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2016年03月

サントリー センチュリー 17年 ブレンデッドウイスキー

カテゴリ:
CENTURY
Suntory Whisky
Aged 17 Years
2001's
43% 750ml

グラス:創吉テイスティング
量:30ml以上(個人所有)
場所:自宅
時期:開封後1か月程度
評価:★★★★★★(6)

香り:やや青みがかった香り立ち。ツンとした木香、ニス、ほのかに感じられるキャラメルの甘さが時間経過で前に出てくる。ナッツや麦芽香、柔らかいスモーキーフレーバー。奥には杏や干し柿を思わせる熟成したモルトの香味もある。
加水すると青みが後ろに入り、薄っすらと蜂蜜の甘い香りとスモーキーな麦芽風味がメインに。

味:勢いのある口当たり。あんず棒やビスケットを思わせる甘酸っぱい麦芽風味、後半はピートも感じられ、焦げたカラメルソース、ほろ苦くスモーキーな余韻につながっている。
加水しても序盤の勢いはあまり変わらないが、ドライでピートの主張が強くなったように感じる。


サントリーが2001年、新たな世紀の到来を記念してリリースしたシリーズのうちの1本。
先日は21年ピュアモルトを記事にしましたが、今回は17年、ブレンデッドウイスキーです。
21年が熟成感のあるミズナラ香とシェリーの素晴らしいバランス、言うならば響ピュアモルトという味わいだったのに対し、17年はまったく毛色の違うブレンデッドで、白州蒸留所メインの構成を思わせる味わいになっています。
響を始めバランス型のブレンドが目立つサントリーの上位グレード製品においては、中々珍しい極端なつくりだと感じました。

白州蒸留所は1973年操業となっていますが、実際は白州西蒸留所が1973年で、現在操業している白州東蒸留所は1981年の創業。原酒の熟成期間と幅を考えると、ウイスキーが製造されたであろう2000年頃にブレンドの核を成す17年~モノの原酒が揃う計算になります。
21世紀を祝う今回のウイスキーの構成にどのような意図が込められたのか、考えてみるのも中々面白いです。

その香味は、極端な構成とは書きましたが、決して単調な味わいではなく、味、香り共に複雑で多彩な要素が感じられます。
パンチョンやホワイトオーク系の爽やかな香味、ハイランドモルトを思わせるモルティーさと柔らかいスモーキーフレーバー。ストレートだと序盤に青みがかった香味が感じられますが、少量加水に加え、ロックやハイボールでも楽しめる、飲み方を選ばないブレンデッドです。 

余談ですが、ボトル形状は"時の海"をイメージしているとのこと。
それはそれでいいんですが、妙に長いボトルネック部分を持つと、メイスというか鈍器にしか見えないんですよね(笑)。

モートラック 25年 1989-2015 スクールオブモルト 54.5%

カテゴリ:

MORTLACH
School of Malt Dave Broom
Aged 25 Years
Distilled 1989
Bottled 2015
Cask type Sherry Butt #5145
700ml 54.5%

グラス:創吉テイスティング
量:40ml
場所:自宅
時期:直近開封
暫定評価:★★★★★★(6)

香り:注ぎ立てはドライな酸味と硫黄香、徐々にかりんとうを思わせる香ばしい甘みが開いてくる。またレーズン、ドライアプリコット、シェリー感を支える複雑さがあり、奥行きのあるアロマ。

味:甘酸っぱく香ばしい口当たり。ドライイチジク、アンズを思わせる酸味と、サルファリーでブラウンシュガーやかりんとうの香ばしいシェリー感。ボディは厚くどっしりとした飲みごたえがある。後半はピリッとスパイシー、ドライでシェリー感の奥には内陸系のピートフレーバーが隠れていて余韻にかけて存在感を増してくる。


ウイスキーマガジンや各種イベントでお馴染み、ウイスキー評論家のデイブ氏が、その蒸留所の個性をつかみやすい原酒(樽)を厳選してボトリングし、該当する蒸留所のハウススタイルをレクチャーしてくれるシリーズ。
2013年頃にトマーティン、グレンファークラス(バリンダロッホ)、軽井沢とリリースがあり、その後1年間動きがありませんでしたが、ここにきてモートラックとリンクウッドの2種類がリリースされました。
ラベルもかつて「漫画ラベル」あるいは「セクハララベル」などとネタにされた、デイブ氏のイラストが解説する形式から、黒板に書かれた落書きタッチなイラストに変化。個人的にはあのドヤ顔をされてるラベルより、断然親しみが感じられます(笑)

