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2019年12月

2019年を振り返る ~印象に残ったボトルや出来事など~

カテゴリ:

1年があっという間に過ぎ去ってしまった・・・なんてことを毎年呟いている気がしますが。(もう歳だなぁ・・・とも)
日々こうしてブログを更新していると、過ぎ去ってしまった時間の存在を実感出来る、日記的な感覚があったりします。

2019年に更新したレビュー数は270程度、総数は1500を越えました。うち投稿していない銘柄もあったりで、何だかんだ500銘柄は飲んでいると思います。
また、今年はブログ活動をしてきた中でも、最も繋がりの広がった年で、楽しいことも多かったですし、考えさせられる事柄も少なからずありました。
2019年最終日の更新では、これら1年で経験したことの中から、印象に残っている出来事やボトルをまとめて振り返っていきます。

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■Liqulの執筆開始&グレンマッスルのリリース
最も印象的だった出来事は、勿論この2つ。
まずひとつ目が、酒育の会の代表である谷島さんからお声がけいただき、Liqulでオフィシャルボトルレビューの執筆を開始したこと。
同紙がWEB媒体へと移行する来年からが本番なので、今年は準備運動的な意味合いもありましたが、業界で活躍されている皆様と一緒に活動することができたのは、大きな刺激になりました。

また、執筆にあたりアイコンを新垣先生に描いて貰えたのも、ウイスキーの縁で実現した出来事のひとつです。
某海賊漫画風くりりん似顔絵。個人的にはすごく気に入っているものの、仲間内から「こんな悪い表情出来てない」と言われておりますがw
2020年最初の記事は既に入稿済みで、先日リニューアルが発表されたアランの新旧飲み比べが掲載される予定です。

そしてもうひとつの出来事は、オリジナルリリース「グレンマッスル18年ブレンデッドモルト」が実現したことですね。
宅飲みした際の酔った勢いで始まった計画でしたが、愛好家にとってのロマンをこうして形に出来たことは、ブログ活動というか人生の記念になったといっても過言ではありません。
実現に当たってご協力頂いた笹の川酒造、ならびに福島県南酒販の皆様、本当にお世話になりました。。。

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グレンマッソー18年は、国内で3年以上貯蔵されていたものとはいえ、輸入原酒(バルク)を使ったブレンデッドモルトウイスキーです。
突き抜けて旨いリリースとは言えませんが、キーモルトを探るミステリアスな面白さに、嗜好品として楽しんでもらえるバックストーリー。加えて香味にも流行りの系統のフルーティーさがあり、一定レベルのクオリティには仕上がっていたと思います。

何の思い入れもなくとりあえずサンプルだけ手配して、複数のなかから比較的まともなものを選んで・・・というような選定方法では、我々愛好家側の色は出せないと思っての”ブレンド”というジャンルでしたが。SNS等で「今年印象に残ったウイスキーのひとつ」と、何人かに言って貰えていたのが嬉しかったですね。
そして第一歩が踏み出せたことで、それに続く新しい動きもあり、来年はそのいくつかを発表出来ると思います。我々の作った味がどんな感想をいただけるのか、今から楽しみです。

※参照記事

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■ジャパニーズウイスキーの定義とワールドブレンデッド
さて、輸入原酒と言えば、2019年は輸入原酒を使いつつ「ジャパニーズ的な名称を用いたリリース(疑似ジャパニーズ)」が、前年以上に見られたのも印象的でした。
一部銘柄に端を発し、ウイスキーの成分表記についても少なからず話題となりました。こうした話は、すべて情報を開示したり、事細かに整理したからといってプラスに働くものとは限りませんが、法律上の整理と一般的なユーザーが求める情報量が、解離してきているのは間違いありません。
今の日本は、昭和のウイスキー黎明期ではないんですよね。

一方で、大手の動きとしてはサントリーが「ワールドブレンデッドウイスキー AO 碧」を新たにリリースしたこともまた、2019年の印象的な出来事のひとつだったと感じています。
ワールドブレンデッド表記は、自分の記憶ではイチローズモルト(ベンチャーウイスキー)が2017年頃から自社リリースに用い始めた表記。ジャパニーズウイスキーブームのなかで、それとは逆行するブランドを業界最大手であるサントリーが立ち上げたのは驚きでした。

