ブナハーブン 5年 2013-2019 ケイデンヘッド 58.3% ゴールドラベル

BUNNAHABHAIN
CADENHEAD'S
Aged 5 years
Distilled 2013
Bottled 2019
Cask type Bourbon Barrel
700ml 58.3%
グラス:リーデル
場所:BAR Regalo AKASAKA
時期:開封後2ヶ月程度
暫定評価:★★★★★★(5ー6)
香り:クリアでシャープなピート香。乾いた土や焦げた干し草等のスモーキーさに、レモングラスとほのかにハーブ、塩素のニュアンスが混じる。
味:ややドライな麦芽風味とピートスモーク、そしてバニラやグレープフルーツを思わせるオークフレーバーが中間からほどよく広がるが、メインはあくまで燻した麦芽の風味にある。余韻は焦げたようなピーティーさ、スパイシー、微かに薬品香。あっさりとしているが、若さ故の粗さが口内にひっかかりとして残る。
クリアで癖の少ないヤングピーテッドアイラ。樽とのバランスも悪くなく、味わいのなかでじわりと広がるオークフレーバーは、ピートと麦のほろ苦く香ばしい味わいを邪魔しない。粗さはあるが、若いなりの仕上がりとして感じられる。一方加水するとピートと麦の繋がりが切れて浮わついたような変化がある。ストレートで。
ケイデンヘッドのカスクストレングスシリーズ、ゴールドラベルから"まさか"のピーテッド・ブナハーブン5年。
というのも、これまで同ブランドにおけるゴールドラベルのリリースは、ケイデンヘッドにとって最高峰というか、マネージャーが選ぶ特別な樽というか認識があり・・・。熟成期間も相応に長いものが選ばれていましたから、このスペックで?と驚かされたわけです。
時はちょうど昨年のウイスキーフェス。試飲してみると、5年モノとしては悪くはないけど特筆してすごくもない、普通のピーテッドアイラという印象。
ブースで話を聞くと、このブナハーブンがどちらの位置付けかはわからないものの、ノーマルなシングルカスクのリリース含めて、ケイデンヘッドにおけるゴールドラベルの適用範囲が広がったとのこと。最近も若いトマーティンがリリースされてました。
そういえば、同社でマネージャー勤めていたマーク・ワット氏が2019年に退社されており、その影響があるのかもしれません。
さて、ご存じのとおりブナハーブンはピートレベルがほとんど0に等しい原酒をハウススタイルとしており、アイラモルトのなかでは異色なキャラクターで知られています。
一方、1990年代からピート需要が徐々に高まるなかで、ブナハーブンでもグループ会社のブレンドに用いる目的で少量ながらピート原酒の仕込みを開始。2003年、蒸留所がバーンスチュワート傘下となるとブランドが定着(バーン社はディーンストン、トバモリー、ブナハーブンの顔ぶれ故に、ブラックボトル用の原酒としてピーテッドモルトが必要だったと考えられる)。そして2010年頃にはカリラが改修工事による極短期間の休止に入ったことをチャンスと受け、35PPMのモルトを用いた蒸留が本格化したという流れです。
したがって、現在リリースされているピーテッドブナハーブンは今回のボトルのように若い原酒が多いですが、一部ボトラーズで1990年代後半蒸留のものも見られます。
通常リリースでもボトラーズリリースでもそうなのですが、ブナハーブンはあまり酒質の強いタイプではありません。
近年のスペイサイドモルトのように軽やかで、ライトボディな酒質は、ピーテッドモルトの仕込みであっても変わらず。熟成を経ていくと、ピートは強く残っているにもかかわらず、酒質部分が細すぎて腰砕けになる(そして樽香は強い)。カリラ、ラガヴーリン等と比べ、なんともアンバランスな仕上がりになる傾向があります。
一方、若いうちは酒質への熟成の影響がそこまで出ないため、ピートフレーバーとのバランスがとれる早熟タイプのウイスキーという印象があり、今回のボトルはまさにそれ。そう考えると、このブナハーブンがこれでピークという判断も納得出来るように感じられます。