モートラックは2015年に「ダフタウンの野獣」などと、日本では聞いたこともない通称(自称)を引き下げオフィシャルボトルがリリースされたこともあり、「俺の思うハウススタイルはこれだ」と、久しぶりの授業に乗り出したようです。 
その中身はシェリーバットでの熟成らしくシェリー感がしっかり感じられますが、濃厚というわけではなく、バランス寄りなシェリー感。香ばしいかりんとう系のサルファリーな要素があり、オフィシャルと照らし合わせるなら18年を構成している原酒とリンクする部分が感じられます。
加えて、ただサルファリーなシェリーと言うだけではなく、奥にはドライフルーツやボディの厚い酒質、この辺はオフィシャル25年とも共通する熟成感があったように思います。それ以外に余韻では内陸系のピートフレーバーが硫黄に取って代わり、中々悪くない、というか面白いリリースです。


本ボトルは先日開催した持ち寄り会で、TWDのリーダーTさんが持参されたもの。
色が薄いのと、サルファリーだという話は聞いていたため、あんまり期待できないなと思い込んでいたのですが、それ以外のフレーバーがしっかり盛り上がるように自分にとってのマイナス部分を補ってくれて、楽しんで飲み進めることが出来ました。

ボウモア 11年 1999-2010 ゴールデンカスク 58.2%

カテゴリ:

BOWMORE
The Golden Cask
Aged 11 Years
Distilled 1999
Bottled 2010
700ml 58.2%

グラス:グレンケアン
量:30ml
場所:BAR飲み(持ち寄り)
時期:不明
暫定評価:★★★★★(5-6)

香り:爽やかだがやや荒さ、えぐみのあるスモーキーな香り立ち。シトラスやレモンピール、和紙を思わせるニュアンスに加えて、ツンとした塩気、ヨードも感じる。

味:フレッシュでスパイシーな口当たり。塩スープを思わせる塩分と淡いコク、木のえぐみ、グレープフルーツ香料のような薄い果実味が感じられる。
鼻抜けは柑橘系とスモーキーフレーバー、荒さの残る舌触りに、ピーティーでドライな余韻。

個人的に1999年蒸留のボウモアはフルーティーさだけでいえば、当たり年に匹敵するポテンシャルがある、として度々紹介しているところでです。一方で2000年代以降寄りのアタックが強く紙っぽさが感じられるボトルも散見され、1993~1995あたりほどの安定感が無いのは難しいところ。

今回のボウモアはどちらかというと後者寄りで、フルーティーさもあるのですが樽感由来という印象は少なく、あとは塩気やピートの粗い部分がメインに感じられます。
使用されている樽は不明ながら、リフィルシェリーで熟成されたボウモアにありがちな酸味があまり感じられないため、リフィルバーボンバレル(あるいはホグス)あたりかもしれません。
当たり前と言えば当たり前ですが、ベースの酒質としてはこんな感じで、あとは樽によってどういう影響を受けたかというウェートが、より大きいのでしょう。

このボトルは先日BAR RASENにHPさんが持ち込まれたもの。カウンターで色々注文しながら、このボトルも美味しくいただきました(笑)。
フルーティータイプのボウモアが好みな自分としては「おや?」という感じではありましたが、10年ちょっとという比較的短期な熟成期間ですから、同じような樽構成でも20年くらい熟成させたものを飲んでみたいですね。

オールドプルトニー 18年 1997-2015 ロイヤルマイル 55.7% ブラインドテイスティング

カテゴリ:

OLD PULTENEY
Aged 18 Years
Distilled 1997
Bottled 2015
Cask type Bourbon barrel #774
For Royal Mile Whiskies
700ml 55.7%

【ブラインドテイスティング】
分類:シングルカスク、スコッチモルト
地域:ハイランド
熟成年数:20-25年
蒸留時期:1980年代
度数:55%程度
樽:リフィルホグスヘッド
蒸留所:クライヌリッシュ

グラス:創吉テイスティング
量:50ml
場所:自宅
時期:比較的直近に開封
暫定評価:★★★★★★★(6-7)

香り:バニラを思わせる甘くフルーティーなオーク香。洋梨、りんごのコンポート、奥には粘土のような土っぽいアロマもある。くどさのない樽感に加えて時間経過で麦芽香、かすかな植物感もある。

味:なめらかでオイリーな口当たりからフルーティーなオーク香、リンゴ、ドライパイナップル。ボディはしっかりしており、ほのかに乾いた木のえぐみとねっとりとした粥やバニラを思わせる麦芽の芯の部分の甘みが開いていく。余韻はオーキーで華やか、ほのかな塩気を伴って長く続く。


ウイスキーショップ、ロイヤルマイル向けに展開されたオフィシャルのオールドプルトニー。日本には当然未入荷で、ロイヤルマイルから直接購入するしかなかったボトル。先日、ウイスキー仲間のマッスルKさんから余市ピーティー&ソルティを頂いた際、併せて頂いたブラインドサンプルがこのボトルでした。
頂いたときも感動しましたが、正解発表を聞いて改めて感謝の涙が止まりません。三連休は実家の仙台に帰っていたので落ち着いてテイスティングできず、結局次の週末になってしまいましたが、じっくり堪能させていただきました。