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ウイスキー文化研究所ではジャパニーズウイスキーの定義作りが進み、既に素案が公開されている状況にあります。
来年のTWSCはその定義に基づいてカテゴリーの整理が行われていますし、4月にはジャパニーズウイスキーフェスティバルが開催される予定であると聞きます。

シングルモルトウイスキーでは、産地が重要な要素となるため基準に基づく産地呼称等の整理が必要ですが、ブレンデッドはジャパニーズだけでなく、広い視点で考えなければならないとも思います。
他産業ではMade in Japanブランドが世界的に強みと言っても、日本製のパーツや材料が評価されている部分もあれば、国内外問わず作られたそれらを、日本の技術や品質追求の考えの下で組むことで形成されている部分もあります。
サントリーの碧を始め、ワールドブレンデッド区分のウイスキーは、日本の環境だけでなくブレンド技術という日本の技をブランドに出来る可能性を秘めたジャンルと言えます。

つまり輸入原酒(バルクウイスキー)もまた、使い方次第で立派なブランドとなるのですが、問題なのは酒ではなく”売り方”。どこのメーカーとは言いませんが、海外市場をターゲットに、紛らわしいを通り越したえげつない商品をリリースしている事例もあります。
現在作られている基準をきっかけに、そうした整理にもスポットライトが当たり、業界を巻き込んだ議論に繋がっていくことを期待したいです。

※参照記事

■2019年印象に残ったウイスキー5選
小難しい話はこれくらいにして、行く年来る年的投稿ではお決まりとも言える、今年印象に残ったウイスキーです。
まず前置きですが、今年は冒頭触れたとおり、500銘柄くらいはテイスティングをさせていただきました。
中には、サンプル、持ち寄り会等でご厚意により頂いたものもあります。皆様、本当にありがとうございました。

オールドの素晴らしいものは相変わらず素晴らしく、そうでないものはそれなりで。一方ニューリリースでは原酒の個性が弱くなり、ボトラーズは特にどれをとってもホグスヘッド味。。。のような傾向があるなかで、それを何かしらとタイアップして売るような、ラベル売り的傾向も目立ちました。
市場に溢れる中身の似たり寄ったりなリリースに、食傷気味になる愛好家も少なくなかったのではないかと推察します。

その中で、今年印象的だったボトルを年始から思い返すと、オフィシャルリリースや、作り手や選び手の想いが込められたものほど、そのバックストーリーの厚みから印象に残りやすかったように思います。
個人的な好みというか、その時その時の美味しさだけで選ぶなら、カテゴリーから上位を見てもらえれば良いので、面白味がありません。味以外の要素として、そのリリースに込められた情報、背景、個人的な思い入れ等も加味し、”印象に残ったウイスキー”を選んでいきます。
なお先の項目で触れている、グレンマッスルやサントリー碧も該当するボトルなのですが、二度紹介しても仕方ないので、ここでは除外します。(ニューポット、ニューボーンについても、来年まとめるため対象外とします。)

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チャーしたスパニッシュオークの新樽で熟成された山崎。味は若い原酒を濃い樽感で整えたような粗さはあるが、その樽感がシェリー樽、あるいはシーズニングという概念を大きく変えた。味以外の"情報"で、これ以上のインパクトはない。是非飲んで欲しい1本。

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最高の白州のひとつ。白州蒸留所シングルモルトで初の30年熟成という点も印象的だが、15本と極少数生産故、樽から全量払い出されなかったことがもたらした、アメリカンオーク由来の淀みのないフルーティーさ、良いとこ取りのような熟成感が素晴らしい。

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アメリカで多くのシェアを獲得していた、全盛期とも言える時代のオールドクロウ。
100年を越える瓶熟を経てなお濁らずくすまず、艶のある甘味と熟成ワインのように整ったウッディネスが素晴らしい。また味もさることながら、ボトルそのものが有するバックストーリーも申し分なし。記憶に刻まれた、文化財級の1本。

