒸留所そのものを体験型として、ウイスキーだけでなく飛騨高山の環境を楽しむことをコンセプトに設定しています。
流石にキャンプをする夏に桜の花はありませんが、同地域で桜が咲く5月頃に、花と新緑を愛でながら蒸溜所で熟成したウイスキーを1杯なんて最高ですよね。

なにより、同蒸留所のウイスキー事業は地域に活力を与えること、地域のプライドとなるブランドを創出することを目標としています。であるならば、その第一歩として、失われた桜の木が再びこの地に復活するというのは、心情的にも後押しとなる取り組みだと感じます。

現在の支援額は約3100万円(当記事公開時)。その主たるリターンの1つとして当初予定していた一口カスクオーナー制度は、応募が殺到したことで追加に追加を重ね、第3弾にまでなりました。
有巣社長に伺ったところ、もうこれ以上の追加はないそうです。
地元の期待を背にして、愛好家の期待にも後押しされ、動き出す飛騨高山蒸溜所のウイスキー事業。一応援者として、そしてクラウドファンディングの支援者として、その想いが形になる日が待ち遠しいです。


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※蒸留所となる旧高根小学校に残されている、当時の生徒たちによるお別れの落書き。これらは改修工事においては保護し、蒸留所となった後も残していくとのこと。

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※蒸留所の裏手、山から流れ出ている伏流水。高山市内を流れる清流も美しく、この豊かな水を使ってウイスキー造りは行われる。

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※高山の街並みと飛騨高山蒸溜所を創業する舩坂酒造。こちらは高山市内にあり、アクセスも良い。歴史を感じさせる外観、有巣社長の手により様々な商品開発や見学設備が整えられており、蒸留所見学と合わせて訪れたい。

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※ 舩坂酒造の代表的な銘柄である大吟醸 四ツ星
綺麗で洗練された品の良い香り。白色系果実の華やかさ、穏やかな酸。軽く程よい粘性が舌にからみ、雑味の無い旨みを感じるすっきりとした余韻。造り手自信の一本という評価も納得。

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※舩坂酒造、飛騨高山蒸溜所を操業するアリスグループは、高山市内に2軒の旅館を経営している。本陣平野屋花兆庵、本陣平野屋別館。どちらも気持ちのこもったおもてなしが素晴らしいと評判。蒸溜所見学の際は合わせて利用してみては。

ダルウィニー 2006-2021 ディスティラリー エディション 43%

カテゴリ:
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DALWHINNIE 
DISTILLERY EDITION 
DOUBULE MATURED
(BOURBON - OLOROSO CASK)
Distilled 2006 
Botteld 2021 
700ml 43%

評価:★★★★★★(6)

香り:柔らかく甘い麦芽香にオークの乾いたウッディネス。そこに混ざるシェリー樽由来の色濃い樽香。2つの要素がはっきりとは混ざり合っておらず、複層的に感じられる香り立ち。

味:マイルドな口当たり。 蜂蜜や麦芽糖、はっきりとした甘みが広がり、徐々にビター。シェリー樽由来のドライプルーンやブラウンシュガーを思わせるフレーバーがアクセントになっている。
余韻はほろ苦く、じんわりとウッディネスが染み込むように消えていく。

スタンダードのダルウィニー15年に感じられる、ハイランドモルトの代表格と言えるような牧歌的な麦芽風味に、オロロソシェリー樽の色濃いフレーバー、ウッディネスが混ざり合う。特徴的なのは、後熟に用いたシェリー樽のフレーバーが完全に一体化しているわけではなく、香味とも麦芽風味→シェリー樽と段階的に変化していくことにある。
少量加水すると、前者のフレーバーにある青みがかった要素が一瞬顔を出すが、一体化していなかった2つの要素が混ざり合い、熟したオレンジや洋菓子を思わせるアロマとして感じられる。相変わらず派手さはないが、地味に旨い通好みの1本。

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愛好家御用達の隠れた名酒、ダルウィニー。
ダルウィニーはディアジオ社のクラシックモルトシリーズとして位置付けられ、まさにハイランドの代表として1980年代後半からリリースが続いているわけですが。
そのクラシックモルトシリーズを様々な樽で後熟させて毎年リリースしているのが、ディスティラリーエディション(以下、DEと表記)です。

ダルウィニーDEは、オロロソシェリー樽でのフィニッシュで構成されていますが、このシリーズは各蒸留所において毎年毎年ロット差があり、ダルウィニーDEは特にその違いが大きいように感じます。
最近のロットだと、2016年はシェリー感というよりはエステリーで華やかなフルーティーさという、組み合わせであり得るとしたらアメリカンオークシェリー樽由来のフレーバーが際立ち。2017年や2018年はリフィルかな?という麦芽風味主体の構成だったところ。

この2021年リリースのダルウィニーDEは樽の傾向が大きく変わって、最近の他社オフィシャルリリースに見られるようなシェリー感が、麦芽風味に混ざって感じられます。シーズニングのオロロソシェリー樽で、スパニッシュオークのキャラクターに由来するものでしょう。
その上でノーマルな15年とDE15年を比較すると、どちらも同系統のフレーバーがベースにありつつ、ハイボールなどのアレンジのしやすさはノーマルに軍配があがり、単体で緩く飲んでいくならDEも良いなというのが、この2021年リリースの印象です。

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さてダルウィニーのオフィシャルラインナップは15年とDEで、後はウィンターズゴールドが市場にあり、基本それ以外に定常的に販売されているオフィシャルリリースはありません。
ディアジオは、ダルウィニーに限らず売れ筋である一部の銘柄を除いてラインナップを絞る戦略をとっているようなんですよね。
ことダルウィニーについてはボトラーズもないので、折角クラシックモルトとして地域を代表する銘柄にしているのだから、もう少しラインナップを増やしてくれても良いんじゃないかなぁと思うのですが。。。

ただ、限定品として不定期ながら長期熟成のリリースが数年毎に行われており、2000年代にリリースされた29年、32年は絶品。2006年リリースの20年は少々難ありでしたが…。
2016年にリリースされた25年は、15年の傾向で麦芽風味とフルーティーさを洗練&ボリュームアップさせたような味わい。
2020年にリリースされた30年は麦芽風味にやや枯れた要素がありつつも、奥行きと熟した洋梨のようなフルーティーさがあり、どちらも通好みの味わいで良い仕上がりでした。

こうしてリミテッドをテイスティングして現行品のスタンダードに戻ってくると、改めてその良さも感じやすくなる。
ダルウィニーというよりは、ディアジオのブランド戦略の巧みさでもありますね。

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