最初はSK2で飲んだところ、体調もあったのかあまり香りが立たず、奥のほうから品の良いフルーティーさが上がってくる程度で、なんじゃこりゃ、ハイプルーフのローランドかなんかか?と感じてしまったのですが、後日グラスを変えて創吉テイスティンググラスで飲んだところ、オイリーな口当たりで非常にしっかりとしたフルーティーさ、嫌味の無い樽感、そして味の中間から広がるバニラを思わせる麦芽風味と土っぽいフレーバーが広がって、いやいやこりゃ旨いボトルだぞと。

予想の経緯ですが、この手のフレーバーはハイランドの王道的なスタイルの一つという印象で、全体的にウッディーな刺激が少ない綺麗な熟成感から、使われた樽は小さい樽ではなく一回り大きなリフィルバーボンホグスヘッドあたりかなと。
蒸留時期は1980年代か1990年代か悩みましたが、バリバリに硬いボトルが多い1990年代とは思えず1980年代の蒸留。フルーティーさにオイリーな麦芽風味、そしてそれに混じって感じる微かな塩気から、どこかしらのボトラーリリースのクライヌリッシュを予想していました。

ロイヤルマイルのWEBページを見ると、今回のボトルはバーボンバレル熟成の18年モノという記載があり、系統は間違ってなかったのですが、蒸留所と蒸留時期は残念ながらボッシュート。地域は同じ北ハイランドなのでギリギリセーフか。
ボトラーズというよりはオフィシャルの21年等を構成する樽の系統で、蒸留所限定のバリンチでもこういうボトルがあって「プルトニーうめぇ!」となった記憶も思い出したところ。
1980年代蒸留としたあたりで、プルトニーは完全に頭から消えていますが、冷静に考えると候補に入ってしかるべきという構成でした。
ロイヤルマイルのスタッフが「スタッフのクリスマスリストのトップ」としたのも頷ける味わいです。

キングスランサム 12年 1980年代流通 ラウンドザワールド

カテゴリ:
KING'S RANSOM
DeLuxe Scotch Whisky
Aged 12 Years
"ROUND THE WORLD"
1980's
43% 750ml

グラス:グレンケアン
量:ハーフショット
場所:BAR飲み(RASEN)
時期:約5年前
評価:☆☆☆☆☆
※だいぶ弱っており評価をする状況にない。

香り:くすんだような麦芽香、ミルクキャラメルの甘みとほのかにオレンジピール。スワリングするとソーピーなパフュームが柔らかく立ち上がってくる。

味:エドラダワーらしいクリーミーな口当たりから揮発するようなソーピーさが鼻まで抜ける。こなれた麦芽、ママレード、微かにみたらしを思わせるヒネ香。後半はほろ苦い麦芽風味と淡いパフューム。

伝説?はたまた幻?とブレンデッドウイスキーの中でもちょっとした話題性があるのがキングスランサムです。
おおよそ大それた名前であることの多いブレンデッドウイスキーの中でも、「王様の身代金」という大層な名前に加え、マリッジの際に帆船で世界を一周させたというこだわりの製法、さらにはポツダム会談の会食で使われたという歴史的な背景、そこに流通量の少なさが加わって、名前は知っているけれど飲んだことは無いというケースが多いウイスキーの一つになっているわけです。
漫画レモンハートでもマスターが「これだけは持ってないんです」とポップアップだけでボトル紹介を済ませてしまったことも、一役買っているように思います。

今回のボトルはその漫画レモンハートで書かれていた、1980年代流通のキングスランサム。
ハウスオブローズを記事にした際にも書きましたが、この後1990年代に入ると親会社の原酒使用方針の変更によって終売となり、現在は販売していない銘柄となります。
ただしキングスランサムを作ったウィリアムホワイトリーがこだわったという、帆船による世界一周マリッジは既に行われなくなっており、原酒の一部に当時のものが使われているというレベル。中身はほとんどハウスオブローズと変わらない状況だったと言えます。
(そのためか、ROUND THE WORLD表記も随分目立たなくなってしまって・・・ボトルは非常にかっこいいんですが。)

前置きが長くなってしまいましたが、今回のボトル、構成原酒はハウスオブローズ同様にほぼエドラダワーと言われており、蒸留時期的には1970年代のエドラダワーということで、当然ソーピーなパフューム香が強く感じられます。
このボトルは開封したのが5年前、経緯については説明を省略しますが、開封時に自分も飲んでおり、その後何度か飲んで、先日まだ残っていたのかということでテイスティングしてみました。
口開け当時からカラメル系の甘みとソーピーなフレーバーが特徴だったところ、開封後変化で甘味が弱くなった結果かソーピーさが序盤から広がるように出てきて、鼻腔まで一気に抜けていきます。余韻は結構弱っていて、名残を拾う程度なレベルになっています。
仮に万全であっても、パフューム系のフレーバーがあるだけに好みが分かれるボトルではありますが、ウイスキーそのものの完成度は低くは無いので、大丈夫な人はそれなりに楽しめるボトルだと思います。

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