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新しい蒸留所が示した新時代への可能性。樽由来のフルーティーさ、麦芽由来の甘味とフロアモルティングに由来する厚みのあるスモーキーフレーバーが合わさり、短熟らしからぬ仕上がりが評判となった。来年の10周年、そしてこれから先のリリースにも期待したい。

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マイ余市を選ぶつもりが、年末の持ち寄り会で滑り込んだ特別なウイスキー。2014年に天寿を全うされた、故竹鶴威氏に敬意を表した記念ボトル。ニッカが蒸留所を再稼働させた1990年の、最初の原酒をリメードホグスヘッド樽で熟成させたシングルカスクで、ニッカらしいウッディさにオークフレーバーと、ベンネヴィスらしいフルーティーさが合わさった、ファン垂涎の1本。

※その他候補に上がったボトル
・グレンファークラス 29年 1989-2019 ブラックジョージ
・リトルミル40年 1977-2018 セレスティアルエディション
・アラン 18年 オフィシャル
・アードベッグ 19年 トリーバン
・余市10年 2009-2019 マイウイスキー作り#411127

ちなみに、2019年はウイスキーだけでなく、ワインも色々飲んだ1年でした。
いくつか個別の記事を書いてみて、まだワインについては1本まとめて記事に出来るだけの経験が足りないと、オマケ程度でふれるにとどめましたが、ウイスキー好きに勧められるボトルもある程度固まったように思います。
ウイスキー愛好家のなかでも、ワインを嗜みはじめたメンバーがちらほら出てきていますし、来年はウイスキー×ワインの交流も進めていきたいですね。

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■以下、雑談(年末のご挨拶)
さて、本更新をもって2019年の投稿は最後となります。
まとめ記事ということで長くなりましたが、最後に来年の話を少し。。。

来年3月で本ブログは5周年を迎えます。
ブログ活動を再開した当時はどれだけ続くかなんて考えてませんでしたが、これも本当にあっという間でした。
ブログを通じて色々と繋がりも増え、執筆活動以外の動きもあり。先に記載した通り、来年は新たに発表出来ることもいくつかあると思います。

他方で、ブログ外のところでは息子が小学校に上がるなどの家庭環境の変化や、仕事のほうも任されている事業で管理職的な立ち回りが求められるようになってきて、公私とも変化の大きな年になりそうです。
自分にとってブログ活動は趣味であるため、継続はしていくつもりですが、今年から暫定的に行っている週休二日ルールを定着させるなど、時間の使い方を考えなければならなくなると思います。こうして、環境が変わっていくなかで何かを継続することは、本当に難しいんですよね。

楽しみである気持ちが半分と、不安のような複雑な気持ちが半分。。。というのが今の心境。そんな中でも、細々とでも活動は継続していくつもりですので、皆様来年もどうぞよろしくお願いします。
それでは、良いお年をお迎えください。

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シングルカスク 余市 10年 2009-2019 マイウイスキーづくり 59% #411127

カテゴリ:
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NIKKA WHISKY 
YOICHI
SINGLE CASK 
Aged 10 years 
Distilled 2009.4.18 
Botteld 2019.8.29 
Cask type New American Oak Cask #411127 
700ml 59% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:開封後1ヶ月程度
場所:自宅
評価:★★★★★★★(7)(!)

香り:トップノートはエステリーで、すぐに松の樹皮を思わせるような無骨さのあるウッディさ、ローストアーモンド、チャーオーク由来のキャラメルの甘味。奥には林檎、オレンジママレード、ほのかに甘栗。スパイスのアクセント。

味:リッチな口当たりから、フルーティーな甘味がとろりと広がる。ボディはしっかりとして厚みがあり、リンゴのカラメル煮やみかん缶のシロップ。甘味だけでなく柔らかい酸味の後から、濃いめの紅茶を思わせるほろ苦さ、タンニンがアクセント。微かなピートと共に心地よいフィニッシュが長く続く。

厚みのあるボディとアタックの強い酒質に、新樽らしい樽感。焼き具合がそれほど強くないのか、エステリーかつフルーティーな要素がチャーオークフレーバーのなかに溶け込んでいる。余韻にかけては微かなピートフレーバーもあり、ただ樽感が濃いだけではない香味の多彩さが素晴らしい。少量加水良し。ロックも悪くはないが、チェイサーと共にストレートで楽しみたい特別な1本。


ニッカウイスキーがファン向けの企画として、宮城峡、余市でそれぞれ年10回程度開催しているウイスキーづくり体験会が、通称「マイウイスキー作り(宮城峡はマイウイスキー塾)」です。

参加のためには希望日程で抽選に申し込み、当選する必要があるのですが(日程が金曜日から1泊2日であるため、一般の会社員は金曜日に休暇を取得する必要があるのもハードル)。参加すると、それぞれの蒸留所でのウイスキー作りにおける主要な行程を体験出来ると共に、10年後には自分達で樽詰したウイスキーが1本(複数本必要な方は別途購入)贈られてくるという企画。元々人気はありましたが、近年のジャパニーズウイスキーブームもあって、倍率は30倍程度にまで増えていると聞きます。

今から10年前、本格的にウイスキーにハマった頃の自分は、日頃の感謝を込めた旅行のプレゼントとして父親を連れて参加。
それから10年の間、公私とも本当に色々ありましたが。。。まあ個人的な苦労話はさておき、ウイスキーの経験値としては、この1本を味わい尽くすための準備が充分できたのではないかと自負しています。

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(2009年、イベント当日に配布された、余市のニューメイク。厳密に言うと蒸留時期が半年ほど違うものだが、この飲み比べのために10年間飲まずにとっておいた。ボディが厚く、香ばしい麦芽風味に酸のしっかりあるタイプで、ピートレベルはライトピート。ここにアメリカンオークの新樽由来の風味が合わさることで、樽由来の甘味と苦味に加え、調理加工した柑橘類のような甘酸っぱさを伴う香味へと繋がったと考えられる。)

ベースとなっている原酒は上記の通り。樽は250リットルの新樽ですが、この樽の焼き具合(あるいはウイスキーと接する部分の木目の違い)と、倉庫内の熟成場所の違いからくる微妙な差が積み重なって、10年間で樽毎の大きな味わいの違いをもたらしています。

どれくらい異なるかというと、同じ年度の仕込みであっても、もっとガッツリ新樽のチャーオークフレーバーが効いたものがあれば、自分の樽のようにバランス寄りでフルーティーさを伴うタイプもある。あるいは、あまり樽感が乗り切らず、若々しいあタックの強さがメインに出ているものもある。
今回のボトルは、あと2年くらいは熟成させたかったという気持ちもありますが、現時点で普通に美味しいボトルですし、酒質とのバランスもとれています。

ウイスキー仲間からは概ね好評で、交換で使った分を除いても既に2本目に突入している消費速度(笑)。こういう原酒に育ってくれた、巡り合わせに感謝したい。
何より、自分の分身とも思える樽が、自分が生きている環境とは異なる場所に存在して、現在進行形で成長しているという感覚は、なかなか特別感のあるものでした。
現在は当時と異なり、クラフト蒸留所のビジネスで共同オーナー制度等も珍しくなくなりましたが、ニッカさんにも是非継続してほしい、魅力溢れる企画だと思います。
また、いつか参加してみたいですね。

ザ ニッカ テーラード 2019年リリース 43%

カテゴリ:
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THE NIKKA 
NIKKA WHISKY 
"Tailored" 
Tailor-designed to perfection 
700ml 43% 

グラス:木村硝子テイスティンググラス
時期:不明
場所:自宅@サンプルTさん
評価:★★★★★★(5ー6)

香り:ウッディでメローなチャーオーク香。オレンジピール、松の樹皮のような無骨なウッディネス。香ばしくビターな要素も感じさせるが、奥には溶剤系のヒリつくようなアルコール感を伴う。

味:口当たりはメローでビター、とろりとした質感に続いてスパイシーな刺激。香り同様に新樽系のニュアンスの裏に、オークのバニラ、蜂蜜や穀物を思わせるグレーンの甘味、続いて若いモルティーさも感じられる。
余韻は焦げたような苦味とピートフレーバーを伴う、スパイシーなフィニッシュ。

トップノートにあるニッカ味とも言えるチャーオーク系の要素、余市モルトのモルティーさが強く、度数以上にパワフルなブレンド。一見するとまとまっているように感じるが、奥にはヒリつくようなアタックや、若い原酒の個性も見えてくる。加水すると樽感は控えめになるが、全体的に繋がりが良くなって飲み口もマイルド、バランスが良くなる点は評価ポイント。


2019年4月、ザ・ニッカ12年が終売になり、それと同時にリリースされた代替品とも言えるNAS仕様のブレンデッド。テイラード。
12年からNAS仕様となったことで、若くなるのではとか、発売前は憶測的な意見が少なからずあったのですが。。。
飲んでみて、それは事実だったなと言う部分と、幅広い熟成年数からくる原酒の個性を上手く使っているな、という2つの印象を受けました。

全体の構成は、モルト比率高めで骨格のしっかりとした香味。旧12年で感じられた味わいのベクトルは維持されており、熟成された原酒の雰囲気も漂うため、まったくの別物というワケではありません。
この辺りに本社側の決定に対するブレンダーの意地というか、ニッカの個性は斯くあるべし、というレシピの方向性が伝わってくるようです。

ただ、使用している原酒の熟成年数を落としたからか、旧12年に比べて全体の香味を繋いでいるコク、粘性を伴う甘味が控えめになり。。。モルトのほうも黄色系統のオーキーなフルーティーさがトーンダウンし、逆にバニラ系の甘味や若くて勢いのある風味が強く出ている部分があります。
この辺りが、古い原酒のウッディさだけでなく、比較的若い原酒に樽感を強く付与したような、長短混じり合う要素。どちらが悪いという話ではありませんが、例えば、12年熟成の原酒のみと、6~20年までをブレンドして平均12年では同じもののにならないように、同じベクトルだけれど違うものに仕上がって当然なんですよね。

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(テイラードを飲んでいて、最も目立つ香味の傾向が、蒸留所限定のウッディ&バニリックのそれ。12年では新樽以外に宮城峡のバーボン樽系統の原酒、同様に蒸留所限定に例えるとフルーティー&リッチタイプの香味が良い仕事をしていたが。。。)

公式情報ではモルト原酒のなかで軸になっているのが、ピーティーな余市モルト、宮城峡のシェリー樽原酒という書きぶり。確かに余市の要素は、余韻にかけてビターなピートフレーバーやアタックの強さで分かりやすいと感じます。

一方で、宮城峡のシェリー樽というのは若干の疑問が。。。ニッカのシェリー樽原酒といえば、硫黄香が代表的キャラクターと言える構成ですが、その要素が感じられない。ということは、リフィルか、最近の仕込みの若い原酒か。
使ってるのは事実で、ほんのりシェリーっぽいニュアンスはありますが、目立つほどの量とは言えず。各個性の繋ぎになる役割は、上記新樽のエキスが担っているように思える作りです。

なお加水したりロックにしたり、もうひとつ繋ぎになる(全体をおとなしくする)要素を加えていくと、バランスがよくなりまとまりも出るので、そういう飲み方を前提としているのかもしれません。
テイラード(仕立て屋による作品)の名を冠するには少し手助けが必要ですが、古きを押さえつつ新しさも備えた、今のジャパニーズウイスキー業界のトレンドとも言える味わいだと思います。

グレングラント 31年 1969-2000 ウイスキーエクスチェンジ 56.9%

カテゴリ:
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GLEN GRANT 
The Whisky Excahnge 
Aged 31 years 
Distilled 1969 
Bottled 2000 
Matured in Sherry cask 
Bottle No, 145/240 
700ml 56.9%

グラス:不明
場所:BAR ROYAL MAIL 
時期:不明
暫定評価:★★★★★★★★★(8ー9)

香り:濃厚な紅茶を思わせるような、しっとりとしたウッディネス。生チョコレート、ベリーやダークフルーツのソース。甘酸っぱいアロマが溶け込み、高級な洋菓子を思わせるような香り立ちにうっとりとさせられる。

味:とろりとして濃厚な口当たり。香り同様に古典的なシェリー樽由来の艶ややかで色濃い甘味に、熟したベリー系のニュアンス、皮付きの黒葡萄。余韻にかけてはタンニンを感じるものの、しなやかで過度に主張せず、リッチな甘味を引き締めて長く続く。

濃厚シェリー系の絶滅危惧種。実にリッチな味わい。シェリー感に赤系の果実風味が混じり、タンニンもこなれていてビロードのようにしなやかである。グレングラントでなくてもだいたい同じ味になるだろうが、度数があることから口内での広がりも申し分ない。これぞ真に愛好家が求めている圧殺味。

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「こんなの東京で飲んだら、どうなるかわからんな」
マスターの意味深な言葉と共に出された1杯。まあこの時期のどシェリーですから、色々覚悟してテイスティングに挑んだわけですが、文句なく素晴らしいオールドシェリーの一つでした。(なかなか良いお値段でしたが、確かに今の相場でこのボトルがでたら、どうなるかわからなかったですw)

モノはロンドンのウイスキーショップ、The Whisky Exchange がボトリングしたオリジナルリリース。
2000年なのでまだシングルモルトブームは火の粉レベル。ですが時期的には60年代の長期熟成原酒を30年熟成程度のピークで楽しめるという、ボトリングにおける当たり年。故に、当時からある程度評価はされていたとおは思いますが、同時期の長熟リリース群にあっては、頭一つ抜けたくらいの認知度だったのではないでしょうか。

味の傾向は、有名どころで例えるとグレンドロナックの1970~1972年あたりのリミテッドにあるような濃厚なシェリー感が主体。
一方、今回テイスティングしているなかで、近年増えているシーズニングの圧殺系にも、一部通じるところがあるなと思えました。
昔はよかった、という話ばかりをしても仕方ありませんので、話はずれてしまいますが現行のシェリー感についても触れていきたいと思います。


そのシェリー感は、言わばこの古典的な圧殺シェリーのレプリカ。復刻版というべきでしょうか。
本質的には違うもので、共通するのは濃厚でしっとりと甘いという点。経年変化でこの古典的なシェリー感になることは無いでしょうけれど、シーズニングシェリービジネスの黎明期に見られる「シェリーを直接混ぜたような質の悪いシーズニング」に比べて、近年のそれは確実に安定してきたと感じています。
蒸留所関係者から聞いた話では、ボデガ払い出しの古樽よりも、シーズニングのほうが価格が高いというシーンも見られるそうです。

今回の時代のシェリー樽事情については明確な文献が残されていませんので、推測でしかありません。ただ、当時の状況から、蒸留所がボデガから直接買い付けたもの以外に、「ボデガの古樽(アメリカンオーク)が輸送用の樽に回され、最終的には消費地であるイギリスのブレンド工場で、当時のトレンドだった甘口シェリーのブレンド保管用に使われたもの」に、かなりの数があったのではというのが持論としてあります。

その樽は特にボトラーズを中心に流通し、今回のような濃厚な味わいのリリースに繋がったと。
それらは、法規制や消費傾向の変化から製造環境が代わり1980年代には消えてしまったものですが、その分需要が増えたのがボデガ側でのシーズニングシェリー樽ビジネスです。
紆余曲折を経て、何をどうやったら求められるシェリー樽に仕上がるのか、というノウハウが積み上がり、少しずつ、かつての味に近づいてきているのではないか。
今年のエッセンスオブサントリーでリリースされた、新樽のスパニッシュオークは衝撃的でしたし、先に書いた通り2000年前後に仕込まれた原酒にも、安定した味わいのリリースが多く見られます。

これから先の時代は、偶然生まれたものではなく、意図的に作られたものを楽しむ時代となるのかもしれません。
いつかまた、このグレングラント1969にあるようなシェリー感を、ちょっと背伸びすればのめるようなくらいになってくれると良いなと思いを込めて、本記事の結びとします。

余市 10年 2007-2017 十年浪漫倶楽部 58% #408015

カテゴリ:
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NIKKA WHISKY 
YOICHI 
SINGLE CASK MALT WHISKY 
Aged 10 years 
Distilled 2007 
Bottled 2017 
Cask type New American Oak Cask #408015 
700ml 58% 

グラス:国際規格テイスティング
時期:不明
場所:ー
評価:★★★★★★(6ー7)

香り:チャーオーク系の無骨なウッディさが強く感じられ、焦がしたキャラメル、チョコレートケーキ、スウィートスポットが出たバナナ。色濃い甘味とウッディネスのほろ苦さ。

味:リッチな色濃いウッディネスと甘味、パワフルな口当たり。ローストアーモンドやオールブラン、口のなかで転がすとクリーミーな甘みと香ばしさがあり、かすかにオレンジ系のニュアンス。余韻にかけてはスパイシーでビターなウッディネス、チョコモカのような甘味とほろ苦さが力強く感じられる。

余市らしさがしっかりある、パワフルな1本。2回蒸留原酒でバーボンを作ったと例えるべきか、少々アンバランスではと思えるくらい濃厚な新樽感が付与されている。その樽感故、全体的にやや苦味が強いが、同様に新樽エキスとも言える色濃い甘味も強い大人の味である。加水しても悪くないが、少し崩れてしまうような・・・。思わず葉巻がほしくなる1本。

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ニッカウイスキーが2002年から2009年まで募集していた、十年浪漫倶楽部。
毎年決まった時期に希望者を募り、初年度はニューメイク、5年経過時点で途中経過のサンプルを1本、10年経過後に10年熟成の余市シングルカスクを2本届けてくれるという、現在クラフト蒸留所等で行われている共同カスクオーナー制度のはしりのようなサービス。
同様に開催されていた「マイウイスキーづくり」に参加出来ない愛好家にも、”待つ楽しみ”や”節目の記念となるウイスキー”を届けたいという、メーカーとしては相当手間のかかる事業だったと思いますが、ニッカらしいファン目線の企画の一つでした。

その貴重なボトルの一つを、縁あってテイスティングさせて頂きました。
スペックは250リットルの新樽熟成。それもしっかりと内側を焼いたタイプのアメリカンホワイトオークで、色合い、コメントを見ても伝わる通り、こってりとした新樽フレーバーが付与されています。
バーボンならともかく、ここまで新樽のフレーバーをつけたスコッチタイプのウイスキーというのは、現時点で世界中を見渡しても余市のみ。ファンにとってはこれだよこれ、という満足感と、ニッカ味を堪能出来る作りです。

ニッカウイスキーは、余市をハイランド、宮城峡をローランドモルトとして位置付けています。
その位置付けに個人的に疑問がないわけではないのですが、仮に現在の平均的なハイランドモルトを余市に持ってきて新樽で熟成させ、このような味になるかというと、たぶんならないと思われます。
チャーした新樽由来の、焦がしキャラメルの濃厚な甘味とほろ苦さ、武骨なウッディネスを受け止めて、余韻までしっかり伸ばせる酒質は限られており。。。
それが、余市が唯一無二となる違いだと思うのです。

今回のボトルは、マイウイスキーの同様のスペックのものとを比較しても、かなり新樽感の強いタイプです。
ともすればバランスが良いとは思えないレベルでしたが、10年という熟成期間故のパワフルさと、樽由来の甘くビターな味わいは余韻まで破綻することなく、しっかりと堪能させてもらいました。

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ニッカ繋がりで今日のオマケ。カフェウォッカと冷凍イチゴ。
マイブームな宅飲みスタイル。冷凍庫でキンキンに冷やしたカフェウォッカに、コンビニで売ってる冷凍イチゴを一ついれる。ショットグラスも冷やしておくとなお良い。漬け込むとかそういう手間はなく、あとはただ飲むだけ。

カフェウォッカは、元々柔らかい甘味と、麦で作ったとは思えない仄かな果実感のあるウォッカです。それを冷凍して飲むだけでも充分美味しいのですが、そこにイチゴの酸味と香りがふんわりとアクセントに。
ウォッカを飲みきったあとは、グラスに残るイチゴをポイッと口の中へ。ほどよく溶けて微かにウォッカの甘味の染みたイチゴをシャリシャリやるのが、良い感じのデザートになる。
気がつけば2~3杯と飲んでしまう危険な組み合わせです(笑)。

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